著者の作品を読むのははじめて。なんとなく映画化された『県庁の星』を読んだ気になってしまってましたが。
格差社会からの脱出をするためにある島に移住し平等社会を実現させた人たち。それから100年後という設定です。
島民の間に格差を生まないようなシステムで運営されています。仕事は4年ごとに抽選で変わっていくとか、政治的意思決定はすべて直接島民の投票によってなされるとかいったかんじ。
日本は今よりももっと格差社会が進んでいるといった状況です。島の方でも島民は代替わりをしていく中で、ここで生まれる人もいるわけですが、逆に、この島を去る人とか、死んでしまう人は出てくるので、増減の調節のために本土から人を誘うことになります。ただ、ヘンな人が来ては困るということで、移住の希望者の中から抽選で選んだ上で、素行を調査してから接触し、本当に今の生活を捨てて島に来るかを尋ねるのです。主人公はその調査をする仕事をしている男です。
この主人公は、島で生まれ、島の理想を誇らしく思っているのですが、本土に行っていろんな人と接触するようになったり、島がそれほど理想的な社会ではなく矛盾や欺瞞があることを知って、疑問をもつようになるのです。
主人公は絵を描くのが趣味で、苦手としている肖像画を頼まれることにより、いろんなことを考え、もがくことを通じていろんなことに気付いていきます。そこで、決して現実をただ受け入れるのではなく、彼らしい答えを得ようとしているのがよかったです。
私には、この題材なら中編くらいでよかったのでは、とか思いながら読んでましたが、退屈とかいうことはなかったです。いや、面白かったですよ。
ただ、100年後の日本なのに今とほとんど変化が見られないのは、意図的なんでしょうけど、どうしても気になってしまいます。



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いろんなことに気付いていく主人公がよかったですね。
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