2011年07月31日

「ぼくのエリ」

 昨年話題になってたスウェーデン映画です。
 
 ホラーということになるのかもしれませんが、オスカーという少年が出会うエリという不思議な子との話で、ホラー的でありながら、詩的でもあるという世界観です。北欧の静かで透明感のある映像と、地続きの世界で起こる非現実的な出来事との絶妙さが素晴らしいです。
 
 ただ、背景の設定上でよくわからない部分もあるので、十分、楽しめてないところはあるんだろうと思います。

 ハリウッド版の「モールス」が近々公開予定で、こちらはこちらで楽しみです。


 監督 トーマス・アルフレッドソン
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2011年07月26日

阿佐ヶ谷スパイダース「荒野に立つ」

 今回は「ベッジ・パードン」を昼に観て、せっかくだから夜も三軒茶屋で済ましちゃおうということで、当日券を購入しました。
 
 公演パンフレットの舞台監督の言葉として「ついに圭史、気が狂ったのかと思ったよ」、あるいは、インタビュー欄で中山祐一朗の「僕や伊達は、『圭史が狂ったんじゃないか?』という根本のところから疑わなければならないわけで…」などと書かれてあって、開演前からコレはかなりイッちゃってるのかと構えるほどでした。とにかく、留学前あたりからの作風の変貌ぶりがスゴいですからね。

 それで、冒頭などはト書きともつかないセリフを安藤聖が語ってるのですが、ト書きというよりは小説がそこで生成しているような感触がありました。時間も空間も行動の目的も記憶も人物の同一性も揺らぐような内容でありながら、難解と言えば難解なんでしょうが、面白さがそこにはありました。それに、ユーモアもあって、かなり楽しめましたし。

 今月いっぱいの公演中なので、もう一回観るかを検討中です。


 作・演出 長塚圭史
 出演 安藤聖 川村紗也 黒木華 斉藤めぐみ 佐藤みゆき 伊達暁 中村まこと 中村ゆり 中山祐一朗 長塚圭史 初音映莉子 平栗あつみ 福田転球 水野小論 横田栄司
 7月21日夜
 シアタートラム
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シス・カンパニー公演「ベッジ・パードン」

 三谷幸喜の新作舞台はこれが今年3本目です。本作は、夏目漱石のロンドン留学時にノイローゼになってしまう一件をラブストーリーを織り込んで描いています。ある程度は実際にあった設定から出発しているようですが、どのくらい事実に即しているのかはよくわかりません。

 夏目漱石(野村萬斎)が恋する相手は、下宿先の女中(深津絵里)で、かなり訛りがきつくて、「アイ ベッグ ユア パードン?」という言葉が「ベッジ パードン?」に聞こえるところから、ベッジというあだ名を付けるのですが、これがタイトルになっています。

 深津絵里もかなり作り込んだキャラクターで魅力的ですし、同じく下宿している日本人役の大泉洋も、活き活きとしていて面白いのですが、何といっても浅野和之でして、11役を振られていて、早替わりも含めて、次から次へと異なる人物として登場して、全体の中でもかなり強烈に記憶に残る役回りでした。


 作・演出 三谷幸喜
 出演 野村萬斎 深津絵里 大泉洋 浦井健治 浅野和之
 7月21日昼の部 
 世田谷パブリックシアター
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「君に届け」

 人気少女マンガを熊澤尚人監督が映画化。昨年の公開でした。私は、原作は全く読んでないので、どのくらい原作と違ってるのかは知りませんが、私は結構楽しめました。

 多部未華子と三浦春馬が主演で、高校生の初恋と友情がさわやかに描かれてるといったところですが、多部未華子のほうがかなり特徴あるキャラクターです。人の嫌がることでも進んでやるような、ひたむきで真面目な性格ながら、陰気で周りと打ち解けず、長い黒髪とこわばった表情が「リング」の貞子と似ていて、気味悪がられています。ほとんどイジメに近いくらいなのに、本人はそういう意識なく、受け入れている(諦めている)のです。そして、この主人公のひたむきに惹かれてしまうのが、人気のある男子というわけでして、この男がさわやか過ぎる。“さわやかからできている”というセリフがあるくらい。

 とくに序盤は、“貞子”として戯画化されたキャラクター造形で、若干のやり過ぎ感のあるくらいコミカルな描写です。にも関わらず、風早(三浦春馬)からは気になる存在となってます。とはいえ、せっかくできた友だちでさえ、迷惑が掛かるからと自ら身を引いて孤立を甘んじようとするほどで、なかなか進展はしません。その友だちとは、気持ちをぶつけ合う中で、関係を築いていくのですが、そこから両想いについても、想いは届くのか、ということになっていくのです。で、やっぱり全体にさわやかに終始します。甘過ぎると感じる向きもあるかもしれませんが、面白く観ました。

 主要なキャストのうち、蓮佛美沙子とARATA(原作にはあるのか、裏設定がありそうな関係性)が印象的で、とくにARATAの方が、快活でがさつなくらいさっぱりしてて、今までこういうタイプの役柄を演ってるのを観たことがなく新鮮でした。
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杉山登志郎『発達障害の子どもたち』

 先日『発達障害に気づかない大人たち』を読んだこともあって、もう少し固めの内容のものを選んでみました。

 手応えとしてはこちらのほうが理解が深まった気がして、読んでよかったです。きっと、これいい本なんだろうなというのが伝わってきます。ただ、精神疾患でもそうですが、発達障害の個々の違いについては、くっきりと色分けした整理ができないので、わかったようなわからないような部分が出てきちゃいます。これは致し方のないところでしょうけれど。

 一読だけではなく、ほかの本にも当たったりしながら、これに戻ってくるみたいな使い方をするような1冊かもしれません。
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2011年07月25日

池上正樹『ドキュメント ひきこもり』

 最近、小説を読みはじめても挫折することが多かった中で、手に取った1冊です。
 
 2010年7月刊行の宝島新書。奥付によると、著者は通信社勤務を経てフリーのジャーナリストとして独立したとあります。

 副題に、「長期化」と「高年齢化」の実態、とあるように、昨今の傾向からひきこもりの現状を具体例を交えて迫り、イメージとのギャップを解説しているといった内容です。

 著者が強調してるのは、ひきこもっている人は、かなりの割合で精神疾患や発達障害なのであって、怠け者的イメージが強いことは、実態に合っていないということでした。また、ホームレスについても同様で、言わば“路上にひきこもる人たち”という捉え方を紹介しています。

 内容や主張に乗り切れない部分もありますが、少なくともステレオタイプのひきこもり像は脱しておいたほうがいいんだろうなとは思いました。
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2011年07月24日

「ハングオーバー!!史上最悪の二日酔い、国境を越える」

 ところどころで笑う場面はありましたが、個人的にはやや期待外れでした。劇場がかなり空いていて、コメディを楽しむ環境としてはアウェーだったかもしれません。六本木では無修正版がかかってるということでしたが、最寄りのシネコンで観ました。
 
 今回は、アラン(ザック・ガリフィアナキス)の変人キャラが行き過ぎて笑えないくらいまでになってて、ちょっと引いちゃった感じです。シリーズ前作は一夜明けたところのシュールな光景に新鮮味がありましたが、今回は二番煎じという宿命からかオーバーになってるところが作品世界内のリアリティを振り切っちゃってる気がしました。それに、テディの指はコメディだからといって許容できる流れではなかった、というか、意味がわからないくらいでした。
 
 果たして、次はアランの結婚前夜なのでしょうか?

 監督 トッド・フィリップス
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「ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」

 現在第2弾が劇場上映中で、それがきっかけではありますが、今年「デュー・デート」を観たときに「ハングオーバー!」を早く観たいなぁと思っていたわけで、ここまで経ってしまったという感じ。

 話の大筋はすでに知ってしまっていましたが、笑える部分よりも話の運びに面白さを感じました。独身パーティを一夜明けた後のシュールなほどの惨状にも関わらず、ひどい二日酔いで記憶がなく、肝心の挙式を控えた花婿は行方不明。この謎がちゃんと解明されるのですが、このバカバカしさが素晴らしいです。


 監督 トッド・フィリップス
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「リンダ リンダ リンダ」

 同じ山下敦弘監督の「マイ・バック・ページ」きっかけでして、そういえばアレ観ようと思ってたんだよなぁ、といったところです(「マイ・バック・ページ」のほうは行けなかったんですけども)。

 2005年の公開で、高校の軽音楽部でバンドをやってる女子たちを描いた青春映画。文化祭で演奏する予定だったのに、ちょっとしたゴタゴタとかもあって、別のメンバーを引き入れ、ブルーハーツのコピーをすることに変更します。別のメンバーというのがペ・ドゥナ演じる韓国人留学生でボーカルを担当することになるのですが、突然の指名にうっかり承諾しちゃった形。別にうまいわけでもないのですが、熱心に練習をするのです。

 最初のそのゴタゴタが、いったい何が起こったのかがだんだんとわかってきて、結局違ったメンバーを採用するまでの立ち上がりなんかが、面白かったです。そこで言わば周りを振り回しているのが香椎由宇が演じる恵ですが、気が強くも不安定さを見せて光ってます。

 はじめは全然ダメそうなのに上達していくわけですが、最後の最後までかなり焦れったくさせてからの「リンダ リンダ リンダ」です。かなり気持ちのいい後味でした。
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2011年07月21日

誉田哲也『感染遊戯』

 姫川玲子シリーズと言っていいのか、その最新作ということになりますが、前作でこのシリーズの大きな転換点を迎えての本作とも言え、どうやらまだまだいろんな展開を見せるんだなと予感させる一作でした。ということで本作は、今までのシリーズを知らずに読む作品ではないという気がするところではあります。今回は、ガンテツこと勝俣健作が主人公の趣きで、姫川は脇役として出てくる程度でした。連作短篇集なのかなと思わせといての長篇小説です。

 連鎖的に起こる殺人事件の背景に、官僚組織への制裁だったり復讐というものが見えてくるということなんですが、時事ネタを含んだところもあって、とても小説として危ういところを狙ってるなぁという感想です。途中までは独立した章立てで読めるのですが、私は、倉田の章が一番好きでした。
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2011年07月20日

北村明子『だから演劇は面白い!』

 2009年に刊行された小学館101新書。著者は、シス・カンパニーの社長で、“No.1演劇プロデューサー”によるビジネス書でもあり、演劇への情熱を語っている本でもあります。

 私は、シス・カンパニーの立ち上げの経緯なども全く知らないままに、面白そうな公演ということで、意外とほとんど観ていて、ある種のブランドのようにして名前を覚えていく形になっています。

 シス・カンパニー公演について、当ブログで書きはじめてからでも
 「父帰る/屋上の狂人
 「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?
 「獏のゆりかご
 「禿禿祭
 「写楽考
 「ロマンス
 「瞼の母
 「人形の家
 「夜の来訪者
 「楽屋〜流れ去るものはやがてなつかしき〜
 「怪談 牡丹燈籠
 「バンデラスと憂鬱な珈琲
 「えれがんす
 「2人の夫とわたしの事情
 「叔母との旅
 「大人は、かく戦えり
 「トップ・ガールズ
 といったところ。

 買えずに諦めた公演もあったので、ほとんどの企画は観たくなるということになっているようです。これって、なかなかすごいことです。しかも、シス・カンパニー公演だったんだって今回意識したものもあるくらいですから。

 それで、この本では、「夢の遊眠社」と「NODA・MAP」、そして独立した「シス・カンパニー」でのマネジメントの考え方やプロデューサーとしての仕事の取り組み方などが具体的に綴られていて、裏話的なところも含めて、とても興味深いものがありました。若干、自慢話めいて聞こえる箇所があるのが難点といえなくもないですけど、それだけ裏方での実績があっての自負によるものなのでありましょう。


 いくつか、印象深いところを最後に。

 NODA・MAPになって劇団員以外の俳優をキャスティングする上で、テレビ嫌いな野田秀樹に気になった役者をプレゼンテーションする場所としてワークショップを利用したという話。

 親しかったりお世話になったプロデューサーなどからもらった仕事でも、あくまで役者のためにならない、と判断したら、断るという話。ビジネスとしてシビアに考えている部分ですが、マネージャーに対しても「この業界で友だちをつくろうと思うな」と指導しているとか。営業の目的は人間関係を築くことじゃなくて、役者の利益を考えることだということで。

 それから、マネージャーの仕事は営業なんだから、現場に張り付いているようではダメだとか。

 堤真一をテレビドラマで主演させない理由など、長い役者人生を考えた中での戦略ということについて。
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2011年07月18日

6月〜7月半ばに観た舞台より

 ここんところの更新頻度はかなりひどいことになってまして、舞台については1ヶ月半分溜まってしまってるありさまです。

 TOKYO PLAYERS COLLECTION「IN HER TWENTIES」
 劇団競泳水着の上野友之の立ち上げたユニットの新作でした。これは企画の力が素晴らしく、気軽に観られるなら、繰り返し観たくなるような楽しさです。アイディアの勝利という気がしました。一人の女性の20代の10年間を10人の小劇場周りの女優たちがそれぞれ1歳分ずつの人格として演じています。一人語りの部分も多いですが、ガールズトークっぽいシーンがとりわけ好きです。
 脚本・構成・演出 上野友之
 王子小劇場



 ナイロン100℃「黒い十人の女」
 たまたま、TOKYO PLAYERS COLLECTIONと同じ日に観たのですが、まさか10人の女つながりになるとは、と開演前になって気づきました。こちらは、市川崑監督の同名映画を舞台化したもの。最前列の超至近距離で観てましたが、全くの私だけの感想になりますが、隣りの席の女性がすごく反応よく嫌みでない笑い声をあげていて、横にいて幸福な気持ちになってしまいました。ただ、それでも後半の展開はやはり不条理に過ぎるようにも思えたところです。
 オリジナル脚本 和田夏十
 上演台本・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 青山円形劇場



 劇団チョコレートケーキ「裁きの日」
 「十二人の怒れる男」と2本立てで上演されていましたが、オリジナルの本作のみ観ました。死刑判決を扱う裁判員裁判を題材にしていますが、小手先でなく、真摯な姿勢を感じました。はじめのうちは、これが、ある意見を表明するようなものだったら、やだなぁとか思ったんですけど、杞憂でした。ただ、客席からは顔が全然見えない人がいるので、多少のフラストレーションがあったかなと。
 作 古川健
 演出 日澤雄介
 Gallery LE DECO 5F



 国分寺大人倶楽部「リミックス2」
 国分寺大人倶楽部は今回がはじめて。過去作を短篇に仕上げたリミックス作品で、初心者にはよかったです。
 脚本・演出 河西裕介
 王子小劇場



 渡辺源四郎商店工藤支店「桃色淑女」
 虚構の劇団の三上陽永が客演でした。タイトルがピンクレディから来ているように、アイドルを素材にしています。引退した元アイドル・グループとアイドルを目指す高校生の話が主要な軸になっていて、女性と男性の役ですが、同じ出演者が演じていて、それぞれに共通したエピソードが提示されます。
 作・演出 工藤千夏 
 アトリエ春風舎



 「モリー・スウィーニー」
 アイルランドの劇作家であるブライアン・フリールの戯曲を谷賢一が演出。南果歩がモリー役の女性で、盲目の女性。その夫役が小林顕作、医師役に相島一之。
 モリーは全盲ではなく光を感じることができるので、手術をすれば視力が回復する可能性もあるのですが、実のところ視力がないとはいえ彼女はすでに充たされていました。視力を回復することで得るものと失うものがあるのです。
 それぞれが独白調に進行するのが特徴です。ただ、最も印象に残るのは、これはどのくらい演出によるものかと思うほどに、小林顕作のはっちゃけぶりで、バランスを乱しているようでいて、一番面白いところだったので、私としてはこれがなかったら全く違った作品として受け取っていただろうくらいのインパクトでした。面白かったです。
 シアタートラム



 「確率論」
 岡田あがさと須貝英の二人芝居。数学を題材にしていて、小説家と数学者が登場人物です。数学ネタが散りばめられているのですが、知ってるものだと、あぁコレかとか思ってしまって、個人的にはそれほど刺激的に感じない面はありました。
 脚本 三宅伸行
 演出 倉本朋幸
 SPACE雑遊



 「雨」
 井上ひさしの戯曲で、初演は1976年だということです。演出は栗山民也、主演は市川亀治郎と永作博美。前半は、なりすましコメディのような設定で、行方知れずになっている問屋の当主と間違われたことをきっかけに、山形まで出向いていくことになります。ただ、本人ははじめのうちは、自重していて乗り気ではなかったという点は重要かなと。間違われ続けている中で、言葉も商売もわからないところから努力を重ねて、すっかり当主としての地位を自分のものとし、自らの出自の証を消していくのですが、そこには落とし穴が…。ミステリ的には、若干アンフェアな気もしましたが、終盤の展開は凄みがありました。とりわけ、市川亀治郎が素晴らしかったです。
 新国立劇場 中劇場



 芸劇eyes番外編「20年安泰。」
 小劇場で活躍している5組の劇団の競演という企画。ロロ、範宙遊泳、ジエン社、バナナ学園純情乙女組、マームとジプシーの5組でした。このうち、私はロロと範宙遊泳以外は初見でしたが、とにかくやっぱり何といっても、バナナ学園純情乙女組のインパクトに持ってかれてしまいました。本当に本当なら、服が濡れるとか汚れるとか気にせずに、もっと一体感をもって体験したいという気もしました。次回の公演も観てみたくなりました。
 水天宮ピット 大スタジオ



 ハイバイ特殊公演「七つのおいのり」
 劇団員がひとりずつ短篇を作・演出したという7作品です。それでも、どれも面白かったですし、テイストも全体的に統一感があったように思います。相当笑いました。
 アトリエヘリコプター


 コロブチカ「2」
 「確率論」に続いて、2週連続の二人芝居だということでしたが、こちらは3作品の短篇でした。
 「来週は桶狭間の合戦」作・演出 中屋敷法仁 出演 コロ 堀越涼
 「グッドフェローズ」作 竹内佑 演出・出演 浅見紘至 伊与勢我無
 「sweet motion」作・演出 コロ 出演 右手愛美 大杉亜依里
 SPACE雑遊



 ウーマンリブ「SAD SONG FOR UGLY DAUGHTER」
 今回は老舗の和菓子屋が舞台のホームドラマでした。5年ぶりに出て行った娘(宮崎あおい)が、親子ほど歳の離れた恋人(岩松了)を連れて帰ってきます。この恋人にはマネージャー(少路勇介)がついてきていますが、何が本職かはよくわからないところのある人。職人である父親は松尾スズキが演じていて、全く対照的な人物像として登場しますが、それもしだいに変わっていきます。母親は死別していて、後妻(宍戸美和公)とその連れ子(矢本悠馬)がいます。ほかに、職人の弟子(田辺誠一)。それからそれから、連れ子である弟は引きこもりで、その部屋に荒川良々演じる近未来人がタイムトラベルしてやってきているというのもあったりで、全体としては、どういう話かをまとめにくいのですが、かなり面白かったです。
 途中で歌われる「正当防衛」が最高でした。
 作・演出 宮藤官九郎



 サンプル「ゲヘナにて」
 岸田戯曲賞受賞後はじめての作品に、こういう作品をもってくるんだということに潔さを感じました。個々のシーンは不可解とかつまらないということではないのに、全体としてこれは何なのか、ということがやっぱりわかりません。かといって、私にかぎっては、そもそもわかりそうもないので、謎を解こうとかいうふうに思考が向かわず、これ以上理解が深まることはなさそうです。地獄ということがモチーフのひとつとしてあるようですが、ヒエロニムス・ボスの絵画を連想しました。
 作・演出 松井周
 三鷹市芸術文化センター 星のホール

 

 はえぎわ「○○トアル風景」
 はえぎわは今回が2回目ですが、前回公演のアプローチの延長線上にある作品のようで、観といてよかったとか思いました。前回より、感動しちゃいましたし。壁面と床が黒板になっていて、チョークで絵を書いて、見立てを連続して展開させていくプロローグから惹き込まれました。随所に演劇ならではの表現があって、そこそこのシュール感も含めて面白かったです。
 作・演出 ノゾエ征爾
 ザ・スズナリ



 「血の婚礼」
 シアターコクーンが改修中のため、にしすがも創造舎で「Bunkamura大規模修繕劇団」旗揚げ公演としての本作です。主演は窪塚洋介。舞台上にほとんどずっと強い雨を降らせて、その下で激しい演技のぶつかり合いがあるようなアングラ感のある作品でした。ガルシア・ロルカ「血の婚礼」を日本に引き写したものだということです。
 作 清水邦夫
 演出 蜷川幸雄



 ハイリンド「牡丹燈籠」
 すっかり演劇にするのではなく、落語だという成り立ちも残した上で演劇として創り上げていて、メリハリが効いていて、かなり素晴らしかったです。とくに孝助を中心にした因縁の物語として整理されていて、本作の見通しがよくなった気がしました。
 作 三遊亭円朝
 構成・演出 西沢栄治
 日暮里d−倉庫
posted by 行き先不詳 at 20:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月02日

「鈴木先生」終

 ここ数年の連ドラの中でも、最終回をこれだけ楽しみにして観たのは覚えがないくらいのことでした。
 といっても、春の連ドラは前にも書いたように、「鈴木先生」と「生まれる。」のみでしたが。

 同名マンガが原作の本作ですが、私はそちらを読んでないもんで、違いがわからないんですが、ドラマでは、鈴木先生が生徒たちから糾弾されるかもしれないクラス会議が夏休み中の登校日に開催されることになったところでの最終回でした。

 最終回を観終わって、第1回から何回かを観直してみると、まず、生徒たちのキャラクターがよく頭に入ってきていることもあって、いろいろと発見するところもあったのですが、それ以上に、このドラマの意図が全体の構成にも表れていることがわかりました。


 鈴木先生は教育論の実践として、ふつうの生徒や優等生たちばかりでは活気のあるクラスにならないという常識に挑戦しようという目論みがあります。自由闊達な議論を通して、生徒が自ら気づき学んでいくよう教師が導くことで、クラスの意識改革をしていくというものです。

 そして、そのこと自体が最終回へと跳ね返って教師自身にも鋭く刺さると同時に、だからこそ本当の成果がそこで試されるという流れになっていて、素晴らしかったです。

 子どもたちの議論ということで「ブタがいた教室」を想起しましたが、あちらは議論の行方を子どもたちに任せっぱなしにしている上、教師自身に見識が見られない点が私の不満点ですが、そういう意味では鈴木先生の面白さは対照的です。ただ、もっと他愛のない問題について、真剣に討論をしてもよかった気がして、テーマ設定が観る人を選んでしまう面は否めないと思いました。それに、夏休み中で終わってることもあって、ぜひとも続編を期待したい(視聴率はかなり悪いようですが)。


 ふつうの生徒や優等生ばかりでも活気のあるクラスという部分は、学園ドラマとしても妥当するものとも取れ、一見、問題児がいなくて刺激的な事件がほとんど起こらなくても、面白いドラマは作れるんだという試みを見た思いです。
 
 それから、脇を固める教師役の俳優たちが魅力的でした。精神的に追いつめられてしまう教師も出てきますが、ああいう教師像も現代的であろうし、ドラマにはあまり出てこないのかもなと。
posted by 行き先不詳 at 14:05| Comment(0) | TrackBack(0) | TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

6月に観た映画より

 DVDに続いて、映画もサラッと書いておきます。

 「奇跡」
 是枝裕和監督作。子どもが主人公という点では、「誰も知らない」を連想させますし、私にとっては「歩いても歩いても」の記憶がまだ新しく脇役陣のキャストから思い出しましたが、作品のテイストはいずれとも違っているかと思います。

 小学生兄弟の漫才コンビ、まえだまえだが主人公を演じています。離婚した父親と母親の元に別れた兄弟が、福岡と鹿児島でそれぞれの暮らしをはじめていて、それなりになじんでいるし、楽しんでもいる、その生活ぶりが描かれます。物語としては、九州新幹線の一番列車がすれ違う瞬間に願いが叶うという奇跡を信じて、兄弟とそれぞれの友だちが熊本へ合流して、その瞬間を見ようとするという冒険に向かっていきます。

 鹿児島にいる兄は、母親が大塚寧々、祖父が橋爪功、祖母が樹木希林、福岡の弟はオダギリジョーの父親のところにいます。兄からすると、また家族いっしょに戻りたいと思っているんですが、弟にしてみれば喧嘩が絶えなかった両親との生活を必ずしも望んでいない部分もあるのです。両方とも楽しんでいるところもあり、深刻な問題も別にないし、ほんわかとしたテイストです。ミュージシャンの父と父子家庭となっているだけあって、養育環境として若干の問題もありそうですが、幸せそうですし、ちゃんと育っていくように思えます。

 子どもたちがちゃんと中心に据え置かれていながら、脇役の布陣がぜいたくです。



 「SUPER8/スーパーエイト」
 すいません。思いのほかスピルバーグの作品って観てないんだよなぁと意識させられました。J.J.エイブラムス(監督・脚本)のスピルバーグ(製作)へのオマージュを抜きには語れないとするならば、「グーニーズ」や「未知との遭遇」「宇宙戦争」といずれも観てないのは、どうだったかなとか思ったりもして。

 また、それに「ET」は観ましたが、その頃の私は、どこがいいのかもよくわからなかったところもあり、本作の子どもを描いている部分がたいへん魅力的に映ったので、今なら面白いって思うのかなとも感じたりしました。

 あぁ、ということで、私は多いに満足いたしました。もう上記の作品をチェックして、再度観に行くこともありそうなくらいです。ただ、エンドロールで印象がグイッと上がったことは確かです。



 「 127時間」
 監督はダニー・ボイル、主演はジェームズ・フランコ。実話を元にしたものだとか。

 ブルー・ジョン・キャニオンっていうユタ州にある峡谷で、主人公が自分の庭のごとく広々とした自然の地形を満喫して、クライミングやらマウンテンバイクで走り回ったりしています。そんなときに、崖の隙間に腕を挟まれて身動きができない状態に陥ってしまうことに。誰にも行き先を告げていないこと、周りに人が通りかかることはまず期待できないこと、食料や水がすぐにでも尽きてしまいそうなこと、また、挟まれた腕の感覚がなくなってしまっていること、などなど…。とにかく、とんでもないことになっちゃいました。
 極限状況の渦中、いろいろと振り返ることで、主人公自身が生き方を見つめ直し、そして大きな決断をするに至るのです。

 おそらく後々まで記憶に残るタイプの映画でした。
posted by 行き先不詳 at 13:55| Comment(1) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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