2007年01月29日

『一番やさしい地方自治の本』




 “一番やさしい”って言われても、ふつう信用ならないところですが、これは確かにやさしい。しかも、やさしすぎるということもなく。法律や地方自治の知識がほとんどなくてもちゃんと理解できるようになってます。とくに、知識がないとヘンなところで引っかかってしまうことも少なくないですが、そのへんもぬかりはないのかなと。

 基本的には、地方自治法を学ぶ学生を対象とする一方で、最新の地方自治の姿をつかもうとしている社会人や、現実の行政実務を踏まえて再度地方自治法を学ぼうとしている公務員にとっても有用な本をめざして書かれたとのことです。


 一番「ふうん、そうなんだ」と思ったのは、憲法で言う地方公共団体は市町村に限られるのではないか、という考え方があるということで、つまり、都道府県は地方自治の本旨に基づかずに組織、運営をしてもいいし、長を選挙で選ばなくてもいい、また、廃止したとしても憲法違反にはならないというもの。最後の「廃止したとしても」というのは道州制に絡んでくる話で、道州制は都道府県をちょっと大きくしただけというレベルではなく、国には外交や国防などの基本的な機能だけに限定させるという、国と自治体のあり方をかなり根本的なところから変えることなんだということでした。


 地方自治法も改正されたりして、国と自治体のあり方も以前とは変わってきているし、これからさらに変わっていくことが分かっていますから、知っていて損はないんですが、国政に比べて地方政治はどうも印象が薄いところです。というような、私並みの人には向いていると思います。
posted by 行き先不詳 at 21:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月28日

柴崎友香『その街の今は』

その街の今は
柴崎 友香著


 柴崎友香の紹介に、映画化された「きょうのできごと」がよく引き合いにだされていますが、私は映画のほうは見て気に入ったものの、原作は読んでおらず、今回はじめて著者の作品を読みました。


 ある一人の若い女性がふつうに暮らしている姿を、とくに事件も衝撃的な出来事も取り入れたりせずに描いていると言ったらいいでしょうか。その女性は昔の大阪の写真や絵葉書を集めたりしています。

 今いる場所の数十年前に誰かがいて生活をしていることを今の時点から思うときの不思議な感覚。私にしてみれば、それを千年前とか一万年前とかでも思う感覚ですが、ここではそんなちょっと昔に自分と同じように生きている、たとえば自分の親世代が若い頃に確かにここにいて呼吸をしていた、ということのなんとなく奇妙なかんじに焦点を当てているといえるでしょうか。

 とはいえ、正直なところ、読んでいて面白いとは思いましたが、どこをどう評価すべきかポイントがわかりくかったです。そのこと自体は悪いことではないですけど。また読み返してみたくなる所以です。
posted by 行き先不詳 at 21:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月27日

『一瞬の風になれ 1〜3』

一瞬の風になれ 1
佐藤 多佳子著



 昨年から、大評判の本作ですが、たしかにこれはかなりです。

 佐藤多佳子の小説はやはり「本の雑誌」で好評だった『しゃべれどもしゃべれども』(←国分太一主演でこのたび映画化されましたね)を読んだのみで、そのときの印象では、私には高い評価ほどには面白く受け止められなかったもので、それ以来手を伸ばしたことがなかったのでした。

 で、今回のこの作品は、バリバリの青春小説。高校3年間の陸上部での競技風景、友情、ライバル、天才型のサッカー選手である兄、主人公の成長ぶりなどが描かれています。勝負の行方にばかり焦点を当てず、ことさらにドラマチックな展開でもないのが、とてもいいです。全体的にさわやかの一語に尽きますが、あまりに純粋過ぎるのでは、と感じるくらいのさわやかさです。語り手の男子高校生のキャラクターに合わせて、短めでしゃべり口調のリズミカルな文体を使っていて、それが違和感を覚えませんでした。読んでいて楽しいのもこの文体に負うところ大だと思います。
 たとえばこんなかんじ。

 キタッと思って出る。加速、加速。なかなか「ハイ」の声がしない。不安になる。越えてはならないゾーンを目にして思わず力が抜ける。そこで声がした。バッと腕を上げた。バトンが来ない。やべえ。思わず首をひねって止まっちまった。バトンの感触。うわあ、左右から抜かれた。加速、加速、全速。力が入ってるのが自分でもわかった。一人でも抜きたい。クソッ。2走を走る奴はみんな速いな。無理か。もう浦木さんがスタートしてる。このバトンパスは詰まり気味。

 あいつさ、二月に、県の高体連合宿に呼ばれて行ったんだ。インハイ予選や新人戦の上位入賞者なんかが呼ばれる強化合宿で、エリートの証明みたいなヤツ。なのに、ヤダヤダって言いやがってよ、あの馬鹿。ヤダって言うごとに俺と根岸でボコッてやったけど、それでもまだ言い続けてた。まあ、夏合宿の連を見てると、こんな出来の悪いコを心配でやれませんって感じだけど。マネージャーとしてついていこうかと思った。逃げ帰ってこなかったのは上出来。「どんなだった?」って聞いたら、「走った」って。あったりまえだろうが!

 「連」というのは主人公の親友にして天才型の短距離選手の名前です。


 久々に読み終わるのが惜しく思われる小説で、もっと続きを読みたいと感じました。私は、とくに最後の県大会と南関東大会は感動を覚えたのでした。


posted by 行き先不詳 at 00:08| Comment(2) | TrackBack(4) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月25日

「えっと、おいらは誰だっけ?」

ettooirawadaredakke.jpg

 マイケル・クーニーという人の翻訳もののコメディです。「えっと、おいらは誰だっけ?」というのは邦題で、元は「キャッシュ・オン・デリバリー」だそうで、これは代金引換払いみたいな意味のようです。


 エリックが他人の社会保障手当を勝手に自分のものにしていた、というところが出発点で、なんとか止めようとしても、ウソを言ってごまかそうとすれば、こんどはまた違う給付の対象になったりして、なかなか後に引けなくなっていた。そんなところに社会保障省の調査員がやってきて、違う人物に成り代わる必要に迫られる。間借り人のノーマンを無理矢理引き込んではみたものの、いよいよ事態は収拾困難な状況へ…。


 ウソをごまかすためにウソを重ねて話がどんどん複雑になっていき、どうにもならなくなっていくところを緻密に作り上げて笑いにもっていっています。邦題の意味するところは、ウソをつくときに違う人物になったり、架空の人物がいることになってたりして、登場人物が増えていってしまうからで、観客のほうもちゃんと頭を整理してないと関係が飲みこめなくなりかねない展開です。

 途中でドタバタな箇所がところどころあって、私としては、これはやりすぎでは?という印象を受けるところもありましたが、全体的に笑えて楽しい舞台でした。


 キャストは小林隆、岡田達也、村岡希美、斎藤歩、木村靖司、江口のりこ、土屋裕一、實川貴美子、峯村リエ、綾田俊樹。
 演出は綾田俊樹。
 青山円形劇場で2月4日まで。
posted by 行き先不詳 at 00:13| Comment(0) | TrackBack(1) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月22日

今期のドラマ、2回目まで見終わって。

 今期のドラマは、「華麗なる一族」だけでいいかなと思っていたんですけど、いざはじまってみると「ヒミツの花園」「ハケンの品格」「拝啓、父上様」をチェックしてました。で、初回の感想では「華麗なる一族」が一番期待外れでした。

 「華麗なる一族」は、初回の1時間半って、あれ長すぎたんじゃないかと思いますが、そればかりではなくて、アクの強さだとかギラギラしたところとかドロドロ具合が(「白い巨塔」と比較してもしょうがないですが)物足りなかったです。2回目を見ても、展開が予想を裏切らず、やっぱり面白味に欠けるところがあります(ただ、父母の夫婦のベッドシーンに高須相子登場にはちょっとビックリしました)。今後に期待します。

 一番、面白かったのは私の予想に反して「拝啓、父上様」でした。花街に生きてきた人たちだからこそ味わう辛い部分だとか、店が生き残るために陰で動いている若女将が波乱含みになりそうだとか、そこにある人間関係のニュアンスの微妙なところがいいと思います。俳優陣もハマってるかと。

 「ハケンの品格」は面白かったですが、主人公のキャラ設定が極端過ぎて、そこだけは気に食わない。というか、そこが重要ですけど。ホッチキス対決もバカバカしかった。なんで横に助手がいるんだよと思いましたし。

 「ヒミツの花園」は見るのを止めます。もう少し面白いかと思ったんですが…。

posted by 行き先不詳 at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「海を飛ぶ夢」

umiotobuyume.jpg

  海を飛ぶ夢


 アレハンドロ・アメナーバル監督の2005年度アカデミー外国語映画賞受賞作。

 大人になってからの事故で四肢が麻痺してしまい、家族の介護を受けながら暮らしている男、ラモン・サンペドロ。彼は、生きることに希望をもてず、尊厳を保つために死にたいと訴えている。で、実際、裁判を起こします。ラモンを支援する人、好意をもって近づく女、説得する者などが現れる。彼のことを思ってる人との交流もありながら、ラモンはやっぱり死ぬことを願っているのです。

 彼が絶望しているといっても、ユーモアのある会話をしたりして、ウツウツとしていない。作品全体の印象も重くてシリアスなのに、暗いばかりではありません。しかし、やはりラモンは死にたいと心底思っている。そのことが一層、意志の強さ、思いの深さを感じさせ、ショッキングです。彼は、同じような境遇の人のことをどうこう思わない。一般論ではなく、ひとりの人間である自分が生きたくないのだと訴えるのです。

 生きていくことの大切さに目覚めるという結論だけは避けてほしいと思いながら見ていました。実際、そんな安易な展開にならないだけに、見る側に残るものは軽くありません。

posted by 行き先不詳 at 19:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月20日

「オープン・ウォーター」

openwater.jpg

  オープン・ウォーター


  こりゃぁ、シンプルですねぇ。ほとんど単純過ぎるくらいのアイディアだなと。実話を元にしているそうですが。
 一言でまとめれば、海の真っ只中に取り残されてどうにもならない、といったところでしょうか。


 ダイビングをしにきたふたりの夫婦。ふたりがダイビング中なのを手違いから気付かずボートが港に戻ってしまう。ふたりはやがて事態に気付くものの、そこから陸は見えず、船も遠くに見えはするものの、その場所を離れることはかえって危険かもしれず、かといって、助けはやってこない。それに、サメやクラゲがいたりする。ふたりは、いっしょにいながら不安を分かち合い、ときには慰め、ときには諍いを起こしたりしながら時間が経っていく…。


 これが無人島なら、そこで暮らしていくという展開になりますが、ここではそういう打開策がありません。ふたりの関係の移り変わりや、ちょっとしたことが危機につながりかねないところが描かれます。ただ、危機といっても大げさな危機ではなく、かえってそれが好印象ではあります。ただ、そういうところも含めて、展開としては地味です。短いわりに、退屈だと感じたこともありました。

 これは、絶望的な極限状況というよりは、じわじわと追い詰められていく不安な状況が描かれているわけで、これを恐怖という言葉だけで捉えるのはちょっと違う気もします。それとも、これをこそ恐怖というべきか。
posted by 行き先不詳 at 13:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月19日

奥野修司『心にナイフをしのばせて』




 著者は『ナツコ 沖縄密貿易の女王』で大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞をダブル受賞した人で、この本は、28年前に起きた「酒鬼薔薇事件」を追って、少年法の矛盾を提示して昨年話題になってました。


 その事件は1969年に起きました。高1の少年Aは、同級生を殺害後、首を切断、自分は被害者を装ったものの、目撃者もいるなどして捕まりました。
 ただし、この本では、この事件についてよりも、ほとんどが被害者家族のその後を、主に被害者の姉の視点で描いていきます。文章のスタイルが姉の一人称で書くというもので、意図されたものとはいえ、ちょっと戸惑うところではあります。

 少年Aは少年法に守られ、その立法趣旨に沿う如く「立派に更生」し、そんなことはなかったことにして、弁護士として成功しています。この人は、被害者の遺族に謝罪すらしていません。一方、遺族らは凄絶な生き地獄を味わい、30年経っているにもかかわらず、今もって引きずっているのです。

 この本は、その家族の苦しみに多く割くことで、そこに不条理があることを表して、読むものに憤慨とため息を促す仕掛けとしています。
posted by 行き先不詳 at 00:36| Comment(0) | TrackBack(1) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月18日

NODA・MAP「ロープ」

noda_rope_.jpg

 カーテンコールで拍手をしているときに、「あぁ、これなら10分とか拍手しててもいいかも」とか思って、まあ実際は3度目で終わりましたが、とにかく、それくらい終わったあとに残る余韻が深かったということでした。見終わったときに胸のうちに充実というか満たされる感覚というのがあって、演劇で感動するとこういう感触があるんだよなあと思い出しました。

 
 プロレスの話から入って、最後は今の社会状況とその中にいる私たち自身への問題提起というか異議申立てというか、そんなことになってます。前半は弱小プロレス団体を中心にドタバタなかんじで楽しく、後半は重い話になって核心に迫るかんじ。

 プロレスのリング上で流れる血は観客には血として捉えられてないとか、レフェリーがマッチメイクをし八百長にも荷担していてそれでもルールを判定する立場にいたりとか、観客が実際に行われていることを見ずにより刺激的なものを求めるとか、あるプロレスの弱小団体とそれを取材している放送局を描きながら現代社会に敷衍していくわけです。

 こういう話で、批判する対象が向こう側にあって観客が安全地帯にいるというような場合もありますが、この作品はそうではなくて観客自身にもはね返ってくる問題です。おそらく、この「ロープ」そのものが八百長の世界に組み込まれてはいないのかと、客観視するくらいでないといかんのではないかと。

 
 私としては、藤原竜也はもちろん、橋本じゅん、三宅弘城、松村武、中村まことなんて顔触れが世の中的にどうかはともかく、うれしい布陣なんですが、今回一番印象的なのは宮沢りえで、今まで見たことがないような雰囲気でした。

 ほかの主な出演者は、渡辺えり子、宇梶剛士、明星真由美、明樂哲典、AKIRA。それともちろん、野田秀樹。


 シアターコクーンで1月31日まで
posted by 行き先不詳 at 00:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月17日

「メッタ斬り!版 第136回 芥川賞・直木賞選考会」

 昨日、芥川賞直木賞の発表があって、芥川賞は青山七恵「ひとり日和」、直木賞は受賞なしでしたが、そういえばメッタ斬りコンビの今回の予想はどうだったかと見てみたら、ふたりとも予想外だったみたいですね(誰が取る?第136回芥川賞・直木賞)。

 ふたりの受賞を聞いてのコメントから抜粋しますと

大森望のコメントより
まさか芥川賞が『ひとり日和』とはねえ。しかも石原慎太郎と村上龍が珍しくそろってこの作品を推したとかで、浅学非才の身には思いもよらぬことでありました。とりあえず読み直してみますが、オレには100回読んでも分からないだろうなあ。深い。

豊崎由美のコメントより
ああああああああああああ、青山七恵っ!?
あごカックーンの結果に言葉を失う今日このごろ、皆さん、お元気でらっしゃいますか?
<中略>
どこまでも現実逃避なわたくしです。よりにもよって、オレらコンビのもっとも評価が低かった青山七恵嬢に芥川賞授賞っスか。ケンカ売ってんスか。売ってないっスか。そーっスか。

ななななななななななななな、なしっスか。ケンカ売ってんスか。いや、オデにじゃなくて北村さんにね。わたくし、芥川賞はひょっとすると受賞者なしかもと思っておりました。けど、直木賞は……。こういうのって、人の道としていかがなものなのでしょうか。そんなら、候補にすんじゃねーよっ! いや、北村さんになりかわってみただけなんスけどね。

 ということで、ふたりとも選評を早く読みたいご様子でした。


 予想は別として、ふたりの評価を見ると、芥川賞のほうは柴崎友香「その街の今は」、直木賞では、佐藤多佳子「一瞬の風になれ」、三崎亜記「失われた町」、北村薫「ひとがた流し」が高評価のようです。
 
posted by 行き先不詳 at 13:29| Comment(0) | TrackBack(1) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

シス・カンパニー公演「禿禿祭」

hagechibisai.jpg

 「禿禿祭」は《はげちびさい》と読みます。ハゲとチビで、高橋克実と八嶋智人という組み合わせなのは、そういうことですが、そんなふたりで芝居とゲスト付きでのフリートークをするという企画。その初日を見てきました。世田谷パブリックシアターです。


 チケットを買う前は、なんだか趣旨がよく分からないままでしたが、このふたりに、演出・構成としてケラリーノ・サンドロヴィッチ、フリートークのゲストが毎回違って、初日から順に、古田新太、三谷幸喜、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、笑福亭鶴瓶、戸田恵子、藤井隆、清水ミチコ、小泉今日子、という面々、これはどうしたって見たくなっちゃいます。私は今日しか見る日がなかったのですが、フリートークだけでもほかの日を見たくなります。

 それで、第1部の芝居のほうは、岸田國士「命を弄ぶ男ふたり」という40分ほどの短い話でした。自殺を図ろうと偶然同じ場所を選んだふたりの男が出会い、お互いの死にたい理由を語り合ったりしながら、そんなことで死ぬことないとか、どっちが先に死ぬかとかのやり取りをするのですが、だいたい高橋克実のほうは包帯ぐるぐる巻きの顔だし、ふたりのやり取りが完全にコメディです。といっても、これは演出の仕方によるようですけど。ただ、これは80年前の戯曲だとのことですが、たしかにそうは思えない作品でした。

 第2部のほうは、ちょっと歌ったり踊ったりもしてましたが、ゲストを招いてのトークをしてまして、舞台だけあって、毒のあるトークなんかを展開してました。古田新太はビールを飲んでたりしながら。


 これは楽しい企画で、面白いことは面白いですし、見逃したら後悔しそうではあるものの、第2部は期待したほどではなかったというのが正直なところです。他の日がどうかわかりませんが。こういう企画として単純に楽しめばいいんでしょうけどね。
posted by 行き先不詳 at 00:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月16日

劇団☆新感線「朧の森に棲む鬼」

oboronomorinisumuoni.jpg

 昨日、新橋演舞場で上演中の「朧の森に棲む鬼」を見てまいりました。

 魔物と契約して、権力を手にする野望を果たすべく、策謀と口先で次々に高い地位へとのし上がっていこうとする男。そのためには、何でもする悪い奴・ライが主人公で、これを市川染五郎。その弟分のキンタが阿部サダヲ。キンタは腕は立つが頭のほうはからっきしな男で、道化役のような存在です。
 国王の妻(内縁の妻とか言ってましたっけ)のシキブ(高田聖子)と検非違使長のツナ(秋山菜津子)、敵国を治めるシュテン(真木よう子)の3人をライが利用しながら、いろいろと画策するのです。

 「リチャード三世」とか「マクベス」を連想しましたが、舞台設定は、中世のようでも古代や戦国時代のようでも、また日本のようでも中国のようでもあるような、まあ、エイアン国とオーエ国というふたつの国という架空の国が舞台ですけども、まあ、そういう世界観でしょうか。酒呑童子の要素もあるとか、どっかに書いてありましたが。

 出演者といい、ストーリーといい、殺陣といい、舞台装置といい、相変わらずエンターテインメント性が高くて、飽きさせないし、終盤がまた圧倒的で、大きな物語の締めくくりとして、決まってました。感動してしまいます。
 それでも、私にかぎっては、はじめのほうでは、大げささに一瞬我に返るというか引いてしまうところもあって、好みの問題かしれませんが、実際そんなところがありました。

 ほかの主な出演者は、古田新太・小須田康人・粟根まこと・田山涼成。
posted by 行き先不詳 at 11:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月14日

蒼井上鷹『出られない五人』

出られない五人
蒼井 上鷹著


 著者の作品を読むのはこれがはじめて。初の長編だとのこと。軽いかんじのミステリってかんじです。


 改装のために使用されていない元バーで、ある作家を偲ぶ会が行われます。それを企画した人物は、密かに違う目的をもって開きました。参加者は5人ですが、それぞれがある秘密を抱えています。

 その元バーは、偲ぶ会の間は密室状態になっていて、だれも朝まで外に出ることはできません。そんななか、死体が発見されるのです。これは密室殺人ではありません。死体がそこに隠されていたわけです。しかも、会の参加者ではない男が隠れているのがわかります。

 そのような状態にも関わらず、参加者たちは外へ脱出したいとは思っていない。それぞれが別個に事情があるせいで、逆に出ては困るんだと。

 死体の謎と、それぞれがどういう目的をもっていたかなどが、だんだんと明らかになりながら、話は進んでいきます。


 それぞれの事情は伏線があったりして、絡み合ったり、繋がったりするところもあるのですが、事情や秘密そのものが私には説得力不足のように感じられ、十分楽しめなかったというところが正直なところ。途中の展開も、興味を失いかけちゃいましたから。それと、その偲ばれるアール柱野という作家の姿なり作品群をもっと拾い上げてほしいところもありました。
posted by 行き先不詳 at 22:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月12日

「明日の記憶」

ashitanokioku.jpg
  明日の記憶


 原作は読んでいて、それはそれでかなり面白かったのですが、こうして映像化されたものを見ると、俳優の力は大きいなという感想が湧いてきます。


 広告会社の部長が49歳にして若年性アルツハイマーになってしまう。仕事は今大きなプロジェクトが進行中。娘はもうすぐ結婚式。しかし症状は進行していく。ただ、横には支えとなってくれる妻がいる。


 映画だと夫婦により焦点が合っていて、ふたりの絆だとか愛情に力点を置いて描かれているように感じました。ですから、原作とは違った切なさがあります。とくに、後半になると、夫がすっかり自信をなくし(発病前の性格とあまりに対照的です)、病気のせいで感情の起伏が激しくなったりするあたりの夫婦のぶつかりあいは、あまりに悲しいところです。

 しかし、悲惨や深刻ばかりではなく、温かさをもって、切なさや悲しさが、深く余韻となって残るような作品です。


posted by 行き先不詳 at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする