2007年06月30日

「Something Sweet」

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 一応、最後に見えてくるところからいくと、女同士の友情がテーマになっているようです。

 5年前に轢き逃げされて車椅子生活となった香織(星野真里)は、その体験などを本に書いていた。元々書いていた小説のほうは売れないが、そちらのほうでは売れた様子。事故以来、彼女と同居している明美(辺見えみり)はケーキショップを経営、ケーキ職人の圭介(山崎樹範)と婚約している。香織は、ズケズケとものを言うし、なげやりなところもあるし、わがままで性格の悪い人になっている。そんな彼女の読者で、メールのやりとりをしていた男(金子昇)と、とうとう会うことに。しかも、香織の不安に反して、とてもいい人だった。しかし、みんなそれぞれ、内に秘めた思いや、隠し事があって、それがしだいに暴露されることによって、今までのようにはいかなくなるのです。(あと、井端珠里が出演しています)


 この秘密が明らかになっていくことで、心の暗い部分だとか、激しい感情のぶつかり合いがあって、かなり苦味のある話になってます。ですが、山崎樹範の役の存在が大きいんですけど、ほのぼのとした笑いがあったりして、全体的にそれほど重くはない雰囲気です。ふつうに面白くて、退屈するところはなかったです。ただ、私としては、内容的にも演技的にも、こちらへ訴えかけるものが正直もう一越えほしかったところです。


 作・中谷まゆみ 演出・板垣恭一
 パルコ劇場では7月3日まで
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2007年06月28日

『もやしもん 5』おまけ付きを買っちゃった

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 4巻のときにも、おまけが付いてたようですが、人から後で聞かされて、ちょっと残念に思ったものの、私、コレクターではないので、まあ別にしょうがないかな、というかんじでした。で、今回、5巻におまけ付きがまだ買えるということを知ったら、つい買ってしまったのでした。オリゼーのフィギュア+ストラップがおまけの中身です。次は、もっと大きなフィギュアが出るといいなあと思ったりして。

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『人体 失敗の進化史』

人体失敗の進化史
遠藤 秀紀著



 たとえば、骨がはじめから骨としてではなく、耳がはじめから耳としてではなく、今とは違った用途で使われていたものが、行き当たりばったりに使い回されて「設計変更」されたという進化の流れを、この本では見ていきます。ですから、白紙から設計されるなら、こんな体にはしなかった、ところもでてくるのであって、そこが面白いところです。

 一番印象的だったのは、女性にはなぜ月経があるのか?という話で、生存においては全く有利には働かないのにどうしてだろうかということです。結論からいうと、ヒトの体の設計からすると、妊娠・出産・授乳の期間を約3年として、それを繰り返すという人生を歩むと、5、6人の子どもを育てることができる。ところが、人間はこの設計思想から逸脱する社会生活を営んでいる。つまり、出産の少なさと、授乳期間の短さが、月経の存在をより大きなものとしてしまうということでした。


 人間の体はよくできてるよなあ、という言葉を時々耳にしますが、賛同するとはいえ、私はこの考え方があまり好みではありません。この本にも出てくるように、自然淘汰されずに生き残っているからには、当然うまく問題を回避する仕組みをもっているわけですが、それと同時に、よくこれで生き残ってきたなあ、という部分もあって、そこにリアルさを感じます。
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2007年06月25日

「レイヤー・ケーキ」

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  レイヤー・ケーキ


 新ジェームズ・ボンドにもなったダニエル・クレイグが主演のサスペンス。監督のマシュー・ヴォーンという人は「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」や「スナッチ」の製作をしてた人みたいで、確かに似たものを感じます。というか、いかにもイギリス映画だなぁとは見てて思ったりもしました。スマートとかスタイリッシュとか、そんな言葉が浮かびます。

 麻薬で一儲けした主人公が、そろそろ引退を考えているんですが、そんななか引き受けた仕事が思わぬ事態になって、どうやら簡単にそうは運ばない、という話。この主人公は、麻薬ディーラーといいながら、ビジネスマン然としてて、分をわきまえて儲けすぎようとせずに着実に地位を固めてきた人物。このキャラクター設定は、作品世界と合っていてとてもいいですね。ただ、登場人物が多くて、若干こんがらがったところありです。「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」でもそうで、2回目は1回目よりもっと面白かったのを思い出します。これも、また見直したら、もっと楽しめそうな気がしてます。ただ、1回目の印象では、ガイ・リッチーの上記2作品のほうが正直勝ってます。

 
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2007年06月24日

『YouTubeはなぜ成功したのか』




 先ごろ、ようやく日本語版も登場したユーチューブですが、この本はその正体に迫った本ということになってます。

 ユーチューブを立ち上げた3人、チャド・ハーリー、スティーブ・チェン、ジョード・カリム(この本では、ジョー・カリムと書いてあります)が「自作のビデオをネットで簡単に交換し合えるようになったらいいね」というところからはじまったということだそうですが、ビジネスとしてではなく、面白いものを創ろうというところから出発したからこそ、利用者本位のものができたんだとのこと。競合相手である同様の動画サイトなどとは、そこが違うんだと。それが、シリコン・バレーのベンチャーキャピタルとして有名なセコイヤキャピタルの出資につながったということで、それが成功の大きな原因になったとはいえるようです。


 基本的には、新しい時代がはじまるんだという歴史的な流れという視点で、ウェブ2.0を語っていて、その中の代表選手としてユーチューブを見ているというかんじの内容です。

 ユーチューブの競争相手をテレビと捉え、テレビ離れやテレビCMの非効率なことなどから、ユーチューブの存在が一層大きくなるはずだということを述べてます。

 私は、著作権のからみのことがどう評価されているのかが一番興味があったんですけど、既存制度との確執という捉え方で、あくまで過渡期と見ているようです。今後のビジネスモデルの変化で、解決されるということでしょうか。だから、そこは説明不足になっていると思いました。私も、見逃したテレビ番組を見ることはあって、助かったりもしてるですけども、ドラマや映画などのコンテンツが動画サイトで無料に流れることがいいことだとは私は思えないので、こここそが最大のポイントだと引っかかりを覚えるのです。

 個人的には、ユーチューブの実像を知りたいというほどには内容が濃くないという印象です。
 
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2007年06月21日

『世界でもっとも美しい10の科学実験』

世界でもっとも美しい10の科学実験
ロバート・P.クリース著 / 青木 薫訳



 雑誌の読者投票をもとに、美しい科学実験を選び出して歴史的な背景などを交えながら解説した本です。また、科学にとって美しさとは何かということも考察の対象になっています。

 それぞれの実験は順位がつけられているのではなくて、時系列で並んでいて、また、科学史上重要なということではなくて、「美しい」実験というのがポイントです。ここで「美しい」とは、基本的、効率的、決定的という3要素が挙げられています。

 具体的には、エラトステネスの地球の外周の測定とか、ガリレオのピサの斜塔での自由落下の実験、ニュートンのプリズムを使った分光実験、キャヴェンディッシュの地球の密度の測定、フーコーの振り子、ヤングの二重スリットの実験などなどです。


 科学に美しさが必要かという議論には正直あまり興味がもてなかったのですが(ふつうに納得できるからです)、有名な科学の実験をこうやって通覧することのアイディアは面白いと思います。
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2007年06月20日

「ヨコハマメリー」

 横浜市の伊勢崎町に、おしろいで顔を真っ白にしている老婆の娼婦がいて、メリーさんと呼ばれたりしていました。そのメリーさんについて横浜の街で関わった人を中心に取材したドキュメンタリーなんですが、戦後の裏横浜史みたいになっていなくもないです。

 しかし、この作品では永登元次郎という年配でゲイのシャンソン歌手をクローズアップしていて、かなり重要な位置にあります。末期ガンに冒されているんですが、治療を続けながら活動をしている姿を追ってます(その後亡くなりました)。彼はメリーさんに対して近しい人物でもあって、金銭的な援助もしていました。メリーさんは住所を持っていないので、生活保護を受けることもできません。また、異様な恰好ですし、プライドも高いと誰もが証言するような人で、あまり街の人たちと深い交流を持つことはなかったようです。孤高の人といった趣き。メリーさんが行ってた美容室では、メリーさんが来るんならもう来ないという客がいることから、仕方なくメリーさんに利用を断ったというエピソードが紹介されています。この作品全体を通して、この永登元次郎という人とメリーさんそれぞれの生きざまが見えてきます。

 そのメリーさんもかなりの歳になって、1995年に故郷に帰るんですけども、その後どうなったのかがラストになって明らかになるのですが、私はこれには、ちょっと驚きましたし、一言では表現できない思いを抱きました。ん〜、これを感動と呼ぶのかもしれません。地味めな作品ですが、オススメです。
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『私たちはどうつながっているのか』



 人間関係のネットワークがどう成り立っているか、どう活用できるかを解説したもの。研究の紹介といった体裁なので、実用書的に使うよりは、社会学的な興味に応える内容かなという気がします。

 3つのキーワードが重要になってます。スモールワールド、クラスター、スケールフリーです。

 スモールワールドは、「6次の隔たり」という言葉もいっしょに出てきますが、世界中のどの任意のふたりをもってきても、数人の知り合い同士でつながっている(6人程度だということで「6次の隔たり」という言葉が使われるようですが、もちろん常に6人なわけではないです)という理論です。何十人もいらないということが、個人的な実感としてはまだ意外感が大きいです。

 このことから言えるのは、偏らない人脈をもつことが効率的だという結論になって、このあたりはビジネス書に出てきそうな話です。

 クラスターというのは、それぞれが仲間同士という3、4人のつながりのことで、人脈という話だとあまり重視されない人間関係だと思いますが、このクラスターのつながりは心の安定になるので、重要だよということです。囚人のジレンマにおいて、このクラスターから説明しようというのは、興味深いところですが、電車の行列がなぜ守られるかという例はこの場合には当てはまってないように思います。

 スケールフリーというのは、考え方としてはパレートの法則だとかロングテールと同じで、人間関係でもつながりの多い人とそうでない人がいるわけですが、そういう一部の人に人間関係のつながりが集中していることを言っています。どのようにしてそういう差が生まれるのか(ただの資質だということを差し引いて)、ネットワークのハブとなるような人間になるためにはどうすればいいのかなどの話になりますが、ただ、多くの人間関係をもつということはコストやリスクがあるので必ずしもいいとは限らない、つまりはどういう人間であろうとするかが問題だということです。


 こういうキーワードを入り口に、いろんな理論が出てきて、結構新しい学説も出てきます。
 応用するとして分かりやすいところでは、子どもの習い事の例があって、毎日のように違う習い事をしている子は効率的に多くの人間関係を作ることになるけれど、仲のいいクラスターをもたないことでストレスがたまりやすくなるというわけですけど、このほかいろいろと考える手掛かりがここにはあるかと思います。
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2007年06月17日

梅田望夫『ウェブ進化論』

ウェブ進化論
梅田 望夫著



 『ウェブ人間論』を読んでこちらを改めて読まなくてはと手に取ったんですが、こちらを読んでも、あるいは『iPodは何を変えたのか?』もそうですが、新しいものが生まれてくる高揚が感じられ、とても気持ちいい。ヴィジョンというのはこういう力をもつものなんでしょうね。もちろん、凡人の私には、その性善説に楽天的にすぎるのではないかとどうしても思ってしまうのですが。

 2006年2月発行の本作ですが、これを読んであまり違和感をもたなかったのは、私のアンテナの感度が悪いことと、日本ではweb.2.0の段階に至っていないからではないかと思います。楽天がかなり色褪せて見えてしまい、昨年の前半から株価が下落していることが、無関係ではないという妄想を抱いてしまいました。

 web.2.0としてのアマゾンの意味がよく分かりました。ページランクに対する先見性も驚きでした。どうりで、グーグルで検索するとアマゾンがトップに来ることが多いとは感じてたんですけど。

posted by 行き先不詳 at 11:23| Comment(0) | TrackBack(1) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

阿佐ヶ谷スパイダース「少女とガソリン」

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 阿佐ヶ谷スパイダースの今回の公演は、「暴走する男たちシリーズ」第3弾だそうです。「日本の女」「はたらくおとこ」がそのシリーズのようですが、「はたらくおとこ」のほうは観てまして、どちらかといと阿佐ヶ谷スパイダースの私のイメージはこのあたりにあります。


 リゾート開発のために、閉鎖された酒蔵で働いていた男たちが飲んでいる飲み屋が舞台。その酒蔵で造っていた「真実(まこと)」は、強くてまずい酔うための酒でした。櫛田というこの町は、元々差別を受けているのですが、そんな櫛田も再開発によって、一新されようとしています。しかし、「真実」の復活を願う男たちは、闘うことを決意しています。

 彼らは、リポリンというアイドルを労働者の女神だと信じてファンになっているんですが、彼女がリゾート開発のセレモニーにやって来ることが分かります。セレモニーを妨害しようと考えていた彼らは、リポリンを奪うことに。リポリンがやって来たことは、彼らをまったく違った暴走へ導くきっかけともなるのです。

 ほかに、まだ残っている「真実」をなぜか全部飲み干してやろうとしている男(元杜氏が「真実」に似せた味を豪快に作るシーンは忘れられません)、ヒッピーに憧れて旅をしているふたり、昔、櫛田を捨てたリポリンのマネージャーなどがいて、男たちの暴走に巻き込まれます。その暴走によって、男たちの間に亀裂も見えはじめ、また、リポリンの町に来た理由などが明らかになることが、さらに違った展開へ。

 ザ・スズナリでの公演ということで、ここへきてちょっと狭めなところにいったわけですが、閉塞感のある状況に、アイドルに熱狂する中年の男たち、という異質な設定で、ゴチャゴチャしたかんじにはいい大きさなんでしょう。しかし、あの暴走ぶりが唐突すぎるように私には感じられてしまったのですが。


 作・演出 長塚圭史
 出演 中村まこと 松村武 池田鉄洋 中山祐一朗 伊達暁 長塚圭史 富岡晃一郎 大林勝 下宮里穂子 犬山イヌコ
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2007年06月16日

『スティーブ・ジョブズ神の交渉術』



 アップル社のスティーブ・ジョブズの経営者としての決断や言動の数々を見ていくのですが、「神の交渉術」というタイトルをそのまま信用してはいけません。前書きにも「神のように尊大で、悪魔のように大胆なその天才的交渉術」とあるように、“神”というよりは、“悪魔”の交渉術といったかんじ。

 細かいことまでコントロールして、忠誠を求める強引で自己中心的な人物像が前面に出ています。カリスマ性があるという言葉はありますが、読んでいてそのカリスマ性を実感できなくて、ただ傲慢なだけに映る嫌いがあるように思います。先に読んだ『iPodは何を変えたのか?』なんかでは、カリスマ性は見えてくるのですが、なぜアップル社を追われることになったのかが不思議に感じられましたが、こちらの本を読むと、追われて当然というか、逆によくこれで復帰したなと思えるほど。あまりに見えてくるスティーブ・ジョブズ像が違って、ちょっと驚いたところです。

 アップル創業当時のエピソードですが、大型コンピュータを借りていたのに、支払いを滞納していて、そこへ作業ミスでデータを消失。前回バックアップした磁気テープをマシンにかけたいために、貸主に料金を払うと言って自社まで来させ、データをダウンロードしてから料金の支払いを一転拒否。「仕事を台なしにしたコンピュータに金なんか払えない」って、これメチャクチャですよ。凡人にはマネできない、というか、しないほうがいいと思うエピソードの数々です。

 交渉術を学ぶというよりは、ジョブズの経営者としてのこれまでを見ることができる評伝として読むべき1冊かと。
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2007年06月15日

「ワンマンショー」

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 「劇団、本谷有希子」を観てから、はしごして夜にこちらへ行ったんですけど、これがまた本当によかった。すごいです。

 この作品は2004年の岸田戯曲賞を受賞していてその再演です。この受賞から10年くらい遡ってみても鴻上 尚史・平田 オリザ・松尾 スズキ・ケラリーノ・サンドロヴィッチ・永井 愛・三谷 幸喜・中島 かずき、などの受賞者を出していたところへ、倉持裕だったわけですが、私はその時完全にノーマークの人でした。


 これって、見る前にストーリーをどうこう説明しても仕方のない作品かと思います。懸賞マニアの男と大量によだれをたらす妻。妻の兄は無職だったがおかしな仕事を見つけてくる。向かいに住んでいる男が、どうやらひとりで住んでいないようで、突然訪ねてきて、池が広がっていると言いはじめる。自治体サービスが異常に細かいことでも引き受けている。

 こういう人たちが出てきて(ただ、↑これではなんだか分かりませんよね)、奇妙な世界の中に、謎があって、見えてこない関係があったりして、迷宮をさまようような楽しさがある作品です。ナンセンスな笑いもあって、そのことでも世界観を補強しています。終盤謎が明らかになっていくことで浮上するからくりとイメージが鮮やかです。
 パンフレットの中にある言葉には「いびつな形で組み上がるパズルのような、奇妙な世界観の心地よさ」とあり、野田秀樹の選評の中には、「緻密に論理を、組み立ててはいるが、最後までそこに拘泥すると、面白さが消える。そのことを、この作家は知っている。どこで、突き詰めた論理を捨て去るか。そのタイミングが、わかっていると思う」とあって、非常に突いているなあと感じる言葉です。

 最後まですっかり理解したわけではないですが、そのことがまったく不快ではないのです。


 作・演出 倉持裕
 出演 小林高鹿 ぼくもとさきこ 玉置孝匡 小島聖 水野美紀 長谷川朝晴 内田慈 近藤智行 吉川純広
 シアタートラムでは6月17日(日)まで
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劇団、本谷有希子「ファイナルファンタジックスーパーノーフラット」

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 おとといの昼なんですけど、ようやく「劇団、本谷有希子」を観ることができました。ここ数回行きたいとは思ったものの、結局行けずじまいでしたから、今回の公演でやっと、ということです。

 今回の「ファイナルファンタジックスーパーノーフラット」は、2001年の「ファイナルファンタジー」を改訂したものだとか。


 休業中の遊園地に同じ恰好(カツラまでして)をした女性たちが4人いて、ひとりの男のもとで暮らしています。女性らは、言動や立ち居振る舞いの指導を受けていて(指導する女性がまた別にいる)、どうやらユクという女性がモデルだと窺われます。その中のひとりが、行き詰まった作家で、夫である編集者が連れ戻そうとやって来ますが、妻は帰りたくないと言います。当然、夫は納得せず、男を批判します。その編集者といっしょに来ている妻の弟子だった作家がいて、小説のネタになるということもあって、遊園地に残っていっしょに過ごすことに。そこで、ユクとは誰で、男とどんな過去があったのかが明らかになっていくのです。


 非常に簡単にまとめると、フィクション(理想・妄想)を維持することの困難さで、その上で現実とどう折り合わずに生きていくことができるかがポイントでしょうか。
 分かりやすい構図に決着してしまっているように思えて、私としてはもっと突き抜けたものがほしかったところです。


 作・演出
 本谷有希子

 出演
 高橋一生
 笠木 泉 
 吉本菜穂子
 ノゾエ征爾
 松浦和香子
 高山のえみ
 斉木茉奈
 すほうれいこ

 吉祥寺シアター 6月24日(日)まで
posted by 行き先不詳 at 21:49| Comment(0) | TrackBack(4) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月13日

『iPodは何を変えたのか?』

iPodは何を変えたのか?
スティーブン・レヴィ著 / 上浦 倫人訳



 著者のスティーブン・レヴィはニューズウィークのテクノロジー担当記者を長年務めた人らしく、IT関係の著作もあります。
 iPod開発にまつわる話や人々のライフスタイルにどう影響したかが書かれています。と同時に、アップル社とスティーブ・ジョブズのスゴさも見ることができます。


 iPodの発表イベントが2001年10月だというのはちょっと驚きましたが(9.11のすぐ後だったんですね)、そのとき何を発表するかは秘密にしていたものの、デジタル音楽プレイヤーの一種だともれていたそうです。ただ、MP3プレイヤーはすでに存在していたし、「それまでも何度か家電分野に進出したものの、いずれもパッとしなかったアップル社が、この現状を劇的に変えるとというのは、いくらなんでも無茶な話」と見られていたようです。
 そんな状況でしたが、発表の日に配られたiPodを手にした著者はいじり倒して、魅了されます。
 マイクロソフトのイベントの夕食会で、iPodを取り出してビル・ゲイツに「これ、もう見ました?」と聞くと、いろいろ試した後「素晴らしい製品だね。これはマック専用なの?」というエピソードがちょっと印象に残ります。


 それから、デザイン担当の言葉ですが、あくまでデザインより音楽のほうが重要なんだと。常識外れな斬新なものを創りたい、本当に使えるエレガントでシンプルな製品をデザインしたいという努力の結果があの形になったとのこと。

 著者はiPodのシャッフルにかなりこだわってます。ランダムだとは信じがたい息を呑むような曲の繋がりが出現することがあって、本当にランダムなのかという疑問とその結論も出てきますが、このシャッフルということがこれまでのCDプレイヤーなどのシャッフル機能とは次元が違うんだと考えているようです。ここには聴き方の変化もあって、LPやCDという入れ物によってもアルバムの作られ方が影響するので、今後はアルバムをトータルの作品1単位として捉えることから、より自由になる方向へ進むことになるという見方が示されます。アルバムの中で2、3曲しか好きな曲が入ってないなら、全部を聴く必要はなかろうというわけですが、そういう曲だけをiPodに入れて、そういう自分の好きな曲がジャンルもバラバラにランダムに流れてくることが、音楽を聴く新たな歓びを与えてくれるということです。

 曲数について、大多数の人は保存曲数は最大1000曲程度で十分で、膨大な空き容量があると趣味の浅さを責められているみたいに感じてしまうから、というのもなんかわかります。


 読み物として面白く、音楽を聴く楽しさが、興奮とともに感じられる1冊です。
posted by 行き先不詳 at 01:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする