2007年08月30日

「ロマンス」

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 観る前に改めてキャストを見て、なんていう顔ぶれだとワクワクしました。大竹しのぶ、松たか子、段田安則、生瀬勝久、井上芳雄、木場勝己の6人。かなりぜいたくな布陣です。

 チェーホフの評伝劇ですが、そのチェーホフを歳を追って、男優4人が交替で演じています。長くないシーンを重ねながら、チェーホフの人生を描いています。ただ、シーンによってはチェーホフが中心ではなくて、ほかの登場人物のドラマの脇役のようにして出てきたりもするのです。そういう場面ごとに、それぞれの出演者が、何役も演じていて、そこが一番の見所ではないでしょうか。この舞台では、チェーホフがヴォードヴィルが好きだということが最も強調されているところで、苦い現実を生きなくてはならないからこそ、笑いが必要なんだと思っているチェーホフは、自身の作品を笑いではなく、静かで泣かせるような演出に対して不満を見せています。そして、今回の「ロマンス」では、そんなヴォードヴィルを意識した作りになっているようで、笑いもかなり入っているんですが、そういう中で、デフォルメされた動きを見せる演技もあって、おかしみを生んでいます。大竹しのぶの老婆とか、木場勝己の教授、生瀬勝久のトルストイなどなど。


 私、これまで、チェーホフの舞台を観たこともなければ、戯曲を読んだこともなく、どうやら知ってたほうが楽しめるところもあったようで、そこが残念なところ。ぜひ機会を見つけて、チェーホフに触れたいと思ったのでした。


 作  井上ひさし
 演出 栗山民也
 世田谷パブリックシアターにて
 
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2007年08月29日

山田太郎のあの親はいったいなんだ!

 ついでに、「山田太郎ものがたり」についてなんですが、先週の放送を観て若干釈然としないところがあったので。

 ド貧乏ぶりを超ポジティブに向き合うところが突き抜けてて面白いです。本人が貧乏ぶりを隠そうとしていないのに周りが勝手に誤解して妄想してくれているというのも、ふつうだったらすぐにバレてるとは思いますが、コメディですし、とくに気になりはしませんでした。

 ただ、放浪癖のある父親が久し振りに戻ってきて、友達に絵を届けるために帰ってきたんですが、その相手がハンパじゃない大金持ちであるにもかかわらず、どうやらタダであげてるんですよね。あとでドバイに住むことにしたから、自分の大邸宅に住まないかと提案するような人なんですが、こういう人との付き合いがあるのに、絵を売って生活費を家族に送るようなことはしていないということが、意味分かりません。

 今さらですが、子ども多すぎです。あれだけ生活力のない一家で、太郎がアルバイトするまではどうやって暮らしていたのか。どうしてあんなに子どもを産むことにしたのか。

 太郎がいつもアルバイトをして家族の生活費を稼いでいます。学年トップの成績で優秀なんですが、就職を希望しています。そのことに対して、この両親が、大学に行く気はないのかなあ?などと犯罪的な暢気さで語らっているのを観れば、「お前らのせいだよッ」とツッコミを入れざるをえません。

 原作のマンガとは多少設定で変更があるようで、そのことも少しは関係あるのか。とはいえ、コメディですから、こんなところを突付くのも、ちょっと細か過ぎるのでしょうか。
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2007年08月28日

「夜のピクニック」

 多部未華子目当てで観ました。現在TBSで放送中の「山田太郎ものがたり」を観て、すっかり気になってしまって。ドラマを観るまでほとんど知らずにいました。今にして思えばCMで見かけたことのある人でしたが、ドラマの初回では、なんでこの人が大きな役なのかなあとか思ったりもしました。しかし、私、間違っておりました。いかにもな美少女タイプの顔立ちではないですが、非常に目を引く個性をもっていて魅力的です。「山田太郎ものがたり」では、はじけた笑顔が印象的です。

 ということで、この作品を観ました。原作は言わずと知れた恩田陸の本屋大賞受賞作。高校の歩行祭という、ただひたすら1日歩くという恒例行事を舞台にして起こる青春のドラマを描いた作品です。歩く距離は80キロで、今だとどうしても24時間テレビを思い出してしまいます。個人的には全く参加したくない行事ではあるものの、他人事であればいい伝統だと思えます。

 で、この作品を観てるとそういう感想が一番表立って湧き立ってはくるものの、映画としての面白さには多少欠ける嫌いがあるような気がします。ストーリーに大きく影響するいくつかの「謎」についてもう少し効果的な見せ方がありそうにも思えたんですが、あくまで青春を描くことを前面に出しているようです。退屈でもつまらなくもなかったですが、もっと大きな盛り上がりがあることを期待したところもあるのです。
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「ハゲタカ」の再放送に飛びつきました

 先週日曜から6夜連続で再放送されていたNHKドラマ「ハゲタカ」を見ました。本放送の時に見逃したら、途中の予告が面白そうで後悔してたんです。放送後、いろんな賞も取ったようです。

 1話1時間で6話なのに、飽きることなく見入りました。面白いです。1話は不良債権を速やかに処理することを迫れられている1998年の話。外資系投資ファンド会社の日本法人代表として日本にやってきた鷲津(大森南朋)は「腐ったこの国を買い叩く」なんて社員に檄を飛ばしてます。このとき、三葉銀行から不良債権のまとめ買い(バルクセール)をするのですが、中の債権は玉石混交で、そのうちの“玉”のほうの老舗旅館「西乃屋」をめぐるドラマです。

 三葉銀行側の担当である芝野(柴田恭兵)が実は鷲津の三葉銀行時代の元上司。久し振りの再会を果たすものの、鷲津は情に篤い男ではなくなっていた。このふたりには苦い記憶があって、鷲津の行員時代の取引先だった町工場への貸し渋りのために三島(渡辺哲)が自殺してしまったという過去がありました。この三島の娘(栗山千明)が東洋テレビの記者になっていて、彼らをしつこく取材しています。「西乃屋」は結局転売されて、経営者の西野(宇崎竜童)が壊れていく様子が、なかなか真に迫るものがあります。その息子(松田龍平)は家出をし、後半になってIT企業の経営者として登場することになります。

 2、3話では、瀕死の玩具メーカーをめぐって、鷲津と芝野が対決。それが2000年。4、5、6話は、2004年。大空電機という日本を代表する総合電機メーカーの買収話で、銀行を辞めている芝野が取締役となって、三度目の鷲津との対決。毎回、入札だとかプロキシーファイト、TOBなどが小道具として使われますが、これってまるであの人だよなあ、とここ数年に騒がれたあの人あの事件を連想させます。

 ドラマとしては、鷲津、芝野、三島の3人が中心になります。というか、鷲津という男がどういう人間か、ただの“ハゲタカ”なのかということを、芝野や三島が図りかねているところもあり、また、後半になって鷲津自身の変化もあって、鷲津という男を内面からではなく行動から推知させるような見せ方です。最後には清々しいところに着地して後味がいいのが意外でした。
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2007年08月25日

『旧制中学入試問題集』

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 戦前の旧制中学なんかの入試問題を集めた労作です。問題と解答のほか、当時の学校制度や教育事情なんかの解説もしています。

 単純に古さが出ている問題や時代を感じさせるような問題を載せています。基本的には、昔の人はこんなに難しい問題を解いていたのかというような印象を受けるようになっています。当時の教養や常識もわかってきます。あと、へんな問題も結構多い。
 国語、算術、歴史・地理、理科、最後に「あの人が受けた入試問題」という構成で、あの人というのは、宮澤賢治や岸信介、丸山眞男、瀬戸内寂聴などです。


 どういう問題かというと
 
 「御暇がありますなら、どうぞ御遊びに御出で下さい。」を候文に直せという明治45年の問題。→「御暇これあり候はば、何卒御出で下されたく候。」となるそうです。

 次のことばによみがなをつけよという昭和11年の問題。「夏蚕」「四十雀」「稗」「接木」「畝傍」「晒木綿」「榎」「為替」「槌」「馬刀貝」→「なつご」「しじふから」「ひえ」「つぎき」「うねび」「さらしもめん」「えのき」「かわせ」「つち」「まてがひ」

 算術では昭和7年のこの問題は時代背景がわかります。
 出征軍人に慰問金を出すのに3つ違いの姉妹3人が各々自分の年1つを2銭の割りで出し合って合計72銭を送りました。各々の年齢はいくつですか。
 答え 9歳、12歳、15歳。

 大正14年の地理の問題
 以下の品物が我国に十分あります。足らなければどこから輸入しますか。
 米、綿、鉄、生糸の4つの品について。
 米 足りない。支那、印度支那から輸入する。
 綿 足りない。印度、アメリカ合衆国から輸入する。
 鉄 足りない。支那、アメリカ合衆国から輸入する。
 生糸 十分にあってあまる。


 前書きに書いてありますが、こういう問題っていうのは、あまり残っていなくて、公共図書館にもなく、網羅的に収集することは相当困難なようです。
 私は、問題をいちいちすべて解いたりせずに、気になった問題だけをちょっと考えるくらいで、どういう問題が出ていたかのほうを中心に見させていただきました。
 
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「幸福のスイッチ」

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 この中の上野樹里はかわいくない。わがままですねてて不機嫌、いつも苛立っているような役です。それが顔つきに出ています。あんまり近寄りたくないかんじ。

 その主人公の稲田怜は、和歌山の田舎町に生まれたのですが、父に反発してイラストレーターを目指して東京に行っていました。それも、一年で仕事と自分の表現の折り合いをつけられずに仕事を辞めてしまう。そこへ、姉が入院するという報せを受けて実家へ戻るのですが、それがだまし討ち。実は、入院したのは喧嘩したままになっている父のほうで、骨折して仕事ができなくなっていたのでした。しばらく家業の電器屋を手伝うことになるのですが、この電器屋が、安売り量販店に押されて苦しく、地道で小さな仕事を大事にしながらがんばっています。最初は、儲からない小さな仕事にやる気を見出せない怜でしたが、地元の人とのふれあいや父親の仕事に対する姿勢を見て、すっかり変わっていきます。そして、すっきりとしたいい顔になっていくのです。

 父親が、パワフルで陽気な人で、かなり特徴的なキャラです。沢田研二が演じていて印象深い役です。ほかに、しっかり者の姉(本上まなみ)と要領のいい妹(中村静香)がいるのです。

 話そのものは、とくに目新しいところがあるわけではないですが、田舎の人との交流や家族の絆を描いて、とても温かい作品です。


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2007年08月24日

道尾秀介『片眼の猿』

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 『シャドウ』に続いて、道尾秀介の作品を読むのはこれが2冊目。私はこっちのほうが好きです。

 探偵の三梨は、ライバル楽器メーカーによるデザイン盗作疑惑の調査依頼を受けていた。その調査中に殺人事件が発生してしまい、彼はその現場を盗聴していた。また、彼はその前に、ある女性をスカウトしている。毎朝ひとり電車内で窓の外を見ながら笑っていた彼女が、ある日「落ちる」とつぶやいて、その頃飛行機墜落事故が起きていたという目撃談を、これまた盗聴で三梨は聞き、彼女を“仲間”だと思ったことがきっかけ。三梨は耳に特異な個性をもっているらしいことが窺われるとか、秋絵の自殺を今でも引きずっている、などの背景をもっています。

 と、この位まで書いてもまず問題ないかと思うんですが、とにかく、書けないことのほうが多いです。多くの謎、細かい伏線の数々、終盤に真相が明らかになることでそれらが“片眼の猿”という話につながるという具合です。それが軽快な文章で書かれて読んで飽きさせなかったです。私は、アパートの個性的な住人らとのやりとりをもっと楽しみたいところがありました。
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2007年08月23日

「猫と針」

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 うっふっふ。初日でした。恩田陸の記念すべき初戯曲作品なのです。

 シンプルな舞台装置の上での5人による会話劇。葬式帰りで、高校時代に映画研究部にいたらしい5人。久し振りの再会で、酒でも飲みながらの昔話。ところが、実はただの葬式帰りではなく、ちゃんと意味のある集まりでもあって、5人の会話によって意外な事実がだんだんと明らかになりながらもさらなる謎が次々に生まれ、緊張感のある空気も漂わせる心理サスペンス。1時間40分ほどの上演時間でした。

 ずっと5人が舞台上にいるのではなくて、話の流れで席を外したりするのですが、そこに残る人の組み合わせによって、出てくる話も変わってきます。チラシに「人はその場にいない人の話をする」とあるように、そのことによってはじめに見えてはいなかった関係性だとかも分かってくるのです。それと、舞台に登場しないキクチの再婚話だとか、亡くなったオギワラの話とか。

 新たに判明する事実と謎に固唾を呑みながら見入っちゃいます。たいへん引き込まれました。ただ、緊張感のある話ではあるんですが、全体的には、自然で肩の凝らない部分も多く、軽い笑いも随所にあります。それと、へんな動き、しぐさが印象的でした。

 開演前に登場人物の苗字を覚えておこうと思ったら、みんなありふれた名前で(サトウ、タナカ、スズキ、ヤマダ、タカハシ)覚えにくくて結局面倒くさくなったんですが、そしたら苗字トークがちょっと入ってました。


 最後にすべての謎が渦を巻くように怒涛の解決を見せるのではないかという予想もちょっとしたんですけど、そういう作品ではなかった。内容的には恩田陸らしさが出ているんじゃないでしょうか。


 キャラメルボックスの公演には、久しく足を運んでいないんですけど、恩田陸の名前と横内謙介が演出だということで、外部の人に委ねているなら久し振りに観てみようかなと思いました。私としては、こういう企画であれば、また行きたいところですし、何よりも、恩田陸にはこれからももっと書いてほしい。

 恩田陸とキャラメルボックスの関係ですが、『チョコレートコスモス』の取材のためにキャラメルボックスの稽古を見学したことが交流の元々のきっかけだそうです。


 出演者 岡田達也 坂口理恵 前田綾 石原善暢 久保田浩
 俳優座劇場にて
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2007年08月21日

「ブラック・ダリア」

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 ジェームズ・エルロイのLA4部作では、「LAコンフィデンシャル」が映画化されて、それは原作と違いながらも、原作より面白いとさえ思ったものでした。今度の「ブラック・ダリア」なんですが、私はかなり前に原作を読んだときに、なんかすごそうではあるけれど、あんまり乗り切れないなあ、と思った覚えがありました。今回の映画化作品では、そのときとあまり変わらない印象なのです。

 1947年のアメリカ。猟奇的な惨殺死体。ロス市警の特捜課でコンビを組むバッキー(ジョシュ・ハートネット)とリー(アーロン・エッカート)は、その事件を追うことに。そのことが、ふたりの関係を大きく変えるのです。リーの恋人、ケイ(スカーレット・ヨハンソン)を巡っての三角関係。バッキーがレズビアンバーで出会うマデリン(ヒラリー・スワンク)。被害者が出演していたポルノ映画。社会の裏側を見せながら、たどりついた真相は…、というような流れ。

 ミステリーとかサスペンスとかではなくて、やはり暗黒的な部分を空気感から映像化されているというところに魅力を感じるべきなんでしょう。
posted by 行き先不詳 at 23:37| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

津原泰水『ブラバン』

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 これはたいへん素晴らしい、とまずは絶賛しておきたい。タイトルからして、もっといかにも青春小説みたいな色合いを想像しましたが、ちょっと違います。高校時代の吹奏楽部の元部員らで二十数年ぶりの再結成話が持ち上がり、部員らの今の姿と高校時代の回想を織り交ぜて語られます(高校時代のほうが分量的には多いとは思います)。語り手は、弦バス(コントラバス)を担当していて、著者も昔は同じ弦バスだったようです。

 吹奏楽部ですから、人数も結構多く、部員の名前と紹介がはじめに載っています。それぞれが簡潔にして印象的なエピソードをもっているものの、私にはやはり覚え切るのは難しく、そちらが助けになりました。しかし、その部員ら(顧問も)の個性の書き分けがくっきりとしています(当然のことながら全員が“個性的”なわけではないです)。その上で人間関係が錯綜しながら、謎が今になって明らかになったりもして、群像劇として絶妙なのです。

 1980年当時の出来事や音楽に対してのうんちくが、付け焼刃的ではなくて、またカタログ的に取り上げられるのではなく、いい具合に溶け込んでいます(語り手が軽音楽部にも掛け持ちで入部しているので、音楽の話題も広いのです)。そういうもろもろすべてがこの作品に結実しているといったかんじです。きっとこれってかなりの腕が必要なのでは、と感じます。

 この人の作品は、『蘆屋家の崩壊』を読んで面白かった記憶はあるんですが、それ以来手にとっていないことを後悔させる一冊でした(今回の作品は過去のものと多少毛色が違うように見えますが)。

 そういえば「本の雑誌」の年間ベスト10には入ってなかったかなあと思ったら、索引に作品名さえ載ってなかったのが意外でした。「本屋大賞2007」では、1次投票で13位に挙ってます。
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2007年08月19日

「スパイダーマン」1と2を

 スパイダーマン3ももう終わってしまったところで、タイミングが間違ってましたが、1と2をそれぞれ観てみました。ヒーローものって、なんか食指が伸びなかったんですが、思いのほか面白かったので、これ観てたら、3のために映画館へ行ってた、かもしれないところでした。

 それぞれ、テクノロジーの失敗によって、悪役の怪物が生まれてしまいますが、完全な悪ではないんですね。スパイダーマン自身も原因を知らぬままにとんでもない体の変化を得てしまいますが、それは意図せざるものですから、大いなる力には大いなる責任が伴う、とか言われても、本人の負担は絶大です。身を隠して正義を追求し、好きな人にも告げられずにいて、しかもスパイダーマンとしての活動に時間を取られて自分のしたいこと、すべきことが疎かになることに悩む「スパイダーマン2」のほうが好きです。それと、市民に顔を見られてしまったスパイダーマンに、彼らが誰にも言わないよと温かさを見せるところがいいです。
posted by 行き先不詳 at 22:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「鬼太郎が見た玉砕〜水木しげるの戦争〜」

 先週の日曜にNHKスペシャルで放送されておりました。
 この作品は「総員玉砕せよ!」をはじめ水木しげるの諸著作をもとに作られたフィクションである、とのこと。「総員玉砕せよ!」は、自身の体験がかなり反映されているそうで、自伝的な戦記マンガ。これを描いている1972年の水木しげると、戦時の丸山二等兵の話が交互に描かれています。

 やはり最大の見所は、水木しげると丸山二等兵を演じている香川照之で、これはもう憑依しているかのようです。この人のキャラがそうなんでしょうが、飄々とした感じが、作品全体をも覆っていて、陰惨な出来事でもどこか、ほわんとしてます。かなり平手打ちを受けてました。シビアな局面では、マンガの画を挿し込んでたり、72年のほうでは、幻想的な色合いを見せてます。

 玉砕へと至るときの対立軸は分かりやすく、玉砕を目指す愚かな上官とそれに疑問をもつ中隊長らといったものです。見てると、ただただ腹が立ってくるような愚かさです。榎木孝明演じる参謀は、最後に玉砕命令を出して、兵士らに「いっしょに死んではいただけないのですか?」と問われて、私には報告義務があると言うシーンなんか、ついつい「この男を刺しちゃえ」とか頭に浮かんでしまうのでした。


 主な出演者は、香川照之、田畑智子、塩見三省、嶋田久作、北村有起哉、榎木孝明、石橋蓮司など。
posted by 行き先不詳 at 00:38| Comment(0) | TrackBack(1) | TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月18日

「ラストサムライ」を横目で

 「ラストサムライ」を地上波でやってたので、横目で見てましたが、日本語と英語のセリフが混在する作品なのに、全部吹替で日本語にしちゃったら、なんかおかしなことになってるようにも思えましたがどうなんでしょう。
 ふだんは吹替って、映画では避けてるんですけど(海外ドラマだとなぜか吹替を選ぶんですよ)、見はじめたらやっぱり面白くて、最後まで見ることに。
posted by 行き先不詳 at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

金城一紀『映画篇』

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 映画をモチーフにした小説集です。それぞれは独立していながら接点をもっています。本の扉に「ローマの休日上映会」のチラシらしき絵が載っていて、5つの短編とも、どこかしらでこの上映会のことが登場するのです。

 最初の「太陽がいっぱい」は、少年時代に映画を共通に仲のよかったふたりの男の話。高校に入る頃からすっかり疎遠になりますが、それでも映画、あるいは物語が見えないところでふたりを繋いでもいます。ふたりにとって、映画は「救い」です。「アクション映画は僕たちの規範ではなく、救いになっていった」とか、「才能っていうのは力のことだよ。でもって、力を持っている人間は、それをひけらかすために使うか、誰かを救うために使うか、自分で選択できるんだ」とか出てきます。そして、「現実はいずれ物語の力にひれ伏し、俺らの物語は事実として語られ始めるだろう」という箇所が、帯の「現実よ、物語の力にひれ伏せ。」につながっています。

 ほかの短編では、状況が違いますし、いちいちこういう言葉が出てはきませんが、作品全体を流れるところはここにあります。そして、すべての総決算的な話が最後の「愛の泉」にありまして、これがなかなか効きます。私は、「対話篇」があまり好きではなかったので、強く期待はしていなかったんですが、思った以上によかったです。

 9月いっぱいまで「発刊記念期間限定公式サイト」が立ち上げられてます。
posted by 行き先不詳 at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする