2009年12月31日

「東京月光魔曲」

tokyogekkohmakyoku.jpg


 29日の昼公演を観ました。本年最後の観劇です。

 抽選で申し込んだら思いがけず2本当たって来月にもう1回行くもんですから、もし全然面白くなかったら困るなぁとか思いつつ。とりあえず、それは杞憂に終わりましたが。

 昭和初期を舞台にした群像劇で、ミステリーにもなっています。世界観としては、大正のノスタルジーを残したところがあったり、ほの暗くじめっとしたかんじで、江戸川乱歩とか久生十蘭とかを連想させたりするような趣き。題材としても倒錯した愛が登場しますし。

 数多くの登場人物がいて、それぞれのパートで見所があるわけですが、はじめのほうでキャストが東京ラプソディを唄うところで、果たしてこんなにたくさんいてまとめられるんだろうかと心配になったほどです。正直、休憩を含めて3時間半に及ぶ上演時間ですが、短いとさえ感じたくらいです。ミステリー的なカタルシスは若干弱いという気もしました。

 探偵役の橋本さとしと探偵助手の犬山イヌコ、作家の大倉孝二のパートが一番抜けがよく、楽しいシーンとなってます。全体としては、時代を感じさせる雰囲気こそが最大の見所という気もします。
 
 それにしても、多彩で豪華なキャストですから、そこが魅力ではありますが、今回は2階席でしたから、次回かなり前方の座席なのがすでに楽しみになっております。

 それから、余計なことですが、私はパンフレットについては、ビジュアルよりは内容を重視してほしいんですけども、製作時期の都合でしょうが、出演者がどんな作品になるか全然わかってない段階でのコメントになってるし、少なくとも1800円の内容にはなってない、と感じました。

 作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 出演 瑛太 松雪泰子 橋本さとし 大倉孝二 犬山イヌコ 大鷹明良 長谷川朝晴 西原亜希 林和義 伊藤蘭 山崎一 ユースケ・サンタマリア 長田奈麻 赤堀雅秋 市川訓睦 吉本菜穂子 植木夏十 岩井秀人 長谷川寧 桜乃まゆこ 嶌村緒里江 森加織 吉沢響子 渡邊夏樹
 シアターコクーンにて
posted by 行き先不詳 at 15:08| Comment(0) | TrackBack(1) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月30日

柿喰う客×三重県文化会館 スポーツ演劇「すこやか息子」

sukoyakamusuko.jpg


 先日、柿喰う客をはじめて観たばかりの初心者の割には思い切った企画に来ちゃったなというのが正直なところです。日曜の昼公演を観てきました。

 今年11月に三重県で実現した企画だそうで、「スポーツ演劇」として演劇とスポーツを融合した先駆的な試みだとのこと。俳優がエアロビクスダンスをしながら、ひとりの人間が生まれてから死ぬまでを家族関係を抽出するところから描き、そこから漏れ出るものがドラマとして成立していくといったかんじ。柿喰う客からは、玉置玲央、深谷由梨香、村上誠基の3人が出演しています。

 はじめは、エアロビを終始やるの?とか不安に覚えましたが、意外と面白かったです。家族観の規範が若干封建的なところも含めて。今年観た、ままごとの「わが星」のような、気持ち良さはなかったですし、“意外と”以上の面白さまでは感じなかったのが正直なところです。

 スポーツ演劇というものの効果は、とりわけ参加者側にありそうで、観客はそれを観てるだけですから、それをきっかけにスポーツをしたくなるというところへ引き込む仕掛けがないと、スポーツ演劇を観ることの意義は発揮されないのかなという気がしました。


 構成・演出 中屋敷法仁
 王子小劇場にて
posted by 行き先不詳 at 21:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「十三人の刺客」

 1963年の工藤栄一監督作で、時代劇としてかなり名高い作品でしたから、ずっと観たいと思っていました。

 明石藩主がかなりひどい奴で、このままだと老中に取り立てられそうなもんだから、これは暗殺するしかないと密命を帯びる刺客たちの話です。主演が片岡千恵蔵で、ほかに嵐寛寿郎や丹波哲郎だとか、西村晃、里見浩太朗、山城新伍なんかも出てました。

 参勤交代で藩に帰る途を狙うことになりますが、敵方側にはこの企みが予期されていることもあって、簡単に成し遂げることは難しいのです。クライマックスは宿場を舞台にした死闘で、相手方が53人、こちらは13人ですから、真正面からぶつかっても勝機はなく、観ていて、これは本当に勝てるのかなと心配になるくらいの激しい戦いでした。スマートではなく、泥臭さがその壮絶さを演出します。

 リアルな時代劇というと、人が斬られるグロテスクな場面として表れそうですが、本作では、緊張感あふれる空気に惹き込まれました。
posted by 行き先不詳 at 21:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

桜庭一樹『製鉄天使』

seitetsutenshi.jpg


 鳥取でレディースの総長として名を上げ、中国地方へと制圧していこうとする少女の物語でしたが、全体に面白さを感じられず、途中で何度か読むのを止めようかと思ったものの、なんとか読み終えました。『赤朽葉家の伝説』ですら、私はそれほど好きではなかったんですけど、今回は好きなところがなかったくらいで。この路線の小説は私の好みではないようなので、今後は要注意として、とりあえずパスすることにしようかと思った次第。
posted by 行き先不詳 at 21:18| Comment(0) | TrackBack(1) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月28日

「マレーヒルの幻影」

murrayhill.jpg



 岩松了が作・演出、主演がそれぞれ初舞台となる麻生久美子とARATAの本作を先週火曜の夜に観てきました。

 
 スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』に想を得た作品だとのこと。1920年代のニューヨークで成功していた日本人実業家とその周辺の人物を中心に描かれてます。その男と不倫関係にあった女との再会だとか、その夫をめぐる愛憎の物語ではありますが、途中まで、どんな話をめざしているのかがさっぱりわからず、これはもしかして全然面白くないんじゃないかという気もしたほどでした。全体的に抽象的というか、なんとなく現実感があまりないように感じられました。盛り上がって来たのは、第1幕の終わり近くになってからで、私には、長過ぎるのではないかという印象です。

 外国人のキャストが英語を使ったりもするのですが、必ずしも全部の内容を観客に伝える必要がないというところがちょっと新鮮でした。それと、麻生久美子は舞台でも魅力的に映って今後も楽しみなところです。

 出演 麻生久美子 ARATA 三宅弘城 荒川良々 市川美和子 松重豊
 本多劇場にて
posted by 行き先不詳 at 00:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月27日

「東京DOGS」

 今期の連ドラは、全部観たのはこれだけでした。あとは、「JIN -仁」を家にいたときだけ観てたりとかで。

 刑事ドラマでシリアス・コメディという売りでしたが、刑事ドラマの部分が隙がありすぎというのが、残念なところでした。コメディとしても、小栗旬と水嶋ヒロの掛け合いは楽しかったのですが、田中好子からの電話だとか、大塚寧々の手の平返しとかいったお約束のギャグも私にはつまらなく感じたりとか。ただ、最終回のラストの空港での別れの場面は笑いました。
posted by 行き先不詳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ANJIN イングリッシュサムライ」

anjin.jpg



 ウィリアム・アダムズ=三浦按針といえば、日本史に一瞬登場した名前として遠い記憶にありましたが、そういう人物の波乱の人生を見せられて、こんな人がいたんだという新鮮な驚きをもちました。先週の日曜に天王洲銀河劇場で観てきました。

 この企画は、一昨年上演された「ヴェニスの商人」から発展したところがあるようで、出演者の市村正親と藤原竜也、演出のグレゴリー・ドーランが共通しています。市村正親は徳川家康、藤原竜也は日本人宣教師・ドメニコという役柄。

 オーウェン・スティール演じるウィリアム・アダムズが漂着したときに、スペイン人宣教師たちが、イギリス人であるアダムズを悪意ある通訳によって貶め、処刑されかねない危機に陥るシーンから、カトリックとプロテスタントの対立だとか、言語の壁によって生じる悲喜劇がうまくドラマに取り入れられて、すっかり惹き込まれます。その後、アダムズは家康に取り入れられ、妻子のいる祖国へ帰ることも許されず、旗本に召し抱えられるようにもなり出世を遂げ、さらには日本的な精神を纏うようになるのです。全体を通して家康の占めるウェイトも結構大きく、大河ドラマ的な歴史ドラマが味わえる作品でした。
posted by 行き先不詳 at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

土曜ドラマ「外事警察」

sotogoto.jpg


 先週の土曜までの全6回。
 第1話では公安の世界観が提示されるような運びにインパクトがあり、すっかり心を鷲掴みにされて、最終話まで固唾を呑んで見入ったかんじ。

 一般市民を協力者にしてスパイさせるなど、テロ計画を防ぐための捜査や諜報活動が行われるというのがストーリーを貫く大きな流れで、そこに、主人公である住本という主任の人間像や、外事課に出向という形で不本意ながら新たに入って来た刑事志望の女性の葛藤、政治家や上層部、外国からの民事警備会社などの暗躍ぶりなどが描かれます。

 だまし合いの世界を表現するだけあって、主人公をすっかり共感することを許しませんが、決してただ冷徹なだけではないところが、彼の弱点でもあるし、人物造形の深みにつながっているように感じます。

 住本はどうなったのか、松沢が今後どうなっていくのか、次回作はないのかもしれませんが、続きがあれば観てみたい気がします。


 原案 麻生幾
 脚本 古沢良太
 主なキャスト 渡部篤郎 尾野真千子 片岡礼子 石田ゆり子 石橋凌 遠藤憲一 余貴美子 
posted by 行き先不詳 at 23:41| Comment(0) | TrackBack(0) | TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月24日

ヨーロッパ企画「曲がれ!スプーン」

magarespoon.jpg


 舞台のほうです。アフタートークのある土曜の夜公演を観ました。
 映画化と同時に上演するという本作ですが、「冬のユリゲラー」の改題といったところで、内容そのものは大幅な変更はなさそうです。ですから、映画とはかなり違ったものになってるはず。そちらは上映もほぼ終わったようで、DVD化を待つことになりました。

 超能力者たちが喫茶店に集って、ふだんは人には隠している能力を披露し合うのですが、その能力もあまり派手さがなくて、あんまり役に立たなかったりします。そんな超能力者たちのやり取りがヨーロッパ企画ならではのゆるい空気をかもしだしてとてもおかしいのです。

 私は今回観てて、前半までの超能力者たちの紹介と能力の披露あたりまでが最高に楽しかったのですが、途中からの展開にムリヤリ感を覚えるところもあって、前半ほどは乗り切れなかったです。


 作・演出 上田誠
 出演 石田剛太 酒井善史 角田貴志 諏訪雅 土佐和成 中川晴樹 永野宗典 西村直子 本多力 山脇唯
 紀伊國屋ホールにて
posted by 行き先不詳 at 21:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

親族代表「渋々」

shibushibu.jpg


 10周年記念公演と銘打たれている本作、土曜の昼公演を観てきました。

 全部で8本のコントでした。脚本・演出の福原充則のほか、脚本提供として、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、ブルースカイ、池田鉄洋、川尻恵太となっていて、豪華な顔ぶれです。私は、誰が誰の作品なのかを気にせず観てましたが、終演後に配られたリストで確認すると、川尻恵太の作品が一番好みのようでした。ただ、リストのタイトルだけ見ても内容と結びつきにくく、たとえば「息子」なら混浴同好会というワードが使われたほうが記憶が甦りやすいような気がします。あと、一番インパクトがあったのは、“前説”のナウシカでした。

 それから、私の観た回では「kusakari」でセリフが飛んでしまうハプニングがありました。

 出演 嶋村太一 竹井亮介 野間口徹
 新宿シアターモリエールにて
posted by 行き先不詳 at 21:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ロートレック・コネクション 愛すべき画家をめぐる物語」Bunkamuraミュージアム

lautrecconnection.jpg


 “コネクション”となっているように、ほかの画家とのロートレックの交流に焦点をあてた企画となってます。もちろん本人の作品もありますが、展示作品の約半分はほかの画家によるものでした。

 師弟関係となる、プランストーの作品から好みなかんじでうれしかったのですが、素朴に虚を衝かれたのは、同時期にポスターを制作していたジュール・シェレでした。ロートレックの作品を目にするのに、ほかにも同じように活躍していた人がいるという視点が私にはなかったもので。個人的には、シェレのほうが、華やかで躍動感があり、わくわくさせる印象を受けました。
posted by 行き先不詳 at 21:09| Comment(0) | TrackBack(0) | アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

川上未映子『ヘヴン』

heaven.jpg


 著者の作品を読むのはこれがはじめて。これまでの小説は、いかにも読みにくそうだったのであえて手を出す気にならなかったもので。

 直接的な暴力を含めたいじめを受けている男子中学生の主人公は、同級生の女子でやはりいじめられているコジマと、手紙のやり取りをするようになります。

 前半は、いじめの詳細な描写とコジマとの出会いなどが描かれますが、後半はコジマと、百瀬といういじめる側の男子との対話を通して、哲学的な問い掛けの中に投げ込まれるような展開です。

 コジマはいじめを受け入れることで、相手に対して優越的な視点をもっていますし、主人公の斜視が好きだと言って戸惑わせます。百瀬のほうからは、以前話題になった「なぜ人を殺してはいけないのか」に通じるような、それでいて問いとしてではなく本質的な思想として語られます。

 全体を通して、その息苦しいほどに惹き込まれ、退屈するところのない面白さはある上に、一回の通読では受け止めきれないほどのあふれている何かがあって、圧倒されます。
posted by 行き先不詳 at 20:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月23日

ひょっとこ乱舞「モンキー・チョップ・ブルックナー!!」

monkeychopbruckner.jpg



 ひょっとこ乱舞は今回がはじめて。柿喰う客のときに観た俳優が3人出てるつながりが一番大きなきっかけでといったところ。出演者のひとりがケガをしたということで(車椅子での演技となってました)、15分遅れて開演となった先週金曜の夜公演を観ました。

 ルームシェアをしていた男2人、女1人の中に、監禁されていたらしい女を助けたものの警察にも届けず家にしばらく住まわせることにしたことで、その女に恋をした男の精神のバランスが狂ってきて、元々あった人間関係のバランスが壊れてしまう、という話。

 男(チョウソンハ)の変貌ぶりと、そのことで対立してしまう、激しいやり取りが強烈で、たいへん惹き込まれました。観てるこちらに感情が感染するくらい。あと、この3人を中心にして、夫婦やカップルとかバイト先なんかの人間関係で展開されるドラマも見応えがあったりとか。

 いくつか印象的というか引っかかりとなったところ。
 監禁されてた女が3人1役みたいにして、同じ役を時間によって、違う俳優が演じたり、同時に3人が舞台上に並んでいたりしていました。この女は謎がほとんど謎のまま進展していって、本当に監禁されていたかも必ずしも明らかではないのですが、どちらにしても、精神疾患を抱えていることが窺われます。私は、3人1役状態は、この女が不確かな存在としての表れとして解釈してました。

 黒電話のほか、電話機が小道具として登場して、時代設定を表現しているのではなく、携帯電話の見立てとなってました。

 それから、身体的な表現の取り入れ方が特徴的なんでしょうけど、観ていて気持ちよかったです。


 作・演出 広田淳一
 キャスト チョウソンハ 中村早香 橋本仁 笠井里美 松下仁 根岸絵美 齋藤陽介 コロ 佐藤みゆき 小菅紘史 永島敬三
 シアタートラムにて
posted by 行き先不詳 at 23:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「12人の怒れる男」

12muxalkob.jpg


 この前、舞台を観たこともあって、ニキータ・ミハルコフ監督のリメイク作を観てみようということで。

 現代のロシアという設定になっていて、事件の大筋は変わらないものの、背景とか細かいところが違っているし、結末も違います。法廷以外の場面も多いですし。

 評議の進行が理詰めでなくて、シドニー・ルメット版でヘンリー・フォンダが演じてる役の人もそれほど議論をリードしなくて、すっきりとした内容にはなってません。

 最初の決を採ったときに、有罪で決まりだろうと思われてるところで、無罪の人がいたときの周りの空気が冷ややかに一変するところはよかったです。ただ、やはりもっと短かったらさらによかったという感想です。 
posted by 行き先不詳 at 22:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする