2010年07月31日

劇団姦し「夕立」

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 劇団東京ヴォードヴィルショーのあめくみちこ、劇団道学先生のかんのひとみ、劇団青年座の那須佐代子の3人による、演劇ユニットのようで、これが旗揚げということになるのか、第1弾の公演だということです。29日の夜公演を観てきました。

 3人の女優は、それぞれスーパーでパートをしている45歳の女性を演じています。万歳秀美(あめくみちこ)は仕事中にサボったりして責任感に欠けるような女性で、店長並みに仕切っている新井あきら(那須佐代子)と衝突をしています。そこに万引きをした青年(清水優)が登場しますが、こちらも反省の色なく、回りくどくて饒舌なムダ口を叩いてます。

 というように、絶えず誰かが苛立つような不毛なやり取りがあったりして、こちらにもそのイライラが伝染するくらいの暑苦しさなのですが、それがリアルさをもって伝わり、かなり面白いのです。さすが赤堀雅秋の手になると思わせるような登場人物の個性的な実在感と、出演者の演技によって達成されていました。素晴らしかったです。


 作・演出 赤堀雅秋
 出演 あめくみちこ かんのひとみ 那須佐代子 清水優 神保共子
 ザ・スズナリにて
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2010年07月25日

劇団、江本純子「婦人口論」

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 第2回からずいぶん間があいて、かなり楽しみにしておりました。24日の昼公演を観てきました。

 冒頭、真っ暗で何も見えない状態の中、私の感覚では5分近く、出演者らが大きな音をさかんに出しながら、しゃべりまくっているという幕開けです。女性4人と男性1人が、暗闇の中の廃墟を歩くテーマパークっぽい施設に遊びにきているという設定で、白杖をついて手をつなぎながら、全盲の青年が案内しています。

 その後、ひとりが照明をつけてしまって、見えてるのに見えない振りをしてたり、やっぱり照明を消してみたり(最初以外は暗めの照明で、表現されてます)、その見えたり見えなかったりする中で、登場人物らが右往左往したり、誤解したり、本当なら見えなかったものが見えたりする様がおかしいところです。

 その上で、その全盲の青年の行動におかしなところが見られ、実は暗闇を利用して痴漢をしているのでは、という疑惑がしだいに浮上してきます。これが、最大の見所だと思います。女性の作・演出でなかったら、引くかもというくらいです。くるぶしを消毒していると言いながら舌で舐めてるのを実は見られてる、という場面が、まだはじまったばかりでかなりインパクトあります。

 それから、この「劇団、江本純子」のコンセプトそのものでしょうが、饒舌な喋くり合いは面白く、客としてやって来た彼女らは全員が仲がいいわけではなく、というより、あまりよくないのに、一緒になっていて、罵り合いに発展したりするのも楽しいところです。中でも初音映莉子が演じるユカコ(通称・のっぽさん)の協調性ない言動が最高でした。


 ただ、個人的には、痴漢がらみの話と饒舌さにしぼってもっとストレートに見せてもらったら、より面白かったろうに、という残念さはありました。

 
 作・演出 江本純子
 出演 馬渕英俚可 初音英莉子 澤田育子 津村知与支 野村恵里 ノゾエ征爾
 東京芸術劇場小ホール1にて
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「マネとモダン・パリ」三菱一号館美術館

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 今年4月に丸の内(東京国際フォーラムの斜向い)にオープンした三菱一号館美術館の開館記念となる展覧会です。会期終了間近になってやっと行ってみました。建物のほうは、レンガ造りの洋風建築が復元されているようで、内観も美術館らしくない珍しいかんじ。

 タイトルの通り、マネの回顧展という面のほか、パリの近代化していく都市風景に焦点を当てていましたが、私は主にマネや同時代の画家の作品ばかりに時間を使ってました。

 3つのセクションに分かれていて、「スペイン趣味とレアリスム:1850―60年代」「親密さの中のマネ:家族と友人たち」「マネとパリ生活」となっています。

 「スペイン趣味とレアリスム」では、ベラスケスなどのスペイン画家からの影響を受けたころの初期の作品群ということのようで、私のイメージするマネとはちょっと違ったり。この中では、不評だったため上下に切断してしまったという「死せる闘牛士(死せる男)」は、抽象的にも見えるような背景の中に冷たく倒れている男の存在感が結構好きです。

 「親密さの中のマネ」では、月並みながら「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」が最高ですが、「浜辺にて」の前でもかなり立ち止まってました。「マネとパリ生活」では、ドガの「ル・ペルティエ街のオペラ座の稽古場」が一番気に入りました。 というのも、今まであまりドガってピンと来たことがなかったからです。秋に横浜美術館でドガ展があるようですので、楽しみにしておきます。 
posted by 行き先不詳 at 22:57| Comment(0) | TrackBack(0) | アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

司馬遼太郎『竜馬がゆく 5』

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 池田屋事件、禁門の変、西郷吉之助との出会いなど。

 作者の言葉として、同じことを何度も言うのが特徴的です。たとえば、西郷の人物評は高いようで、外交感覚が優れていると繰り返し強調されてます。それから、登場する人物のその後の顛末など、脇道と言えなくもないような話が行ったり来たりします。どちらも、これまで同様でしょうが、5巻では今まで以上に気になりました。といっても、それが不快でもなく、独特のリズムとして読み進められますし、歴史を読んでるみたいな魅力につながっているのかなと思います。
posted by 行き先不詳 at 20:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「黙阿彌オペラ」

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 井上ひさし追悼公演と冠されています。会場内には幻となった新作「木の上の軍隊」のポスターが掲示されていました。私は、キャストが載ってない段階でのチラシをもっていますが、3人芝居で藤原竜也、吉田鋼太郎、北村有起哉が出演予定だったようです。それが、井上ひさしが新作の執筆を断念し、代わりに「黙阿彌オペラ」を上演することになったということに。kinouenoguntai.jpgということで、これまでとはキャストを一新する形で、そのほかの役も新しい顔ぶれになっています。
 23日の夜公演を観てきました。

 幕末から明治初期の江戸/東京のそば屋を舞台にして、狂言作者・河竹新七(のちの黙阿彌)を中心に、そこに集まる人々が時代の移り変わりの中で、いかにして流れに乗ったり、乗れなかったりしながら、生きていこうとしているかを描いています。

 ひとつには、仲間同士で出資して株仲間を作って楽しみにするという当時の流行が道具立てとして出てきます。そのそば屋に捨て子にされた女の子を育てるために金を出し合って、株仲間となったりします。その子が育って、玉の輿になれば、配当が期待できる、なんてことですが、別に金儲けばかりではなくて、人情味と遊び心に基づくものではあります。ただ、後に、それが国立銀行を設立するなんて話にも結びついていくのです。

 それから、タイトルにあるように、明治維新を迎えて西洋文明を取り入れようとしている中、新七にもオペラを書いてくれという要請が出てきます。彼にとっては、言葉を大事にしたいし、オペラを観たいと切望している客がいるわけでもないし、となるべくなら断りたいが、周りからは、古い考え方から抜け出せないと言われるのです。

 全体を通して、受け継いでいくということとか、新しいものにむやみに飛びつくことへの批判だとか、そういうことが浮かんできますが、何より、調子のいいセリフと温かい人間模様が印象に残ります。


 作 井上ひさし
 演出 栗山民也
 出演 吉田鋼太郎 藤原竜也 北村有起哉 熊谷真実 大鷹明良 松田洋治 内田慈 朴勝哲
 紀伊國屋サザンシアターにて
posted by 行き先不詳 at 19:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月24日

「ファウストの悲劇」

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 シェイクスピアと同時代の劇作家・クリストファー・マーロウによる戯曲だそうで、蜷川幸雄が演出しています。21日夜公演を観てきました。

 蜷川幸雄の演出作品では見せ方に工夫を凝らして観客を非日常感に一気に引きずり込むパターンがよく見受けられます。私が観た中ではとりわけ「エレンディラ」が想起され、あれなんかは、衣裳や美術、舞台装置などによって、いかにして世界観を創り上げて観客にぶつけるかという点で素晴らしかったです。翻って、本作にはそれほど惹き込まれるところがなかったです。

 ワイヤーで吊られた悪魔や天使がフライングして、花火も多用され、幻想的といってもファンタジックというよりオカルティックな世界です。それでいて、和テイストも取り入れたりもして、ごった煮的な無国籍な印象も加わり、見世物小屋のような雰囲気を味わいました。

 この演出に目を奪われる人には楽しめるかと思いますが、私は醒めてしまいました。その割には笑いの要素が多く、メフィストフェレス役の勝村政則についてはかなりコミカルな路線となっていて、幻想世界に没入させるようにはなっていないと感じます。しかも、私にはほとんど笑えませんでしたし。逆に、ファウストの葛藤や苦悩には、とってつけた感を否めませんでした。
 一番面白かったところは、長塚圭史が登場するパートでした。


 主なキャスト 野村萬斎 勝村政則 白井晃 木場勝己 長塚圭史
 シアターコクーンにて
posted by 行き先不詳 at 10:33| Comment(0) | TrackBack(1) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月22日

ドラマ24「モテキ」

 金曜深夜のテレビ東京で先週から放送開始の「モテキ」は、かなり面白くて、私の中で、今のところ最大の注目作です。脚本・監督は大根仁。

 私は原作のマンガのほうを読んだことがないのですが、そちらは完結しているようで、最終巻の第4巻が今年出たようです。原作者は女性みたいですが、非モテの男にモテ期が突如到来して…、といった話になってます。というか、第1話を観た限りでは、主人公の男はモテないと勘違いしているだけにも見えますけど。それは今後の展開を待つとして。

 森山未來が演じる主人公・藤本幸世は30歳間近の派遣社員。受け身で自信を喪失している男です。私のイメージする定義だと、草食系とはちょっと違うような気もしますけど、とにかく、自虐的で卑屈な饒舌モノローグがコミカルでたいへん楽しい。そんな彼に、何人かの知り合いの女性から、突然、一斉にメールや電話の誘いがくるのですが、それは過去の恋愛トラウマを思い出させる女性たちでもあるのです。そんな過去の顛末が振り返られながら、彼女らと再会を果たし、そこでどんな進展があるのか、というかんじ。

 第1話では、土井亜紀役として野波麻帆が登場しましたが、夏フェスで合流したときの過去エピソードは、おかしすぎて素晴らしかったです。各所でかなり笑いました。森山未來なればこそという面も多分にあるかと思います。非モテ感にしても、エロ方面も、生々しすぎないのも受け入れられやすいところでしょう。それに、音楽のこだわり具合も見所、聞き所かなと。

 今後の再会していく女性たちとして、満島ひかり、松本莉緒、菊地凛子らが出演してくるようです。 

 公式HPによると、テレビ東京以外では今のところ、テレビ北海道、テレビ愛知、テレビせとうち、TVQ九州放送、テレビ大阪、TeNYテレビ新潟、TVN奈良テレビ放送での放送となっているとのことです。
posted by 行き先不詳 at 22:42| Comment(0) | TrackBack(0) | TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「LOST シーズン4」

 全14話でしたが、中断をはさみながらようやく観終えました。
 
 今までは、島での生活に過去のドラマが挿入されるという構成でしたが、シーズン4になって、島を脱出した後の未来が挿入される形に変わりました。しかも、“オーシャニック6”だなんて呼ばれてて、6人だけが脱出しているようで、当然のことながら有名人になっています。ただ、彼らの中には戻ったことで精神のバランスを崩した者もいて、幸せになっているわけでもないのです。果たして、その6人以外はどうなったのか、どうやって脱出に至ったかが、少しずつ明らかになっていくという流れでした。

 シーズン4のラストも衝撃的と言えますし、ここまできて観るのを止めるつもりは今のところありません。ただ、目下の展開では、もっと短ければ、断然、大傑作だったろうに、という感想です。
posted by 行き先不詳 at 21:52| Comment(0) | TrackBack(0) | TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月20日

「ヴィヨンの妻」

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 私は原作は読んでないのですが、「ヴィヨンの妻」のほか、いくつかの短篇を元にしているようで、太宰治と思しき作家の妻を主人公にして、夫への愛情を描いています。モントリオール映画祭で根岸吉太郎監督が最優秀監督賞をとって話題になってたかと思います。

 夫がまるでダメな男で、生活力がなく、自己中心的で身勝手、卑屈で嫉妬深い、夫としても父親としてもサイテーな男です。どうして、こんな男に、ここまでできた妻がついていくのか、という疑問を抱かせます。作中、「大谷の小説なんかどこがいいのかしら」「タンポポの花一輪の誠実、あの人もっているのかしら」などと言っていて、才能に惚れてるのでも、最終的なところでの信頼があるわけでもなさそうなセリフです。彼女は、愛情も信頼も裏切られるにも関わらず、それでも支えていくのです。彼女の姿は凛としていて、包容力があって、活き活きとしていて、映画の中で魅力を放ってます。正直なところ、手放しで共感はできないし、十全に理解はできないものの、納得させられる力はあるかと思います。

 
 主なキャスト 松たか子 浅野忠信 室井滋 伊武雅刀 妻夫木聡 堤真一 広末涼子
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2010年07月19日

柿喰う客「Wannabe」

 「第17回BeSeTo演劇祭」の参加作品だそうで、本作では、日中韓の俳優が客演として参加するという企画になっています。

 約1時間の上演時間で、ほぼ全編が英語のセリフですが、そこに片言英語が交じったり、日本語のつぶやきがもれたりするところは笑いどころだったりします。

 寄宿舎みたいな家に学生らが暮らしているようで、そこにパーティをしようと集まった、国籍もいろいろな男女のやり取りが描かれます。

 英語のセリフで構成されてて、それも英語力のない日本人でもおおむね理解できる程度の英語なので、ボキャブラリーに制約があると思うんですが、それもそこで起こるコミュニケーションのかみ合ったり、合わなかったりする様として、演じられていきます。必ずしもディスコミュニケーションがテーマというわけでもないようで、もっと自然体な異文化間のコミュニケーションといった印象です。

 正直なところ、もう少し全体としての盛り上がりがほしかったところはありますが、本作では意図されていないのでしょう。


 作・演出 中屋敷法仁
 出演 イ・ウンセム イ・ソングォン チョン・ユンギョン ライ・ジャー ティエン・イーファン 須貝英
 コロ 玉置玲央 村上誠基 七味まゆ味 深谷由梨香
 アトリエ春風舎にて
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「ブリューゲル 版画の世界」Bunkamuraザ・ミュージアム

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 舞台の合間に時間があったので、まだはじまったばかりの「ブリューゲル 版画の世界」に足を運びました。

 ベルギー王立図書館所蔵のブリューゲルの版画を同時代の版画作品も含め約150点の展示となってます。どれもそれほど大きくないのと描写がかなり細かいので、かなり近寄らないと堪能できません。ですから、よほどすいてないと思うように観ることはできないので、時間がかかるのを覚悟したほうがよさそうです。昨日も込んではいませんでしたが、画の前で話がはずんでる人たちが多くて、もどかしいくらいに列が進むの遅く感じられました。

 私は、チラシにもあるような怪物などの奇抜な造形に惹かれたので「第2章 聖書の主題や宗教的な寓意を描く」が一番の好みで、帰り際に版画に出てくるキャラクターのフィギュアがガチャガチャで売ってて、買うか迷いました。
posted by 行き先不詳 at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

モダンスイマーズ「真夏の迷光とサイコ」

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 前日の「エネミイ」が個人的にはかなり好評だったので、同じ蓬莱竜太の作ともなれば、期待は高まりましたが、作品としての色合いはずいぶん違ってます。昨日の昼公演を観てきました。

 全面ガラス張りの屋敷に住む車椅子の女性(YOU)は、財閥の経営者だった親が事故で亡くなり金だけはいくらでもあるという境遇。わざわざ近隣から見えるようにして、執事やコック、医師のほか、彼氏役の男なんかも雇って、自分で付けた名前で呼んでいます。それから、その女性の弟がいて、彼は自分の出自に頼らず作家として名を挙げたいと考えているものの、なかなかうまくいきません。その弟が久しぶりに連絡を取ってきました。

 姉と弟のふたりが、同じ舞台上で交互にハッキリとした切り替えでもない形で場面転換が行われ、幻想的にも感じられるような見せ方で進行していきます。そこが仕掛けとして機能しているんでしょうが、わかりにくいところでもあり、おそらく、ちゃんとした話の構造を私は理解してないんじゃないかという気がしてます。

 空間の使い方や、生音を使用した音楽なども特徴的ではありますが、物語としては退屈であまり面白いとは思えませんでした。唯一、ピエールと呼ばれるコック(西條義将)が方言丸出しの素朴な男で、楽しかったところです。


 作・演出 蓬莱竜太
 出演 YOU 小椋毅 古山憲太郎 西條義将 古川悦史 松山愛佳 岡野真那美 山田貴之
 青山円形劇場にて 
posted by 行き先不詳 at 19:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

司馬遼太郎『竜馬がゆく 4』

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 大河ドラマ「龍馬伝」と並走しながら、幕末がらみの小説その他を読み進める計画でしたが、読書ペースが落ちまくってまして、辛うじて「竜馬がゆく」のみを追っかけてるところです。

 4巻では、海軍操練所、新選組の登場、八月十八日の政変、武市半平太らの投獄・切腹などとなってます。「龍馬伝」では岡田以蔵への苛酷な拷問が映像的で、言わば見せ場になってたかと思いますが、こちらはそこまで筆を費やしていないので、あっさりと進んだ印象です。

 あと、山内容堂の人物評も印象に残りましたが、武市半平太を罪状否認のまま切腹させたことが、「容堂の生涯の十字架になった」とあって、その後も悔恨になっていたとか。大河での近藤正臣の容堂像も強烈でオーバーラップしながら読んでました。


 いよいよ、龍馬の思想的な飛躍、人物としての大きさが感じ取れるような描写となってきた感じがします。
posted by 行き先不詳 at 18:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月18日

「エネミイ」

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 蓬莱竜太の新作を鈴木裕美が演出している本作、個人的には、今年観てる中でも、結構上位に来るんじゃないかという手応えをもって観てました。昨日の昼公演に足を運びました。


 裕福な家庭を思わせるリビング。30代の息子(高橋一生)と娘(高橋由美子)しかいないところに、父親の“同志”と名乗る男が2人押しかけてきます。勝手に上がられてしまうのですが、息子はいかにも草食系といった性格で、この後も、つい押し切られてしまうという場面が多用されます。彼はコンビニのバイトのかたわら、友人(粕谷吉洋)とネットゲームの副業をしています。

 娘は勝ち気なタイプで、横で何とか追い返せと言ってたり、アツくなって言い合ったりしはじめます。彼女は、ネットの結婚相談サイトで婚活中。
 
 対する、訪問客の瀬川(林隆三)と成本(瑳川哲朗)は強引というか傍若無人にふたりを振り回して、居座るのですが、成本の陽気で豪放磊落さがキャラ設定としては強烈ですし、それと娘がやり合うところが前半の面白さを担っていると思います。

 父親(高橋長英)が帰ってきて、学生運動をしていた当時の仲間らしきことがわかりますが、40年ぶりの再会も、戸惑ってあまり歓迎していない様子が窺われます。母親(梅沢昌代)は頓着せず、客としてもてなそうとするし、趣味のフラメンコで頭がいっぱいになっている。瀬川と成本はそのまま泊まることになりますが、今も活動を続けているようで、家族に波紋を生じさせ、父親は迷惑に思いながらも、はっきりと口に出せないでいて、互いに腹の探り合いをしているようにも見えるのです。

 この物語は、活動を続けている側でも、そこに見切りをつけた側でもなく、ハケン切りで今はコンビニのバイトをしている実家暮らしの31歳の息子の物語になっています。瀬川らからは、ハケン切りにあったときになぜ戦わなかったのかとか問われ、父親の仕事がどういうものだったのかを聞かされ、三里塚のイベントに誘われるなどがあり、他方で、父親からも瀬川らに関わるなと釘を刺され、揺さぶられます。

 彼は店長でもないのに、コンビニのシフトを組む仕事を任されていますが、それがどういう意味をもつのか、これからどうやって生きていこうとするのか、高橋一生がいかにも現代的な草食系な男として演じながら、その実、どのような葛藤があるのか、終盤に心情を不器用に吐露する場面には胸が詰まる思いを味わいました。素晴らしいです。

 登場人物それぞれの人物造形と立ち位置、互いの関係などについての認識度合いの違いなど、絶妙な配置となっていて、それを実現するキャスティングもそれぞれよかったです。若干残念に思ったのは、梅沢昌代のフラメンコの抜けのよさが、もっと爆発してほしかったところでしょうか。

 新国立劇場小劇場にて
posted by 行き先不詳 at 23:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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