2011年01月31日

「デュー・デート 出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断」

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 昨年の「ハングオーバー」は観てませんが、予告があまりに笑えたので、かなり観たくなっちゃいました。

 ロバート・ダウニー・Jr.が演じる主人公は、出産が近い妻の元に戻るため、アトランタからロサンゼルス行きの飛行機に乗るのですが、メチャクチャな男(ザック・ガリフィアナキス)との出会いにより状況が一変。俳優志望だというその男は、なにしろデリカシーがなく、粗野で下品、不潔な我が道をゆくタイプ。彼とほんのちょっと関わっただけで、彼もろとも飛行機の搭乗拒否の目に遭うというアクシデントに見舞われ、不本意ながら彼とアメリカ横断の旅へと出ることになるのです。

 うまくいかないふたりによるロードムービーではありますが、相棒のメチャクチャさに巻き込まれるところに笑いが生まれたり、主人公に待ち受ける屈辱的なトラブルに怒りを覚えたり。主人公も短気でキレやすいところがあり、多少、自業自得なところもあるのです。
 
 映画館では客席でしょっちゅう笑いが起こってましたし、ここっていうところでは相当おかしかったです。それに、コメディ一辺倒ではなくて、ふたりの関係が直線的でない形で変化していき、その間に、感情を揺さぶるようなドラマもちゃんとあったりして、めりはりがきいてると感じました。観終わった後、本作の予告を観たら、やっぱり面白そうでして、予告はとてもよくできてます。


 監督 トッド・フィリップス
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2011年01月30日

国分拓『ヤノマミ』

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 2009年に放送された元のNHKスペシャルは未見で、私は2010年正月のNHKのTV放談(千原ジュニアが司会の)で紹介されて存在を知った程度。で、この本が出てたのも気がつかず、昨年末の「本の雑誌」ほかで取り上げられていたのを見て、読みたくなったというところです。

 アマゾンのジャングルで文明から距離を置いて暮らしているヤノマミ族。彼らと長期間同居して取材したドキュメンタリー番組のディレクターによるルポルタージュです。

 彼らの文化や風俗が書かれているわけですが、完全に文明から隔絶されているわけではないものの、ほとんど手が入っていないことから、異文化という言葉では埋められないものがそこにはあります。

 NHKスペシャルでも、本書についてでも、重点を置いて紹介されるのが出産後の儀礼についてで、たしかにショックを受ける箇所ではあります。出産の立ち会いが実現したときの衝撃を受けた描写を引用すると
 自分の髪が逆立っているように感じられた。心臓が口からせり出しそうになるほど、激しい動悸も襲ってきた。そして、足が震えて、うまく歩くことができなかった。だが、僕たちは見なければならない。ここで見なければならない。僕は、それだけを唱え続けながら、震える足で森の中に立っていた。

 目撃したことの凄絶さは、こちら側の論理で安易な解釈を許さない大きさが感じられます。また、このことも含め取材として問い掛けても、なかには彼らが決して語らないことなどもあります。単純に言語化できないであろう、理解し得ないところをありのままに受け止めているところが、このルポルタージュで最も響くところでした。
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2011年01月29日

「十二夜」

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 シェイクスピアの喜劇を串田和美が潤色した本作、双子の兄妹の二役を演じる、松たか子が主演です。25日の夜公演を観ました。

 その兄妹が難破して離ればなれになり、それぞれがお互いを死んだものと思い込んでいる、という前段があります。そして、主に妹の方に焦点を当てて、物語は進行します。見知らぬ土地に来た妹は男装をして、シザーリオと名乗り、公爵(石丸幹二)に仕えているのですが、彼女は公爵に片想いをしています。また、その公爵も伯爵の令嬢(りょう)に恋をしていますが、こちらも片想い。なかなか相手にされないので、シザーリオを使いに出したところ、令嬢はシザーリオに一目惚れをしてしまって、片想い同志の三角関係となるのです。そこに、いたずらをされたり、だまされたりする人が噛ませ犬的に存在して、サイドストーリーとなっています。

 「十二夜」を観たのがはじめてなので、これがどの程度オリジナルに手を加えているのかがわからないのですが、私としては、この物語の中心となる筋が一番面白かったので、必ずしも成功していないのではないかと思ったところです。

 喜劇にしては、あまりおかしさを感じるところは少なかった気はしました。音楽劇としての部分については、祝祭的だったりアジール的な雰囲気もあったりして、楽しいところです。あと双子の再会はどうやって処理するのかと思ったら、意外というか、そのまんまというか、ちょっと肩透かしでした。松たか子の男女の二役はとても魅力的で、もっと観たかったくらいですけれど。


 作 シェイクスピア
 潤色・演出 串田和美
 主なキャスト 松たか子 石丸幹二 りょう 荻野目慶子 大森博史 真那胡敬二 酒向芳 内田紳一郎 片岡正二郎 目黒陽介 小春 つのだたかし 飯塚直子 片岡亀蔵 串田和美 笹野高史
 Bunkamuraシアターコクーンにて
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2011年01月28日

「歩いても歩いても」

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 これはかなりよかったです。2008年公開の是枝裕和監督作で、観よう観ようとは思ってたんですけど、機会を逃してました。この年は、ほかに「ぐるりのこと」や「おくりびと」といった大物がありましたが、この中ではこれが一番の好み。というくらい、よかった。

 といっても、実家に帰省する家族の話で、ストーリーがどうとかという作品ではありません。その家族の文化とか歴史、相関図的に見えてくる関係のあり方などが自然と伝わってきます。そんな中で、本音と建前とか、抑える感情や噴出する思いなどが、とてもリアルに描かれています。ことさらな劇的展開も、殺伐さとかドロドロしたものもなくても、ここまで面白いんだなと感じ入りました。

 冒頭の料理のシーンがかなり美味しそうですし、はじめの10分強でさりげなくも、主人公をめぐるほぼだいたいの状況が見て取れる手際も素晴らしいです。

 主人公の良多(阿部寛)は帰省することを億劫に思っていて、医者を引退した父親(原田芳雄)とはギクシャクしています。結婚した相手(夏川結衣)は死別した前夫との間に小学生の息子がいて、その息子は新しい父親である主人公を“良ちゃん”と呼んでいます。この結婚については表向き歓迎されていますが、裏ではそうでもありません。良多の兄が亡くなっていて、今でも影を落としている様子。姉夫婦(YOU、高橋和也)は実家を立て替えて二世帯住宅にしたいようです。

 それにしても、この作品では、なんといっても母親を演じる樹木希林です。ハッと息を呑むような、しかし、実在感のある人物。こういう人いるよなぁ、と思わせます。悪意ではないけれど、キツい一言をサラッと吐いたりして。あるいは、そこにユーモアもあるような。感嘆させられます。

 他方で、嫁のほうが、姑の嫌味っぽい言動や微妙に距離のある態度を、敏感に感じ取りますが、呑み込む思いや、ふっと漏れる不満に、また凄みがあります。
posted by 行き先不詳 at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月24日

葛川思潮社「浮標(ぶい)」

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 オープンしたばかりの神奈川芸術劇場での公演です。それと、葛河思潮社なる長塚圭史の新プロジェクトの第1回公演ということでもあります。22日の昼公演を観ました。

 重量級の公演で、ずしんとくる手応えでしたから、二日酔いで行ったのは、ちょっと失敗でした。内容も相当ですが、上演時間がほぼ4時間(途中10分ずつの休憩が2回)という長丁場でして、劇場で知ってから一瞬たじろぎました。正直、長いなと思った瞬間がなくもないんですが、長過ぎると思うような冗長さはなかったです。実際には咀嚼しきれていないのでもう一回観たいくらいです。

 戦時中、主人公の画家が重病の妻を看病していますが、当時不治の病である結核らしく、寝込んでいます。そんな彼らのところへ、金貸しや妻の身内、出征する友人、医師などが訪れます。生活費も苦しい中、仕事は行き詰まっていて、妻の母親とは財産がらみの問題でギクシャクしています。主人公は、妻のことを第一に考えていますが、病状が悪化していく一方であることに、ひどく焦っています。また、周りから孤絶するかのように追いつめられていきます。

 三好十郎自身をモデルにした主人公を演じる田中哲司が、熱演というにふさわしい激しさです。訪ねてくるほかの登場人物たちとの対話にはたいへん惹き込まれ、圧倒されました。潔癖な男で、深みにはまってしまっているような、空回りくらいにもがいている姿にも見えました。

 ステージを砂場みたいにしてて、シンプルですが、かなり印象に残る舞台美術になっています。そこが屋内であったり、浜辺であったり。両脇にイスが置かれていて、俳優がそこに掛けていました。ときどき姿を消して、着替えて登場したりとか。意味合いとか効果については、よくわかってませんけど。

 私は、三好十郎という人は名前を見かけるだけで、作品を観たこともなく、どんな人かも知りませんでしたが、今回、たいへん興味をもちました。神奈川芸術劇場は23日まででしたが、松本公演の後に、吉祥寺シアターでの上演となってます。


 作 三好十郎
 演出 長塚圭史
 出演 田中哲司 藤谷美紀 佐藤直子 大森南朋 安藤聖 峯村リエ 江口のりこ 遠山悠介 長塚圭史 中村ゆり 山本剛史 深貝大輔
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2011年01月23日

「ろくでなし啄木」

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 生誕50周年三谷幸喜大感謝祭とかいって、今年中に舞台が3本のほか映画や小説などもあるようですが、私も、少なくとも舞台について積極的に乗っていこうということで、まずは本作から。加えて、もう一回観ることにして、来月の銀河劇場での公演もチケット入手済みです。
 19日の夜公演を観てきました。

 だいたい、三谷幸喜と東京芸術劇場の芸術監督である野田秀樹との掛け合いによる上演前のアナウンスというところから、すっかりうれしくなる面白さでした。

 それはともかく、この作品は藤原竜也、中村勘太郎、吹石一恵の3人芝居。藤原竜也演じる石川啄木を中心に据えていますが、評伝劇ではなく、ある温泉旅行での一夜を描いて、立体的なドラマを作り出しています。笑えるところも多いのですが、コメディではないと三谷幸喜自身も強調しています。

 啄木と恋仲であるトミという女性(といっても啄木には別に妻子がいながらですが)、トミにふられながらふたりの世話を焼く気っ風のいい男・テツの3人で温泉宿に来ています。この一夜に起こっていく出来事の裏には、啄木のある画策があるのですが、啄木の思惑や行動については、『藪の中』(芥川龍之介)を思わせるような構成で、ほかの視点からの事実の開陳により再現されます。それが、謎を解く物語にもなっていると同時に、啄木のそれぞれ違った意味でのろくでなしぶりを表しています。同じ出来事が繰り返される場面については、説明的に感じるところも若干ありましたが、映像と違う演劇ならではの効果に面白さがあります。

 3人の中では、とりわけ中村勘太郎のはじけっぷりが楽しく、声色や演技のトーンも変化に富んでいました。


 東京芸術劇場中ホールにて
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誉田哲也『歌舞伎町セブン』

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 歌舞伎町を舞台にした伝説の自警団をめぐる話です。伝説といっても裏の世界の存在ですからタブーとなっていますし、歌舞伎町も変化が激しく、知ってる人自体が少なくなっているという現状もあります。そのため、“歌舞伎町セブン”とは何かがしばらく明らかにされない中、関わりのあったらしき人たちに危険が近づく、といった滑り出しです。

 地元の町会長みたいな人たちほか、今の歌舞伎町の人間たちがいて、過去のタブーがだんだん明らかになっていく前半は、面白かったです。

 ただ、“セブン”だとか“欠伸のリュウ”とかいったネーミングにちょっとノレませんでした。全体にリアリティをどれだけ感じさせるかはカギとなるかと思うんですが、後半の展開も軽くて、手応えがもっとほしかったです。
posted by 行き先不詳 at 22:54| Comment(0) | TrackBack(1) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ウッドストックがやってくる!」

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 ノンフィクション作品をアン・リー監督が映画化したようです。
 ミュージシャンには全くスポットが当たっておらず、町おこしものみたいな話です。小さな町にウッドストック・フェスティバルを呼ぶことになって、そこからの混乱、というか無秩序と化した狂乱に襲われる一瞬のような数日が描かれ、時代の熱とか空気を映し出しています。とても面白かったです。

 主人公となる男は、この町でさびれきったモーテルを経営する両親を援助しながら、商工会議所の代表みたいなこともやっていて、町の活性化のための方策にも頭を悩ませています。かなりふつうでまじめな男です。

 この男の母親が偏屈な人で、ごうつくババア。強烈なキャラなので、最も印象に残る登場人物かもしれません。息子がシーツを洗濯しようとすると、においを嗅いであのカップルはヤッてないからとシーツを元に戻させる、みたいな場面もあって笑えます。メチャクチャなホテルの運営をしてる張本人で、息子として仕方なく援助してきたところがあります。主人公が報われなさを覚えて、葛藤を抱えるところも出てきたりして、この話では、町や家族から解放されていく過程を描いているという側面もありました。

 この映画では、演奏シーンはないので、それを期待する向きには失望があるかもしれませんが、フェスティバル当日でのコントロール不能な状態になっている渦中を描いていることを考えれば、これでいいのではないかと思います。ライヴそのものに目を向けてしまうとブレてしまって、逆にバランスを乱したような気がします。
 若干の不満なところとしては、プロデューサーのマイケルのバックグラウンドをもっと見たかったかなというところです。
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2011年01月22日

「パンクオペラ 時計じかけのオレンジ」

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 小栗旬主演による舞台版です。17日の夜公演を観てきました。

 はっきりと把握していないのですが、パンフレットを読む限りでは、キューブリックの映画化に不満だった原作者が戯曲化していて、この舞台はその戯曲を元に、河原雅彦がアレンジを加えつつ、上演台本を仕上げたということのようです。どちらにしても、映画のほうはチェックしておいてよかったかんじではありました。

 悪いことをできないようにさせられてることよりも、悪を行う自由さのほうが尊重されるべきだという考え方が映画版よりもすんなりと入ってきました。ただ、ラストは蛇足にも思えます。それに、若さが原因ってのは、どうかと思いました。個人的には、もっと狂気じみた世界にして大暴れしてもらってもよかったかなと思いますが、十分楽しめましたのでよかったです。

 舞台全体の印象はとてもかっこよく、バックに移る映像や、生バンドによる音楽や振付もよかったです。


 原作・脚本 アンソニー・バージェス
 上演台本・演出 河原雅彦
 主なキャスト 小栗旬 橋本さとし 武田真治 高良健吾 山内圭哉 ムロツヨシ 矢崎広 桜木健一 今奈良孝行 上地春奈 石川禅 キムラ緑子 吉田鋼太郎 
 赤坂ACTシアターにて
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2011年01月21日

「Q10」をようやく観終わって

 2010年秋の連ドラでしたが、ようやく観終えました。
 木皿泉の脚本ということで、観はじめたというところです。設定だけを聞いて、あるいは初回を観て、ふるい落とされた人は少なくないと思います。町に落ちてたロボット(前田敦子)が校長に拾われ、主人公の男子高校生(佐藤健)がたまたま起動させたことから、高校生として学校に通わせることになるというのが発端でした。そのとき、Q10=キュートと名づけられます。

 一応、Q10が何のためにいるかといった理由や背景は明らかになるのですが、Q10が現れてからの対応にリアリティがありません。ストーリー展開の面白さを望む人には、捉えどころがなく感じられるのではないかと思います。また、学園ドラマだとすれば、クローズアップされる生徒が少ないでしょうし。それと、主人公がロボットのQ10を強く想う気持ちは説得力を欠いているように思われました。

 それでも、このドラマが魅力的だったのは、ベタベタしてない独特の世界観とか空気感で、それはさわやかさとも違っていて、淡々と日常を描きながら、その中に深さが落とし込まれているような、そういう手触りです。主要な登場人物たちを並列的に描いて、そこに無理矢理なドラマをもちこまず、力みのなさを感じます。

 それから、ロボット演技の前田敦子には、ずっとこれでいくのかなと心配しましたが、うまくハマってました。ほかのキャストでは、蓮佛美沙子、池松壮亮なんかの役どころが印象的でした。それから、細田よしひこがまたも強烈な役をやってて、なんかすごかったです。
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2011年01月20日

小泉喜美子『弁護側の証人』

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 これはかなりの積ん読でした。元々、読もうと思ったときには絶版で書店で手に入らず、古本を入手しておいてから、そのままになってました。そしたら2009年に復刊となったので、改めて買い直したと。こちらの解説は道尾秀介が書いています。

 犯人かもしれない男の妻が主人公。この夫婦は大会社の社長の道楽息子とストリッパーという組み合わせで、周りからは反対されているという状況です。そんな中、夫の父親である社長が殺害された事件が起こった日の出来事と、一審の判決が出た後に、主人公が有罪を覆すために弁護士や捜査を担当した刑事に解決を託そうとするのです。

 “弁護側の証人”が明らかになる章で、意外な事実が明らかになって、これには驚かされました。確かに感心はするのですが、私の読解力がないのか、最後に至っても、登場人物の(被害者の社長も含めて)考え方がいまいち腑に落ちず、もやもやした読後感が残ってます。
posted by 行き先不詳 at 23:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月16日

バンダラコンチャ セカンドアルバム公演「ちんけさんと大きな女たち」

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 ちんけさんと大きな女たち
 バンダラコンチャは近藤芳正が立ち上げたユニット。前回観たので、ちょっと迷ったのですが、足を運んでみました。

 40歳を目前にしたダメな男が、自分の足場を見直していくといった話。アルバイトをしながら売れない俳優を続けていますが、10歳年下の恋人に対しての態度などを反省したりする過程として、脳内対話ということなのか、夢想ということで、たくさんの女たちが何度も出てきて主人公自身を叱咤激励します。

 退屈はしなかったんですが、果たしてこれでいいのか的な隙があって、脱力するおかしさがありました。南海キャンディーズのしずちゃんの存在感も強力です。


 作・演出 近藤芳正
 出演 近藤芳正 黒谷友香 山崎静代 小高さなえ 荒井眞理子 磯西真喜 穴田有里 桜乃まゆこ 田島ゆみか 鮎河ナオミ 浜崎茜
 1月15日夜の部
 青山円形劇場にて
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「わが町」

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 「わが町」ばかりでなく、ソーントン・ワイルダー作品はこれがはじめて。やたらと見かける名前のような気がしてはいましたが、ここでようやく。

 この作品は1938年にブロードウェイで初演、ということが意外に思えるくらい、とても現代的な演劇と思えました。舞台監督という役が常に舞台上にいて、語り部的な役割を超えた存在です。舞台を支配しているといった立ち位置で、そのことも含めて、虚構であることを強く意識させてます。

 アメリカの何てことのない日常的なところから死者の視点に移ることによって、ニヒリスティックとも取れるし、今という一瞬を大切にせよというメッセージにも取れるようにも感じました。

 ただ、私のアンテナが鈍いのか、そこまで深い作品だという手応えが第3幕に至っても受け取れず、期待値が高過ぎたのかと思った次第です。

 作 ソーントン・ワイルダー
 演出 宮田慶子
 主なキャスト 小堺一機 斉藤由貴 相島一之 鷲尾真知子 佐藤正宏 中村倫也 佃井皆美 山本亨
 ピアノ演奏 稲本響
 1月15日昼
 新国立劇場中劇場にて
posted by 行き先不詳 at 22:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ノルウェイの森」

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 トラン・アン・ユン監督による映画化。

 ワタナベ:松山ケンイチ 
 直子:菊地凛子
 緑:水原希子
 レイコさん:霧島れいか
 永沢さん:玉山鉄二
 キズキ:高良健吾
 ハツミさん:初音映莉子
 突撃隊:柄本時生
 といったキャスティングです。

 直前にも読み直したりして臨んだせいか、原作との違いにばかり目がいってしまって、退屈はしなかったものの、映画として面白いのかどうかはわからなくなってます。私は、ふだん原作との比較をして、ケチをつけるのをあまり快く思わないほうですが、今回はすっかりそればっかりになってしまいました。

 とりわけレイコさんの扱いがひどいんじゃないかと思います。キャラクターとして活かされてない上に、最後になって唐突に、ワタナベと寝ることを要求するんじゃ、何だよこの人は、ってかんじじゃないですか。それに、あれだけだとタイトルが「ノルウェイの森」であることにほとんど意味を見出せないです。

 それから、これは悪いとは言えないですが、ユーモアがほとんど抜け落ちています。たとえば、ワタナベと緑の会話で、小説では
 「ねえ、ワタナベ君。私が今何をしたがっているかわかる?」
 「さあね。想像もつかないね」
 「広いふかふかとしたベッドに横になりたいの、まず」と緑は言った。「すごく気持ちがよくて酔払っていて、まわりにはロバのウンコなんて全然なくて、となりにはあなたが寝ているの。そしてちょっとずつ私の服を脱がせるの。すごくやさしく。お母さんが小さな子供の服を脱がせるときみたいに、そっと」
 「ふむ」と僕は言った。
 「私途中まで気持ち良いなあと思ってぼんやりとしてるの。でもね、ほら、ふと我に返って『だめよ、ワタナベ君!』って叫ぶの。『私ワタナベ君のこと好きだけど、私には他につきあってる人がいるし、そんなことできないの。私そういうのけっこう堅いのよ。だからやめて、お願い』って言うの。でもあなたやめないの」
 「やめるよ、僕は」
 「知ってるわよ。でもこれは幻想シーンなの。だからこれはこれでいいのよ」と緑は言った。「そして私にばっちり見せつけるのよ、あれを。そそり立ったのを。私すぐ目を伏せるんだけど、それでもちらっと見えちゃうのよね。そして言うの、『駄目よ、本当に駄目、そんなに大きくて固いのとても入らないわ』って」
 「そんなに大きくないよ。普通だよ」
 「いいのよ、べつに。幻想なんだから。するとね、あなたはすごく哀しそうな顔をするの。そして私、可哀そうだから慰めてあげるの。よしよし、可哀そうにって」
 「それがつまり君が今やりたいことなの?」
 「そうよ」
 「やれやれ」と僕は言った。


 すごく長くなっちゃいましたけど、書き起こしながらバカだなと笑えました。これが映画だと、ワタナベの応答がなく、一方的に緑がエロい発言をしているだけなので、まるで印象が違ってきます。なんか残念な気がします。映画では、小説ほどには、緑の生きてることの潑溂さを感じませんでした。少なくとも脚本上は。

 あとは箇条書き的に。
 全体的に恋愛要素を強調させていて、これは映画化の上ではいいとも悪いともいえないところでしょうか。
 学生運動の映像としての強さと、政治的なものとの距離感がサラッと印象付けられていて、ここはよかったかなと。
 松山ケンイチを観て、こんな顔もするんだと、表情とかではなく、佇まいのようなものが独特で、よかったと思いました。菊地凛子は、直子っぽくないと思ってましたが、ささやくような声色で、ふだんとは違う雰囲気なのは間違いありませんでした。
 ワタナベのしゃべり方がセリフとして発せられると本当に変わってるのが実感されて面白かった。
 映像そのものは印象的なところが多く、セリフや動きのないショットをつなぐとか、顔のアップ、長回しなど、あと、幻想的なほどに美しい部分と生々しさが入り混じったところとか。
 突撃隊がほぼどうでもいい役になってたのは仕方がないとしても、永沢さんのパーソナリティとワタナベと行動をともにすることの裏付けはもう少し描いてほしかった。
posted by 行き先不詳 at 22:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする