2009年01月30日

「パンク侍、斬られて候」

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 原作が町田康の小説で、本当は出た当時から読んでおきたかったのですが、舞台化作品を先に観ることになるとは。水曜日に本多劇場で観てきました。

 時代物ではあっても、時代考証がどうとかいう世界ではなく、ナンセンスでバカバカしかったりします。爆笑というよりは、クスクスとしながら観てました。

 前半のほうが断然面白かったです。
 腹ふり党なる危ない新興宗教があるんだという話によって、藩の士官の口を求める浪人が主人公です。登城してから、内部の権力争いに巻き込まれ、刺客の登場があったりするという展開です。これが後半になると、新興宗教の波が押し寄せ、城下は武士と猿と民衆の入り乱れる狂騒が繰り広げられます。最後は終末的なところへ向かっていくのでした。

 前半のノリを面白く観てたので、後半になって笑いも少なくなって、パンク侍主体の話から逸れたことで、若干、興味を殺がれたところがありました。とはいっても、大谷亮介が演じる新興宗教の煽動する人物はよかったと思います。
 脚本を練り上げれば、すっごく面白い作品になるのでは?といった感想です。


 原作 町田康
 脚本・演出 山内圭哉
 主なキャスト 山内圭哉 腹筋善之介 大谷亮介 小島聖 中山祐一朗 廣川三憲 加藤啓 林克治 福田転球 高木稟 橋田雄一郎 宇梶剛士
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「三瀬夏之介展 冬の夏」佐藤美術館

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 水曜に信濃町の佐藤美術館で開催中の三瀬夏之介展に行ってきました。三瀬夏之介という人は、東京都現代美術館のMOTアニュアル2006で知りまして、イメージの豊かさに惹かれたことを思い出します。

 それは今回も基本的には変わらない感想ですが、細かいパーツの組み合わせのようでもあるような巨大な画(コラージュも使われたり)で、モチーフに大仏、ネッシー、空飛ぶ円盤、あっちこっちに飛んでる飛行機、こんもりとした山とか滝とか、いろんな要素が詰め込まれ、総体として何が描かれてるのかはよくわかりません。なんとなく、異郷とか異次元的な世界への空想を誘われたりして、わくわくしたりもするのが好きなところです。しばらく、ぼーっと眺めていて飽きないものがあります。
posted by 行き先不詳 at 22:41| Comment(0) | TrackBack(0) | アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月28日

「ヒットマン」

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 幼少の頃から殺し屋として育成され、“幽霊”のように存在すらはっきりと見せない男が主人公。ゲームの映画化とのことですが、私はそっちの方は全く知りません。

 いつものように組織からの指示でロシアの政治家を暗殺したはずなのに、なぜか生きていて、自分が命を狙われるという展開。目撃者として同じく命を狙われている女性と出会って行動を共にしながら、インターポールの刑事やロシアの秘密警察からも追われつつ、自分をはめた依頼主に反撃しようとするのです。

 もっとスタイリッシュなアクションを期待しましたが、プロフェッショナルで圧倒的な強さを感じず、危なっかしく見えました。あれほどの大胆さではすぐに正体をつかまれるように思えましたし、よくこれまでやってきたなという感想です。だいたい、なんであんなに目立つ頭で行動してるのか。

 依頼主と組織との関係もはっきりしてませんが、組織との対決は必要ないのかなということが引っかかります。
posted by 行き先不詳 at 13:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「アメリカン・ギャングスター」

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 監督がリドリー・スコット、主演がデンゼル・ワシントンとラッセル・クロウで、黒人ギャングとして上りつめる男とそれを追う警察官の物語。実話に基づくんだそうで。

 流通革命みたいなもんで、現地で麻薬を直接買い付けてきちゃうという画期的な方法で、麻薬ビジネスを成功させるフランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)という男がいます。裏ではそんなことをしていますが、表向きは地味で堅実な生活をして、日曜には教会にも行くような暮らしぶりです。でも、成功しすぎれば、周りのマフィアなんかが黙ってないのと、汚職刑事にまとわりつかれたりするわけです。

 この警察の汚職というのがかなり一般的ということが前提になっていて、にもかかわらず正義感が強い刑事としてリッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)が登場します。正しいことを貫くばっかりに警察の中で浮いてしまうのですが、麻薬捜査のチームを率いるよう引き抜かれます。

 このふたりを追いながら物語は進行していきますが、ふたりの直接対決がずーっとなくて、もしかして最後まで口をきかないのでは?と思ったほど。クライマックスでの初顔合わせみたいな展開となるのです。この描き方はよかったように思いますし、それまでの淡々とした描き方がリアルで緊張感に満ちてました。ただ、1968年のアメリカ社会について実感としてわかってないせいか、どういう世界なのかがしばらくはつかめなくて、何をやってるのかがわからず入り込めなかったところがありました。キャストの中で印象深いのは、ルーカスの母親と、ニューヨーク市警の汚職刑事でした。
posted by 行き先不詳 at 13:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月26日

2009年冬ドラマ

 今期の連ドラ、ひととおりはじまりましたが、初回をチェックしたのは「トライアングル」「ありふれた奇跡」「ラブシャッフル」「ヴォイス」「銭ゲバ」「キイナ」の5本です。

 このうち「銭ゲバ」は、描かれる世界観がなじめず、2回目を観るのを止めちゃいました。光石研とりょうの食堂のシーンはちょっと楽しみでしたが。

 ほかでも、すっごく気に入ってるドラマはないです。
 一番好きなのは「ヴォイス」ですが(今日放送分はまだ観てないです)、同じ月9で言えば、「ガリレオ」よりも「ビギナー」的な方向のほうがよかったなぁと思ってます。まだわかりませんけど、青春群像劇としての面白さをもっと出してほしい。法医学と聞いて「きらきらひかる」を観たくなりましたが、DVD化されてないんですね。
posted by 行き先不詳 at 23:37| Comment(0) | TrackBack(0) | TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」

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 この作品、かなり絶賛されてることを意識すると焦るものがあります。わかりやすい面白さじゃないよなぁって。

 いわゆる感動的なドラマでもないし、いかにもな栄光と破滅とかいうわけでも、強烈なキャラが立ちまくりってほどでもないように思えます。

 20世紀初頭の、石油の採掘で成功する男の半生を描いた作品ですが、こういう人物を主役に据えることで何を描いたといえるのか、一通りの見方では捉えられないものがあるように感じます。

 観終わって、圧倒的な何かが居座ってはいるのですが、どこがいいとかよくわからないままってかんじです。何より、他の人の評する言葉を見ても、違和感を覚えてあんまり納得させられないものがあります。

 
posted by 行き先不詳 at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月25日

「冬物語」

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 シェイクスピア晩年のロマンス劇である本作、昨日彩の国さいたま芸術劇場に観てきました。

 タイトルも知らなかったくらいの作品で、ロマンス劇に分類されている作品を観るのもはじめてでした。話そのものはメチャクチャというか荒唐無稽ですし、唐突な感情の変化はさすがに説得力にも限界があるような気もしないでもないんですけど、にもかかわらず、たいへんな見応えで、シンプルな舞台装置の中、俳優の力業には大いに引き付けられました。これは、生半可なキャストでやったら観てられないものになるに違いありません。

 全く別の作品ですし、目指すところも違うとはいえ、同時期に「リチャード三世」を観たせいで、どうしても比較してしまったのですが、戯曲へのアプローチと役者の達成からすると、私はこちらのほうを支持します。


 演出 蜷川幸雄
 主なキャスト 唐沢寿明 田中裕子 横田栄司 長谷川博己 藤田弓子 六平直政 瑳川哲朗
posted by 行き先不詳 at 14:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月24日

中野京子『名画で読み解くハプスブルク家12の物語』

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 ハプスブルク王朝の系図を追うようにして、皇帝や王妃などを描いた名画を紹介しながら、そのモデルとなったハプスブルク家の人々の歴史が語られています。名画を知るためにも、王朝の歴史が解説となっているし、逆に王朝の歴史が、名画によってわかりやすくもなっていたり、とても素晴らしい企画です。

 デューラーの肖像画「マクシミリアン一世」からはじまって、「狂女ファナ」やフェリペ二世、「ラス・メニーナス」、アルチンボルドのルドルフ二世、マリー・アントワネット、エリザベート皇后などなどが登場します。

 中でも、スペインハプスブルク家の血の濃さが、頭がこんがらがるくらいな複雑な関係を作り出していて、そしてそこから生まれる悲劇的なドラマが印象的です。
posted by 行き先不詳 at 12:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月22日

「チェ 28歳の革命」

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 何を観るか決めずにシネコンへ行ってみて、これを選びました。

 スティーヴン・ソダーバーグが監督で、チェ・ゲバラをベニチオ・デル・トロが演じる2部作の、本作はパート1のほうで、もうすぐ「チェ 39歳 別れの手紙」が公開されるというタイミングです。私には、チェ・ゲバラに強い思い入れはありませんが、熱狂的に好きな人も少なくないんでしょうね。

 キューバ革命を達成するまでの数年の戦いと、それに交じってその後国連総会での演説をする姿などをモノクロ映像で挿んでいます。過度な盛り上げ方がないのが、意図的なんでしょうけど、あれだけ撃ち合うようなシーンがありながら、戦争アクションのような見せ方ではないですし、士気とか規律の問題や教育などの光景のほうが印象として強いくらいです。政治の話とか人間関係のドロドロとしたものもあまり出てきません。

 カリスマとしてではないひとりの人間としてのゲバラを描こうとしてるのかなと思いましたが、それではカリスマ性をもたなかったのかといえばそんなはずはなく、そこが見えてこなくていいのか、という気もするのでした。
posted by 行き先不詳 at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月20日

「リチャード三世」

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 昨日、赤坂ACTシアターで観てきました。

 新感線色の強いリチャード三世ということで、オーソドックスではなかろうとは思いましたが、予想以上でありました。舞台装置や美術、衣裳、小道具などに、現代的でポップで軽さがあったり、非常にわかりやすさに配慮しているようでした。

 リチャード三世に限っていえば、古田新太がいつもと違った迫力とか凄みのある悪だったりするのかという期待もありましたが、そんなことはなく、これは「藪原検校」のときもそうでしたが、憎めないキャラでコミカルになってます。第2幕なんて出オチじゃないっすか。これはこれで楽しいのですが、若干の物足りなさも覚えた次第。私には、そのことよりも、シェークスピア独特のレトリックを多用した長ゼリフの言葉の数々がこちらに届いてこないような印象を受けたところがありました。流れちゃってるといったような。

 なんにしても、私の席が2階席のほとんど最後列だったため、誰が誰だかがほとんど見えない状態で(その点で、あの衣裳は判別には役立ちましたが)、それだけでかなり作品に入り込むのに不利でした。近くで観たら、もっと面白がれたのかなぁ…。


 演出 いのうえひでのり
 主なキャスト 古田新太 安田成美 榎木孝明 大森博史 三田和代 銀粉蝶 久世星佳 雨宮良 山本亨 久保酎吉 若松武史 



posted by 行き先不詳 at 22:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月18日

ダン・アリエリー『予想どおりに不合理』

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 行動経済学自体の面白さがあるとしても、とにかくこの本は読みやすく、わかりやすく、面白く、目から鱗が落ちる本になってました。

 私の場合、行動経済学っていうと株式投資で人間が合理的な判断を行わない的な文脈で使われるのを見たのがはじめてで、そこからほとんど認識が改まっていませんでした。この本を読んで、もっと普遍的で人間の本質的な部分に迫っているように感じられました。

 ただし、中にはもう少し合理的に考えられるような気がするけどなぁ、とか、この実験ちょっとおかしくないか、といったところはありましたが、あまりそういう細かいところに引っかかるよりも、刺激を受けるところのほうが大きかったです。

 最初の章での実験がまず印象的です。
 年間購読料として、
 ウェブ版は59ドル、印刷版は125ドル、ウェブ版プラス印刷版は125ドル、の3種類を提示するとウェブ版プラス印刷版が一番人気になって、印刷版を選ぶ人はゼロという結果に。ここから、印刷版という選択肢を除くと、ウェブ版を選ぶ人が逆転して多くなるというのです。おとりとなる選択肢をぶらさげることで、購買行動に変化が起こるということですが、これは売る側にも、買う側にも応用できる話です。

 それから、社会規範と市場規範についての章での、ある作業への協力を頼み仕事量を比較するという実験。報酬が5ドルと50セントと無償での場合、5ドルと50セントは報酬の多さが仕事量に反映するのに、無償の場合は5ドルよりも若干多い仕事量であったという結果を紹介しています。
 また、ある事例として、託児所で子どもを迎えにくる時間が遅れるとペナルティとして追加料金を徴収することにしたら、後ろめたさが消えたせいで、効果がなかったということ、さらに、そのシステムを廃止したら、後ろめたさが消えてる上に無料になったことで遅れが一層増えたというのです。
 これは、お金がからむと社会規範から市場規範に移行してしまったことによるもので、人間のふだんの行動には、この2種類の規範の使い分けがなされているのだということなのです。
 

 私自身、こういうことを考えるタイプでもあり、気がついてるけど改められないこととかもいろいろあって、いつも自らの課題となってます。
posted by 行き先不詳 at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月16日

「冬の絵空」

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 昨日、世田谷パブリックシアターで観てきました。今年の初観劇となりますが、私の中ではハズレでした。

 全く違った解釈の忠臣蔵という本作は、劇団そとばこまちの名作だそうですが、物語的には核となる話からはみだした部分が多いわりに、それらが面白さに結びついているように思えませんでした。それか、もっと突き抜けたパワーを全開にして物語を凌駕してしまう方向にいくとか。いろんなところが中途半端に感じられました。

 ただ、それよりも何よりも、キャストの顔ぶれには目を疑うほどで、あまりにもったいなくて溜め息がもれました。これだけのメンバーなんですから、もっとそれぞれの魅力が活かせる作品であったらと残念に感じた次第です。


 作 小松純也
 演出・上演台本 鈴木勝秀
 出演 生瀬勝久 藤木直人(これが初舞台だそうで) 橋本じゅん 中越典子 中村まこと 粟根まこと(松尾貴史とダブルキャスト) 加藤貴子 片桐仁 伊達暁 新谷真弓 六角慎司 内田滋 小松利昌 八十田勇一 前田悟 武田浩二
posted by 行き先不詳 at 22:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月12日

山本幸久『ある日、アヒルバス』

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 山本幸久のオシゴト系小説で、今回の舞台は、はとバスならぬアヒルバス。そこでバスガイド5年となる女性が主人公で、東京観光のいろんなツアー客とか、新人バスガイドを指導することになったりを、いつも以上に軽いタッチでドタバタもまじえて楽しく描いています。

 この、軽いタッチというあたりが、微妙なさじ加減で、私にはちょっと軽めに過ぎるような気もしたんですが、笑えて、ホロリとさせるところもあって、スカッとするくらい元気になるような小説です。
posted by 行き先不詳 at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ありふれた奇跡」第1話より

 はじまってすぐ2番目のシーンってどうなんでしょう。ホームで自殺をしようとしている男を見ず知らずのふたりが同時に止めに入るところです。

 中城加奈(仲間由紀恵)が電車から降りたあと、ホームの端にたたずむ男(陣内孝則)の様子に引っかかり、ためらいながらも、しだいに確信を深めて、自殺を止めなければと思うシーン。セリフもモノローグも音楽もなく、静かながら不穏な気配が緊張感をともなって、引き付けられました。

 そのあと電車が入ってくる直前で、田崎翔太(加瀬亮)が、先にアクションを起こし、殴って止めてました。でも、あれではホームに入ってくる電車に男が飛び込もうとしているとは確信がもてそうもないんですよね。あれっ、と違和感を覚えるところです。それだけに、電車が滑り込んでくるところでの、危険が迫っていると見える演出が過剰なものに感じられました。

 しかし、その違和感というのは伏線であって、第1話の最後までいくと、ふつうの人には見破れなくても、ふたりには自殺をしようとしていることがわかってしまった、ということが指摘されます。それがどういうことかという重さ、深いところでのつながりを感じさせるわけです。ですから、いかにも自殺する寸前であったら、この話は成立していないわけでもあるわけです。

 それはわかるんですけど、それでも自殺しそうだとまでは見えなかったことが、説得力のなさにつながっているようにも思われ、あるいは、登場人物らの世界と観ているこちらの感覚との距離を感じるところでもあります。どちらにしても、リスクのあるシーンだなと思いました。
posted by 行き先不詳 at 19:53| Comment(0) | TrackBack(0) | TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする