2007年05月31日

『文学全集を立ちあげる』

文学全集を立ちあげる
丸谷 才一著 / 鹿島 茂著 / 三浦 雅士著


 丸谷才一、三浦雅士、鹿島茂の3人で、今、文学全集を作るとしたら、どういう作品が収録されるべきか侃侃諤諤してます。過去の偉大な文学作品群が認識されなくなってきているのではないかという危機感と、時代によって評価が変わってくるんだから、今読んでも面白いものを選ぼうじゃないかということ、文学について新たな見方も提示したいという思いが表明されています。

 こういう企画はワクワクさせるところもありますし、それぞれが好き勝手に言いたい放題なのは、面白いところです。ただ、知らない作品が目白押しで、本当にこんなに読んでるのかという驚きと同時に、教養というよりマニアックという印象で、興味がわかないところが多々ありました。何度も「こりゃ、ついていけない」と思っちゃいました。とくに日本の古典文学のところなんか。これは当然個人差があるわけですから、もっと古典に親しんでる人はまた違ってくるんでしょうけど。


 かなりの著名な作家、作品でも一言でバッサリという扱いに驚きますが、それはそれとして、文学全集に載せる価値をもった作品という観点で判断すると、そういう文学史の流れで見たときにどういう位置付けになるか、結局は多くは語るに足らないということなんだということがわかります。
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2007年05月29日

「ナイロビの蜂」

nairobi.jpg  

 社会派っぽい題材でありながら、亡くした妻との失われてしまった愛情を描いた作品といったところです。監督が「シティ・オブ・ゴッド」のフェルナンド・メイレレス、原作はジョン・ル・カレ。主演が、レイフ・ファインズとレイチェル・ワイズ。

 外交官の妻が殺され遺体で発見される。状況からすると、浮気をしていてその相手の男が犯人かとも疑われます。ところが、その外交官は、裏があることを感じ取り、いろいろと調べていくと、妻が製薬会社の新薬の実験について調査をしていたことがわかってくる。そういったケニアでのシーンに、ふたりの出会いのころからの回想が挿し込まれたりしながら、だんだんと真相が明らかになっていく。

 サスペンスタッチよりかは、あくまで夫の妻への思いと哀しみで満たされていて、そこが意外なところですが、こちらの胸に残るものが少なくありません。
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2007年05月28日

平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』




 言うまでもなく、昨年の「このミステリーがすごい!」で1位になった本作ですが、確かにその前から当然のごとく話題になっていましたから、気にはなってました。1位の結果については、読む前なのになぜか「1位じゃないだろッ」って思ったりもしたんですが、読み終わってみて「いや、これは1位だな」などとはやはり思わず…。

 ちなみに、週刊文春のランキングでは7位。ベスト10が特集の「本の雑誌」1月号の索引にはタイトルを見出すことができず。本屋大賞で誰か推してるかなと見てみると、1次投票で27位、3人の書店員がイチオシとしています。


 それはともかく、これが映像ならR指定は間違いないでしょうけど、意外と不快感はあまりなかったです。グロテスクな描写がよく出てくるのは確かですが、文体によるものか、生々しく痛いとか、気持ち悪くなるということがあまりなかったです。個人差があるでしょうが。


 この短編集の色が一番よく出てるように感じられるのが「Ωの聖餐」です。あるマンションの一室で、400kg以上あるオメガと呼ばれる巨体の持ち主が、運び込まれた死体を食べ続けています。ヤクザがらみで殺された人たちなんですが、その死体を解体してから食べさせるなどオメガの世話をすることになった男の視点で語られます。
 死体は週に一回の割合で運び込まれてきた。
 俺はその都度、奴らを解体し、生で使用する部分とシチューやカレーにする部分とに分けていった。生食するのは肉に残っているミネラルなどを補給するためだという。内臓は特に指示がない限りはディスポーザーに捨てた。
 オメガの食欲は凄まじく、人間ひとりをほぼ三日で食い尽くした。
 脳を食べると、その人間の知性を吸収するらしく博覧強記なかんじ。男は友人が解きつつある数学の証明を、自分も昔研究していたこともあって、心底知りたくなってしまう。そのときオメガには体に異変が起きていて、男にその友人を食べることの交換条件を提示するのですが…。


 自然とその世界に引き込まれてしまう文章で、面白いことは面白いんですが、もっと何かすごさがあるのかと思ってました。感動とまではいかず。次回作はチェックするかもしれませんが、過去の作品に手を伸ばす気が起こるまでにはならかった。今のところ、そんなかんじです。
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2007年05月27日

「ダメジン」

damejin.jpg
  ダメジン


 テレビドラマ「時効警察」でおなじみ三木聡の監督実質デビュー作となる映画がこれとのことで、「亀は意外と速く泳ぐ」や「イン・ザ・プール」は「ダメジン」のあとに撮影されたのに、先に公開されたもののようです。2002年に撮影され、公開は2006年と、4年も寝かせたわけです。ふつうはこのままお蔵入りになることも多いんでしょう。ただ、この4年というのは、キャストのキャリアからいっても小さくない人もいて、ちょっとしたマジックになってます。

 ダメジンというだけあって、ダメな人が目白押し。主役の3人は、一応家らしきところに住んではいますが働いておらず、毎日が夏休みのありさま。ほとんど浮浪者といった姿。どうやって暮らしているかよくわかりませんが、自由な生活ではあります。その3人を佐藤隆太と温水洋一、緋田康人が演じてます。予告編では、この3人が猫を網焼きしていて、その猫部分に黒いマスクがかかってる絵のインパクトとおかしさが記憶にありました。

 ストーリーがどうこうよりも、登場人物らのダメっぷりと、その超個性的なキャラクターが楽しいです。本当に面白い。この世界に浸っていたいくらいの雰囲気です。

 岩松了とふせえりのコンビはここから生まれて、岩松了はこれが三木聡作品初登場でこのあと欠かせない存在になったみたいです。ほかにも、市川実日子、笹野高文、篠井英介、山崎一、村松利史、片桐はいり、麿赤兒、嶋田久作、などなど。この顔触れを見ただけで面白そうですからね。それに、なぜか伊東美咲や吉岡秀隆が出ているのと、あと岡田真澄、菅原洋一の出演にはちょっとびっくりしました。

 監督のコメンタリーを聞きながら見てると、監督の意図が思いの外、自分が分かっていないことが確認できつつ、一層面白くなったのでした。





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シベリア少女鉄道「永遠かもしれない」

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 今週、水、金、日と飛び石で舞台を見てきて今日が最後、シベリア少女鉄道がトリになりました。といっても、ちゃんと見たのはこれがはじめて。昨年末にお台場で短めのを見たのが、きっかけというところです(「のだぬカンタービレ」)。

 のりツッコミで長くのって、そののりの長さが笑いを誘うパターンというのがあります。この作品を一言でまとめると、それを劇中劇として展開するというものです。ふたりの漫才師のネタが、途中から脱線して、ジャンルもさまざまないろんな物語、あるいはその類型からの引用なりパロディによって組み合わされて芝居がドタバタに進行していきます。その脱線、迂回ぶりがエスカレートして、話の飛び方が自由自在です。ボケのほうは、ネタのほうに早く戻りたいと思っているのに、巻き込まれてしまう役になってます。

 一応、設定としては漫才のツッコミのほうが、昔の事故で姉、恋人、元の相方の3人を亡くしていました。その死者らが姿を現し、ツッコミの男と会話もしたりしていますが、この漫才から脱線するときにその死者らが演者として登場します。まあ、この設定も途中から、ほとんどどうでもよくなりますが。


 面白かったです。笑うところも多かった。ただ、テンションを高くして突っ走っていくかんじで、勢いが必要なのはわかりますが、出演者らの演技を見てると、完成されていない印象を受けました。
 それはともかく、次回の公演もぜひ見てみたいと思います。


作・演出 土屋亮一
出演 前畑陽平 篠塚茜 加藤雅人(ラブリーヨーヨー) 吉原朱美(ベターポーヅ) 浜口綾子 石松太一 森口美香(劇団 ORIGINAL COLOR)

池袋のシアターグリーンBIG TREE THEATERにて。

 
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2007年05月26日

「魔法の万年筆」

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 昨日、パルコ劇場で公演中の「魔法の万年筆」を見てきました。作・演出は「ラッパ屋」の鈴木聡。1920年代のニューヨークを舞台に、1本の万年筆によって大きく人生を変えることになった人たちを描いた悲喜劇。翻訳もののコメディを見てる雰囲気で、肩の凝らない話ではあります。

 口ばっかりでちっとも書くことができない駆け出しの小説家パーカー(稲垣吾郎)が、ある万年筆に出会って、突然言葉があふれ出てくるようになり、書いた作品がセールスにおいても評価においても成功します。万年筆を買うときに店員の女性デルタ(西牟田恵)との出会いがあり、結婚間近というところまでいきますが、大作家のモンブラン(山崎一)の娘セーラー(久世星佳)との見合い話がもちあがり、将来のことを考えて、見合いをすることに。モンブランにはパイロット(河原雅彦)という息子がいますが、才能がなさそうな様子。セーラーと結婚したパーカーは、莫大な資産をもつモンブランの遺言により、財産を譲り受けます。地位も名声も得たパーカーは、すっかり高慢になっていましたが、ずっと使ってきた万年筆を失くしてしまう…。

 ここまでが、だいたい第1幕の4分の3くらい。1幕目では、時間の経過を速くして、シーンがかわると数ヶ月(?)話が進んでたりして、スピーディに展開していきます。デルタを裏切るところもありますが、全体的に軽快なコメディっていうところ。
 それが2幕目になると、時間が飛ぶことはなくて、内容においてもシリアスな話が混じってきます。あくまで混じるのであって、軽さと深刻さが両方あります。そして、そのままラストシーンにつながっていきます。

 ほかのキャストでは、ずっと出てくる編集者のウォーターマンを阿南健治、編集者ペリカーノを三鴨絵里子、伝説の万年筆職人エルバンを小林隆。

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2007年05月24日

ナイロン100℃「犬は鎖につなぐべからず   〜岸田國士一幕劇コレクション」

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 岸田國士の戯曲7本を織り交ぜて見せる、ナイロン100℃の公演です。青山円形劇場に昨日見てまいりました。

 岸田國士といっても、岸田戯曲賞の名前に残ってるだとか、娘が岸田今日子なんだとかは知っていても、舞台を見たことはほとんどなかったと思います。


 それぞれ、とくに大きな起伏のある物語ではなく、どこにでもあるような、たとえば隣りの家で起こっていてもちっともおかしくないような、日々のできごとです。些細といえば些細な、何ということのないやり取りが交わされます。ところが、これが全然退屈ではないんです。豊かなニュアンスにあふれた言葉と、含み笑いを誘うような会話があって、それらのやり取りの中に普遍的なものが見出されるからです。

 今回の公演では、ただ順番に演じていくのではなくて、コラージュというかシャッフルというか、切り貼りするようにして、進行していき、さらにそれぞれを微妙にリンクさせたりする仕掛けを施して、ある町の光景という形を作っています。それも含めて、ケラリーノ・サンドロヴィッチ潤色・構成・演出となっているわけですが、どの程度の「潤色」がなされているのかなあと、疑問に感じながら見てました。

 場面転換が結構あるわけですが、そのときに役者らのコンテポラリーダンスっぽい振り付けを使って印象的です。

 舞台と客席の距離の近さが、いつも以上に感じられ、本当に間近で見る醍醐味が得られました。それに、ああ、この表情は向こうの人には見えてないんだな、というところもあって、当然その逆もあるんですが、俳優の存在をいつも以上に感じさせられました。

 私が、一番強烈な印象を残したのは「隣の花」の緒川たまきで、これはもう今回の公演がもつイメージを最大に体現しているんじゃないかと、それくらいに思っちゃいました。「驟雨」の松野有里巳もとてもハマってました。


 7つの戯曲というのは、「犬は鎖に繋ぐべからず」「驟雨」「隣の花」「屋上庭園」「ここに弟あり」「ぶらんこ」「紙風船」ですが、私がこの中で気に入ったのは、「驟雨」「隣の花」「ここに弟あり」でした。

 「驟雨」は新婚旅行から帰ってきたばかりの妹の愚痴を聞く夫婦の話で、その愚痴の内容もそれほどひどいというほどではなく、そのせいもあって夫と妻とで微妙に態度が違うというかんじ。

 「隣の花」は、隣同士に住む夫婦が、垣根を境にしてよく顔を合わせていますが、それぞれ互いの相手のことに多少の不満があることを垣間見せつつ、それぞれの夫が隣の妻と距離を近くしていく予兆を感じさせる話。

 「ここに弟あり」は少し歳の離れた兄に頭が上がらない弟は、女と同棲生活をしていますが、兄が突然上京して家に訪ねてきます。兄は、相手の親にも反対されているような状態はよくないし、それなりにちゃんと筋を通すように、弟の同棲相手と話し合い、またそれなりの配慮も示します。


 「隣の花」なんてとくにそうですが、こりゃたいへんなことになるぞ、というところで終わってしまって、あれ終わっちゃったよ、というあっさり具合です。でも、本当に面白いんですよ。言葉づかいも、上品で古めかしいところも、新鮮でした。上演時間は3時間(途中10分の休憩含む)ということですが、意外なほど長く感じませんでした。


 見はじめてから気付きましたが、成瀬巳喜男の「驟雨」も岸田國士の戯曲を組み合わせてできてて、内容でも重複しているものがありました。あれもすごく面白くて、個人的には「浮雲」よりも好みでした。


 出演
 緒川たまき・萩原聖人・大河内浩・植本潤・松野有里巳・松永玲子・みのすけ・村岡希美・長田奈麻・新谷真弓・安澤千草・廣川三憲・藤田秀世・植木夏十・大山鎬則・吉増裕士・杉山薫・眼鏡太郎・廻飛雄・柚木幹斗
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2007年05月22日

「ソウルトレイン」

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  SOUL TRAIN


 「THE 3名様」の石原まこちん原作の映画化ということなんですが、マンガではなくて小説なんですね。この作品が気になったのは、石原まこちんということもありますが、脚本・監督に三浦大輔という名前を見たからです。まだ、この人が主宰のポツドールの舞台を見たことがなく、しかしあちこちで取り上げられていて、やはり気になるところです。結論を先に書くと、別にこれでポツドール見に行こうとか思うとかではなかったんですけど。


 深夜のレンタルビデオショップが舞台で、そこで働くダメなかんじの若い男が主人公。あまり客が来ないので、レジに立たず裏でうだうだとダラダラした時間を、これまたダメなかんじの野木という男と過ごしていて、須藤はそれを心地よく思っています。そのへんがまたダメな空気が漂ってます。

 同じバイトの中に、かっこいい男・川村がいて、野木に反感をもたれてます。ある日、川村の彼女がバイト先にやって来ます。その人のことが須藤は気になりはじめ、ここから、須藤の妄想がだんだんと侵食してきて…、という物語。

 須藤を勝地涼、野木が掟ポルシェ、川村に黄川田将也、その彼女(白い女と須藤は頭の中で呼んでます)を高橋真唯。この高橋真唯って「シムソンズ」のあの4人の中にいたみたいですが、全く記憶が甦りませんでした。でも、少なくとも今回「ソウルトレイン」で完全にインプットされました。印象はそれくらい強烈なものがありますから。


 爆発的に面白いというよりは、クセになるかんじですかね。前半、これ面白いのかなと疑問に思いながら見てたら、知らないうちに結構楽しんでました。
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2007年05月21日

角田光代『ドラママチ』

ドラママチ
角田 光代著



 8つの短編すべて30代の女性が主人公です。それぞれ、幸せではないですが、かといって、すごく不幸なわけでもなく、気が付いたらこうなってたみたいな現状に苛立っていたり、あきらめがあったりします。主人公の考えることがいかにもありそうなかんじで、それって、観察力によるものか、想像力のすごさなのか、妙にリアルでコワいです。なんか憑依してるんじゃないか、くらいの説得力です。

 たとえば、はじめの「コドモマチ」は、夫の浮気相手を監視している妻の話ですが、
 夫はものを食べるときに口を閉じず、くちゃくちゃと音をさせて咀嚼する。交際中、私はこの男と結婚したら彼の食べかたをいつか憎むだろうと漠然と思っていた。私の母は、父のお茶の飲みかたが気に入らないとことあるごとに言っていたが、そんなふうに、あるとき突然この咀嚼音を聞いただけで鳥肌がたつんじゃないかと思ったのだった。それが結婚だと私は思っていた。

 でも、彼女は「まだ私の夫の食べかたを憎んでいない」と確認しています。


 「ツウカマチ」では、駅のロータリーの大木に毎年、クリスマスに向けてイルミネーションが飾り付けられ、主人公は以前はそれを見ると何かいいことがありそうな気がしていました。しかし、
 今はそんなふうに思わない。ああ、一年がまた終わるのだと思うだけだ。こちらの体調如何によっては、イルミネーションは落ちこむ原因になりすらする。寝不足だったり、疲れていたりすると、その無数の光に責められている気になる。彼氏いない歴をまた更新したなと、意地悪く言われている気になる。


 こういう描写の宝庫です。ちょっと変わった状況設定の話でも、それがリアルな細部によって築かれているように感じます。そういうところに私は引きつけられます。
 それから、すべての短編が「〜マチ」というタイトルで、何かを待ってると言えばそうですが、ことさら受身だとかは感じませんでした。
 
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2007年05月20日

今期のドラマ(「わたしたちの教科書」篇)

 もう半分まで来てしまいましたが、途中、このドラマがどういうドラマかという予想は次々に軌道修正されました。

 このドラマを見てない人は、中途半端なところからではなくて、最初っから見てほしいです。DVDになるのを待つとかして。だから、本当は予備知識もないほうがいいと私としては思うほどです。

 ひとりの生徒が高校の教室から転落死。それが事故なのか、自殺によるものだったのか、ということがはじまりでした。その生徒が志田未来というのが意表をつかれます。しかし、その問題が中心にありつつも、ストーリーはその周辺を巡ってます。生徒らの問題にはあまり焦点が合っておらず、問題のある教師たち、学校の組織のあり方、そして、その亡くなった女子生徒と個人的な関係をもっていた弁護士の過去と今の生き方が描かれています。

 風吹ジュン演じる副校長の存在感とその得体の知れなさが不気味でいいです。そのほか、個性的な教師たちといい、弁護士の過去などが全然サイドストーリーではない重量感だったりで、見所いっぱいです。

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伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』




 伊坂幸太郎の作品に登場するキャラや出来事があっちこっちで微妙にリンクしてたりするということが、今回のこの短編集では前面に押し出される恰好で取り上げられたりしてました。私は、一応単行本はすべて読んではいるものの、過去の登場人物のことなんて、はっきり言ってあまり記憶に残っておりません。それが逆に読むことをためらわせることに(『ラッシュライフ』の黒澤みたいな印象的なキャラは別ですが)。で、読んでみれば、それが全くの杞憂だということがわかります。そんなことは、全然気にすることはないよと。

 この中には4つの短編が収められていて、ひとつだけ2001年とかなり初期のものが入っていて、それ以外は、2004年以降の作品です。私が最大に気に入ったのは「フィッシュストーリー」という表題作となっているやつで、複数の時間を隔てたシーンをつないでいくことで新たに見えてくる世界がとてもやさしくて温かな気持ちになるストーリーです。伊坂幸太郎はいいなあ、と改めて実感させます。
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大人計画「ドブの輝き」

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 前売が買えなかったので、当日券を取ったんですけど、久し振りの座布団はかなり苦しかった。私には立見よりも厳しくて、2時間半の公演でしたが、後半かなり集中力が落ちてしまいました。だもんで、もう1回見てもいいかなと最初は思ったりもしましたが、きっと次も座布団なら似たような結果に終わるのではと。

 3部構成で、最初が宮藤官九郎作・演出の「涙事件」、次に映像作品で、井口昇脚本・監督「えっくす」、最後に松尾スズキ作・演出「アイドルを探せ」となってます。このうち松尾スズキの代役が立ったのは、「涙事件」で池田成志が出演しています。パンフレットには、インタビューに答えて「とりあえず体を壊さないように」という松尾スズキの言葉が…。


 私は、やはり単純に笑いが好きみたいで、とにかく最初の「涙事件」からバカバカしくて笑えるネタの数々に喜んでました。これなんかは、法廷劇という体裁の中で遊びまくってまして最高です。映像作品もかなりの濃度です。あぁ、もう1回見たい。

 観客の中には、軽い悲鳴というかどよめきというか、きっと引いてるんだと思えるようなリアクションをしている人がいるようで、私にはそれが驚きでした。あぁ、こういうのを反射的にダメだと思う人も見に来るんだ、的な。まあ、実際にどう感じて見てるかは知りませんし、それも含めて楽しんでるのかもしれないわけですが。


 6月3日まで本多劇場で。
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2007年05月19日

「ザ・センチネル」

 良くも悪くも「24」を連想させる作品です。

 シークレットサービスの警護と情報分析をするふたりが柱になっています。そのふたりをマイケル・ダグラスとキーファー・サザーランドが演じていて、大統領暗殺計画の情報とか、シークレットサービスの中に内通者がいるらしいとか、マイケル・ダグラスは別として「24」的な匂いが立ち込めてます。

 このふたりは昔は仲はよかったものの、ある個人的な問題から確執が生じ、今に至っている。それは、いかにもマイケル・ダグラスらしい問題で、さらに、大統領夫人(キム・ベイシンガー)と「禁断」の不倫関係にあるという設定。そして、内通者と疑われ、否定をしながらも逃亡を図ります。ということで、ふたりは相手の動きを読みながら、追う側と逃げる側にわかれることに。


 そういうわけで、「24」をあまりにダブらせて見てしまうので、それに比べると、あっさり感が先に立ってしまうのでした。決してつまらないわけではないのですが。
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『裁判官の爆笑お言葉集』



 このタイトルはうまいのか、それともひどいのか。というのも、爆笑なんてしないどころか、笑えるものはごくわずかだからです。あくまで、裁判官の気になる発言集なのです。裁判官が形式的なところを踏み越えて、「人間的」なところを垣間見せる、そんな発言の数々です。

 見開き2ページで、ひとつの言葉を取り上げていて、右ページにその発言が、左ページに事件の概要やその発言の背景について書かれています。有名な裁判も結構取り上げられています。

 いくつか、印象に残る発言を引用してみます。
 今、この場で子どもを抱きなさい。我が子の顔を見て、二度と覚醒剤を使わないと誓えますか。

 あなたは獣の道に踏み込んだ。人間である以上、早く人の道に戻って出なおしなさい。

 変態を通り越して、ど変態だ。普通の父親では絶対に考えられない、人間失格の行為。娘の将来の傷をどうするのか。

 私があなたに判決するのは3回目です。

 最後の機会を与えます。返済をするというあなたの言葉をだまされたとして信用するから。


 これらが、どんな事件か気になった方は手にとってみてください。
 読んでいると、裁判官もひとりの人間であるということが見えてきて、いろいろと葛藤や苦しみを抱きつつ、被告人と向き合っていることがわかります。
 ただ、ふつうじゃん、と私には思える言葉もあったりで、バカ売れするほどの期待に応える内容かといえば、それほどではないというのが率直な感想ですけど。
posted by 行き先不詳 at 23:30| Comment(0) | TrackBack(2) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする