2012年07月18日

朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』

 著者のデビュー作で、小説すばる新人賞受賞作。この受賞時の選評がたしか井上ひさしの最後の選考だったんですよね。それで、その選評がまたよくて、この作品の私の中での印象をかさ上げしているところがあります。

 章立てごとに視点を変えて、高校生の学校生活なんかが描かれますが、バレー部のキャプテンである桐島がなぜか部活をやめたという出来事があって、それに何らかの影響を受けている人たち、ということで、桐島自身は登場しないという作りです。

 そんなキャラクターの中で、運動部か文化部かなど、ランク付けが空気としてあるということの描かれ方が、強調されているというように思います。そこが中心の話でもないのですが、それぞれのお互いへの微妙なまなざしが繊細にすくい取られていて、たいへん好ましく読みました。面白かったです。

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「マネーボール」

 実在の人物であるビリー・ビーンを扱ったノンフィクションの映画化。ブラッド・ピットが主演。公開されてた当時、思ったよりもよさそうな評判を聞いてたので、楽しみにしておりました。

 というように、ある程度の期待値をもって観ましたが、それをさらに上回る面白さでした。

 弱小メジャーリーグ球団の立て直しをするGMが、データを重視した選手起用を徹底させ、それまでの常識に挑戦するといった内容です。古いシステムに、あるセオリーで立ち向かうということが清々しく、それでも残る苦さがまた素晴らしいです。

 映像作品では難しいのかもしれませんが、もっと古いタイプのスカウトたちとのデータの取り上げ方の違いがはっきり見えれば、さらに革新的なところが、よりわかるのだろうなぁと思いました。


 監督 ベネット・ミラー
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「まほろ駅前多田便利軒」

 三浦しをんの同名小説の映画化。ドラマ化も決まったとか。主演の瑛太と松田龍平というと、作品の製作は前後するとしても、映画「探偵はBARにいる」とドラマ「ラッキーセブン」のイメージが重なるところがありました。本作を観ての印象では、松田龍平は「探偵はBARにいる」、瑛太は「ラッキーセブン」のほうが、より作り込んだキャラクターになっているように思えました。また、こちらは探偵ではなく便利屋ですから派手な事件が起こらなくても仕方がないのですが、地味に感じたところは否めませんでした。構成などからしても、盛り上がりに欠けたのかなぁという気も致します。


 監督 大森立嗣
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2012年07月11日

小池龍之介『考えない練習』

 文庫の帯によると、30万部突破のベストセラーだとのことです。一時期、CMもよく観ました。“僧侶による休脳のススメ”です。

 考え過ぎるということに思い当たるところと、脳研究の池谷裕二との対談があるのが購入の後押しになりました。

 基本的なところでは、「考える」より「感じる」を重視するということと、自分を客観視するということが繰り返し述べられているという印象です。正直、もっと実践的なものを期待したので、個人的には不満です。

 ただ、脳というのは自分自身にとっては暴れ馬のようなもので、野放しにしないほうがよい、という視点には納得させられます。

 本筋ではありませんが、気になるところが2ヶ所ありました。いくらモノへの執着がないからといって「私が庭に置いている自転車は鍵をかけませんので、ときどき盗まれます」というところ(いくらモノへの執着がないからといってもなあ…)と、蚊に刺されてても緊張していないと蚊もリラックスして毒を注入しないというところ。両方とも驚かされました。というか、ほとんどトンデモ本に認定されかねない部分です。 
posted by 行き先不詳 at 21:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする