2010年05月31日

「ムサシ ロンドン・NYバージョン」

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 2009年に藤原竜也と小栗旬の主演で上演されていて(私は買えずに諦めたのですが)、その再演でもあり、今回はロンドンとニューヨークで公演を打つ、その凱旋公演という位置付け。26日夜公演を観ました。

 第1幕と第2幕が途中休憩をはさんでそれぞれ1時間半弱ですが、それも短いと感じさせる充実ぶりです。

 巌流島の決闘からはじまり、そこで命を取り留めた小次郎が、卑怯な策で破れた悔しさから武蔵を追い、6年後にとうとう再会、果たし合い状を手渡します。そこは禅寺で3日間に渡る寺開きの参籠禅をするところ。坐禅をしたり説法を聞いたりするようで、そこには寺へ寄進した人や柳生宗矩、沢庵和尚などが並んでいます。

 第1幕では、武蔵と小次郎をはじめとして、恨みと報復の応酬などの変奏が描かれ、報復の連鎖ということが意識させられます。ひとつには、参籠禅に参加している娘が父親の仇討ちをすることになって、武蔵と小次郎は手助けすることに。ただ、その仇討ちが成功する目前、娘は自ら復讐から降りることで、報復の連鎖を断ち切るという決断を示すのです。

 第1幕は、柳生宗矩役の吉田鋼太郎の軽さとお茶目さにずっと笑わせられますし、5人6脚の場面や摺り足の稽古がいつの間にかタンゴになっちゃうところなんか、完全にコメディになっていて、忘れられないおかしさです。小次郎は悲壮感を漂わせているにも関わらず、知らないうちにおかしさをまとってるのがとてもいいです。

 第2幕は、報復の連鎖を断ち切るには、というところで話が進みますが、第1幕からは予想しないような展開が用意されていて驚かされます。パンフレットに「夢幻能」として書かれてるってあって、あぁそういうものかと思いましたが、それにしても意外な着地という気がしました。


 作 井上ひさし
 演出 蜷川幸雄
 出演 藤原竜也 勝地涼 鈴木杏 六平直政 吉田鋼太郎 白石加代子 大石継太 塚本幸男 飯田邦博 堀文明 井面猛志
 彩の国さいたま芸術劇場にて
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土曜ドラマ「チェイス 国税査察官」

 全6回のNHKの土曜ドラマ。22日に最終回を迎えてました。

 今度は国税査察官かと思ったところですが、業界の内幕を描いたといった内容に留まらない内容でした。
 脱税とはこの国で最も困難な違法行為です。申告があるからです。申告とは、自ら警察に名を名乗り、指紋を残し、証拠を提供するようなもの。脱税はあらかじめ犯人がわかっている犯罪です。むしろ人殺しの方が簡単でしょう。

 脱税を指南する税務コンサルタント・村雲(ARATA)のセリフですが、彼は“カリブの手品師”だなんて異名を取る人物で、華麗で周到な手口で脱税を行います。

 基本的な図式としては、主人公の国税査察官で内偵を行う春馬(江口洋介)が、この村雲の存在に気づき、追いつめることができるのかというところにありますが、ドラマはそこを大きく逸脱した密度の濃さがあって、脱税をめぐる物語に留まりませんでした。

 ありがちな線として想像したのは、1話完結形式で脱税の摘発を描きながら、終盤に向けて村雲に行き着くという流れでしたが、第1話で、主人公の査察官の妻が飛行機事故で亡くなるという幕切れからして、そういうドラマではなさそうだと知れました。

 しかし、本題の6000億の資産の相続税を脱税するスキームがどのような方法で、その裏にどんな目的があり、また、いかなる真相が隠されているのか、そこから露になるドラマは予想を超えるものでありました。正直、ツッコミどころは各所にあるものの、スケールの大きさといい、深さといい、とても野心的なものを感じます。とても面白かったです。


 脚本 坂元裕二
 主なキャスト 江口洋介 ARATA 麻生久美子 田中圭 斎藤工 水野絵梨奈 奥田瑛二 益岡徹 中村嘉葎雄 
posted by 行き先不詳 at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月30日

サスペンデッズ「2010億光年」

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 23日昼公演を観ました。
 サスペンデッズは今回がはじめて。

 画廊を起点として、そこのオーナーだった女性の弟、カメラマンの夫とその妻、売れない劇団、SMをバイトにしている画家と盲目の恋人、といった人たちの群像劇のようですが、物語の印象としては、カメラマン夫婦を中心に捉えるかんじ。カメラマンと亡くなったオーナーの不倫がたびたび回想のように挿し込まれます。

 難しいところはなく、それぞれは面白く観ましたが、それでいて、なんだかよくわからないようなところがありつつ終わっちゃいました。それぞれの有機的なつながりを感じられない印象というか。

 売れない劇団のダメなかんじの稽古風景と、画廊の弟のとぼけた飄々とした言動がとくに楽しかったです。


 作・演出 早船聡
 出演 佐藤銀平 伊藤総 佐野陽一 白州本樹 細越みち子 太田紘子 新田めぐみ 関寛之 尾浜義男 伊藤俊輔 高橋理恵子
 東京芸術劇場小ホール2にて
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門井慶喜『パラドックス実践 雄弁学園の教師たち』

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 著者の作品を読むのは今回が2冊目。雄弁学園なる弁論の技術に特化した学校だとかで、理屈っぽそうなところに惹かれたのですが、期待とはいくぶん違っていました。

 初等部・中等部・高等部・大学を舞台にした、教師の側からの物語になっています。手強い生徒たちに苦しめられたりとか、教師が再起を図ろうとする姿だったりとか、生身の人間としての教師が格闘する姿を、軽めの読み物として楽しめるような作品です。ただ、物語の中に組み込まれる弁論や議論、小理屈などが物足りなく感じられました。
posted by 行き先不詳 at 21:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

KAKUTA「めぐるめく」

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 22日の夜公演を観ました。


 四姉妹の長女は11年前の交通事故でずっと昏睡状態。その事故で夫は亡くなり、息子は6歳から17歳になっています。妹らは、主な役割分担のようにして、作家の次女が医療費を出して、三女が病院に顔を出し、四女が長女の息子を養育しているといった状況。お互い交流はあまりなく、それぞれあまり幸せともいえない暮らし向きです。

 そんな中、長女が突然、意識を取り戻し、リハビリを終えて妹らに会いに来るのです。姉妹たちと息子のほか、夫の弟や介護士といっしょに亡夫の墓参りにロードムービーのような道行きをすることになります。とりわけ、母と息子はまだぎこちなく、11年という時間を埋める旅にもなっています。

 ところが、中盤で母親が再度の昏睡状態に入ってしまうのです。このタイミングで?っていう驚きがありますが、後半にしても、劇的だとかひねりのある展開ではないのが意外でした。一瞬でしかない奇跡をはさんで、姉妹の関係や生き方に、これまでとは少しだけ違った、それでいて前向きな変化が起こります。じんわりと味わい深いものがありました。

 ただ、息子が男娼したことがあるとか、ゲイの友人が登場することにはあまり意味がないように見えました。


 作・演出 桑原裕子
 出演 原扶貴子 成清正紀 高山奈央子 若狭勝也 馬場恒行 佐賀野雅和 桑原裕子 今奈良孝之 川隅美慎 辰巳智秋 ヨウラマキ 勝平ともこ
 シアタートラムにて
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柿喰う客「露出狂」

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 22日昼公演を観ました。

 劇団本公演でありながら、女性キャストのみという企画です。
 女子高サッカー部の話。狭い舞台上に螺旋階段が据え置かれ、暗転が明けた瞬間の密集した女優14人が眼前に現れたインパクトにまず圧倒されました。そこから、全員が退場することなくパワフルに女子高サッカー部の3年間が描かれます。

 際立った技術をもった新入生らがチームワークを乱し、新入生4人だけのチームだけで対決させられると、先輩チームに勝ってしまう。そんな4人だけが残って、サッカー部として再出発していくのですが、いかにして結束力を導入していくかというメソッドを試行錯誤していく展開です。

 友情以上にレズ要素が強かったりする中での複雑な群像劇となってます。一貫してチームワークについての話ですが、勝つためにもチームワークが必要というだけでなくて、勝つことの目的に立ち返る結論になってると見えました。


 作・演出 中屋敷法仁
 出演 コロ 深谷由梨香 七味まゆみ 梨澤慧以子 岡田あがさ 右手愛美 新良エツ子 八木菜々花 佐賀モトキ 山本真由美 佐藤みゆき 細野今日子 熊川ふみ 山脇唯
 王子小劇場にて
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2010年05月26日

飴村行『粘膜蜥蜴』

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 個人的には『粘膜人間』と比べるといろんな要素がぶち込まれるインパクトにおいて分が悪いと感じましたが、小説としての面白さではこっちのほうが上かなという気がします。

 とんでもなく金持ちで権力をもった病院長の息子・雪麻呂と国民学校初等科のクラスメート・真樹夫、その兄で出征している少尉・美樹夫が主な登場人物で、それぞれの視点での3章から成っています。
 
 冒頭の段落で早速、“爬虫人”という単語が登場しますが、顔がトカゲみたいな爬虫人である富蔵は雪麻呂の横にいつもいる忠実な下男です。この富蔵がだんだんと魅力的に映って、陰の主役というくらいなキャラクターになっています。

 第弐章での戦地の阿片王を護送する途上の幻想冒険譚とか、第参章の許嫁を決めるために決闘をするあたりのバカバカしさがとくに好きなところです。気持ち悪さもあれば、コミカルなところ、ミステリ的な要素もあって、いろいろと楽しめるポイントがあります。『粘膜蜥蜴』よりもまだ人に薦めやすいのですが、これはこれでやはり薦めるにしても人を選んだほうがよさそうな気はします。
posted by 行き先不詳 at 12:57| Comment(0) | TrackBack(1) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「東京裁判三部作 第二部 夢の泪」

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 昭和21年の法律事務所での話。女にだらしのないところのある、くだけた男とその妻はそれぞれ弁護士。妻のところに、東京裁判の被告人の弁護人となる話が舞い込んで来るのですが、それが松岡洋右という大物です。彼女は戦争の経緯を勉強していくことで、東京裁判の論点を検証していくことになり、また、被告人の弁護というだけでなく、この裁判そのものによって今後の世界秩序の枠組みになっていくという思いを抱くことになるのです。

 前回よりも、東京裁判でよく語られる論点が扱われていました。ここでは、東京裁判の評価について、白黒つけるのではなくて、それを超えた視点を提示しようとしているようでした。また、当時から見た未来への希望がどのような形につながったかに意識が向かい、現在上演することの意味も納得させられるものがあります。ほかにも、いろんな題材が盛り込まれてますが、とくに在日朝鮮人がらみの話が、勉強になったかんじです。

 とはいえ、やはり音楽劇ですし、辻萬長の軽いキャラも含めてとても楽しい作品でした。三部作の第三部を残すのみとなりましたが、期待したいと思います。


 作 井上ひさし
 演出 栗山民也
 出演 辻萬長 三田和代 大和田美帆 木場勝己 小林隆 土屋裕子 春風ひとみ 福本伸一 石田圭祐
 新国立劇場小劇場にて

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ハイバイ『「ヒッキー・カンクーントルネード」の旅2010』

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 作・演出の岩井秀人の自伝的な作品だとのことで、再々演どころか、6演目になるそうですが、私ははじめて。細部の変更はあるようで、ラストも違ってるんだとか。それと、今回の公演では、“初めて組”と“経験者組”のダブルキャストになっていて、私が観たのは“初めて組”のほうです。初日の16日夜公演を観ました。

 ひきこもりの男をめぐる家族の話になっていて、母親(男優が女装して)と妹が登場します。母親には、このままではいけないという焦りがあり、妹は兄に対して温かく接していて、プロレス好きの兄とうまく付き合っているように見えます。

 母親が「出張お兄さん」なるものを聞きつけて相談に行きますが、出張お兄さんとして呼んだはずの男が過剰適応して“飛びこもり”とかいって居ついてしまい、いっしょにプロレスに興じる始末。その後の出張おねえさんのお買い物療法でも荒療治に過ぎる結果となり、いずれも裏目に出ます。母親の働きかけに対して、妹は兄に寄り添った反発をして衝突が起こりますが、ひきこもりの解決策として一般解がなさそうに見えるところです。

 ただ、今回の公演では希望を感じさせるラストにつながっているわけで、結果としてプラスに向かったという印象です。生きにくさよりも家族の絆が強調されるような気がしました。

 全体に、緊迫した状況などでも、人という存在のヘンさがにじみ出て来ることでのおかしみが感じられて、深刻さはあまりなく、随所に笑えますし、自伝的といっても奇妙さが面白くて、演劇作品としての昇華があるんだろうと思いました。


 作・演出 岩井秀人
 出演 篠崎大悟 浅野千鶴 近藤フク 吉田亮 チャン・リーメイ
 アトリエ・ヘリコプターにて
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2010年05月25日

「裏切りの街」

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 16日の昼公演を観ました。
 ポツドールの三浦大輔とパルコ劇場って、ちょっとミスマッチ感があるイメージでしたが、開演前から薄暗くしていて、いつもと違う雰囲気になってました。

 三浦大輔の作品は数多く観てないのですが、はじめに体験した「人間失格」とちょっと重なるものがありました。ケータイの出会い系だとか、人としてのダメなかんじとか。ただ、今回はそこで知り合う男と女の関係に焦点が当たります。

 男(田中圭)のほうは、フリーターだが仕事もやる気がなさそうで、同棲相手から小遣いをもらったりしてヒモ同然。同棲相手の女性(安藤サクラ)は、男のほうから見れば、とてもできた人で、男はやり直そうと決意を見せたりもしますが、それも口だけに終わったりします。

 女(秋山菜津子)のほうは、優しい夫(松尾スズキ)がいるのに、出会い系で知り合った男に出会うことを提案し、かといって、深い関係にはすぐには踏み込めないといった状況。

 ふたりは互いの名を知らないままで、M-1グランプリだとかブラマヨの話とかで盛り上がる程度。恋愛関係にはないけど、何度も会うようになっていくといった過程が描かれます。結果、不倫関係となりますが、その後のふたりが取る行動というのが、惰性・現実逃避・先延ばし・無責任といった言葉が頭に浮かぶようなダメっぷりで、それが致命的な局面に至ってなお決断しないところに、人によっては苛立ちを覚えるかもしれませんが、私は、傍観者的にどうすんだョ、って観ながらも、そのダメさにある種の共感がありました。

 ただ、個人的には、若干の冗長さを感じたところがありました。それとは別に、松尾スズキが妙におかしくて、セリフのたびに苦笑的に笑ってました。

 それから、田中圭は今回が舞台3作目になるようで、過去の2作ともたまたま観ていて、前回の「偶然の音楽」のときにも思いましたが、なかなかとんがった作品を選ぶ傾向がありそうです。
 
 
 作・演出 三浦大輔
 出演 秋山菜津子 田中圭 安藤サクラ 古澤裕介 米村亮太郎 江口のりこ 松尾スズキ
 パルコ劇場にて
posted by 行き先不詳 at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月22日

「広重 名所江戸百景の世界」太田記念美術館

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 チェルフィッチュ終わりに、太田記念美術館が近いので、何をやってるのか知らないままに足を運んでみました。

 歌川広重の「名所江戸百景」の全点の展示をする企画のようでしたが、展示替えがあって、その後半のようでした。

 キャプションに現在の場所が表示されてて、ピンと来る人には、あぁあそこかと思うのかもしれません。それと摺りの技術への言及もあって、実物を観ると、そこのあたりがよくわかって、ひとつ見方が深まったかも。

 一番気に入ったのは、チラシにも使われてる「大はしあたけの夕立」でした。構図と強い雨にバックがぼけて見通しが悪くなってるかんじが素晴らしいです。
posted by 行き先不詳 at 10:51| Comment(0) | TrackBack(0) | アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

チェルフィッチュ「ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶」

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 15日の昼公演を観ました。
 今回の公演は3つの章からなっていて、元々あった「クーラー」の前後に2つの短篇が加わっているようです。加わった2章は、つながった話で、派遣労働者が契約を切られることが決まり、同じハケンだからと送別会の幹事を任された3人の相談が第1章、辞める女性の送別会でのあいさつが第3章。第2章では、正規社員2人の会話で、女性のほうがクーラーの設定温度が低過ぎる不満をもらしています。

 第1章では、3人が代わる代わるセリフを話すスタイル。コンテンポラリーダンスほどではないものの、内容と関係ない振り付けでセリフを語り、その内容も繰り返しが入ってて、私はミュージカルを連想しました。方向性は全く違うにしても。それぞれが話す内容は、ホットペッパーで店を決めたいだとか、もつ鍋にしようとか、そんな他愛のない内容だったりして脱力させられるところもあります。

 第2章の「クーラー」が私は一番好きで、空転する内容の会話が続き、音楽と振り付けにグルーヴを感じて、気持ちよくなってきましたし。女性社員役の安藤真理にエロさを感じたのは少数派かもしれませんが、途中から目が離せなくなってしまいました…。

 第3章では、お別れの挨拶を、第1章と第2章で登場した人たちが聞く形で立っていて、その前で延々と、というか、どうでもいいところに話がそれていくような、無意味さな挨拶でした。


 それから、作品そのものとは別の話ですが、チェルフィッチュについて語られる評を読むと、抽象的で何を言ってるのかわからない文章に出会ったりします。そこまで難しく考えないといけないのかと感じて、めんどくさくなるところもあるところです。


 作・演出 岡田利規
 出演 山縣太一 安藤真理 伊東沙保 南波圭 武田力 横尾文恵
 ラフォーレミュージアム原宿にて
posted by 行き先不詳 at 10:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月20日

タカハ劇団「パラデソ」

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 タカハ劇団は今回が2回目。千秋楽の11日夜の公演を観ました。

 私はこの劇場ははじめてでしたが、居酒屋をリアルに再現された美術がスペースの角にあって、2側面から取り囲むような客席の配置。そこに居合わせたような雰囲気です。

 もう客のいない深夜にさしかかった居酒屋に6人の客が喪服でやって来ます。友人が亡くなったらしく、その通夜の帰りに立ち寄ったようで、それぞれ久しぶりの再会だということが窺われます。

 彼らが実際に飲み食いをしながら会話をしていって、そこにリアルな実在感があります。キャラクターの色分けがはっきりしていて、そのなかでも、いかにも空気が読めない男がいて余計なことをしちゃったりするところに引っかかりを覚えるんですけど、後半にも見せ場があって、印象的です。そんな彼らの会話に“力”や“教団”、“セミナーハウス”などの言葉が挿し込まれます。この人たちの背景や境遇は何だろうと探らせるようにして。

 彼らはどうやらある教団を脱会した人たちで、亡くなったのもそんなかつての仲間だということが知れます。居酒屋には、今も教団に残る男や、亡くなった男に片想いしていた女が加わり、ただの思い出話では済まなくなってくるのです。教団は地元との摩擦もあって、居酒屋の店員が不安を抱き警戒しますし、教団を去った者と残る者との衝突もあったりします。


 ふつうに見える人たちが実は特殊な境遇を抱えている、みたいなことが少しずつ明らかになってくる、というパターンが私は好きで、前半がまさしくそんなかんじ。しかも、ふだん体験しているようなことが目の前で再現されるだけで、どうして面白いんだろうとも思ったり。
 終盤については、居酒屋の店員にもう一歩踏み込んだ背景でもあるのかなとか、真相にもう一ひねりあるのかと予想したところもありました。

 作・演出 高羽彩
 出演 瓜生和成 町田水城 大佐藤崇 古木知彦 内田亜希子 石澤美和 意儀田夏葉 高野ゆらこ 笹野鈴々音
 小劇場 楽園にて
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飴村行『粘膜人間』

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 第15回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作。平成20年の刊行ですが、この次の『粘膜蜥蜴』が昨年話題になっていて、シリーズではなさそうですが、デビュー作から遡って読んでみました。

 とにかくとんでもない作品で、滑り出し数ページで明らかになる設定からして驚かされます。身長195cm、体重105sの巨体をもつ小学生の弟の暴力におびえる2人の兄が、弟を殺すことを決意し、村はずれの沼に棲む河童に殺させようと計画する、というのが第壱章の4ページ目。戦時中の日本っぽい時代設定ですが、河童がちゃんとこの後登場しちゃいます。

 このテンションでどこまで行けるのかと思いながら読んでいると、これが全くパワーが落ちずに、第弐章、第参章へと違う人物の視点で進行して、その異様な世界観を物語る想像力には感嘆させられます。ちょっと忘れられない手応えが残っています。ただ、エログロさがハンパではないので、うっかり誰にでも薦められる作品でないのも確かですが。
posted by 行き先不詳 at 22:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする