2006年10月30日

「父親たちの星条旗」

 クリント・イーストウッド監督の硫黄島2部作の第1弾で、アメリカから見た硫黄島です。

 硫黄島に掲げられた星条旗の写真は、確かに見たことはありましたが、歴史のある瞬間を切り取ったという程度の認識で、アメリカにとって大きな意味があったということを知りませんでした。当時、アメリカも戦費の調達が厳しく、このまま戦争を続けていくかどうかの岐路に立っているところでのこの写真なんだと。この写真が勝利のシンボリックなイメージになるので、これを利用して国債を買ってもらうことによって資金調達をする、という政治的な話が描かれます。とにかく、これが背景にあります。

 そして、この星条旗を掲げる兵士たちは英雄視されるのですが、実はその写真から受けるイメージは事実と違うんだということが、冒頭から少しずつ匂わされます。そして、その英雄視される兵士らは、自分たちが決して英雄なんかではないと、戦死した兵士に対しての申し訳なさと恥ずかしさを感じていたりするのです。で、明らかになる事実は、なんとも間の抜けた話なんですね。それだけに、英雄視されることを拒絶したがる兵士に対して共感もできるんでしょう。

 まあ、戦争に限らず、人がわかりやすい物語を欲してしまうということがあるかと思いますが、戦争のような状況では、とりわけこういう物語を切実に欲していて、それに抗することはかなり困難なんだということ、それがたとえ事実と違おうとも、一個人などは大きな流れに飲み込まれてしまうんだということが描かれていると思います。そして、物語に切実さが失われると手の平返しをされたり、すっかり忘れられてしまうという現実が待っているのは、やはり今でもたびたび見かける光景です。

 そういう話がメインのストーリーではありますが、硫黄島に上陸するシーンが「プライベート・ライアン」を連想させるとはいえ、やはり迫力が凄まじく、最大のインパクトになってます。

 ただ、私には、星条旗を立てた後の硫黄島の状況が、なんかわかりにくかったような気がします。
posted by 行き先不詳 at 23:52| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月29日

「14才の母」のことですが…

 「連ドラ1回目視聴後ランキング」で5位にしたように、あまり期待度を高くみてないんですが、ドラマとしてはやはり面白いというか、うまいなあと思います。


 3話までを極めて大雑把にまとめると、中学2年の一ノ瀬未希(志田未来)と中学3年の桐野智志(三浦春馬)のふたりの間に子どもができてしまい、親からすれば中絶手術を受けるしかないと思っているのに、未希だけはそのことにためらいを感じている、というところ。まだ、ほぼ親までしか知らないという状況です。

 また、智志の母親(室井滋)は有名人で、彼女を取材していた週刊誌の編集長(北村一輝)が異変に感付くのと、入り浸っているファミレスで働いている未希の母親(田中美佐子)が未希と産婦人科に入るところも編集長は目撃している、ということが今後の波乱要素になりそうです。


 個人的に見所だったところをいくつか挙げると。
 未希が、自分が妊娠したことを疑い、妊娠検査薬を買おうと思うのですが、中学生としてはどうしても周りの目が気になり、どうするか迷います。結果として万引きをしてしまうのですが、ここが最初に現実に直面したところでしょう。
 その妊娠検査薬を母が机の引き出しから発見して、未希を問いただします。「未希が買ったの?」という質問に「買ったんじゃなくて、万引きしたの。妊娠してるかどうか知りたかったから」という答えのストレートさ。
 妊娠の事実を父(生瀬勝久)とか智志などに伝えたときの反応。
 産婦人科医(高畑淳子)に行って、「14才で赤ちゃんを産んだら罪になりますか?」と聞くと「子どもを産むことは何才であれ罪にはならないわ。でも、子どもを産んだのに育てられなかったら、それは罪になるんじゃないかしら」といった答えが返ってきます。ほかのシーンでもそうですが、高畑淳子の医師がとてもいい。自信があって、包容力をもっていて、温かくて、言うべきことを言って道を示すような人物です。

 
 なんですが、私には未希が子どもを産みたいという意思に、どうもリアリティが感じられない。これは根本的なことです。本気で好きなんだというようなことも言ったりしますが、妊娠発覚までの2ヶ月間でふたりの仲がより深くなるようなことはなさそうでしたし。
 志田未来が時々大人びて見えることもあるとはいえ、子どもを産むというにはあまりに幼さを感じるので、演技の説得力にも限度があるような気がしてしまいます。
 母親が、自分と娘の絆を強調すればするほど、未希がそこに自分と自分のお腹の中にいる子どもとの関係をオーバーラップさせるという図式ですが、そこも次元が違う話に見えてきてしまう。

 とにかく、ここだけは今後に期待できるようなことでもないようなあ、というわけです。
 ただ、それを除けば面白く拝見しております。
posted by 行き先不詳 at 22:14| Comment(0) | TrackBack(0) | TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月28日

「かもめ食堂」



 群ようこの同名の小説の映画化ですが、元々その小説は映画のために書き下ろしたものだそうです。


 主人公のサチエ(小林聡美)は、フィンランドで食堂をはじめて約1ヶ月ほどになりますが客が一人も来ない状態が続いていました。街になじむような食堂にしたくて、客が来ないことにそれほど焦ってもいないようです。

 ある日、そこに日本かぶれの青年がやってきて、第1号の客になります。彼に質問されたガッチャマンのテーマをきっかけにして、日本から来ていたミドリと知り合い、とくに目的意識もなく来ていたミドリ(片桐はいり)は食堂を手伝うようになります。ただし、第1号の客を記念していつもコーヒーをただにしてもらっているその青年くらいしか客はいないという状態です(いい加減払えよ、って思っちゃいますが)。

 途中、コーヒーの淹れ方を教えてくれる人(カウリスマキ監督の「過去のない男」に主演してた俳優です)や空港で荷物を受け取ろうとしたら荷物が行方不明になってしまったという女性(もたいまさこ)などが話に加わります。そして、しだいに客が増えるようになっていき、フィンランド人との交流もありながら、すっかり街になじんでいく様子が描かれています。

 
 はじめのうちは、あまりに客が来ないもんですから、仕入れとか仕込みはどうしてるのかとか、どの程度貯えがあるんだろうとか、かなり物価が安いのかなあ、とか現実的な疑問をもちましたが、基本的にはそういうせせこましいことは出てこない穏やかでゆったりとした世界です。少なくとも、しがらみなんかから自由になりたくてフィンランドに来たような人たちのようですから。そういえば「なぜフィンランドなんだ?」という違和感に近い不思議さは当初ありました。

 日本食のメニューも用意していて、おにぎりをフィンランド人も食べるシーンなどを見るとなんとも温かい気持ちになります。
posted by 行き先不詳 at 20:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月25日

「チェケラッチョ!!」




 沖縄を舞台にした青春ストーリー。
 楽しく高校生活を送りながらも、進路の決断もそろそろ迫られそうな頃、恋と音楽に熱くなる姿を描いています。

 市原隼人、平岡祐太、柄本佑の3人ってウォーターボーイズが共通点だなあと思いながら見はじめましたが、この高校生3人が人気ヒップホップバンドに影響を受けて、自分たちもはじめようと練習を開始します。市原隼人がMCに決まってラップをやらないといけなくなって、しかも、そんな付け焼刃でライブハウスのステージに立ってしまのですが、もちろんそんなうまくいくわけもなく…。


 ほかに、井上真央が同じ高校生役で、伊藤歩が市原隼人の憧れの人ってかんじで登場してます。

 かなり陽気で明るく、コミカルなところが多いので、見ていて楽しいのですが、物語としては何か物足りなさを感じなくもなかったです。

 沖縄のことばのイントネーションがかなり印象的です。私にはあれでいいのかがよくわかりませんが。
posted by 行き先不詳 at 23:48| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月23日

『日本という国』

日本という国
小熊 英二著 / 100%ORANGE装画・挿画


 小熊英二が中高生向けに書いたもので、著者のこれまでのものより取っ付きがよさそうだと思い手に取りました。

 近代日本について、明治と第二次大戦後のことを書いた、ということですけども、明治については、教育という観点から福沢諭吉を足掛かりに学歴社会が形作られるまでの経過とその意味について語っています。
 もうひとつ、第二次大戦後ということでは、安全保障や戦後補償、憲法九条なんかの問題についての流れを解説しています。

 私としては、前半は面白く読みましたが、後半はどうしても、政治的な色をちょっと感じてしまって、また、これがたいへんわかりやすいストーリーになっているもんですから、「中高生がこれを読んで素直に感想を書いたら先生に喜ばれそうだなあ」という皮肉っぽい感想をもちました。良い悪いは別として。
posted by 行き先不詳 at 20:28| Comment(0) | TrackBack(2) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月22日

『ガウディの伝言』

ガウディの伝言
外尾 悦郎著


 サグラダ・ファミリア教会で彫刻家として携わっている著者がガウディとはどんな存在かを語っています。著者がガウディを深いところで理解していることがよくわかる1冊です。

 無知な私は、ガウディというと、近代的な建築から逸脱したなんか訳のわからない異端な人、と勝手にイメージしてました。サグラダ・ファミリア教会についても、ガウディ亡き後も工事が続いていて完成は遠い先のことだということ自体が、いったいどういうことかよくわからない、そういう印象です。それが、本書を読んだことによって、まるですっかりイメージが一新され、理解の足掛かりを得たのでした。


 冒頭によく聞かれる質問をふたつ挙げています。「サグラダ・ファミリアはいつ完成するのか」と「図面もないのに、どうやってつくり続けているのか」。
 とくに、後の質問こそがガウディを理解するポイントになっているようで、本書を読む前と後とで認識が改められたのもその点でした。

 正確には図面は最初からないのではなく、スペイン市民戦争で燃えてしまったようですが、それでも図面の重要性は決定的なほどではないという著者の見解です。当時の仕事ぶりについての次のように推測しています。

 
まず、ガウディが職人たちの中に入っていき、模型を見せて、「石でこんなものをつくれないか」と提案する。建物の一部と言っても、ガウディが考える形ですから、大変美しいものです。そういうものを目の前に置かれると、造型のプロである職人たちはやる気になります。自分たちの技術でつくってみせなければ気が済まなくなる。そのとき湧いてくる一人一人の意欲と、職人たちの頭に描かれる三次元的な構図こそが最大の図面だと、おそらくガウディは考えていました。


 また、ガウディのすごさについて「機能とデザイン(構造)と象徴を常に一つの問題として同時に解決していることにある」と指摘しています。たとえば、構造的に強くない階段室に、構造的に強いベランダで補強し、ベランダの弱い部分を蔦の彫刻で補強。そして、ベランダが芽の彫刻の台座としての機能を持ち、全体としてどれが欠けても成立しない、一つのデザインになっている、というのです。

 そして、そういう連なりが全体を形づくっていて、つまり、装飾性の高さについ目がいきますが、実は極めて合理的なんだということが理解できます。また、象徴の彫刻にしても、ガウディの意図をいかに汲み取るかが問題になっていて、著者の仕事ぶりが支持されるのもそこを踏まえてのことなんでしょう。


 ガウディを生んだカタルーニャの土地柄だとか、彼に影響を受けたと思しき20世紀スペインの天才、ピカソ、ミロ、ダリらのこと、当時ライバルとして大きな存在だったモンタネール、パトロンにしてよき理解者であったグエルのこと、なども書かれていて、ガウディ入門書として、とても参考になりました。
posted by 行き先不詳 at 20:33| Comment(4) | TrackBack(1) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢」

 アンリ・ルソーの作品をはじめとして、ルソーとともに「素朴派」と称される日曜画家たちの作品、ルソーに直接・間接に影響を受けたり、日本に紹介したような美術家らの作品なんかを展示した世田谷美術館の企画展です。

 個人的にアンリ・ルソーの絵が好きなので、目当てはそこにあったのですが、数は期待したほどではなかったのが残念なところです。とはいえ、これだけ見ることができただけでも、まずはよかったです。

 例えば、最初に掲げられていた風景画などは、景色じたいはふつうでなんていうことはなく、トーンが暗いのでちょっと見にくかったりもしましたが、これがいいんですねぇ。どうして自分がこれだけ引かれるのだろうと思います。解説に、影があまり描かれないなどあるため、現実を描いているのに幻想的な色合いが出てくるようなことが書いてありますが、私はその静かさも含めて、小川洋子の小説(『沈黙博物館』とか『密やかな結晶』)を連想したりしました。

 「素朴派」の画家たちは、知らない人ばかりで、とくにボンボワという人の作品のインパクトにちょっと驚きましたが、一番好きなのは、ルイ・ヴィヴァンで、なんか福音館書店の絵本に出てきそうな絵柄でちょっと楽しいです。

 日本人との関わりでも「えっ、この人が…」みたいな人もいて(これは私の知識不足がありますけど)、これはこれで興味深かった。現役の人も登場してますし。


 世田谷美術館に行くのは今回がはじめてでしたが、用賀駅から20分近いのに、標示が分かりやすくて、迷わず辿り着けるようになっているのは、特筆すべきことではないかとさえ歩きながら思いました。

 展示替えがあるようなので、もう1回行くのもありかなと思ってます。
posted by 行き先不詳 at 18:44| Comment(0) | TrackBack(0) | アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月21日

王立劇場vol.5「The Worst of...」

 王立劇場というのが何なのかは今もってよく分かってないんですが、どうやら吉本興行主催で、後藤ひろひとが中心となってコントなどの公演を行うユニット、のようですね。メンバーとか内容とかも、これという決めはなくて、かなりそのへんはゆるやかに遊び心重視みたいなかんじなんでしょうか(パンフレットを買えばもっと分かったんでしょうけど)。

 で、今回は、後藤ひろひとのトーク(本当なんでしょうが、本人の椎間板ヘルニアの再発でも笑いを取ってました)を間に挟みながらコントを見せていくというスタイルで、タイトルにもなっている「The Worst of...」は演劇と比べると、サイテーで下らなさがあふれるから、Bestではなかろうという意味合いのようです。

 どのコントもかなりバカな発想で面白く、気が付いたら2時間経っていました。

 作・演出 後藤ひろひと
 出演 石丸謙二郎 川下大洋 内場勝則 ぼんちおさむ 中川貴志(ランディーズ) 須知裕雅(ビッキーズ)
 ラフォーレミュージアム原宿では、明日が最終日です。
 
posted by 行き先不詳 at 20:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月19日

「連ドラ1回目視聴後ランキング」

 といっても、個人的な順位で、私がチェックしたのは6本だけです。すべて第1回は見終わって、まだ2回目は見てないという状況です。

 1 「僕の歩く道」
 2 「のだめカンタービレ」
 3 「Dr.コトー診療所2006」
 4 「役者魂!」
 5 「14才の母」
 6 「たったひとつの恋」

 これからの期待度ということで、今のところはこんなかんじ。

 今書いて気付きましたが、TBSのドラマがないっすね。どうしたことでしょう(テレビ朝日もないですけど、こちらはあまり珍しくない)。
 「セーラー服と機関銃」はキャストには引かれなくもないですが、正直あんまり見たいとは思わなかったのです。「嫌われ松子の一生」はDr.コトーの裏で、どっちかにしようということで、あっちを選んじゃった。「鉄板少女アカネ!!」は最初からチェックする気が起きなかった…。
 

 私としては、「のだめカンタービレ」がもっとはじけてほしいくらいです。期待してます。
posted by 行き先不詳 at 21:29| Comment(0) | TrackBack(1) | TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月17日

『特攻とは何か』

 特攻の創始者と言われがちな大西瀧治郎の特攻との関わりについて書かれた本です。

 何よりもまず、冒頭に出てくる、玉音放送を聞いた日の真夜中に行う大西瀧治郎の割腹自殺に目がいきました。「腹を切り、頸動脈を断ち、心臓を刺し」という凄まじさと、それでも7時間以上も死ねずにいたということに驚かされました。


 最初は、レイテ湾突入を成功させるための援護として、米軍空母の甲板を破壊して一時的に使用不能にしようという戦術的な作戦であったということです。それが戦果を挙げたということが大きいわけです。そこから、一時的な戦術としてではなくなってしまった、そして、最終的に一億総特攻というふうなところまで行ってしまったわけです。

 また、そもそもは大西も特攻に賛成ではなかったのに、特攻を選び、その後「反対する者は叩き斬る」と言い放ち、全力特攻へ移行するようになる流れに、より興味が引かれます。


 零戦は戦闘機なので急降下に適さず、どうしても浮き上がってしまうので、突入は難しい。操縦桿をしっかり握り、最後の突入する瞬間まで目を開いていなければならない。というこの話もすごいですが、とにかく、読んでいて何度も「これはやっぱりいかんよなあ」と心の中で呟くのでした。
posted by 行き先不詳 at 21:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月15日

『ジウ V 新世界秩序』

ジウ 3
誉田 哲也著



 ジウのシリーズ3作目にして完結編。というか、上中下の下巻かんじですけども。完全に連続した話ですので。

 Tでは、警視庁捜査一課の門倉美咲と伊崎基子のふたりを中心に描きながら、誘拐事件や人質篭城事件に当たるというアクションも多い警察小説。
 Uは、Tで発生した事件にジウという名の男が主犯であることが見えてくる。さらにそのバックに黒幕がいるらしいことが分かり、その男が伊崎に接触してくる。

 そして、今度のVでは、首相を拉致し、歌舞伎町が封鎖して「新世界秩序」を作ろうとするテロが実行されます。その黒幕はUで登場した男ですが、このテロに伊崎も関わってくるという展開。門倉は伊崎を見捨てられず、封鎖されて無法地帯と化した歌舞伎町に侵入する。

 これはTからは全く想像できない展開です。かなりスケールの大きな話になりました。また、それぞれで違うテイストの作品ともなっています。ただ、全体を通して見ると「ジウ」というタイトルはちょっと違和感を覚えます。ジウの位置付けはそれほど大きい印象は受けませんので。やはり伊崎基子と門倉美咲の物語ですね、これは。
posted by 行き先不詳 at 00:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月13日

「ジェイルブレイカーズ」

 楽しい舞台ということに尽きるかと思います。7時開演で終わったのが10時近く。もちろん休憩は挟みますが、それなりに長いわけで、にもかかわらず長さが気になるということはありませんでした。


 京介(河原雅彦)は「あるもの」を手にしたために殺されてしまう。銀平(松岡昌宏は、京介の死に際に、その「あるもの」がマンションの宅配ポストにあると託される。このことは他言無用とも。その場で警察に捕らえられ、京介殺しという無実の罪で刑務所に入れられる。実際に殺したのは、その「あるもの」を奪おうと追ってきていた男で、それは刑事だった。銀平は「あるもの」を手にするために脱獄を考える。そこへ受刑者によるロックフェスがあることを聞かされ、それに出場することが脱獄へのチャンスだとバンドを結成する。


 設定はシリアスにも見えますが、かなり軽い調子で進みますし、バンドメンバー、受刑者、所長、看守、など濃いキャラぞろいで、笑いも随所に入るという感じです。それに冒頭で殺される京介は、もう出番が終わりかと気になりましたが、ちょっと意外な出方をして、これがまた笑えるし、それだけで終わらないようになっています。


 作・演出 G2
 出演 松岡昌宏・河原雅彦・須藤理彩・篠原ともえ・大高洋夫・植本潤・三上市朗・久保酎吉・コング桑田・久ヶ沢徹・川原正嗣・前田悟
 東京グローブ座では今月23日まで。
posted by 行き先不詳 at 01:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月11日

「スイミング・プール」




 フランソワ・オゾン監督の作品は、「8人の女たち」「まぼろし」と見て、これが3本目になります。一切の予備知識をもたずに見ることができてよかったと思いました。

 作家のサラ・モートン(シャーロット・ランプリング)は流行作家。ミステリーの人気シリーズをもっていてファンも多いのですが、それに必ずしも満足してはいないことが窺われます。出版社の社長(みたいな人)であるジョンに勧められ、ロンドンを離れて(そう英語をしゃべってるんですよ、あれって思いますね)フランスの彼の別荘に行くことになります。そこで早速アイディアが湧いてくるのですが、突然、彼の娘ジュリー(リュディヴィーヌ・サニエ)が現れて、泊まることに。この娘がずぼらでだらしなく、また性的に開放的というか奔放というか、違う男を次々家に連れ込んでくる(出演シーンのかなりが裸か水着なのが、やはり一番印象的ではあります)。そういうジュリーにサラはイライラして衝突しますが、そのうちジュリーをモデルに小説を書こうと思いつく。ジュリーに興味を抱いてそれまでの態度を改めてみますが、事件が発生、物語は急展開という流れ。

 見ているうちは、話の流れが分かりやすいなあ、と思ってみていましたので、完全に油断していました。謎めいた伏線だとかも気になりつつ、あるいは、はじめのロンドンを発つところでも「本当にフランスに行ってるのかな?」と疑問を感じた程度には見ていましたが。ですから、見終わってから、すぐにもう1回チェックしはじめました。しかし、見終わったときの感触以上に、頭が整理できませんでした。




 ↓↓ここからは結末に触れていますのでご注意を↓↓




 ラストシーンから、前提として、サラとジュリアには面識がない、ということと、サラはジュリアを見ても驚いていない、ということを挙げられるかと思います。そこから、第一感としてジュリーは創作の中の登場人物なんだということで見直してみたものの、それだけだとどうもすっきりしない。

 ジョンはサラに娘がいるんだと先に言っている。
 ジョンはマルセルのことに言及していて、マルセルとジュリーは面識があった。
 ジュリーが友だちらしき人との電話で「父が連れこんだイヤミなイギリス女」といったセリフがある。
 ジュリーがジョンらしき人との電話で、母に電話したかと聞いているが、後にすでに亡くなっていることが明らかになる。
 それ以降、ジョンを呼び出すといつも外出と言われる。
 フランクがジュリーを見下ろすシーンとマルセルがサラを見下ろすシーンの対比。

 まあ、ほかにもいろいろと細かいことが気になります。
 私としては、ジュリーが登場してからでも前半と後半で矛盾があると見ましたので、とりあえず、ロンドンを出発したところからはじまる、ジュリーに会ったことで創作意欲が湧いて書きはじめたという小説内小説という体裁の物語が『スイミング・プール』、ではどうだと思ったところで終わりました。
posted by 行き先不詳 at 21:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月09日

『闘う皇族』

闘う皇族
浅見 雅男著


 ひとつの宮家をクローズアップして、近代の皇族の一面を描き出した本です。そして、おそらく裏テーマとして、旧皇族をむやみに祭り上げることに注意を促しています。

 宮中某重大事件とは、当時皇太子だった、のちの昭和天皇の婚約にかかわる紛糾事件です。久邇宮良子女王(のちの香淳皇后)の家系から色覚異常の遺伝子をもっていることが疑われるために、山県有朋らが解消をもとめたもので、この事件の流れを資料をもとに詳しく書いています。

 天皇家に可能性としてでも色覚異常の遺伝子が入ることの問題と、正式な勅許を得ていないとはいえ事実上の婚約を破棄することは人道上いかがなものか、というふたつの立場の対立となったわけです。良子女王の父である邦彦王を中心として「久邇宮家のなりふりかまわぬ動き」もあって、婚約は予定通り決まります。著者は、このことを当時の首相である原敬の立場に立って以下のように書いています。
 
原は鋭い感覚で、某重大事件における邦彦王の行動の危険性を見抜いたにちがいない。皇后に呈した書簡を第三者に見せ、次期総理大臣と噂される政治家に接近し、正体のさだかでない人物に怪文書を書かせるという、原の理想からすれば信じられないことをする皇族。それが原にとっての邦彦王であった。


 この話の続きがあって、邦彦王の第一王子である朝融王の“勅許の得た”婚約を破棄したいと申し出るという事件が出てきます。理由は、婚約相手である酒井伯爵家の菊子の節操に疑いがある、というもので、これ自体は根拠がなかったものの「真偽が定かでなくても、疑いがあるだけでも問題だ」と邦彦王は反対します。これは宮中某重大事件の逆パターンで攻守逆転したような状況になっていますが、ここでも主張を押し通して、婚約解消にもっていくことに成功するのです。(この事件のところはどうしても「春の雪」を連想します。)

 この邦彦王と朝融王の二人の事件を見ていったあとに、邦彦王の父である朝彦親王にも言及しています。幕末にあっては、孝明天皇の相談相手であったり、八月十八日の政変の中心的な役割を果たし、公武合体派であることが災いして失脚、そのことから、明治以降は祭主を務めるなど「特異な立場」から「型破りな性格」を発揮して我を通した人物だということです。そして、この朝彦親王の影響が邦彦王らにもあったのではないかということです。


 『語られなかった皇族たちの真実』とは対照的なんですが、どちらにしても、旧皇族についての基本的なことを、その時代背景とともに知ることができてよかったです。直接関係ないですが、戦前までの皇族と五摂家の姻戚関係の張り巡らせ方から見ると、いかに「平民」から后を迎えることが大変なことかと、その重大性を実感しました。
posted by 行き先不詳 at 21:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。