2010年01月31日

「Dr.パルナサスの鏡」

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 テリー・ギリアム監督作ですが、ヒース・レジャーの遺作にして、その役をジョニー・デップとジュード・ロウ、コリン・ファレルの3人が協力して引き継ぎ完成させたということで話題となってる本作です。

 旅芸人一座であるDr.パルナサスの一行に、ある男が加わることで、すっかり興行が様変わりするという流れですが、Dr.パルナサスがもっている鏡が、その奥へと広がる別世界への入り口にもなっていて、その幻想を楽しむのが見どころかと思います。

 ただ、私に限っては、全体的にほぼ面白さを感じられずに終わっちゃいました。幻想的な鏡の奥の世界にもそれほど惹かれず…。
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阿佐ヶ谷スパイダース「アンチクロックワイズ・ワンダーランド」

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 長塚圭史留学から帰国後の新作公演という注目作です。先週木曜の夜公演を観てきました。

 これはかなり好みが分かれるに違いないのですが、それをも意図した内容にもなっていて、チャレンジングな作品だなという気はします。ただ、個人的にはわかりにくさが勝ってますが。

 主人公の作家が辛口の書評に悩まされています。長塚圭史自身の前作「失われた時間を求めて」の批評がどうだったのか知りませんが、どうしてもそのことを描いてるのではというふうに見てしまいます。作家がバーへ行って、トラブルを起こしてしまったらしき出来事に絡んで、現実と夢、虚構が時間や空間などを自在に行ったり来たりしながら描かれるところが、ほぼ前半部分でこれはとても面白かったです。

 ところが、中盤以降、新たな登場人物が出て来るあたりから、完全に置いてかれました。一応、これってこういうことを描こうとしてるのかなぁという自分なりの見当は付けて観てましたが、まるで自信がありません。

 次回作がどのような作品となるのか、怖々と待ちたいと思います。



 作・演出 長塚圭史
 出演 池田鉄洋 内田亜希子 加納幸和 小島聖 伊達暁 中山祐一朗 馬渕英俚可 光石研 村岡希美 山内圭哉
 本多劇場にて
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中村文則『掏摸』

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 著者の作品は、芥川賞受賞作が掲載された文藝春秋を読んで以来のことです。

 掏摸師が登場するのですが、著者のリサーチと友人を使っての実践的研究があったようで、やはり最大の読みどころは掏摸のシーンです。臨場感と迫真性が手に汗を握るようなスリルを生んでいます(とはいえ、冒頭のエスカレーターでの掏摸シーンでは、どういう動きになってるのかが一読して読み取れなかったのですが)。

 すべてを支配する悪の象徴的存在である木崎という男から課せられる仕事が物語の軸ではありますが、万引きをしている母子との出会いと、その子どもと関わってしまうほうにより惹かれました。

 著者にとっては転換点となる作品っぽいようですから、過去作に手を伸ばすのではなく、次回作を待つことにしておきます。
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舞城王太郎『ビッチマグネット』

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 著者の作品を読んだのは久しぶりで、『九十九十九』から積ん読となってました。ですから、5年を越えちゃってるわけで、ずいぶん経ちます。

 饒舌で分析的に語られる文章が魅力的でした。語り手の饒舌さに精神的な不安定さを感じさせるほどですが、自己言及の多さとか、物語が救うものだとか、無前提に助け合おうとする家族という存在だとか、そうした題材が書かれた上で、主人公の成長が描かれます。

 終盤の香緒里に若干の引っかかりを覚えたところもあるのですが、とにもかくにも、読み落としている過去作にも手を伸ばしたく思ったところです。
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2010年01月21日

「LOST シーズン3」

 シーズン3は、深夜に放送されてたのを毎週観てました。たとえば「24」や「プリズンブレイク」なんかは、週1で観続けるなんて到底ムリで、すぐに次の回を観たいという欲求に勝てないことを考えれば、そこまでのヒキはなかったのかなという気もします。

 とくに前半は、挿入される過去エピソードの面白さはあるとしても、このやり方だと半永久的に続くという無間地獄的なことになるわけで、時間の進み方の遅さに苛立ちを覚えなくもなかったところです。ただ、シーズン終盤の意外な展開にいよいよシーズン4が気になって来ちゃいました。
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2010年01月18日

阪神・淡路大震災15年特集ドラマ「その街のこども」

 震災を扱うアプローチとしてこういうドラマを作ったということにまず感銘を受けました。昨日の深夜にNHKで放送されていましたが、今日もこのドラマの余韻をまといながら仕事をしてたかんじです。

 主演が森山未來と佐藤江梨子。実際に両者とも子どもの頃に被災していて、佐藤江梨子は中1、森山未來が小4の時だとのこと。出演者はほぼこのふたり。

 神戸に子どもの頃以来訪れ偶然出会ったふたりが、夜中に神戸を歩きながら、心に抱えてきた思いを語り合うという内容で、ストーリ性のない地味なドラマのようでいて、退屈さを感じるところがなかったです。ふたりが思い返す記憶は痛みや辛さを伴っているわけですが、そうやって語り合う時間そのものを描いていて、手で触れることができるような生っぽさに感動します。心の深いところで共振を起こした出会いで、結末はあっさりしているとも言えますが、確実に未来を感じさせます。とにかく素晴らしいです。

 脚本 渡辺あや
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「プリズン・ブレイク ファイナルシーズン」

 正月休みから観始めて、一気に、とまではいかなかったですが、3回の週末を利用して観終えました。

 シーズン1から、脱獄、逃亡、脱獄、と来て、今回は復讐です。自分たちを陥れた闇の組織を壊滅させるという目的と国土安全保障省の極秘任務の協力と引き換えに自由を約束されるというのが軸になってます。組織から機密情報が入ったカードを奪うという計画がマイケルの頭脳を中心にして進行し、このカードの真の価値や行方が最後の最後まで物語のカギを握ることになるのです。

 キャラクターで印象的なところでは、ベリックのイメージアップぶりに驚かされるとか、国土安全保障省のセルフの愛嬌の感じられない気に食わない態度とか。

 ファイナルシーズン全体では、中盤が一番面白くて、後半になるとちょっと話がごちゃごちゃしちゃったなという印象をもちました。
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シベリア少女鉄道スピリッツ「キミ☆コレ 〜ワン・サイド・ラバーズ・トリビュート〜」

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 シベリア少女鉄道、久しぶりの公演を待ってましたが、劇団HPを見ると、定職に就きはじめた役者たちが増えたのでユニット的なゆるさでやっていこう、ということだそうで、シベリア少女鉄道スピリッツという名前でいくんだとか。先週の水曜の夜公演を観ました。

 内容としては、マンガ家のスタジオを舞台にした日常の一コマといった短篇ドラマなのですが、それが繰り返されるところに妄想的ナレーションがかぶさることで、手振りや体の動きが全く違った意味をもつというもので、その下らなさが笑えます。3巡目にとりわけハマりました。


 作・演出 土屋亮一
 出演 加藤雅人 工藤史子 篠塚茜 高松泰治 藤原幹雄 吉原朱美
 新宿タイニイ・アリスにて
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オーストラ・マコンドー「三月の5日間」

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 オーストラ・マコンドーというのは、演出家の倉本朋幸が、その才能に衝撃を受けたキャスト・アーティストを集結させ、やりたいことをやるコラボレーション・カンパニー、だということです。

 この公演を選んだのは、チェルフィッチュの作品を別の演出家が手がけるとどういうものになるのかなということが一番大きかったんですけども、そもそも元の舞台のほうは観てなくて小説版を読んだのみ、ですから、比較のしようもないんですけど、アフタートーク(ゲストが日比野克彦)を聞いてたら、90%くらいセリフが変わってるというんですから、そしたらそれでよかったのか、よくなかったのか。

 エチュードで作っていったようですし、アドリブも結構入ってるんでしょう。上演予定時間よりも結構長かったようですし(先週の火曜の夜公演を観ました)。それで、演出家が岡田利規にセリフが全面的に変わっちゃうかもしれないと、恐る恐る聞いたらOKをもらったといった話をされてました。

 この中で、ヤスイとイシハラのやり取りが突出して面白くて、安井順平と坂口辰平はこの公演を観る気になった一要因でもあるので、期待通りと言えますが、全体としてバランスを欠いているという感想です。ラブホテルで過ごすカップルとか、ゴミ袋をかぶってうろうろしている何らかのメタファーらしき登場人物とか、余計な要素に見えてしまうくらい機能していないように感じられました。


 作 岡田利規
 演出 倉本朋幸
 キャスト 河合龍之介 岡田あがさ 三井彩加 坂口辰平 兼多利明 カトウシンスケ 池下重大 安井順平
 赤坂RED/THEATERにて
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2010年01月11日

「アバター」

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 本日シネコンで。本当なら昨年のうちにと思いながらもここまで来ちゃいましたが、なんとしてもスクリーンが大きいうちに観たいというリミットが自分の中にありました。ということで、休日の昼間、字幕版を選びました。あっ、それからもちろん3D版で。

 今回ほど、映画館で観る体験が意味をもつことも滅多にないでしょう。私は、3D映画は、「カールじいさんの空飛ぶ家」に続いての2回目で、「カールじいさん」は3Dで観る必然性に欠けると思いましたが、ただそのときに「アバター」の予告以外に一部先取りして流された本編の映像で、これはただごとじゃないぞと興奮しました。それくらい映像のインパクトがすごかったのです。

 映像体験については観ることがすべてだと思います。とにかく観てください。惑星パンドラの景色の美しさやスケール感は素晴らしいです。もっといろんな生き物を出して来てもいいのでは、とか、ナヴィ族の設定をもう少し突き抜けたものにしてもよかったのでは、とかは思いますが。

 3Dのスゴさを見せつけるのが最大のポイントなわけで、ストーリーやキャラクターについては、あまりそこで深みだとか考えさせる内容とかは不要で、意図的にわかりやすい構図を持ち込んでいるんだろうと好意的に考えています。
posted by 行き先不詳 at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

道尾秀介『球体の蛇』

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 これはスゴいです。直木賞の候補になっていますが、これが受賞しなきゃおかしいでしょ的な勢いです(といっても、他のを読んでないんですから、説得力ないですけど)。

 3部あって、それぞれのラストに衝撃的な展開があって、思わず声を発してしまいました。ただ、それが驚きということで終わっていないところも著者ならではなところです。それに今までよりも、細部の描写や文章に何度もうまいなぁと感じたり。

 誰かを許すとか、誰かを責めるとか、そんなことが果たして誰にできるのかという気にさせる小説でした。なんとなく浮かんだのは、真相というものが誰にとっても明らかでない世界における罪と罰、みたいな感じです。私は、主人公はすべてを呑み込んだまま終えるべきだと思いながら読んでいましたが、それを超える結論が用意されていて納得しました。


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2010年01月10日

「東京月光魔曲」

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 昨年末に引き続いての2回目。昨日の昼公演でした。

 前回よりも面白いと感じるところが多かったです。というか、面白くなってるんじゃないかという気がしてます。それは役者の達成しているところによるのでしょうが、ただ今回が2回目ということで、場面と場面のつながりに感心したり、1回目の印象より笑いの要素が入ってることがわかったり、気づくこともありました。今回のほうが短く感じました。

 一人何役も演ってるのですが、今回はかなり前方の座席だったこともあって、誰が演じてるのかよくわかりました。2階席からだとわかりにくかったりしたので。
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2010年01月09日

佐藤正午『身の上話』

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 語り口の絶妙さに打たれて、引きずり込まれます。

 あらすじを語るべき物語でもありませんが、軽く触れておくと、語り手がミチルについての話をしていて、ミチルが恋人のほかに不倫関係となる男とふたまたを掛けていること、それから、職場の同僚から頼まれた宝くじを買いに行くことが、ミチルに思いもかけない運命へと走らせることになるのですが、その過程をたどることで、語り手がいったい誰でどのようなシチュエーションにいるのかといったことが最後の最後に明らかになるのです。

 私が、当初不思議に思ったのは、ミチルの行動が無軌道で感情移入を拒むような短慮さだったことです。しばらくは、ミチルに対して苛立ちを覚えて読んでいて、それがしだいに気にならなくなったのですが、果たしてミチルに共感できるような滑り出しと、どういう違いがあるのかについて考えているところです。
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2010年01月06日

「ジェネラル・ルージュの凱旋」

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 映画「チーム・バチスタの栄光」の続編。

 私は、原作のほうは『チーム・バチスタの栄光』の後、『ナイチンゲールの憂鬱』でストップしたままなもので、読んでおりません。

 わがままで独断専行であることからジェネラルと異名を取る救命救急センター長(堺雅人)が実質的な主人公になってます。そのジェネラルが医療メーカーと癒着しているという告発文が田口(竹内結子)の元へ届き、放置するわけにもいかず調査をせざるをえない。ところが、医療メーカーの担当者が病院で転落死。そこへ、白鳥(阿部寛)にも同様の告発文が届いていたことで、病院での調査に乗り出してくることになるのです。

 まず、ジェネラルの癒着の真偽という問題があり、それから、ジェネラル・ルージュともあだ名されることがありその由来、また医療メーカーの担当者は自殺か事故死か、あるいは他殺なのかといったことが、解決されるべき謎としてあって、倫理委員会が臨時に開かれた場が最大の山場となってます。ミステリーとしての謎解きが終わった後に、もうひとつのクライマックスが用意されていて、そこで残った伏線が活かされるということと、この物語が救命救急医療の現状と課題というテーマが結びつく終盤となってます。

 カリスマ性のあるジェネラルという役どころですが、堺雅人の説得力のある演技が圧倒的で、本作では、白鳥役の阿部寛よりも存在感のある位置を占めています。

 ミステリー的な面白さからも、珍しく、映像を観た後でも原作を読んでみたくなりました。


 監督 中村義洋
 主なキャスト 竹内結子 阿部寛 堺雅人 羽田美智子 山本太郎  國村隼 野際陽子 高嶋政伸 尾美としのり 貫地谷しほり 正名僕蔵 林泰文 
posted by 行き先不詳 at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする