2010年03月28日

「コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命 2nd season」終

 先週月曜で最終回となりましたが、今期の民放の連ドラで唯一観続けたのが「コード・ブルー」でした。

 フェローたちの成長以上に強い葛藤をドラマとして盛り込んで、いささか重過ぎるのではというほど。毎回登場してくる患者たちも残酷な結果に終わることも少なくなく、息を呑むようなところがありました。

 最も印象に残るのは、第3話でスキー板に3人が串刺しになった事例。濱田岳が演じる学生のあの結末は切ないとかやるせないとかでは言い表せないような深く心に響くものがありました。

 フェローたちと看護師の冴島(比嘉愛未)には非常にシリアスな出来事が起こっていきますが、藤川(浅利陽介)にはあまりそこまで追い込まれるような展開はなく、ウザキャラが憎めなさとして成立していてよかったです。逆に、森本(勝村政則)のサイドサブストーリーは浮き過ぎてて、どうかと思います。
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ままごと「スイングバイ」

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 旗揚げ公演が岸田戯曲賞を受賞して、戯曲としてそこまで高い評価になるんだとまでは見抜けなかったのですが、清新さと気持ち良さを体験した記憶が残っています。そんな「ままごと」の第1回公演に、月曜昼に行ってきました。

 会社の社内報を担当している係の一日を舞台にして、職場内とその家族のドラマが展開されるのですが、それが人類の歴史と同時代での、縦と横両方の時間軸による仕事を通じてのつながりというものが描かれている仕掛けです。いろんな人がしているそれぞれの仕事ということが肯定的に捉えられていました。冒頭やラストのスピーディにバッグをバトンタッチしていくパフォーマンスがかっこよくて好きです。“昼食休憩”までは、とても面白く惹き込まれましたが、後半は単調さを感じるところもありました。全体に、人類の歴史ネタ的な笑いをもっと増やしてほしい希望があります。
 

 作・演出 柴幸男
 出演 飯田一期 いしお 板倉チヒロ(クロムモリブデン) 折原アキラ(青 年団) 菊地明香(ナイロン100℃) 島田桃依(青 年団) 菅原直樹(青年団) 鈴木燦 高山玲子 能島瑞穂(青年団) 野津あおい 森谷ふみ(ニッポンの河川)
 こまばアゴラ劇場にて
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2010年03月25日

「ヘンリー六世」

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 昨年の新国立劇場での三部作の公演は迷っているうちに購入できなくなってしまい、その後の高評価を目にするたびに後悔しましたし、今回の公演を観る上での比較の対象と考えても、やっぱり観ときゃよかったなと。

 日曜の公演を観ましたが、13時開演で21時30分終演予定のところ、20分以上早く終わったようです。前編と後編の間に1時間の大休憩が入ってて、その時間は客席での食事可となっていました。

 ヘンリー六世の王位継承からその死まで。百年戦争の後期、ジャンヌ・ダルクが登場するあたりから薔薇戦争に至る話になってます。「リチャード三世」前史というふうにも見えました。権力闘争と愛憎劇が展開されますが、野心と裏切りばかりの話で、正統性や大義という言葉が安っぽく映る世界です。

 展開がとてもスピーディで、それが元の戯曲によるのか、ブラッシュアップのためなのか、それとも演出の狙いなのか、あるいは上演時間が短くなったせいなのかわかりませんが、そこは印象的なところでした。そんな中で前篇後篇それぞれが2部に別れていて、その4回とも終盤に必ずクライマックスが用意されてて、見所があります。とくに、サフォーク(池内博之)とマーガレット(大竹しのぶ)の別れのシーンは素晴らしかったです。

 大竹しのぶは2役あって、はじめのうちはジャンヌ・ダルク、途中からヘンリー六世(上川隆也)の妻・マーガレットとなるのですが、ジャンヌ・ダルクの神懸かったところのない小娘感が、「ひばり」で松たか子が演じてたジャンヌとは対照的な人物造形で意外だったのと、マーガレットの変貌ぶりに驚かされますし、見応えのある役どころだなと感じます。他方で、ヘンリー六世の主役然としてないところは興味深く、後半からはまるで主役の座を奪われ、失笑を誘うような情けなさをあらわにしています。

 ほかに、白ユリや白バラ、紅バラを舞台上に降らせて、それがフランス、ヨーク家、ランカスター家を表す演出ですが、それ以上にそれをいちいち掃除人たちが片付けて、何度も繰り返されるのを見てるうちに、民衆が後始末をさせられてるという構図が実感され腑に落ちました。


 作 ウィリアム・シェイクスピア
 翻訳 松岡和子
 構成 河合祥一郎
 演出 蜷川幸雄
 主なキャスト 上川隆也 大竹しのぶ 高岡蒼甫 池内博之 長谷川博己 草刈民代 吉田鋼太郎 瑳川哲朗 たかお鷹 原康義 山本龍二 立石涼子 横田栄司 手塚秀彰 青山達三 塾一久
 彩の国さいたま芸術劇場にて
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2010年03月24日

「ボルゲーゼ美術館展」と「没後四〇〇年特別展 長谷川等伯」

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 20日土曜に上野で終了間近の美術展をはしごしました。一応、本命は長谷川等伯だったんで、夕方に行けば少しはすいてるだろうという目論みで、まずは東京都美術館の「ボルゲーゼ美術館展」へ。

 コレクションの基礎となったシピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿自身のベルニーニの彫刻なんかもありましたが、ラファエロやカラバッジョ、ボッティチェリなんかの作品が目玉になっているかと思われます。こういう美術展では毎回いちいち感じることですが、宗教画を鑑賞するために必要な知識の厚みが自分には備わっていないなと。それと、思ったほどは込んでなかったのは、ルネッサンスやバロックってそんなに人気がないのかなとか思ったりもしました。

 他方で、東京国立博物館 平成館の「長谷川等伯」のほうは入場制限をしていて、4時過ぎに行ったら待ち時間が30分弱でした。会期の短さがあるとはいえ人気があるなぁと思った次第。私は、昨年チラシを見かけるようになってから、必ず行こうとは決めてたものの、地味目な水墨画の人という先入観がありましたが、今回イメージがすっかり一新されました。

 国宝や重要文化財にも増して、最大に強烈だったのは「仏涅槃図」でした。最初に一瞬横目に映ったときのインパクトは忘れられませんし、圧倒的な存在感はどうでしょう。まあ、それにしてもでかいこと。圧巻とか壮観とか、そういう言葉が浮かびます。
 


              
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2010年03月23日

司馬遼太郎『竜馬がゆく 2』

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 安政の大獄のあたりから竜馬の脱藩まで。
 大河ドラマ「龍馬伝」と並走して、抜きつ抜かれつといったかんじで読んでました。同じ事件が登場したりもして、私にとってはかなり珍しい読書体験となってます。

 小説の中心でないところで印象的なところを2ヶ所引用しておきます。
 正直なところ、作者は、安政諸流試合からあと、竜馬が日常なにを考えていたか、集められるかぎりの資料にあたり、想像してみたが、ついにわからない。

 小説を書いてる中でこういうことを言われると、意図せざる効果でしょうが、いったいこの小説はどういう存在なのだ、というシュールさを帯びてきて、不思議な感覚を勝手に覚えて印象的でした。

 何度もいう。
 倒幕維新の運動をやった薩長土三藩は、いずれも三百年前の関ヶ原の敗戦国である。幕府には恨みがあった。が、土佐藩のばあい敗戦者は旧長曾我部家の遺臣の子孫である軽格連中であり、藩公以下上士は、戦勝者であった。自然、佐幕主義たらざるをえない。

 こちらは単純に、あぁなるほど、というところで、薩長と違うんだということが強調されていて、わかりやすいです。 
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2010年03月22日

「マクベス」

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 シェイクスピアを元にした三部作の3作目に当たるようですが、過去2作はいずれもスルーしてしまって、「リチャード三世」の翻案だという「国盗人」は先頃再演までしていたのに…と改めて後悔をさせる今回の「マクベス」でした。アフタートークのあった16日火曜の夜公演を選びました。

 約1時間半の長さでかなり簡潔に再構成されているようです。マクベスとマクベス夫人以外の3人の出演者は、魔女を含めていろんな役に変貌して、わかって観てたのに3人だけとは思えないような錯覚をおぼえてカーテンコールでハッとさせられたほど。この魔女を中心にして進行させていくという視点から捉え直されていて、演出と解釈いうものの意義を意識させられるものでした。


 作 ウィリアム・シェイクスピア
 訳 河合祥一郎
 構成・演出 野村萬斎
 出演 野村萬斎 秋山菜津子 高田恵篤 福士惠二 小林桂太
 世田谷パブリックシアターにて
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自転車キンクリートSTORE「富士見町アパートメント」

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 アパートの一室という同じ場所設定で、4人の作家が競作して、鈴木裕美が演出するという企画で、これはたいへんに面白かったです。観たのは、13日土曜で、昼と夜の通し券を購入しました。

 どれもだいたい1時間の短篇でAプログラムとBプログラムに別れて2作品ずつの上演という形。13日はBが昼で、Aが夜でした。

 Aプログラムは「魔女の夜」と「海へ」。
 「魔女の夜」は蓬莱竜太の作で、山口紗弥加と明星真由美が出演の二人芝居で、不安定な女優とそのマネージャーというところから、人間の封印している黒い感情が引きずり出されてくるところがとても怖いサスペンスフルな会話劇でした。

 「海へ」は赤堀雅秋が作で、出演が井之上隆志、入江雅人、清水宏、遠藤留奈、久保酎吉。ダメな感じの中年男たちが、猥雑さの中に描かれてます。今回の4本の中で異彩を放って、もっとも好みが別れそうな作品。面白さを説明しづらいところがあります。個人的には、もっと長さを必要としているようにも感じました。

 Bプログラムは「リバウンド」と「ポン助先生」。
 「リバウンド」は鄭義信の作で、出演が平田敦子、池谷のぶえ、星野園美。この3人の女優の名前でわかる人はわかるでしょうが、ふくよかな体型をした人たちで、舞台上での並んだ姿だけで、楽しくなってきちゃうというところがあります。コーラスグループの3人の悲喜こもごもで、終盤なんかとても切なくなって泣かされました。

 「ポン助先生」はマキノノゾミ作で、黄川田将也、西尾まり、山路和弘が出演。個人的には一番好きなのはコレで、山路和弘の演じるマンガ家のキャラクターが魅力的過ぎです。大御所的なマンガ家で今はあまり意欲的な仕事をやってないのですが、新しい企画を若い替え玉を使って売り込み、これが連載して人気が出る。自分はネームを描いて、絵を替え玉の男に描かせるのですが、替え玉の男にも、プライドもあるわけで、そこから二転三転していきます。かなり傍若無人で破天荒な人物ですが、裏には弱さを抱えていることが窺われたり、かわいさとかも見せる人物造形でそこが本当によかった。とはいえ、物語の中心はその替え玉のマンガ家と編集者のふたりにあったりもして、そっちのドラマが締めてるからこそいいんだろうなと思います。
 
 座・高円寺1にて 
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「象」

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 別役実の不条理劇で、名のある作品だということですが、私は今回はじめて知りました。観てから時間が経ってしまいましたが、11日木曜の夜公演でした。

 劇場に入ると奥行きのある舞台上に服などが散乱して壮観と言えるインパクトに期待もありましたが、冒頭の詩的な一人語りが、なんだか意味がつかめずほとんど頭に入ってこなくて一挙に、これは困ったという心境に陥りました。

 堆積した服の中にベッドが一つ置かれ、そこに入院中の原爆症の男が横になっているということなんですが、言動からしばらくは精神病棟なのかなと思うようなところがありました。独特の浮遊感というか、現実感のなさが私にはちょっと苦手だったようです。

 大杉漣の緩急自在の熱演と、ところどころに入るナンセンスな笑いが楽しかったです。


 作 別役実
 演出 深津篤史

 出演稲垣吾郎 奥菜恵 羽場裕一 山西惇 紀伊川淳 足立智充 阿川雄輔 神野三鈴 大杉 漣
 新国立劇場小劇場にて
 
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2010年03月15日

チェルフィッチュ「わたしたちは無傷な別人であるのか?」

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 火曜の夜公演を観てきましたが、この日は雪が降りはじめて、帰りはすっかりベチャベチャの雪が積もっていて、とにかく寒かった。場所が横浜美術館のレクチャーホールということで、先日「束芋」展で館長の講演を聞いた場所でしたが、そこでの上演でした。時計が掛かっているくらいの簡潔なスペースになってました。

 物語はこれといってなく、一応、昨年の政権交代が行われた衆議院選挙の前日という設定で、もうすぐ海沿いに建つマンションを新居とする予定のある夫婦の一日といったところ。

 叙述的なセリフが続き、会話のやり取りはほとんどなく、あっても棒読みのようです。またセリフとセリフの間にかなり空白的な間があって、とくにはじめのうちは少しずつ情報が付け加えられるようにして、語り手が入れ替わりながら、内容がダブりながら語られます。また、語ることと語り手の仕種などがふつうだったらしないような動きで、かつ、必ずしも無関係でもないように見えるといったかんじ。


 意外と、といっていいか、退屈はしなかったのですが、セリフのない空白時間があり過ぎて、無関係な思考が入り込みやすく、セリフを聞き落としていたところが多くありました。そこは人それぞれでしょうが、物語への興味という部分がないせいか、集中力を維持しにくいところがありました。俳優の登場と退出が、舞台上の進行に脈絡がないところなどは面白かったです。役者がセリフを押し付け合っているようにも見えたら、実際そういうところもあるようで、これは事前に知らないと楽しめないと思ったところです。

 私は、演劇における演技とは、みたいなところへの試みに、そこまで刺激を受けていないようで、どちらかというと、作品をめぐっての考察などを読んで「なるほど」と感心する一方で、その課題にそれほど興味をもてていません。
 それでも、次回の公演には行ってみようとは思っています。


 作・演出 岡田利規
 出演 山縣太一 松村翔子 安藤真理 青柳いづみ 武田力 矢沢誠 佐々木幸子
 横浜美術館レクチャーホールにて
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2010年03月14日

小川糸『食堂かたつむり』

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 2008年のヒット作で、映画化もされたばかり。後輩からの薦めもあって、文庫化を機に読みましたが、正直、これが売れるのかと首をかしげるところがあります。

 山あいの静かな村で食堂をオープンし、客は一日一組限定で、その料理を食べると奇跡が起きるという評判を得ていきます。主人公の倫子は、同棲相手がある日家財すべてとともに姿を消してしまい、そのショックから声が出せなくなり、交流を絶っていた母親のいる実家へ戻って食堂をオープンするに至っています。物語としては、母との和解(というか主人公の一方的な狭量による誤解の解消)と、気持ちを込めた料理が奇跡を起こす、といったところが軸になっているというふうに読みました。

 私は、ほとんど面白いと思うところがなかったのですが、いくつか引っかかりを覚えたところがあって、内容に対していろいろと考えを促されたところがありました。

 以下、ネタバレを含みます。
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2010年03月09日

加尾との別れ

 大河ドラマ「龍馬伝」第10話「引きさかれた愛」は、龍馬との悲恋が描かれた回です。加尾とは結婚には至らないことがわかっている中で、相思相愛となり、龍馬は加尾を守ると宣言までしてしまって、いったいどうなるんだろうと思うところでした。

 ここまできたら誰が泥をかぶる役回りになるのかというところで、龍馬が見せた男気を損なわせることはできないとしたら加尾が身を引くしかありません。そのための兄の切腹の覚悟につながるわけですが、最終的に悪役を引き受ける恰好になったのは、柴田という藩政改革で側用人という地位を失った男でした。しかもそれが攘夷という思想ではなくて、権力闘争というか既得権益の奪回を目指すためという言わば卑俗な目的になることで、ほかの登場人物は悪者にならずに済んでます。
 
 ただ、この状況にもっていくために、加尾という名前を伝えてしまっているので今さら変えられないということになっていて、面目を保てなければ切腹という展開は唐突で作為的に見え過ぎました。感動的なシーンと紙一重だなという気がしますが。
 
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2010年03月08日

「ハコブネ」

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 北九州芸術劇場プロデュース作品の第3弾だとのことで、北九州で稽古をした後に、北九州と東京での上演となってます。演劇がほぼ東京一極集中になっている中で、北九州で活動している役者やスタッフを中心にして北九州から発信する形で創り上げ、東京でも上演することで、東京以外の演劇の可能性を探る企画になっているようです。土曜の昼公演を観ました。

 作・演出がサンプルの松井周ということで観ることにしましたが、とても面白かったです。アフタートークによると、かっちり決めたものではなくて、ワークショップやエチュードから緩やかにできあがっていって、周りの意見などをなるべく吸い上げながら作っていったということです。倍くらいあったシーンを削って最後の形になったとか。

 過去の遺物を博物館のような施設で紹介されるようにして、苛酷で狭い人間関係の労働環境を戯画的に見せています。『蟹工船』は読んでないのですが、革命的に労働者が立ち上がったところとか、ちゃんと連想しました。シュールなくらい不毛な労働シーンがおかしいのですが、とりわけ、小さな段ボール箱をコンベアで右から左へ、左から右へと動かしてその都度小さなシールを貼るだけという、無意味な作業ぶりが好きでした。そういう段ボール箱や後ろに積まれているコンテナの中身を見るのを禁止されているのですが、これは人格とか魂を売り渡して働かされているというメタファーなのかと思って観てました。いろんなエピソードがどれも個別に面白かったのですが、私は監督が女装する顛末についてはよくわからなかったところです。


 作・演出 松井周
 出演 今村妙子 加賀田浩二(飛ぶ劇場) 木村健二(飛ぶ劇場) 古賀陽子(のこされ劇場≡) 篠原美貴(のこされ劇場≡) 白石萌(下関市 立大学演劇部) 上瀧征宏 高野桂子(village80%) 田口美穂 田中克美 谷村純一 寺田剛史(飛ぶ劇場) 中嶋さと(劇団爆走蝸牛) 波田尚志(劇団夜劇) 藤尾加代子(飛ぶ劇場) 細木直子(劇団びっくり箱) 宮脇にじ 古舘寛治(サンプル、青年団) 古屋隆太(サンプル、青年団)
 あうるすぽっとにて
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2010年03月07日

「農業少女」

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 2000年の初演時には出演者だった松尾スズキが演出に回っての再演です。「TALK LIKE SINGING」を観た後にこちらという結果的に豪華な2本立てになりました。

 主演は多部未華子で、農村から脱して東京へ行く少女を演じています。気分に支配されるファシズム的なものへの批判という部分が一番わかりやすい要素だったような気がしたんですが、いろんな要素がぶつかりあって、総体としてどういう話なのかはよくわからなくて、そういう一筋縄ではいかないところは野田秀樹らしさでした。ただ、部分部分はずっと面白くて、笑えるところも含めて、演出家に負うところは少なからずあると感じます。舞台上のテレビに映し出される映像がおかし過ぎました。


 作 野田秀樹
 演出 松尾スズキ
 出演 多部未華子 山崎一 吹越満 江本純子
 東京芸術劇場小ホール1にて
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「TALK LIKE SINGING」

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 三谷幸喜の脚本・演出、音楽が小西康陽、主演が香取慎吾のミュージカルでニューヨークのオフ・ブロードウェイからの凱旋公演という話題性あふれる作品です。人気が高くて当然ですが、前売が買えず、当日券は抽選という形式でした。3回落選して、4度目でようやく当選です。火曜の昼公演でした。

 ふつうにしゃべることができず、歌うようにしてしか言葉を発することができない青年・ターロウ(香取慎吾)が主人公。彼は子どものうちは面白い子どもで通っていましたが、大人になるとそれが不利に働き、生活に不自由するようになります。そこで、それを治療しようとするダイソン教授(川平慈英)があらわれるのですが、共同して治療に当たろうとする女性言語学者・ニモイ(堀内敬子)は、本当にそれは治すべきものなのかという葛藤を抱えるようになるのです。

 英語と日本語のセリフが両方入っていて、それを利用したくすぐりもあり、川平慈英が主に笑いのパートを担っていて、終始おかしかったです。また、新納慎也は多彩で個性的な役を演じていて、その振り幅が印象的でした。振り付けでも、のびやかな動きで一番目がいきました。今後、気になる俳優としてインプットしておくことにします。

 後半になって、オーケストラピットのバンドが退場し、歌を失う展開がなんとも哀しく、ミュージカルとしての歌の存在と主人公にとっての歌の喪失がリンクしたクライマックスとなっていて、印象深いところです。「オケピ!」にしてもそうですが、ミュージカルがあまり好みではないような人でも、十二分に楽しめるし、ミュージカルになっている必然性があって、「なにわバタフライN.V」の直後なだけに、改めて三谷幸喜のスゴさを思い知った次第です。たいへん幸せな時間でした。


 ただですね、ネタバレになっちゃいますが疑問に感じたことがありまして、結論を見ると、歌うことしかできない状態から脱していることがハッピーになってしまっているのは、この物語の展開からすると不徹底な気がします。
 それから、たいしたことではないですが、ダイソン教授は歌うようにしか話せない状態になっていないといけないのでは?という疑問がありました。


 赤坂ACTシアターにて
posted by 行き先不詳 at 21:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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