2007年02月28日

有川浩『図書館戦争』

図書館戦争
有川 浩著 / 徒花 スクモイラスト



 昨年かなり話題になった一冊ですが、たしかに面白くて最高です、これは。

 昭和最後の年にメディア良化法という法律が成立して、それから30年後という設定。表現に対する規制がかなり強化されています。実力行使を伴なった検閲をする機関が存在してまして、それに対して、唯一法的に対抗できるのが図書館なわけです。しかも、両者が武装化をエスカレートさせて、抗争が繰り広げられているという状況がそこにあります。

 図書館の防衛部に配属された笠原郁は、女性ですが天性の能力と情熱に無謀さを持ち合わせていて、訓練の日々があったり、実戦する事態が起きたり、教官や同期らとの交流が軽いかんじで描かれて青春ストーリーのような話です。主人公は熱くて、空回り気味ですが、楽しいキャラです。

 何を守るために戦うかといえば、政治的とか思想的な立場に関わらず、また、教育には必ずしもいいとはいえないかもしれないような本でも、自由に図書館の蔵書として収集し、利用者にも提供すること、利用者が何を借りたかなどの秘密を守ること、検閲に反対することなどで、これを「図書館の自由」といいます。

 外からも内からも、武装攻撃や自己規制という形などをとって、この図書館の自由が脅かされることに対して、一丸となって抵抗するわけです。ですから、図書館の自由ということは、表現の自由や報道の自由、知る自由を保証するものなわけです。これは現実に存在していて、著者はこれを知って、きっかけとしたようです。目の付け所が違います。


 すでに続編も出てますので、ぜひとも読みたいと思います。

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2007年02月26日

「エリザベスタウン」

elizabethtown.jpg
  エリザベスタウン


 現在公開中の「マリー・アントワネット」のキルスティン・ダンストとオーランド・ブルームが主演で、キャメロン・クロウ監督だということで、見てみました。勝手にロマンティックコメディかと思ってたら、そうではなかった。

 これ、一口に言って、大失敗による絶望から救われる話、でしょうか。
 大きなシューズメーカーのデザイナーであるドリュー(オーランド・ブルーム)がデザインした靴が返品の山となった“大失敗”によって、会社に巨額の大損害(10億ドルですよ)を与えたらしいという滑り出し。生きる意欲を失い、いよいよ自殺を図ろうかというところへ、父親が故郷で亡くなったという報せ。ずいぶん行ってなかったエリザベスタウンへ向かうことになる。そして、その途上の飛行機で客室乗務員、クレア(キルスティン・ダンスト)に出会う。

 エリザベスタウンは狭い町で、親戚や友人たちが迎え、町の人たちとの交流と、クレアとの再会などを通して、主人公が再び生きていく力を得る姿を描いています。


 全体的に、ヘンな映画だなあと思ったのは、これっていうポイントがつかみにくい展開で、つまらなくはないですが、どういう話なんだと思いながら見てました。私は、主人公の大失敗の真相が明らかになるのかとか思ってたんですが、別に何の裏もないんですね。デザイナーの失敗がすべてではないでしょうに、今いちよくわからないところです。
 それから、告別式での母のスピーチがバカバカしくて笑いました。

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2007年02月25日

『数学的にありえない 上・下』

数学的にありえない 上
アダム・ファウアー著 / 矢口 誠訳



 昨年たいへん話題になった本作は、そのタイトルからして興味をそそられましたが、予想外の展開を見せ、ついつい読み進んでしまう面白さはあるものの、ちょっと私の期待するものとは違っていました。

 ざっくりまとめると、科学の常識を覆すような、ある信じがたい能力の研究があり、その被験者に対して、研究者、工作員、国家機関などが繰り広げる争奪戦にして、その能力自体がその争奪戦の行方を決定付けもする、というサスペンス。主人公のケインは、自らの能力の開花によって、はじめは信じていなかった自分の力をしだいに確信する。

 冒頭、ケインが大金を賭けてカードの勝負をするシーンが、私が一番好きなところで、ケインは確率の計算が瞬時にできるという特技から、勝負の局面ごとに確率を割り出して、より有利な方法をとるんですが、とてもスリリングでした。私は、こういう路線がもっと続くのかと思ったらそうではなくて、思ったより数学的なペダントリーがなかったことと、主人公のもつ能力についての興味もこういうサスペンスの展開だとあまりそそられなかったというのが残念に感じたところです。

 
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2007年02月24日

『ジャンヌ・ダルク 超異端の聖女』




 復習+予習がてらに読んだんですが、思いのほか面白くて、勉強になりました。世界史は弱いほうですが、こうやって人物から攻めていくほうがヨーロッパの中世なんてわかりやすくなるのかなと。

 導入として、カトリックとはいえ、合理的な国のイメージもあるフランスで、神秘を内に抱える聖女を受け入れていることの意外さを謎として提示しています。

 キリスト教の歴史の中では、ジャンヌ・ダルク以外にも、カリスマ性を発揮した女性の系譜があって、紹介しています。正統と異端という地平を超えた超異端という存在としてのジャンヌ・ダルクを、この本ではテーマの中心に据えてもいるといえます。


 脇道的な話ですが興味深かったのをふたつばかり。
 ジャンヌ・ダルクの男装について。ジャンヌが牢獄で男装した理由が乱暴されないためだと言っているが、看守はジャンヌを女性だと知っているのだから、男装しても変装にはならない。つまり中世においては、この男装によって「変身」して、女でなくなっている了解される文化があるんだというんです。
 それと、ズボンは脚の付け根がわかるから男を誘惑するのでいけないというのも驚かされました。

 それと、ヨーロッパのキリスト教社会では火葬への偏見の理由が、ひとつには、肉体を火葬することには閉じ込められている魂をも燃やしてしまうことになり復活することができなくなる、ということで、もうひとつは、異端者を火刑する習慣と関係するから、というのには、私には想像もできないような理由でびっくりです。
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「ひばり」

 2度目です。ふだん、よほどいいと思っても同じ公演で2回行くことはまずないんですが、前回の自分の見方では、納得できなかったということで(前回の「ひばり」)。

 それで、前回をしのぐ感動を得ましたから行ってよかったです。この前は歴史的背景と宗教的な用語も交じる膨大なセリフのやり取りを追うのに懸命でしたが、今回はすでに流れがわかっているということと若干の復習をしておいた効果があったようで、スムーズに芝居そのものに没入できました。

 改めて得た印象としては、主要な役どころがくっきりとしていて、どういう役回りかがよく見えてくるということで、そのあたりの役者陣がみな素晴らしいと思います。今回でも私の感動に一番影響したのは松たか子でした。

 いくつかの場面が、荘厳な宗教画を見るようなイメージを与えていて、とりわけ品川徹の大司教の動きなんか、絵画から抜け出たように感じるほどでした。
 ほかに、恐怖を先に抱いておくことで、勇気を得るという逆説的なアドバイス、とか、悪を行ない、善を行なうような矛盾した存在である人間こそが奇跡だというところ、などはこの作品の重要なところだと感じます。

 この舞台が、フィクションであるということを意識させるところが何ヶ所かありまして、それが戯曲の指定なのか演出なのか私は知らないのですが、芝居に入る前に俳優らが舞台に登場して準備をしているところを見せて、しばらくして突然はじまるところとか、山崎一のかつらや、ラストシーンへのつなげ方などですが、やはり蜷川幸雄のアイディアなのかと思いながら見てました。
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2007年02月21日

「インサイド・マン」

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 インサイド・マン


 スパイク・リー監督の昨年の作品。

 銀行強盗が人質をとって立てこもる事件を描いています。事件が進行している最中に、人質らの取り調べシーンが挿入され、人質解放後も犯人らが捕まっていないことが窺われます。また、犯人らは人質に交じって外に出てきたようで、見分けがつかないらしいことも見えてきます。しかも、銀行にあった現金には手を付けずにあったため、捜査も早々に引き上げられようとしています。

 犯人らの真の目的は何なのか。それから、主犯格の男は、交渉時に警察とのやり取りがあったため、人質に交じっていたら気が付くはずだが、どうやら交じっていない。では、果たして?

 事件発生直後、銀行の会長がある秘密を守るべく弁護士に依頼をするが、そのことも謎を含みつつ事件と絡みます。


 人質との交渉にあたる刑事がデンゼル・ワシントン、主犯格の男にクライブ・オーウェン、弁護士にはジョディ・フォスター。


 謎をいくつか引きずって、ミステリー的な要素をもっているんですが、サスペンスとかミステリーなどからはみ出すようなところがあって、そこが私の好きなところです。ですから、人質篭城事件を扱ったサスペンスとして期待すると、もの足りないと感じる人もいるかもしれません。まあ、もう少し短くてもよかったのではないかとは思いますが。
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2007年02月20日

「ドリームガールズ」

 80年代にブロードウェイ・ミュージカルで有名だったようですが、その映画化。自分好みの映画ではなさそうでしたが、かなり好評ですので、見てみることにしました。


 女性ボーカルグループ、ドリーメッツ(ビヨンセ・ノウルズ、ジェニファー・ハドソン、アニカ・ノニ・ローズ)が(途中で名前がザ・ドリームスに変わります)、人気を得ていく姿、売り方への不満から起こる確執、業界的な暗い部分などもありながら、ミュージカルとしてのR&Bの熱唱の数々が、ストーリーと絡みながら続きます。

 ドリーメッツがマチュアコンテストに出場したりして、なんとか世に出ようとするものの、なかなかチャンスに恵まれないでいたところへ、実力を見抜いて近づいてくるカーティス・テイラー.Jrというマネージャー役がジェイミー・フォックス。彼の思惑通り、彼女らはスターになり名声を得ます。
 男性ボーカルでスターであるジェームス・アーリーにエディ・マーフィ。ドリーメッツは最初に彼のバックコーラスとなります。


 言うまでもなく、歌こそが最大の肝となるところで、エフィー役のジェニファー・ハドソンを筆頭として、圧倒されるところもあり、楽しくもある作品です。
 私には、このジェニファー・ハドソンという人を見て、意図したものかわかりませんが、コミカルというかちょっとおかしいと感じるところがありました。独特の存在感のある人です。

 終わった後のほかの観客の人たちが、賞賛の感想を連れの人たちとしていまして、やはり感動的だったようですし、歌唱力に対する感心は大きかったようです。
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2007年02月19日

ジャレド・ダイアモンド『文明崩壊 上・下』

文明崩壊 上
ジャレド・ダイアモンド著 / 楡井 浩一訳



 著者が『銃・病原菌・鉄』のジャレド・ダイアモンドですけども、私もあれにはかなり感心しまして、今回も多いに楽しみにしてはいたんですが、読み始めるのが遅くなってしまいました。

 まず引きつけられるのは、消え去った文明社会がなぜ崩壊し、あるいは、在り続けた社会がどうして崩壊しなかったのか、という素朴にしてスケールの大きい問いの設定です。これこそ、知的好奇心をかきたてるではないですか。

 そして、具体的に過去に崩壊してしまった文明を幅広い知の集積をもとに詳しく分析して解き明かします。また、同じような条件のもとにあるふたつの社会が、なぜ大きな違いを生んだかも比較して検討しています。江戸時代の日本にしても、ルワンダの大量虐殺にしても、そういうふうに考えたことがなかったので新鮮でした。

 人口の増加にともなって環境侵害が進行し、気候変動が起こったときに抵抗する力がなくなっているというのが基本パターンですが、著者は自身が言うように環境決定論ではなく、人間の行動によって切り抜けられることを過去の社会を例に挙げて提示しています。

 ポイントは、人間が100年とかの長いスパンでものを考えることができるのか、ということだと私は思います。やはり、どうしても視野が狭くなりがちで、近いところばかりを見ているという気がします。著者は、これには楽観的にはなれないものの絶望的ではないんだと見ています。それで、後半には環境問題への提言につなげているのです。


 今回は、『銃・病原菌・鉄』ほどのダイナミズムを感じないですが、それでも、こういう知性が存在して、このような本を書いているということを、ありがたいことだと思ってしまいます。
 
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2007年02月18日

「LOST シーズン1」

 「LOST」、やっと見終わりました。ていうか、終わってないです。だいたい、あの話でシーズン2があるという時点でおかしいとは思ってましたけど(ていうか、シーズン3もあるようですし)。でも、面白いことは面白い。終盤に向けての引っ張りの力にはかなりやられました。

 とはいえ、やはり、最低でもそれなりの決着を見てほしいところでした。私は、こういうの認めたくないですね、正直なところ。ただ、困ったことに、続きがすごく気になる…。あぁぁぁ、また24話(シーズン1は25話でした)見ないといけないのかよぉ。
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2007年02月15日

「ひばり」

pic_hibari.jpg


 昨日シアターコクーンで「ひばり」を見てきました。
 劇団四季が以前上演したものが有名みたいですが、私は知りませんでした。

 話としては、ジャンヌ・ダルクが捕らえられた後に宗教裁判にかけられる、その法廷でのやり取りとなっています。7時開演で途中の休憩を挟んで10時20分くらいの終演という長さですが、その3時間強の間、徹底的にことばの応酬が繰り広げられるのです。ただ、第1幕ではジャンヌ・ダルクが神の声を聞いた時から、王太子との謁見などの場面を演じさせられるということで、それまでの状況を見ることができるような構成。第2幕より、本格的に異端審問が行われるような具合です。

 私は、中世的な宗教観とか世界観について理解が足りないところがありますし、歴史的な背景についても、わかっていないところが多々ありました。しかし、何より圧倒的なセリフの量と出演者の熱演によって、ひとつの精神が立ち上がる、その凄さがあります。人間についての根源的な問いかけがあって、深いです。松たか子はさすがとして、異端審問官を演じた壤晴彦が、その絶対的な権威者としての威厳を見せて、一番印象的でした。

 ただですね、ことばの量が半端でなく、ときどき私の集中が途切れることがあって、受け止めきれていないところがあって、たいへん悔しい思いもしてまして、できればもう1回見るチャンスを作りたいとも思っているところです。


作:ジャン・アヌイ
演出:蜷川幸雄
主なキャスト:松たか子・橋本さとし・山崎一・品川徹・壤晴彦・益岡徹・磯部勉・小島聖・月影瞳・二瓶鮫一・塾一久・久富惟晴・稲葉良子・阪上和子
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2007年02月12日

「地獄八景・・浮世百景」

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 世田谷パブリックシアターで上演中の「地獄八景・・浮世百景」を見てきました。タイトルは、「じごくばっけい うきよひゃっけい」と読むんですが、これは上方落語が元になっているんですね。監修として、桂米朝の名が入っています。私は上方落語にはまるで不案内ですが、面白そうな空気を感じましたので足を運びました。

 出演者が、佐藤アツヒロ・高橋由美子・松尾貴史・升毅・山内圭哉・松永玲子・桂吉弥・桂吉坊・市川笑也・小松利昌・出口結美子。
 脚本は東野ひろあきで、演出がG2です。

 出演者の中には、私は知らない人たちでしたが、落語家や歌舞伎俳優が加わっています。

 やはり、人情噺も含めて落語的な世界を舞台化したというかんじですし、いろんな噺が組み合わさっているんだなとはわかりますが、やはり上方落語を知っていたら、また違っただろうなという気はしました。とはいえ、ほどほどに遊び心が入っていて、素直に楽しめました。


 
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2007年02月11日

鹿島田真希『ナンバーワン・コンストラクション』



 これはちょっと困りました。どう書いたものやら。
 正直なところ、読んでる最中、面白いという感想は浮かんでこなかったんですが、読み終わると気になるというか、あれこれ考えてしまうようなところがありまして、どうも測りかねるところがあるわけです。

 主要な登場人物は、S教授、N講師、M青年、少女、M青年の恋人の5人です。S教授は少女に恋をするが、彼女がN講師の婚約者であることがわかる。ただ、そのNと少女の関係が、ふつうじゃなくて、支配−従属の関係にあるかのようにNが言っている。僕が川に飛び込めと言ったら、あれは進んでそうするというふうに。SとMは一般的な師弟関係で、Mは純粋でちょっと影響されやすいところがある。Mと恋人はふつうの恋愛関係。


 難解とかいうことではなくて、登場人物の言動に理解できないところがありまして、たとえば、まだ少年だったNとのことについての少女の話。
 校庭に残されて鉄棒の練習をしていた少女に、Nは「君はなんの問題もなく健康な少女として育っていくのだろう」「この脚を折ってしまいたい。一生、鉄棒なんかできなくなるように」とか言っていたと。
 
「そして、とうとう鉄棒ができるようになった日が来たの。彼は私を激しく殴打したわ。私はみじめにも鼻血を出した。彼は私に激しい接吻をしたわ。わかるでしょう!母親がしてくれるものと違うってすぐにわかったわ。そして彼は『これは罰だ』って言ったの。私も彼の瞼に唇をあてた。ああ!あの時の私はなんて幼かったのでしょう!でももうすでに気づいていたわ。これが欲望というものなのだと」
 「わかるでしょう!」のところで、私は心の中で「わかるかよッ!」ってツッコミ入れてましたから。


 誤読を承知で書くと、Nは自分や人生を否定しようとしていたが、実は生への渇望があって、その裏返しに、超越的な存在であることを欲し、支配する立場を得てバランスをとっていた。しかし、Sと「悪魔の取引」をしたあとに、実は自分が支配していたわけではなかったことがわかる。そして逆に、赦しを与えられることによって、人生の肯定を得て解放されたのかな、というふうに読みました。それに関わったS教授も元々屈折ではなく人生を否定的に捉えていたが、肯定への転換を果たします。それぞれ人生に絶望しきれない人たちだったと。

 ただ、やっぱりその過程で、どうしてそういうことになるんだろうという不可解さは拭えなかったところは否定できません。


 
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2007年02月08日

「マリー・アントワネット」

 「ロスト・イン・トランスレーション」のソフィア・コッポラ監督の最新作で、マリー・アントワネットの半生を描いた作品です。


 第一印象としては、かわいい映画で、若い女性が好きそうだというかんじ。衣装や宮殿などの豪華さ、また、鮮やかな色彩が画面にあふれていて、見て楽しい映像です。

 歴史ドラマを期待する向きには拍子抜けするかもしれませんが、これはそういう映画ではなくて、ひとりの女の子であるマリー・アントワネットの宮廷生活ぶりを描いたものです。そして、それが楽しいものではなくて、窮屈だったり、あまり温かい歓迎でもなかったり、それ以上に、後のルイ16世である王子が、若いからか女嫌いからか性的に問題があるのか、なかなか自分に興味をもたずセックスレスが続き、実家の母親らがせっついてくるのに、夫がその気にならず、先に弟夫婦に子どもができる屈辱にも会い、つらい日々があったりします。

 というように、民衆の姿はほとんど終盤になるまで出てこなくて、政治の話もアメリカの独立戦争に支援をするかどうかというのがちょっと扱われるくらい。あくまで、マリー・アントワネットの目に映る生活に焦点を当て、心情に共感できるような作品になっています。

 
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2007年02月07日

「拝啓、父上様」がやっぱりオススメ

 今見てる連ドラは「華麗なる一族」「ハケンの品格」「拝啓、父上様」で、前のふたつは視聴率的には好評のようですが、私としてはやはり「拝啓、父上様」を推しておきたい。

 前回の第4回。
 一平(二宮和也)へのセリフとしてエリ(福田沙紀)に
 「養子になってもああいうふうにだけはなっちゃいやよ」
 「私はあくまでお兄ちゃんを立てるから」
などと言わせておきながら、ラストでああなるんですから、かなり笑いました。明日の第5回が楽しみになっちゃいます。予告を見ると、女将さんのことは隠しとおしちゃうみたいで、一平大丈夫か?といったところ。

 前回は、料亭「坂下」の売却話でとうとう母娘(八千草薫、岸本加世子)が衝突。女将の母・夢子に黙って、実質的に取り仕切っている娘・律子が勝手に話を進めていたからで、夢子が家を出ていってしまう。戻らないのを心配して、坂下の人らが捜し始めるが、実は雪乃(高島礼子)のところに匿われていた。雪乃は一平の母親で元芸者。一平は夢子に、自分の部屋からお金なんかを取って来てほしいと頼まれる。泥棒同然に忍び込んでこっそりお金を手にしたところで、エリに見つかってしまう。エリの口を塞いで、誤解を解く前に竜次(梅宮辰夫)が登場で絶体絶命。

 話としては、どういうわけか、これから見ても分かると思います。抑えておくところとしては、一平の父親が誰なのか母親が秘密にしているため分からず、ただ、ここんところで津山冬彦(奥田瑛ニ)という作家が有力候補として急浮上したということと、1回目で出会ったフランス語を話す謎の少女(黒木メイサ)に一平が一目惚れするものの、どうやら5回目でやっと再会を果たす模様だということくらい。
posted by 行き先不詳 at 21:19| Comment(0) | TrackBack(0) | TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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