近未来なのか現実の今の日本とは違う社会状況を設定していて、そんな田舎町での人間模様が描かれてます。花火職人をしている男が中心にいると言えなくもないですが、物語上は存在感は希薄です。また、近くの寺の住職がかなり俗っぽいのですが、全体に仏教の話が絡んだり、登場人物の問題にも欲望とか煩悩が関わってきたりもします。小さなコミュニティの中での、地縁や血縁、仕事仲間うちでのコミュニケーションの話と言えなくもないのかなぁとか思いました。
私は、欲求不満の妻と、その夫で妻の妹のほうに興味がある男の話の面白おかしさに引っ張られがちでした。
それから、この現実とは違う設定の効果がいまいちよくわかりませんでした。
作・演出 古川貴義
出演 爺隠才蔵 木下祐子 須貝英 神戸アキコ 磯和武明 片桐はづき 小島聰 菊池明明 小野哲史 笹野鈴々音
5月20日昼
駅前劇場
2012年05月26日
2012年05月21日
「海辺のカフカ」
村上春樹の同名小説を舞台化したものです。元々、海外で上演された戯曲の日本語版ということになるようです。
原作は読んでもいるし、面白かったと記憶していますが、読み返してもいないし、あらすじなんかもあんまり覚えてないほどですが、原作以上に、少年の通過儀礼という点に集約されているんじゃないかと想像しました。いや、まんまなのかもしれませんけど。
ガラスケースの中に舞台美術を入れているスタイルで、これが最も印象に残るところですし、原作小説の世界観を表現するポイントになっているのでしょう。正直なところ真価については、はっきりとはわかりませんけども。透明感とか浮遊感、あるいは静謐さなどは、小川洋子の世界観でもマッチする演出じゃないかとか思いました。
それから、第2幕になってからのほうが面白かったです。ナカタを演じる木場勝己もハマってるように思いました。休憩を除いて、3時間25分くらいという長さでしたから、集中力を保つのは結構たいへんでした。
脚本 フランク・ギャラティ
演出 蜷川幸雄
主なキャスト 柳楽優弥 田中裕子 長谷川博己 柿澤勇人 佐藤江梨子 高橋努 鳥山昌克 木場勝己
5月19日夜
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
原作は読んでもいるし、面白かったと記憶していますが、読み返してもいないし、あらすじなんかもあんまり覚えてないほどですが、原作以上に、少年の通過儀礼という点に集約されているんじゃないかと想像しました。いや、まんまなのかもしれませんけど。
ガラスケースの中に舞台美術を入れているスタイルで、これが最も印象に残るところですし、原作小説の世界観を表現するポイントになっているのでしょう。正直なところ真価については、はっきりとはわかりませんけども。透明感とか浮遊感、あるいは静謐さなどは、小川洋子の世界観でもマッチする演出じゃないかとか思いました。
それから、第2幕になってからのほうが面白かったです。ナカタを演じる木場勝己もハマってるように思いました。休憩を除いて、3時間25分くらいという長さでしたから、集中力を保つのは結構たいへんでした。
脚本 フランク・ギャラティ
演出 蜷川幸雄
主なキャスト 柳楽優弥 田中裕子 長谷川博己 柿澤勇人 佐藤江梨子 高橋努 鳥山昌克 木場勝己
5月19日夜
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
2012年05月20日
「シダの群れ 純情巡礼編」
前作の流れを受けての続編的な物語ですが、予備知識がなくても楽しめる内容にはなっています。ただし、岩松了作品ではよくあることなのか、そこにいない人名が頻出するので、集中が途切れるとたびたび見失うことになるようです。しくじりました。
ヤクザの抗争の中で人間関係の変化が見えてくるのですが、誰かに共感とか感情移入させる作りではなく、“彼ら”のやり取りを見ているかんじ。舞台美術や照明の効果もあって寂寥感が感じられました。村治佳織のギターの生演奏も印象的でした。
作・演出 岩松了
出演 堤真一 松雪泰子 小池徹平 荒川良々 倉科カナ 市川実和子 石住昭彦 吉見一豊 清水優 太賀 鈴木伸之 深水元基 浅野彰一 風間杜夫
5月15日夜
シアターコクーン
ヤクザの抗争の中で人間関係の変化が見えてくるのですが、誰かに共感とか感情移入させる作りではなく、“彼ら”のやり取りを見ているかんじ。舞台美術や照明の効果もあって寂寥感が感じられました。村治佳織のギターの生演奏も印象的でした。
作・演出 岩松了
出演 堤真一 松雪泰子 小池徹平 荒川良々 倉科カナ 市川実和子 石住昭彦 吉見一豊 清水優 太賀 鈴木伸之 深水元基 浅野彰一 風間杜夫
5月15日夜
シアターコクーン
イキウメ「ミッション」
いつもながらに、SF的な設定を持ち込んでくるのかと途中までは思っていましたが、結局は常識的な線に落ち着いたと見ることができるような話です。それと、私にははっきりとした違いまでは見極められませんでしたが、今回から演出を分けているという点でも注目でした。
変わった叔父という存在が物語世界の中心にいます。その甥である主人公は商社勤務でバリバリと仕事をしていて順風満帆でしたが、ケガをしたら自分の代わりはいて…という状況がはじめにあります。そんなとき、叔父の言動に影響を受けて、生き方を見直していくことになります。
その叔父は専業主夫をしていて自由人的な人物で、しかも世界のバランスを取る使命を担っているとか言っています。世界からの呼びかけに応えて行動に移すことで調和をもたらしているという妄想同然の理屈を語り、たいていはヘンな動き程度ですが、衝動に委ねた行動をしたりします。彼特有の語り口が説得力のある強い言葉でハッタリが効いているので、もしかして、という面白さをかろうじて提示してくるのです。
これが本当にそっちの話になっていくというのであれば、さらに面白かったと思うのですが、結局は穏当な決着と見えたので、肩透かし感は若干ありました。主人公の父、母、兄らがそれぞれの生き方を模索していく展開でもあるのと、使命と仕事とか、衝動と欲望とかを考察させる物語でしたので、つまらないとかではないです。それから、安井順平が演じる叔父のキャラが魅力的で、こういう役がベストマッチです。
作 前川知大
演出 小川絵梨子
出演 渡邊亮 浜田信也 井上裕朗 岩本幸子 安井順平 太田緑ロランス 伊勢佳世 盛隆二 森下創 大窪人衛 加茂杏子
5月13日昼
シアタートラム
変わった叔父という存在が物語世界の中心にいます。その甥である主人公は商社勤務でバリバリと仕事をしていて順風満帆でしたが、ケガをしたら自分の代わりはいて…という状況がはじめにあります。そんなとき、叔父の言動に影響を受けて、生き方を見直していくことになります。
その叔父は専業主夫をしていて自由人的な人物で、しかも世界のバランスを取る使命を担っているとか言っています。世界からの呼びかけに応えて行動に移すことで調和をもたらしているという妄想同然の理屈を語り、たいていはヘンな動き程度ですが、衝動に委ねた行動をしたりします。彼特有の語り口が説得力のある強い言葉でハッタリが効いているので、もしかして、という面白さをかろうじて提示してくるのです。
これが本当にそっちの話になっていくというのであれば、さらに面白かったと思うのですが、結局は穏当な決着と見えたので、肩透かし感は若干ありました。主人公の父、母、兄らがそれぞれの生き方を模索していく展開でもあるのと、使命と仕事とか、衝動と欲望とかを考察させる物語でしたので、つまらないとかではないです。それから、安井順平が演じる叔父のキャラが魅力的で、こういう役がベストマッチです。
作 前川知大
演出 小川絵梨子
出演 渡邊亮 浜田信也 井上裕朗 岩本幸子 安井順平 太田緑ロランス 伊勢佳世 盛隆二 森下創 大窪人衛 加茂杏子
5月13日昼
シアタートラム
2012年05月13日
「ポテチ」
本作を観ることを考えずに、つい最近「ゴールデンスランバー」のDVDを観たばかりでして、というかそれがあったからこそ、より観たくなったということですね。原作のサイズに合わせて、68分という短めの作品です。
わたしは舞台化されたときに、どういうストーリーかをおさらいしたということもあって、ポテチを食べながら濱田岳が泣いてる中盤のシーンですでに泣いちゃいました。それから後半はたびたび涙が出てきて、おそらくふつうの人よりも泣いてました。黒澤(大森南朋)が人の心がわからないというキャラクターなのが効いてます。
原作 伊坂幸太郎
監督 中村義洋
主なキャスト 濱田岳 木村文乃 石田えり
わたしは舞台化されたときに、どういうストーリーかをおさらいしたということもあって、ポテチを食べながら濱田岳が泣いてる中盤のシーンですでに泣いちゃいました。それから後半はたびたび涙が出てきて、おそらくふつうの人よりも泣いてました。黒澤(大森南朋)が人の心がわからないというキャラクターなのが効いてます。
原作 伊坂幸太郎
監督 中村義洋
主なキャスト 濱田岳 木村文乃 石田えり
2012年05月09日
「別離」
すっごく面白かったです。今年のアカデミー賞外国語映画賞を受賞してました。イラン映画では初なんだとか。それに、かなり評判がよかったので、楽しみにしておりましたが、その期待値を上回る面白さでした。
滑り出しからリアルで深刻な状況に惹き込まれますが、さらに途中で起こる悲劇からはかなりスリリングな展開です。介護、信仰、格差、ジェンダー、家族愛などの要素が絡み合って、また、謎めいたところがあり、真実がどこにあるのか見えないままに進んでいくため、緊張感があって、のめり込むように観てました。
監督・脚本 アスガー・ファルハディ
滑り出しからリアルで深刻な状況に惹き込まれますが、さらに途中で起こる悲劇からはかなりスリリングな展開です。介護、信仰、格差、ジェンダー、家族愛などの要素が絡み合って、また、謎めいたところがあり、真実がどこにあるのか見えないままに進んでいくため、緊張感があって、のめり込むように観てました。
監督・脚本 アスガー・ファルハディ
2012年05月06日
渡辺源四郎商店「翔べ!原子力ロボむつ」
アフタートーク(ゲスト/多田淳之介)でとくに“ふ〜ん”だったのは、タイトルを先に決めたのでロボを出すために設定やストーリーでかなり苦労というか試行錯誤があったということと、東北とひとくくりにされるほどには東日本大震災の直接的な被災をしていない青森ということの当事者性を考えたときに出てきた題材、ということでした。
六ヶ所村を想起させる放射性廃棄物の受け入れをした、ある町の未来を戯画化したおかしさで描くのですが、射程はもっと先にありました。主人公の町長は自分が決定した放射性廃棄物の受け入れとその再処理サイクルの完成を見届けるために冷凍睡眠を決断し、1000年後に目覚めます。町長がそこで出会う人々の姿や、どのような世界になっているか、ということはマンガっぽくて面白おかしいです。しかし、そこにも欺瞞や計算外の状況がありました。町長は、さらに冷凍睡眠をして、未来を目指すことになるのですが、この責任感は誰に対しての責任かということを考えたとき、無意味で皮肉な結果に終わります。「10万年後に安全になる」ということに対して想像力を喚起させるものでした。素晴らしいです。
作・演出 畑澤聖悟
出演 工藤由佳子 高坂明生 三上晴佳 山上由美子 工藤良平 柿崎彩香 宮越昭司 牧野慶一 音喜多咲子 斎藤千恵子 北魚昭次郎 山田百次
5月4日夜
ザ・スズナリ
六ヶ所村を想起させる放射性廃棄物の受け入れをした、ある町の未来を戯画化したおかしさで描くのですが、射程はもっと先にありました。主人公の町長は自分が決定した放射性廃棄物の受け入れとその再処理サイクルの完成を見届けるために冷凍睡眠を決断し、1000年後に目覚めます。町長がそこで出会う人々の姿や、どのような世界になっているか、ということはマンガっぽくて面白おかしいです。しかし、そこにも欺瞞や計算外の状況がありました。町長は、さらに冷凍睡眠をして、未来を目指すことになるのですが、この責任感は誰に対しての責任かということを考えたとき、無意味で皮肉な結果に終わります。「10万年後に安全になる」ということに対して想像力を喚起させるものでした。素晴らしいです。
作・演出 畑澤聖悟
出演 工藤由佳子 高坂明生 三上晴佳 山上由美子 工藤良平 柿崎彩香 宮越昭司 牧野慶一 音喜多咲子 斎藤千恵子 北魚昭次郎 山田百次
5月4日夜
ザ・スズナリ

