2009年11月28日

「フロスト/ニクソン」

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 アカデミー賞のノミネートで映画の方を先に知って、そっちを観たいというのがまずあったもので、日本人が演じる舞台を観るのもどうかと迷ったところです。でも、考えてみれば映画だって舞台を映画化したものなんだから舞台向きの作品かもしれないし、キャスティングも魅力的だよなぁ、ということで。その上で、どっちを先に観ようかなとか言ってるうちに、公演当日がやってきました。今日の昼公演です。

 ニクソン元大統領(北大路欣也)がウォーターゲート事件で辞任した後、ふたたび表舞台に復帰する足掛かりを考えていたときに、フロスト(仲村トオル)のインタビューを受けることになるのですが、その模様を舞台化した作品です。このフロストはジャーナリストではなくてTVショーの司会者。ニクソンははじめはナメてかかってるし、実際横綱相撲のごとくあしらっていたのですが、フロストが起死回生となる突破口を見つけることができるのかという展開です。

 前半は、インタビューに向けて動きながら、ニクソンとフロスト、それに彼らのブレーンたちの背景や思惑がわかるように進められ、後半はいよいよインタビューの本番へ、という流れ。


 いわゆる丁々発止といったところをイメージしてたのですが、言葉の応酬から相手を追いつめるといったものではないのがちょっと期待と違ったところ。最終的には、ある材料を発見することがカギとなるわけで、しかも、それがあっさりとした描き方なのが、拍子抜けでした。

 ニクソンとフロストが敵対する関係から、ニクソンの告白を通過することで、人間と人間の結びつきだとか、互いを理解するところに到達したように感じられました。


 作 ピーター・モーガン
 上演台本・演出 鈴木勝秀
 出演 北大路欣也 仲村トオル 佐藤アツヒロ 中村まこと 中山祐一朗 谷田歩 安原義人
 天王洲銀河劇場にて
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2009年11月27日

吉田修一『横道世之介』

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 大学進学のため上京した横道世之介の1年間が描かれる青春小説です。時代設定は80年代後半ですが、その20年後の今、登場人物たちがどんな人生を歩んでいるかが、ところどころ顔を出すという構成です。

 決して劇的でもなく、大きな事件も、衝撃的な秘密や葛藤を抱えてるわけでもありません。ですが、全く飽きることなく読み進め、文章の繊細な構築ぶりを楽しみました。一番好きなのは、祖母が亡くなった「十月 十九歳」あたり。

 世之介は、それほど個性的なキャラクターでもないですし、特筆するほど愛すべき魅力をもっているとまでは私は感じないのですが、「いろんなことに、『YES』って言ってるような人」で、いい奴ですし、肯定的であっけらかんとしたところがあって、ただフツーなだけでもなく、絶妙な人物造形なのでしょう。
posted by 行き先不詳 at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」

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 2週間の上映延長も今日が最終日。自分の中では二転三転しましたが、結局足を運びました。今日、たまたま休暇にしてたもんで。

 私は、全くマイケル・ジャクソンに思い入れがなくて、数年前に職場の後輩にマイケルファンがいたのですが、“へぇ〜、今のマイケル・ジャクソンが好きなの!?”といった不思議さを感じたのを思い出します。そして、それが決して私だけの偏見だけでもなかったという感触をもっています。

 そういう私からすると、亡くなって急に手のひら返しをするのも、節操がないような気がしてしまうわけで、映画のヒットにも素直に受け止めることができなかったのでした。


 今日は、ふだん行くシネコンでしたが、平日の昼間で客席があんなに埋まっているのをはじめて観ました。ちょっと信じられないくらいで、本当にヒットしてることが実感されました。それと、上映終了後に拍手が起きることがあるようですが、私の観た回では、一応パラパラと一部の人から起きてました。


 前置きが長かったのですが、単純にダンスがかっこいいとか、リハーサル風景から見える全体を掌握しているさまとか、エラぶらない人柄とか、そういう魅力は感じつつも、ここまで熱狂的な受け入れられ方をするほどなのかなというのも正直なところで、ちょっと違和感あります。まあ、行く前の予備知識で1/3くらいはすでに観た気分ではあったということもあったかもしれません。ただ、それ以上に、リハーサルではなく、完成したモノを観てみたいという気にはさせられました。
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シス・カンパニー公演「バンデラスと憂鬱な珈琲」

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 交渉人のバンデラスという男が戦争を回避するという使命を帯びてダズラー元帥に会いに行く、というのが物語の軸ですが、作が福田雄一とマギーということで、シリアスでないのはわかってましたが、完全にコメディ全開でありました。昨日の夜公演を観てきました。

 バンデラスが目的地へ向かう途中、じゃまが入ってなかなか辿り着かないのですが、その場面場面がコント的なシーンとしてつながって構成されています。7人のキャストがそれぞれひとり何役も演じていて、パンフレットによれば「14のシーンを約50に及ぶキャラクター」とあります。それが、1時間40分ほどの上演時間で詰め込まれているわけです。

 面白かったですし、最後もキマッてて、笑わせてもらいましたが、ここまでコントにしてしまうと、逆に物足りなさを覚えてしまう面もありました。何しろ、豪華なキャストですから。


 演出 マギー
 出演 堤真一 段田安則 高橋克実 小池栄子 高橋由美子 村杉蝉之介 中村倫也
 世田谷パブリックシアターにて
posted by 行き先不詳 at 21:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月24日

加藤健一事務所「高き彼物」

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 加藤健一事務所は今回がはじめてで、今までなんとなく観るのを避けてきたところがありました。今回は、30周年記念って掲げてあったことと、マキノノゾミの傑作戯曲らしいということ、小泉今日子の出演といったあたりで観ることに決めました。月曜の昼公演です。

 昭和53年の静岡県川根町が舞台。15年前に40歳で辞めた教師・猪原は今は雑貨店をやってて、父親と娘の3人で暮らしています。物語は、バイク事故を起こして自分は生き残ったものの友人を亡くしてしまった高校生・藤井が、猪原の元へ訪れているところからはじまります。猪原は、バイク事故を引きずり受験勉強に身が入らない藤井に、しばらく泊まっていくよう勧め、過去に起こったことと向き合うことも悪いことではないし、勉強ならここでもできると言います。

 といった話がありながら、彼を尊敬していまだに交流がある女性教師・野村と猪原との関係がどうなるか、猪原が教師を辞めた理由とは何だったのか、猪原の健康状態はどうなのか、猪原の娘の恋人はどんな人物なのか、といったところがポイントになって物語は展開していきます。私は、猪原の告白がもっとぬるいもので留まるかと思ったら、そうでなかったのが驚きでしたし、納得させられるのですが、それにしては最後があっさりとし過ぎてるようにも感じられました。

 それにしても、人間と人間の交流を繊細に描いていて、感動しました。とても素晴らしかったです。泣ける舞台とかではないと思いますが、私は第1幕から涙が出ちゃいました。なんかツボだったようです。あと、猪原の父親役の滝田裕介が絶妙なとぼけた味わいで最高でした。


 作 マキノノゾミ
 演出 高瀬久男
 出演 加藤健一 小泉今日子 占部房子 石坂史朗 海宝直人 鈴木幸二 滝田裕介
 本多劇場にて
posted by 行き先不詳 at 23:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

山本幸久『シングルベル』

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 婚活をする男女ではなく、親が子どものお見合い相手を探す活動をしてるところからはじまります。そこで、息子・陽一の見合い相手の候補として3人の女性の親と出会います。

 その後、その3人の女性が見合いとしてではなく、陽一と知り合うようになるのですが、3つの章に分けてそれぞれの女性からの視点で描かれます。これが、果たして偶然の出会いなのか、仕組まれたものなのか、陽一はこの3人のうちの誰かと付き合うようになるのか、といったところがポイントになるでしょうか。

 おせっかいな親たちの行動が起点になってるところが面白い趣向で楽しめます。ただ、最後がちょっと説明的だったところが唯一不満なところではありました。
posted by 行き先不詳 at 23:38| Comment(0) | TrackBack(1) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「海をゆく者」

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 コナー・マクファーソンというアイルランドの劇作家の戯曲を栗山民也の演出、パルコ劇場で上演しています。土曜の昼公演を観てきました。

 出演が小日向文世、吉田鋼太郎、浅野和之、大谷亮介、平田満という顔ぶれ。ある種、ドリームチーム的な豪華さとさえ言え(一般的にはドリームというには若干地味目かもしれませんが)、もう面白さが約束されてるという期待を持っちゃいます。


 ダメな空気の漂う、それでいて憎めない人たちのクリスマス。酒を飲み、ポーカーに興じる仲間たち、そこに場違いにぱりっとした男が加わり、予想外の展開が待ってます。とにかく、個性的でよくしゃべる面々の演技合戦が魅力でした。できれば、もう一回観たいです。
posted by 行き先不詳 at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「その土曜日、7時58分」

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 兄にそそのかされた、誰も損をしないし傷つかないはずの強盗計画。これが、最悪以上の結果を招いてしまって、そこから破滅への道に引きずり込まれる様が描かれます。私は、何度も溜め息や、「うわぁ、どうにもならないよ」とか独り言をつぶやいてしまうような、一歩引いて見ていながら、入り込んでもいるようなかんじになりました。
 どうしようもない兄弟(フィリップ・シーモア・ホフマンとイーサン・ホーク)の醜さと滑稽さ、それと対照的な父親(アルバート・フィニー)の素朴さと哀愁がたまりません。

 監督 シドニー・ルメット
posted by 行き先不詳 at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月22日

毛皮族「社会派すけべい」

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 毛皮族は2年前に「おこめ」を観た1回きりで、その時の感想もビミョーなんですけど、「劇団、江本純子」が面白かったということもあって足を運びました。金曜の夜公演を観ました。

 リゾートホテルに押されてる温泉旅館を舞台にした愛憎劇といったところですが、どうしても私には演技のチープさが惹き付ける方向にも笑う方向にも向かわず、なんとなく醒めたままで観てしまうのでした。もちろん、ところどころでおかしいところ多数ですが、とくに今回は町田マリーには終始のれませんでした。もしかしたら、毛皮族は相性が悪いのかなと思いました。

 
 作・演出 江本純子
 出演 羽鳥名美子 町田マリー 江本純子 柿丸美智恵 延増静美 高野ゆらこ 高田郁恵 武田裕子 金子清文
 下北沢駅前劇場にて
posted by 行き先不詳 at 20:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月15日

パラドックス定数「東京裁判」

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 パラドックス定数は今回がはじめて。また、pit北/区域という王子駅前の劇場にもはじめて足を運びました。地下に入っていくんですけど空調のせいか、久しぶりにつけたエアコンみたいな臭さが漂っていて、これはキツいなと思うほどでした。においが気にならなくなった頃に開演となりましたが。今日の昼公演を観てきました。

 タイトル通り、東京裁判そのものを扱っていて、日本の弁護団が法廷闘争をしているところが演じられます。5人の弁護人だけが舞台上にいて、法廷劇といっても判事も検察も被告も登場しません。弁護団には通訳を兼ねてる人もいて、それによってかろうじて判事や検察が英語で話したことが知れる程度です。

 それでも、5人それぞれの個性があって、背負うものも違ったりして、そんな中で不当な裁判に対してどうやって闘うかを、感情的になったり、論理的に攻めたり、諦めそうになったりしながら、裁判が進行していきます。その過程が東京裁判に対しての解説にもなってたりします。面白かったです。


 作・演出 野木萌葱
 出演 西原誠吾 井内勇希 植村宏司 十枝大介 小野ゆたか
posted by 行き先不詳 at 20:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

土曜ドラマ「外事警察」1話

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 NHKのこのあたりのドラマは本当に見逃せないです。かなり苦味のあるドラマになってて、ぞくぞくするものがあります。

 警視庁公安部外事4課という部署が舞台で、テロリストや外国人スパイの摘発が任務ですが、ほとんど諜報活動をしている趣き。徹底した尾行、盗聴や監視、協力者からの情報など。公安といえば、警察小説や刑事ドラマでは秘密主義でほかの部署からも嫌われてたりするのが常です。その公安側から描くんですから爽やかな刑事ドラマになるはずがありません。後味も悪くて、そこがまたよかったです。 

 ドラマでは、刑事志望だったのに実地研修を命じられた松沢(尾野真千子)が、外事警察のやり方に戸惑いや反発を覚える中、任務を遂行するという滑り出しでした。チームの主任を演じるのが渡部篤郎ですが、こういう役だとさすがハマります。

 全く目指すものが違うので比較するのもアレですが、「東京DOGS」は、小栗旬と水嶋ヒロの掛け合いとかは楽しいんですけど、刑事ドラマ部分が突っ込みどころがありすぎ(拳銃をすぐぶっ放すとか、そういうレベルではなく、犯人の行動とかが意味不明だったりします)なもんで、ついつい「大人と子ども」といった言葉が浮かぶくらい、凄みのあるドラマでした。素晴らしいです。

 原案 麻生幾
 脚本 古沢良太
posted by 行き先不詳 at 20:32| Comment(0) | TrackBack(0) | TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

柳広司『ダブル・ジョーカー』

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 「ジョーカー・ゲーム」の第2弾。どの短篇も違った角度から攻めてる感じで面白かったですが、表題作が一番好きです。結城中佐のD機関の存在に対抗させるために諜報組織が作られるというもの。私は、これが今回ずっとライバル関係として続くとかなのかなと思って読んでたら、まるで勝負にならないほどの“魔王”ぶりだったというわけでした。 

 戦時下のスパイを扱って、正義の味方でも何でもないのに、ある種の清々しさを感じるのは、陸軍の旧態依然とした体制や思想に対してのカウンターという存在としてあって、“死ぬな、殺すな”という原則にしても人道主義から来るものではなくても共感を覚えやすいところがあるのかなという気がします。
posted by 行き先不詳 at 20:25| Comment(0) | TrackBack(1) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「風が強く吹いている」

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 三浦しおんの小説の映画化で、素人同然のメンバーも含めた弱小チームで箱根駅伝を目指します。

 主演は小出恵介と林遣都のふたりといっていいかと思います。小出恵介が演じるのは清瀬灰二(ハイジ)、リーダー的存在で素質はあったのに故障を抱えて一線を退いた男。林遣都は蔵原走(カケル)で、天才ランナーでしたが、高校時代に事件を起こして、陸上部からはリタイアしてました。ハイジに目をつけられて、学生寮に入るのですが、自動的に10人目の陸上部員となって、ハイジのなかばだまし討ちで箱根駅伝を目指すことになるのです。

 映画の最大の見所は、何よりも林遣都の走るシーンで、ほかの誰よりも走る姿が素晴らしく、ただ走ってるところでも全く飽きません。きっと本当のレースを観てもこういう感想は出てこなくて、俳優の演技によって再現されることで感じる何かがあるのかなと思ったりもしました。もっと観ていたいくらいでした。この映画のために相当のトレーニングがあったようですが、その成果が確実に表れています。

 原作と違って学生寮の面々がはじめからある程度、実力を備えているところは、荒唐無稽にならないような配慮で賢明だったと思います。ただ、全体的に、カケルの成長や部員同士のドラマは薄味になってるようで物足りなさを感じます。それから、本番でのハイジにはちょっと醒めるものがありました。
posted by 行き先不詳 at 11:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ホチキス「いらない里」

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 月曜の夜公演を観てきました。ホチキスは今回がはじめて。

 コストカットの仕事をしていた主人公の女性が失職して久しぶりの里帰りをすると、田舎はすっかり疲弊しています。彼女が赤字で閉鎖の危機にある天文台を盛り上げる作戦を練っていくという話。地域格差とか勝ち組負け組という話を超えて、地球全体が負けてるじゃんという大きな視点も入れ込んだ上で、希望が見えてくるかんじです。ナンセンスで壮大なところが楽しいです。俳優の大げさな表現も気持ちよかったです。


 作・演出 米山和仁
 出演 村上直子 小玉久仁子 川村紗也 齊藤美和子 猪股和磨 加藤敦 橋本哲臣 江本和弘 山崎雅志 武田真由美 玉置玲央 松本理史 山本洋輔 涌井友子 さいとう篤史 山田隆史
 吉祥寺シアターにて
posted by 行き先不詳 at 11:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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