2010年08月25日

山本幸久『ヤングアダルトパパ』

youngadultpapa.jpg


 ある種の問題作と言えるくらいで、ちょっと戸惑いつつ読み進めたかんじ。タイトルのとおり、中学生なのに父親になって、そのパパとしての奮闘ぶりが軽いタッチで描かれてます。

 親が離婚して父子家庭となるも、父親は舞台監督で地方巡業が多く留守がち。中学1年生の息子・静男は、家政婦代わりに来ることになった20代の女性・花音と深い関係になって、花音の妊娠、出産に至ったというわけです。花音が妊娠を告げると、静男は父親になることを素直に喜び、子どもを産むことになるのです。

 小説の構成としては、その産んだ母親がどっか行っちゃって、生後5ヶ月の男の子をひとりで世話している静男が、夏休みが明けたらどうやって育てようかと現実的な問題を解決するべく動いている部分を本編として、花音との出会いから出産に至るまでを同時進行的に挿入する形。

 その構成からも、状況が読み取れるまで、不思議な設定が少しずつ見えてくる興味と、過去が明らかになることで本当の父親は別にいるんじゃないかという予想がありました。そのあたりがはっきりしてくると、展開自体は地味目なので、話としての盛り上がりには欠ける嫌いはあるかと思います。

 ただ、この手の物語で、現実的な書かれ方でもありながら、ここまでほんわかと描いちゃってるのは、逆に野心的だなと感じたほど。静男は、ちゃんと父親としての愛情をもっていて、子どもの世話をすることも苦になっていないようで、そういうところも、あまり目にしたことがない気がしました。ただ、この題材にして、問題に切り込んでいるといった迫力はなく、真正面からぶつかっていってないところに、逆に狙いを見出せるのかもしれないですが、小説として素直に支持できるかとなれば、首をひねります。 
posted by 行き先不詳 at 21:08| Comment(0) | TrackBack(1) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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「ヤングアダルトパパ」山本幸久
Excerpt: 夏休みもあと数日。中学2年生の静男は、生後5ヶ月の赤ん坊を負ぶり保育所を探していた。10以上年の離れた花音と恋をして、優作が生まれた。しかし彼女は幼い父子を残し、消えてしまったのだ。もうすぐ二学.....
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