2013年02月10日

「祈りと怪物〜ウィルヴィルの三姉妹〜 蜷川バージョン」

 ケラリーノ・サンドロヴィッチの新作の戯曲をケラ自身と蜷川幸雄の演出で競演するという企画。KERAバージョンに続いての蜷川バージョンです。6時30分開演、22時50分終演ということでしたが、立見で観てる人もいました。
 
 KERAバージョンとはいろいろと違うところに目が行くのですが、とにかく空気感がまるで違ったように感じました。蜷川バージョンは、字幕を使うことで、あらかじめ筋がわかっていなかったとしても理解しやすくなってました。こちらのほうがすっきりして整理されている印象です。どっちが優れているということは難しいとしても、この戯曲の世界観をより魅力的に表現しているのは、KERAバージョンじゃないかという感想をもちました。


 作/ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 演出/蜷川幸雄
 出演/森田剛 勝村政信 原田美枝子 染谷将太 中嶋朋子 三宅弘城 野々すみ花 大石継太 渡辺真起子 村杉蝉之介 満島真之介 新川將人 宮本裕子 石井愃一 橋本さとし 三田和代 伊藤蘭 古谷一行 ほか
 1月19日夜
 シアターコクーン
posted by 行き先不詳 at 19:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月09日

マームとジプシー「あ、ストレンジャー」

 原案がアルベール・カミュの「異邦人」となっていて、劇中、それらしい断片が垣間見えましたが、わたしには“原案”というほどになっているのかよく分かりませんでした。また、2011年に出演者4人で短篇作品として上演されているものをスケールアップさせているので、再演と言えるのかも分からないくらいに変わっているのだろうと思います(初演は観てません)。

 誤読的に勘違いしているおそれがありますが、後半からリフレインを使うリズムから離れていって、ラストに派手めな展開に至ることを考えると、リフレインの多用という効果が、ほかの作品とは違った意味を持っているのかなと感じました。

 ただ、これまで何本か観てるのですが、このリフレインと音楽が流れていることのわたし自身への効果として、芝居の中身に対しての集中を殺ぐところがあって(一般的にも、同じようなことを繰り返されたら、違うことを考えはじめるでしょうし)、気がつくと関係ないことを考えたりしています(音楽もそれを助長する傾向にあります)。それでいて、その繰り返しの反復の中で少しずつ新しい情報が出てきたりもしているわけで、この細部の反復が全体をいろいろな角度から形作っている構成の場合、この細部と全体の関係を把握し損ねて見失ってしまう危険性があるように感じられました。わたし自身の集中力不足が一番の問題ではありますが。


 作・演出/藤田貴大
 出演/青柳いづみ 石井亮介 荻原綾 尾野島慎太朗 高山玲子
 1月19日昼
 吉祥寺シアター
posted by 行き先不詳 at 19:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

津村記久子『とにかくうちに帰ります』

 表題作と連作短篇からなる作品集といった構成になっています。表題作が、これぞ著者ならではの持ち味で好みです。暴風雨で公共交通機関が運休になったりで、職場を出遅れてとぼとぼと歩く帰り道の、苛酷というには大げさにしても、現実に起こるとかなりイラつく状況をユーモアを交えて描いています。

 それから「職場の作法」と「バリローチェのフアン・カルロス・モリーナ」は登場人物が重なる短篇。後者のフアン・カルロス・モリーナとは、主人公が応援しているマイナーなフィギュアスケーターの名前ですが、詳細に語られて戸惑うくらい。実在するのかってくらいに書かれてますが、架空の選手のようでした。 
posted by 行き先不詳 at 19:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする