2011年10月24日

四つ子「四つ子の宇宙」

 ハイバイの岩井秀人、毛皮族の江本純子、五反田団の前田司郎、サンプルの松井周が作・演出・出演の新ユニット(ただし、継続するかは不明のようですが)の公演ということで、何はなくともまずは観ておきたくて、足を運びました。

 22世紀の地球から宇宙を旅してある物質を持ち帰ってくる4人の出発前の地球でのエピソードだったり、宇宙船での体験だったりが、時制的に行ったり来たりしながら進んでいきます。冷凍睡眠の技術が進んでいて、宇宙船内で4人は40年掛けて地球に戻るのですが、そのうち30年近くは凍ってます。代わる代わる冷凍睡眠に入って、ひとりが当番として起きているというふうに。

 そんな彼らのやり取りがユルくて、ハイバイと五反田団っぽさを感じましたが、アフタートークでの話によると、4人がそれぞれ話を作ってきて、再構成されたもののようでした。場面転換が無造作というか、正直、こんなんでもいいんだなとか思うくらいの移行の仕方でそこもユルかったです。

 かなり面白かったのと、それぞれの持ち味が微妙に分かるか分からないかくらいで溶かし込まれてて、アドリブ感あふれる舞台でした。実際エチュードで作り込んでいったようですし、少しずつ毎日違ったものが上演されていくようでした。


 10月2日夜
 アトリエヘリコプター
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官能教育「瓶詰の地獄」

 官能教育の第3弾で、夢野久作「瓶詰の記憶」を倉持裕が演出、近藤フクと奥菜恵が出演です。官能教育はリーディング公演ですが、私はそれまでリーディング公演自体に行ったことがないもんで、どの程度、演劇らしさがあるものかなと思っていたら、テキストを手に持っている以外は、演劇と言って差し支えないくらいの演出でした。

 1時間はない上演時間でたいへん濃厚な時間と空間となっていました。「瓶詰の記憶」そのものを私が読んでないし、どんな話か知らずに観たのですが、東北弁がなまめかしく響き、ふたりとも好演していたと感じました。ただ、奥菜恵が登場すると、さらに空気が変わり、惹き付ける力があります。

 これを観て、第1弾を見逃したことを後悔しました。

 9月30日
 音楽実験室 新世界
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「監督失格」

 事前にどういう作品かを知った上で行くことになるのがちょっともったいなくも思える作品です。予備知識なしで観れば衝撃度は大きいだろうし、逆に出演者らに思い入れがあれば、その人なりの見方となるだろうし、そういう意味では中途半端な立ち位置で観ましたが、実際にはこのタイプの観客が多いのではないかとも思ってます。

 私は、元になる一連のすべてがわからず、ほとんど全員知りません(わかったのはプロデューサーの庵野秀明とペヤングマキ(「ブス会」の演出で知ってる程度)くらい)。

 この作品は、AV監督である平野勝之監督が林由美香というAV女優とつき合っていて、ふたりで北海道への自転車旅行を敢行する約1ヶ月間のドキュメントである往年の映画作品のダイジェストがあって、その後、別れたふたりの関係の移り変わり、そして思わぬ形で女優が遺体で発見される場面を撮影してしまった時間、さらにそれを封印しカメラをもつこともなく5年が過ぎてようやく本作を作るに至るまでのドキュメンタリーとして作られています。

 予備知識のない私には不思議なところもあって、AV監督とAV女優として登場してるのに、なぜか北海道へ苦労して自転車で旅するとか、それをドキュメントとして撮影してるのも、どういう作品ができあがるのかが謎な感じもあるわけです。監督には妻もいるので不倫ということになるとはいえ、ふたりは恋愛関係にあって、ふだんからカメラを回す中、ふつうなら撮られたくないところもさらけ出していたりもして、ドキュメンタリーとして面白いのはわかりました。

 まず、前半の林由美香の魅力的な振る舞いが印象的です。どちらかというと、きれいなところよりも、みっともないとさえ言える部分が映し出されていて、それでもなお可愛さが印象付けられます。この魅力が大きいと思います。それと、キャラとしては林由美香の母親が印象深く、もちろん決定的な場面での文字通りの慟哭が壮絶で、胸を打たれ、涙が浮かぶのですが、サバサバしたところの見える母親ぶりが個性的です。

 ある種の伝説的な映画になってもおかしくない重さと凄みがあります。
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パオロ・バチガルピ『ねじまき少女 上・下』

 今年を代表するSF翻訳小説のひとつっぽかったので手に取りましたが、なかなか読み通すのに、時間がかかりました。読み通せれば、というか1/3くらいまで行ければ、あとは一気かもしれませんけど。

 未来のバンコクが舞台で、そこに登場する固有名詞だけでなく普通名詞も説明的でなく、文脈だけではすぐには判断がつきかねる言葉が頻出するもんですから、世界観を構成する仕組みが摑めないまま読み進む粘り強さが必要かもしれません。1/3くらいまで行けば、もうあんまり気にならなくなってくるのと、かなり面白くなってきますんで、止められなくなるかと思います。

 しばらくして、読み返したくなる小説かもしれません。
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「世界侵略:ロサンゼルス決戦」

 更新が滞って、もう観てから1ヶ月近く経っちゃってます…。ということで、記憶はかなりあやふやになってきてます。


 エイリアンが攻めて来るのを、リアルめな戦争アクション映画として撮った感じでした。それって好みは好みなんですが、思ったほどグッと来なかったのが正直なところです。最初のほうのニュース映像とかのテイストも好きでしたし、ずっと迫力のあるアクションではあるのですが、キャラクター造形がちょっといかにもな感じに思えたのと、展開が予想した方向で推移していくところに、乗り切れなかったようです。
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2011年10月13日

「家電のように解り合えない」

 チェルフィッチュの岡田利規とダンサーの森山開次という組み合わせの予想のつかなさに興味を惹かれましたし、観る前からワクワクして行きました。かなりトンガったものかもなぁ、という予想もしてたんですが、途中から分かりやすいくらい面白くてびっくり。あの特訓場面の安藤真理はキュートという言葉がぴったりです。

 それから、見所の一つでもある舞台美術は会場に入った途端に目を引くインパクトですが、視覚的な楽しさ以上のものを感じられなかったところはありました。


 作・演出 岡田利規
 出演 森山開次 安藤真理 青柳いづみ
 9月25日昼
 あうるすぽっと 
posted by 行き先不詳 at 20:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

こまつ座「キネマの天地」

 これは素晴らしかったです。戦前の華やかな映画界を題材に、ミステリーとしての骨格で、コメディタッチに描き、演技論なんかが披露される、といった内容。俳優が俳優の役をやっていることもあって、二重三重に虚実について意識が向かう構造にもなっていますが、ずっと面白さをもって展開されるところがさすがです。冒頭からスター女優たちが順番に登場して、女優の業をデフォルメして見せるところからして快調な滑り出しです。


 作 井上ひさし
 演出 栗山民也
 出演 麻実れい 三田和代 秋山菜津子 大和田美帆 浅野和之 木場勝己 古河耕史
 9月24日夜
 紀伊國屋サザンシアター
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2011年10月10日

おしゃれ紳士と梅棒のラブ・パレード

 「おしゃれ紳士」も「梅棒」の合同公演ということでしたが、全くどんなもんかも分からずに足を運びました。どういう流れだったかを思い返すと「ひょっとこ乱舞」「ゲキバカ」と来て、これですかね。ダンス公演は、どっから手をつけていいのかが迷うのですが、こういう公演は素直に楽しめて、かなりよかったです。

 ダンスパフォーマンスが中心にあって、笑いとか演劇的な要素を入れ込んでます。少女時代、101回目のプロポーズ、卓球、コートのマイム、なぜか秀吉が出てきたりとか。覚えきれないほどに、数多い作品群でした。


総合演出 西川康太郎
振付 伊藤今人 塩野拓矢 鶴野輝一 池田遼 西川康太郎 伊東祐輔 他
出演 天野一輝 井内勇希 池田遼 石黒圭一郎 伊藤今人 伊東祐輔 梅澤裕介 大村紘望 木村和広 坂本州 櫻井竜彦 塩野拓矢 鈴木ハルニ 鶴野輝一 遠山晶司 楢木和也 西川康太郎 細川貴司
 9月24日昼
 笹塚ファクトリー
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劇団☆新感線「髑髏城の七人」

 これはかなり卑怯なくらいに豪華なキャスティングでした。小栗旬、森山未來、早乙女太一、勝地涼、小池栄子、仲里依紗、千葉哲也という顔ぶれは目を疑いますよ。とりわけ印象的だったのは早乙女太一の殺陣とキャラがよかった勝地涼と河野まさと。そして、隙のない面白さ。もっと隙を見せてもらってもいいくらい。エンターテインメントとはまさしくコレだなと。

 作 中島かずき
 演出 井上ひでのり
 9月23日夜
 青山劇場
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「エッセンシャル・キリング」

 アフガンの山岳地帯を米軍から逃げ続ける男、というシンプルさですが、セリフはほぼなく、説明的でないことから、不思議な味わいもありました。雪に覆われてる中、食べるものも苦労したりで、サバイバル生活をしながら必死に逃亡する姿が描かれます。「アポカリプト」みたいな疾走感とはちょっと違ってました。生きようとしている瞬間、瞬間の積み重ねで構築されている印象を受けました。


 監督 イエジー・スコリモフスキ
posted by 行き先不詳 at 10:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年夏ドラマ

 もう秋ドラマもはじまってきている中、遅ればせながら夏のドラマについてメモ程度に。

 連続ドラマで最後まで観たのを好きな順に並べると「それでも、生きてゆく」「勇者ヨシヒコと魔王の城」「全開ガール」「ジウ 警視庁特殊犯捜査係」。あと夏の連ドラではないですが、NHKの「胡桃の部屋」も観てました。
 録画したままになってるのが「絶対零度 特殊犯罪潜入捜査」と「荒川アンダーザブリッジ」(1話だけ視聴済)。


 圧倒的に「それでも、生きてゆく」にハマりまして、個人的には今年の1位だとか、ドラマ史に残るんじゃないか、くらいの手応えです。脚本とキャストの演技が素晴らしいのですが、このような企画が実現したことを称賛したい。

 好きなシーンだけで、ベスト10とか書こうかなくらいに、あれやこれやが思い浮かびます。何しろ初回で双葉(満島ひかり)が歩道橋で兄を逃すために思わず洋貴(瑛太)を追いすがって引き止めるシーンには、これはただごとじゃないドラマがはじまったと思わせてくれました。大竹しのぶなんて、途中からいよいよ本領発揮とか思ってたら、観直してみると最初っからスゴかった。主演ふたりの会話がなごむのも大きな魅力ではあるのに加えて、洋貴とは、倉科カナ演じる女性が同じ被害者家族側で境遇が似ているとか、どっちがキレイとかを超えて、双葉との方が合ってると自然と納得させる空気が作られててるのも、よかったです。
posted by 行き先不詳 at 10:05| Comment(0) | TrackBack(0) | TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月01日

「アジョシ」

 現在公開中の韓国映画で、ウォンビン主演のバイオレンスアクションですが、これがとにかく面白い。ここしばらく人に薦めまくっております。そして、笑っちゃうくらいにカッコいい。

 アジョシというのはおじさんという意味だそうで、テシクというのが主人公の名前。隣りに住むソミという少女がこの“おじさん”を慕ってよく遊びにきています。ソミの母親がマフィアから麻薬を横取りしたところから、テシクが巻き込まれるのですが、ソミと母親が連れて行かれたことで、彼女を救い出そうと動くことになるのです。マフィア側からすると、ふつうの質屋の男かと思ったら、ただ者じゃなかったということで、驚異的に強いヤツを怒らせてしまったのでした。

 「96時間」を連想させましたが、リーアム・ニーソンが強いことの意外性とウォンビンが強いことの意外性とでは種類が違う感じなのと、「アジョシ」ではアクションにリアルさよりもスタイリッシュな美しさが勝ってるのが少しく違う点かなという印象を受けました。

 ウォンビンとソミ役のキム・セロンが素晴らしいだけでなく、脇役の面構えがまたいいです。そしてベトナム人役の一匹狼な男がいるのですが、彼もまたソミからアジョシと呼ばれるように、テシクと対応してることが重要ポイントになってます。

 それにしても、終盤の格闘シーンにはたまらないものがあります。最高です。


 監督 イ・ジョンボム
posted by 行き先不詳 at 23:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「連結の子」

 ONEOR8の田村孝裕が文学座に書き下ろした一作だということです。

 世代がテーマにもなっているようですが、私は家族のつながりを巡る物語として観ました。ここに登場する家族として、祖父を中心にして、長男と次男、長男の息子までの三代が軸となります。長男夫婦には娘もいて、こちらは結婚しています。次男は独り身でしたが、婚約者を連れてきます。そして、孫が田舎に住む祖父と暮らすことになるのが発端ですが、この孫が何らかの罪で服役し、出所してきて、その身元を引き受けたのが祖父ということのようなのです。

 孫は近所の人や叔父(祖父の次男)には出所したことは知られてないなどもあり、登場人物によって知ってる情報量に差があるのが、ストーリーに緊張感や起伏をもたらします。長男は息子とちゃんと向き合えなかったり、次男は家族に迷惑を掛けてきたりとかの問題があったり、孫は孫で更生しようとする中、屈折せざるを得ないところがあったりで。彼らの間の家族として最終的に消せない絆のようなつながりを描き出しています。

 タイトルの連結の子というのは、鉄道によるつながりということも表していて、運転士だった祖父に鉄道オタクの子どもたちと孫でもあるのですが、乗り鉄や撮り鉄、模型マニアなど、趣味が合うようで重ならない、話はマニアックなところに及ぶ割に平行線な部分もあったりもして、そこが本作を象徴しているのかなと思います。

 重いテーマも扱ってますが、全体を通して、シリアスと並行してユーモアがあるのが特徴的です。深刻な場面とおかしい場面が交互にあるのではなく、同時に起こってる印象でした。かなり笑えて、相当楽しかったです。


 作 田村孝裕
 演出 上村聡史
 出演 金内喜久夫 中村彰男 高橋克明 浅野雅博 木津誠之 亀田佳明 倉野章子 金沢映子 山崎美貴 片渕忍 上田桃子 吉野実紗
 9月20日夜
 吉祥寺シアター
posted by 行き先不詳 at 22:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

佐藤正午『ダンスホール』

 光文社の“死様”をテーマに6人の作家が競作したうちの1冊。あまり長くないので、ほかのものも何冊か読み合わせる人も多いのかもしれませんが、とりあえず著者のものを選びました。ほかの作家が、荻原浩、白石一文、土居伸光、藤岡陽子、盛田隆二という顔ぶれです。

 著者ならではなんでしょうが、文章が編み上げるようにして緻密に構成されていて、行ったり来たりしながら、書かれてる内容を探っていくようにして読む感じです。正直、もう少し読者にサービスしてもいいのでは、と思うくらい、読者に読み取ることを期待した作品のようが気がしました。
posted by 行き先不詳 at 21:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする