2012年01月26日

TOKYO PLAYERS COLLECTION「全 員 彼 女」

 トープレは前回の「IN HER TWENTIES」のアイデアが面白くて、今回もその変奏のようなスタイルかなと勝手に思い込んでいました。まあ、違うと言えば違うし、重なると言えば重なる印象があります。

 チラシに“次の朝、目覚めると僕の彼女が増えていた”とあるように、ひとりの人間として5人に分かれているというか、もうそこに全く違う女優5人がいて、全員が“僕”の彼女として存在しているわけです。彼女の料理好きな面とか、オタクな面とかの構成要素が一人ひとりになったみたいな。

 その設定だけで押し通すわけではなくて、本来のひとりの時の彼女との関係を描く上での仕掛けとしてあるんだと思います。それよりは、中盤で最初に戻って同じシーンが繰り返される中で(木更津キャッツアイの1回裏みたいなのを連想しました)、その時々の本当の気持ちだとかが語られるようになっていて、私にとってはそこからが面白かったです。


 ひとつ残念だったのは、私が観た回の観客に、妙に大きな笑い声を発する人がいて、それがそこまで笑うようなところか、というところまで大声で笑うもんですから鼻白むものがありました。作品に責めはないんですけど。

 
 終演後のアフターイベントとして「全 員 元 カレ(仮)」(出演:中村梨那、須貝英、野田裕貴)という短篇作品の上演がありましたが、こちらが本篇の記憶を吹き飛ばしかねないくらいの瞬発力のある面白さでした。


 脚本・構成・演出 上野友之
 出演 加藤岳史 黒木絵美花 小鶴瑠奈 近藤瑞季 冬月ちき 三谷有紀 安川まり 安田友加 李そじん
 1月8日夜
 王子小劇場
posted by 行き先不詳 at 00:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月19日

「絶対の愛」「チェイサー」

 キネカ大森の名画座ははじめてでしたが、「絶対の愛」と「チェイサー」の二本立て。ハ・ジョンウが主演という共通点のようでした。

 「チェイサー」はDVDで観て、ここ数年の中ではトップクラスに衝撃を受けた作品だったので、劇場で観たいということもあったのと、そのナ・ホンジン監督の「哀しき獣」の公開に合わせてのタイミングでしたので、景気付けみたいな気分で足を運びました。
 
 「絶対の愛」はキム・ギドク監督作で、整形手術を題材にした映画。恋人から飽きられることを恐れて整形手術を黙って受け、主人公の女性は姿を消してしまいます。その後の紆余曲折があって、非常にアンビヴァレントな状況が成立するのですが、作為的に過ぎるというか、そういう状況に強引に持ち込んだように見えて、無理があるという印象を受けました。しかも、男の方の思考の展開がまた一層無理があるなぁと。

 「チェイサー」は、本当に大好きです。ひとつ気になっているのが、主役二人の出会いの場面で、社長がこいつだと閃く根拠がよく分からないんですよねぇ。今回観ても分からなかった。
posted by 行き先不詳 at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月17日

円城塔『これはペンです』

 祝、芥川賞受賞ということになりますね。本日の選考会で「道化師の蝶」が受賞と決まりました。そして、本作には前回落選した候補作と「良い夜を持っている」の2作が収録されています。

 表題作では、最初の叔父からの手紙のややこしさに思わず声を上げて笑いましたが、大枠としては意外とシンプルなのかと思って、もう1回読んでみると、やっぱり細かいところで解らない箇所が出てきて全体との関係が見切れなかったです。

 「良い夜を持っている」は、超記憶力保持者という父親について語っている話。現在と過去、現実と夢を混在して記憶している父にとっての世界の認識の仕方とかが書かれてるんでしょうか、よくわかりません。

 両方とも何度か読み返していて、その都度、今度は分かるような気がするのですが、どうもそうならないといった状況です。
posted by 行き先不詳 at 23:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

青木淳悟『私のいない高校』

 帯には、“物語”の概念を覆す、本邦初「主人公のいない」青春小説、とあって、読む前に想像をかき立てられるのですが、予想した方向とは違っていました。

 カナダからの留学生を受け入れてる高校でのほぼ1学期の様子となっていますが、学校を取材したドキュメンタリーのような趣きです。

 私が読んだ印象では青春小説でもなくて、どちらかというと教師側からの目線です。かといって教師が語り手でもないのです。誰視点かという意識で読んでいると揺らぐ気がして一層不思議なかんじがしました。この意識的にさせる文体とそこで反復的に問い掛けが生じるところに面白さを見出してました。

 それから、本筋ではないのですが、教師を描いた、映画やドラマ、小説にはあまり登場しない、ドラマチックではない、日々の仕事が垣間見えるのも興味深かったです。
posted by 行き先不詳 at 23:34| Comment(1) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月14日

「幕末太陽傳」

 デジタル修復版として劇場公開されています。

 私は、かなり以前に観たときには、よさが分からずにいたのですが、この映画の人気は高く、よく名前が挙がるので、この機会にと劇場に足を運びました。

 主人公が居残り佐平次とはいえ、いくつかの落語の設定やエピソードが組まれていることが分かります。私自身の知識では、どれがどこまで使われているのかは分からない部分も多かったんですが、その落語的世界観の楽しさや、それを体現する出演者ら、とくに主役のフランキー堺の軽快さは素晴らしいです。ただ、キャストのクレジットが最初にあるだけなので、知ってる名前が多数出演してるなと思ってたのに、明らかにこの人だと分かる人は数人だったでしょうか。

 監督 川島雄三
posted by 行き先不詳 at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「チョコレート・ファイター」

 2009年日本公開だったタイのアクション映画です。アクションについては驚異的だとは思いますが、基本的にはヘンな映画という印象で、ストーリーとか設定などが変わってるなぁと思いました。

 でも、何にしても見所は、主人公の少女が知的障害か発達障害のようなのですが、突出した身体能力を持ち合わせていて、それが武術などの超人的な習得に発揮されるのです。母親の医療費を集めるため、母親が貸していた金を取り立てるのですが、たいてい相手は暴力に訴えて返そうとせず、彼らと闘って、借金を回収する、というパターンです。

 エンドロールでメイキング風なカットが流れるのですが、そこで、いかにこのアクションが生半可でないかがよく分かり感心します。感心というよりは呆れかねないくらいです。アクションでバリエーションあふれるアイデアは素晴らしいとは思いますが、アクションのためのアクションに見えて、必ずしも乗り切れませんでした。
posted by 行き先不詳 at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「GO」「パレード」

 二本立て的な意識はなかったんですけど「GO」と「パレード」をレンタルで。「GO」は10年近くぶりに観て、「パレード」のほうははじめて。共通するのは文芸作品が原作で行定勲監督作品だということですが、私自身がその原作が好きだというのが最大の共通点です。

 「GO」はそういえば宮藤官九郎の脚本でした。観たときには、面白い原作をさらに超えてると感じたくらいによくできた映画化だと思いました。ただ、当然のことなんでしょうけど、今回観て少し古くなっているのかなというところはありました。それ以上に、こういう何年かぶりに観る映画とかって、端役の俳優の当時の位置付けを覚えていないので、不思議な感覚があります。たとえば、今は有名になっているけど、その頃はそこまでじゃなかったのか、それなりに知名度は出ていたのか、といったことです。

 「パレード」のほうは途中、楽しそうなところとかもあるし、とてもいい調子に思えるんですけど、気になったのは尾行シーンとラスト。ラストについては、原作通りでないにしても、もう少し違う形で着地してほしかったです。
posted by 行き先不詳 at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月11日

時間堂「星の結び目」

 年明けまで公演をやっていたので、最終公演となる1月2日を選んでみました。

 開演時間が遅れたのですが、ほかの日はどうだったんだろうと思ったほどに、開演後に来た観客を入れにくい美術のように見えました。出入口を俳優が花道のように通れるようにしてあって、これがこまばアゴラ劇場でなければ、ありそうなものですが、ちょっとチャレンジングな演出に思えました。

 戦前戦中戦後の商家の時代の移り変わりの中での変転が時間を行き来しながら描かれます。ソウル市民を連想したところもありましたが(開演前に俳優が出てきたところもあったし)、時制の変化があって、一作の構成からもっと劇的な効果を狙っているように感じました。とても凛とした佇まいの作品だなという感想です。

 ちょっと気になったのは、議員役の俳優のあご髭でして、中盤で感情的な衝突を起こす場面で、涙目を見せるいいシーンなのに、その相手方となる登場人物として似つかわしくない印象を受けました。


 作 黒澤世莉
 演出 吉田小夏
 出演 鈴木浩司 斉藤まりえ 木下祐子 荒井志郎 直江里美 酒巻誉洋 ヒザイミズキ 窪田優 猿田モンキー 菅野貴夫 山田宏平
 こまばアゴラ劇場
posted by 行き先不詳 at 21:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

綱淵謙錠『斬』

 待望の復刊となる新装版です。待望の、というのは個人的な思い入れですが。この作品を何で知ったかも覚えていませんが、ずっと読みたいと思っていました。10年以上は前から、古本屋に立ち寄ったら何となく探してたりもして。といっても、それこそ血眼になってということでもないし、どうしても読みたければ図書館に行けば読めるでしょうから、その程度だとも言えるのですが。

 前置きが長くなりましたが、この『斬』は幕末から明治に掛けての山田浅右衛門という斬首を担当した一族を描いています。近代化を押し進める中で、必然的に影響を受ける役目だったことから、時代の移り変わりそのものに迫っていると言えます。こういう視点からの幕末・維新というのは新鮮に感じました。また、この山田家に起こるドラマだけでも面白いことになっていますし、斬首などにまつわるエピソードも壮絶で大いに興味をそそられます。

 たとえば、はじめのほうで三島由紀夫の切腹の介錯についての著者なりの見解が書かれてるのも強烈でしたし、彰義隊への入隊を拒絶されるときの屈辱、女囚の斬首、斬首での斬り損じ、などがとくに記憶に残ります。ある事件の顛末が書かれてあって、最終的に斬罪となるときに、別種の生々しさを感じたりもします。

 ラストは小説的には決まっているのですが、歴史小説としては、その後の山田家について、もう少し解説がほしい気もします。

 何にしても、とにかく素晴らしいです。
posted by 行き先不詳 at 21:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月07日

2011年秋ドラマ

 10月〜12月の連ドラについては、言うまでもなく「家政婦のミタ」が最高に話題をさらってたのですが、私は初回をちょっと観て、止めてしまったという失態をおかしてます。あと「妖怪人間ベム」も、チェックくらいすればよかったと途中でちょっと後悔したりもしました。

 ここんところは録りだめして一気に観るみたいな視聴方法がほとんどで、今のところ「11人もいる!」「謎解きはディナーのあとで」「私が恋愛できない理由」の3本を観終わりました。“今のところ”なのは、「南極大陸」など録画だけしたものが残っているからですが、当面、これ以上観る予定はないかなと。


 「11人もいる!」は宮藤官九郎が脚本で、大家族のホームコメディ。かなり好きでした。きたろう演じる、おじいちゃんが実は…というのは、先に聞いちゃってたのに、油断して大笑いしました。唯一、気になったのは、ソアラは卵の黄身が食べられないんじゃなかったの?というところ。


 「謎解きはディナーのあとで」は原作をいまだに読んでなくて、もうドラマを観ちゃえば読まなくていいやと思ってます。北川景子はコメディとの相性はよいと見ます。


 「私が恋愛できない理由」は、ラブストーリーとしての着地を見せないところがよかったです。中心の女性3人(香里奈、吉高由里子、大島優子)に対して、男たちは基本的に添えものとまで言ったら過言かもしれませんが、人生の過程としての出会いと別れを描くための存在といったところです。反面、キャラクターが筋の都合に合わせた行動をするように見えたのが残念なところです。
posted by 行き先不詳 at 20:36| Comment(0) | TrackBack(0) | TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

演劇 12月

 ようやく、12月中に観た舞台というところまできました。

 渡辺源四郎商店「エクソシストたち」
 小学生の女の子が悪魔憑きの状態になって、母親と内縁の夫が心配してエクソシストたちを呼び、治せるかを見積もってもらうという設定です。エクソシストといっても日本が舞台ですから、宗教家とか霊能者みたいな人が来て、さらにヒーリングミュージシャンなんかも登場して、ちょっと間の抜けたところがおかしな味わいです。悪魔に憑かれた娘は二階で拘束されてるという体で登場しません。ただ、これと並行して、娘が父親との生活風景が回想のようにして挿し込まれていきます。家族関係の謎とか、母性やもっと奥底の暗部に注目させる展開で、エクソシストならではなホラーやオカルトな話ばかりではないのです。
 エクソシストたちや精神科医に対して中立的に書かれてる印象をもちました。エクソシストたちでは手に負えなそうな状態から力を合わせる感じが意外でよかったです。それにヒーリングミュージシャンのバカバカしさが楽しかった。
 作・演出 畑澤聖悟
 こまばアゴラ劇場


 ままごと「あゆみ」
 これまでバージョン違いの「あゆみ」がいくつかあるようで、今回は長篇バージョンということになるということでした。
 人生のきらめきみたいな時間なりエピソードを、8人の女優が配役を固定せずに縦横無尽に入れ替わって演じていく中で、人生の深淵や普遍的なものを感じさせるすごさも持ち合わせてるなあと思います。何といっても俳優に求められて、達成されていることのレベルの高さが驚きです。セリフがクリアで聞き取りやすかったですし。
 ある種の通過儀礼とあり得たかもしれない自分のあゆみを、取り立てて際立ったものでないと受け取る人がいてもおかしくない、という気もして感受性が試されてる気もしました。それから、エピソードが若い頃に集中してるのは若干バランスを欠いてないのかなぁとか。もっと、言い掛かりを言うと、普遍性に逃げてるというと言い過ぎにしても、もう一越えできるポテンシャルをもった作品だと感じています
 作・演出 柴幸男
 森下スタジオ


 M&Oplaysプロデュース「アイドル、かくの如し」
 宮藤官九郎と夏川結衣が夫婦役。芸能事務所での騒動とか人間模様を描いた作品です。最近観た岩松作品に比べれば分かりにくいといったかんじはなかったです。ただ、前半のうちは役名と相関関係が分からない中、名前だけが飛び交っていたので、混乱半分で観てました。
 作・演出 岩松了
 本多劇場


 PARCO Presents「RICHAD O’BRIEN’S ロッキー・ホラー・ショー」
 ロッキー・ホラー・ショーは全くの門外漢で、軽い予備知識のみで臨みました。劇場内の雰囲気もふだんとは違ってて、楽しんだと言えば楽しんだのですが、コスプレして来てたり、小道具的なものを用意している人とかに比べると、全く入り込めてなかったと言えるでしょう。
 フランク・フルター役の古田新太がそれでもやっぱり恰好いいと思いました。


 さいたまゴールド・シアター「ルート99」
 公演期間中に見る評判のよさに押されて足を運びました。沖縄の基地問題が取り上げられているのですが、ついつい原発問題にも置き換えながら観てしまいます。当て書きっていうのは、俳優と役との関係で言うでしょうが、さいたまゴールド・シアターでは劇団そのものに対しての当て書きというふうにも思えます。テーマが多層的に盛り込まれていて、戯曲に当たっても面白そうです。
 作 岩松了
 演出 蜷川幸雄
 彩の国さいたま芸術劇場 小ホール


 シス・カンパニー公演「その妹」
 コンセプト的には「父帰る/屋上の狂人」に近いようで、本作は武者小路実篤の戯曲、キャストが市川亀治郎、蒼井優、秋山菜津子、鈴木浩介、段田安則ら。
 時代がかった作品でしたが、おかしみもあって楽しみました。男たちのダメっぷりに対して妹がある決断をするのですが、私にはそれを必ずしも肯定的に受け取れない気がしました。
 演出 河原雅彦
 シアタートラム


 パルコ・プロデュース公演「90ミニッツ」
 作・演出が三谷幸喜で西村雅彦と近藤芳正の二人芝居。生誕50周年三谷幸喜大感謝祭だったかの演劇作品の締めとなる一作で、「笑いの大学」と同じ組み合わせでの新作。おかしい場面はもちろんあるのですが、我が子の輸血拒否を言い出す父親を説得する医師、という会話劇となっており、緊迫感がありました。追加公演もあるので、また当日券を狙っちゃおうかなぁと思っております。
 パルコ劇場


 犬と串「ウズキちゃん」
 会場が早稲田大学の大隈講堂裏側劇研アトリエだということで、私は行くこと自体、今回がはじめて。王子小劇場での夏の公演を観たので、せっかくだから大学内での公演にも行ってみようという気になりました。下ネタかつブラックまたはナンセンスなところが好きです。
 作・演出 モラル
 

 こゆび侍「うつくしい世界」
 こゆび侍はこれがはじめて。こういう世界観の物語を意外と観ないよなぁと思って新鮮でした。新鮮な空気が貴重な世界で、極端に階層化が進んだ社会に生きる少年と少女を中心に描いています。キャストの好演も印象的でした。戯曲を買って帰るか迷って、結果、値段で躊躇しちゃいました。
 作・演出 成島秀和
 サンモールスタジオ


 クロムモリブデン「節電 ボーダー トルネード」
 巨大な竜巻被害という状況があって、そこで起こっているいくつかの物語が並行して描かれます。私にとっては、分かりきってない感が強くて、もう一回観れれば、とも思ったのですが、最終公演を観たのでどうにもならず。
 作・演出 青木秀樹
 赤坂RED/THEATER


 第三舞台「深呼吸する惑星」
 “封印解除&解散公演”となった本作、チケットがなかなか取れませんでした。正直、そこまで殺到することはなかろうと甘く見てましたので。焦って、追加公演なども含めて抽選も一般発売も狙ったのですが、ハズしまくって最終的にKAAT神奈川芸術劇場の大晦日の公演に滑り込みセーフとなったのでした。この日は、ゲストというのか勝村政信も登場するなど、より同窓会的雰囲気で盛り上がってました。
 そして、今回の解散公演、SF設定の新作をもってきていますが、そこまで惹かれなかったのが正直なところです。何となく、伝説のロックバンドの再結成に寄せられる賛否のファンの声のアンビヴァレントな感情に近いものがあると思いました。そういう意味では十分に楽しみました。
 作・演出 鴻上尚史
posted by 行き先不詳 at 20:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

演劇 10月末〜11月末

 演劇篇は溜まりに溜まってしまってます。もう本当にそれぞれ短めで。


 イデビアン・クルー「出合頭」
 イデビアン・クルーははじめてでした。ゴルトベルク変奏曲に載せての8人の振付で、ひとりだと何てことない動作でも数人になってくると全然違った効果が生まれてて、共鳴とか相互作用を感じさせます。どうかするとマネしたくなります。
 振付・演出 井手茂太

 
 バナナ学園純情乙女組「バナ学バトル★☆熱血スポ魂秋の大運動会!!!!!」
 「20年安泰。」での最大のインパクトが忘れられず、一度は公演を観に行こうと思いました。思ったほど、濡れも汚れもしなかったのですが、もっと汚れるくらいに入り込めたら、より楽しめるだろうなという気もします。これは現地で体験しないと意味ないと思いますが、俯瞰して全体としてどうなってるのかを観たくもなります。
 構成・演出 二階堂瞳子
 シアターグリーンBIG TREE THEATER


 KAKUTA「ひとよ」
 苦労させられた家族の話でもあり、犯罪加害者の身内の話でもあるし、親と子のつながりをめぐる話でもあります。また、強い母親を中心として物語を見ることもできるなと。重過ぎないのに、ずっしりと残るものがありました。
 作・演出 桑原裕子
 シアタートラム


 ロロ「常夏」
 途中までは今までで一番分かりやすいと思って(勘違いして)観てたら、後半になって見失いかけたという記憶があります。私の場合、ロロでは、だいたい何だコレみたいに思うことが多く、のめり込むみたいな感覚はないんですよね。意図通りなのかもしれませんが。
 脚本・演出 三浦直之
 シアターグリーン BOX in BOX THEATER


 劇団競泳水着「いと愛し」
 劇団の本公演としては1年ぶりだということです。そんな久しぶりだということを感じさせない力みのなさがいいです。十分面白かったのですが、もっと向田邦子ばりにという期待まではないものの、笑いを狙いすぎてる箇所は浮いてる印象を受けました。
 脚本・演出 上野友之
 SPACE雑遊


 青年団「ソウル市民五部作」
 青年団自体の公演はまだほとんど観てなくて、ソウル市民もはじめて。今回は新作2本を含めて、一挙に同時上演をするという企画で、私はアフタートークのある回を中心に全作品に足を運びました。やっぱりアフタートークが充実していると得した気分になりますし、実際、理解が深まります。
 「サンパウロ市民」のように朗らかなくらいに楽しいのも悪くないですが、「ソウル市民1919」のように緊張感を意識させるような構図のほうが好みです。
 これは、長い公演期間だったので、本当ならどれかまた行こうかなくらいに思ってたんですが、結局1回ずつに終わりました。今後、再演があれば、必ず行くと思います。
 作・演出 平田オリザ


 「劇作解体新書」
 全5回で、劇作家本人に1本の戯曲について、徹底的に聞いてみる、といった企画で、面白そうだったので、すべての回に行きました。
 初回から、土田英生「なるべく派手な服を着る」、小林賢太郎「TEXT」、倉持裕「鎌塚氏、放り投げる」、長塚圭史「LAST SHOW」、ケラリーノ・サンドロヴィッチ「すべてに犬は天国へ行く」で、初回以外は聞き手が土田英生(初回は横山拓也)。申込んだら戯曲が送られてきて、読んでから臨む受講スタイル。それでいてとても面白かったです。
 CBGKシブゲキ!!


 「往転」
 バス横転事故を起点にして、4つの物語が時間軸をシャッフルされて描かれます。震災を受けて書かれたと思えるような内容でしたが、震災前に台本はできてたということでした。全体的にはかなり苦味を感じて、大人な舞台ってかんじがしました。
 脚本 桑原裕子
 演出 青木豪
 シアタートラム
 


 「炎の人」
 初演は迷ったあげく行かずに終わったのですが、「浮標」で三好十郎をようやく認識した時に、「炎の人」もこの人の作なんだと、後悔したということがありました。
 今回観て、ゴッホ(市村正親)が狂気へと向かっていく姿は、凄みがあって、うわぁ、この人とはやっぱ同居ムリ、となるのも納得でした。観る前に、ゴーギャンっぽくないのでは?と思った益岡徹でしたが、全くの杞憂でした。
 作 三好十郎
 演出 栗山民也
 天王洲 銀河劇場


 イキウメ「太陽」
 前川知大ならではのSF設定で、ウィルス感染によって人類が二分されていて、現在の人類が少数派になってしまっている未来の日本が舞台。新しい人類は、ドラキュラみたいに、老化から解放される代わりに太陽の光を浴びることができないという弱点をもっています。
 そんな世界の背景や、人間たちの交流や衝突などが、人間の排他性や差別意識などが問題として浮上しながら、描かれていきます。いや、もっといろんな問題が入れ込んであるのは間違いないのですが、咀嚼しきれない懐の深さがあるように思えました。
 ただ、これは必ずしも欠点ではないのですが、いつもより、物語の設定や謎への訴求力が弱いような気がしました。それよりか、もっとスケールの大きい世界が描かれているのです。
 作・演出 前川知大
 青山円形劇場


 箱庭円舞曲「いつも誰かのせいにする」
 前回の「珍しい凡人」は、やっぱりエポックとなる作品だったのかなと思いました。前作には破綻したとしても突き進むパワーがあったので、あれはあれでよかったという上で、今回の作品でも、いろんなテーマが、時事ネタやクリエーションにまつわる思いなども含めて、たくさん盛り込まれているのですが、本作は作品として昇華されていると感じました。おそらく、それでもメッセージ性とか、ストーリー性からはみ出す部分に違和感を覚える人がいてもおかしくないでしょう。ということで、次回作がさらに楽しみになった、ということでいきたいと思います。
 脚本・演出 古川貴義
 駅前劇場


 柿喰う客 日韓演劇交流プロジェクト「検察官」
 日韓の俳優が出演しているわけですが、双方ともに二カ国語を駆使して、外国人とのディスコミュニケーションが戯曲と二重に表れる効果が出ているようでした。
 原作 ニコライ・ゴーゴリ
 構成・演出 中屋敷法仁
 こまばアゴラ劇場

 ナイロン100℃「ノーアート・ノーライフ」
 10年ぶりの再演ということですが、その頃エアポケット的に舞台を観てない時期に当たっているような記憶があって、おそらく今回がはじめて。で、それを心底、後悔するほどに面白かったです。笑いました。もう1回観たかった。
 作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 本多劇場

 
 パラドックス定数「戦場晩餐」
 会場がガレージみたいな所だというのがなんかスゴかった。温かい日でよかったのは、天気によってかなり観劇環境が違ってきたようなので。
 設定は内戦状態っぽい未来の日本が舞台で、そこに残る中華料理屋を巡る物語でした。
 作・演出 野木萌葱
 渋谷 SPACE EDGE


 「ヴィラ・グランデ 青山 〜返り討ちの日曜日〜」
 竹中直人と生瀬勝久の新ユニットの第1弾となる公演で、倉持裕の作・演出。小難しいところのないコメディで、劇場内には笑いがあふれました。また、ほかのキャストに山田優、谷村美月、田口浩正、松下洸平でした。
 マンションの中庭と室内が舞台で、父親(竹中直人)と娘(谷村美月)の元カレとの間のトラブルが起こった後の騒動という設定でした。倉持裕ならではな会話のセンス、言葉の選択がおかしく、それが竹中直人と生瀬勝久のやり取りにハマってて、かなり面白かったです。
 シアタークリエ


 「日本の問題」
 小劇場の劇団を募って、政治や経済的なテーマを演劇がもっと扱っていこうという企画で、“日本の問題”がお題となっています。チームA、Bで4劇団ずつの公演でした。これの後、学生劇団版もありましたが、そちらはスルーしちゃいました。
 参加劇団は「経済とH」「Mrs.fictions」「DULL-COLORED POP」「風琴工房」「ミナモザ」「アロッタファジャイナ」「ろりえ」「JACROW」の8団体で、個人的には「DULL-COLORED POP」と「Mrs.fictions」がとくに好きでした。正直、企画意図自体は達成されてないんじゃないかとも思います。
 中野 ザ・ポケット
posted by 行き先不詳 at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月01日

本 10月末〜12月末

 更新の停滞のリセットということで、つづいては本です。

 読書量が減っているのですが、量が減ってるからどうというより、そこに注ぐ集中力が弱っているといった感じです。年が改まることで、強引にテコ入れしていきたいです。

 
 柴崎友香『虹色と幸運』
 30歳の友達の人生の岐路、あるいは日常の中で起こる1年の出来事を描いた小説で、視点の自在な移行に半分戸惑いながら読みました。淡々とした流れから、突如の事件というほどでもないですが、でも、それなりにリアルにありそうなドラマを繊細に描いたかんじ。でも、読書における集中力の減退がもろに影響するタイプの作品でした。著者の『ビリジアン』も途中で挫折し、本作も読み通すのが結構、大変でした。


 西村賢太『寒灯』
 芥川賞受賞後に出る初の作品集ということになるんでしょうが、今まで通りに面白いです。秋恵と同棲をはじめるところなど。


 初野晴『退出ゲーム』
 2008年に出て、すでにシリーズ化されてる青春ミステリです。4つの短篇から成っていますが、ストーリーとしてはつながっています。
 表題作が最も惹かれました。ほかのものと違って、ある謎が持ち込まれて解かなければならないという作りにはなっていなくて、そこがよかった。というのは、あくまで青春ミステリとして楽しんだのであって、純然たるミステリとしては、エピソードがとってつけた感を払拭しきれなかったためです。


 『エピデミック』
 再読です。映画「コンテイジョン」を観て、読み返したくなりました。当時とは、新型インフルエンザとかパンデミックとかに対する社会的な認識は違っているでしょうが、疫学という言葉は普及してないよなぁと思いました。


 東野圭吾『マスカレード・ホテル』
 著者の作品は『新参者』以降は何となく手を出してなかったのですが、これは新聞広告を見て、とても面白そうだなと思ったもので。面白さと読みやすさはいつもながら。新参者と同様、よくできてるなぁと感じました。


 吉田修一『平成猿蟹合戦図』
 これは予想外に転がっていく小説でした。面白かったです。登場人物が出そろったあたりから、のめり込みました。ただ、政治家になっていく過程がどうも甘過ぎるように受け取れてしまいました。ただ、その点では、このタイトルはいいのかなとも思ったり。


 中村文則『王国』
 『掏摸』の姉妹編的作品ということですが、題材と文体がミスマッチを起こしているように感じられます。


 村上春樹『村上ラジオ2 おおきなかぶ、むずかしいアボカド』
 1のほうは、ちょっと物足りないというイメージが残っているのですが、それ間違ってたかも、と思い直す程度には面白かったです。ただ、寝る前にちょこちょこ読み進めて、中断も多く、ずいぶん長期間にわたって読みました。就寝前に読むには適度なエッセイ集でした。
posted by 行き先不詳 at 15:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする