カムヰヤッセンは今回が2回目。
一線を退いている研究者のところに若い研究者とその妻が訪ねてきています。主は記憶を貯蔵できるチップの研究者で、自身にも、息子にもそれを使っています。脳には蓄積されなくても、体に埋め込んだチップによって記憶を完全な形で覚えることができる、というわけですが、必ずしも社会的に受け入れられてはいないことが窺われます。家には、息子とふたり暮らしで、家政婦を雇っています。
前半は、この技術の仕組みが説明されていくことや、この家庭の背景、訪ねてきた研究者が怪しい言動を垣間見せることで真の目的がほかにあることなどがわかること、などによって謎が少しずつ明らかになる過程となっています。それが、後半になると、SF的設定を借りたホームドラマになっていくという展開です。
ポイントとなるのは、チップの記憶は消去したり書き換え可能なため、本当にあった絶対に忘れえないような重要な事実についても、チップの記憶次第になってしまうというところにあるのです。ここでは、エピソードなどの周辺部分の記憶が命綱となっていて、これによってドラマティックな場面が描かれることになります。
前半のミステリアスな空気といい、全体を通してあるとぼけた味わいといい、75分程度の短さでしたが、とても楽しめました。
脚本・演出 北川大輔
出演 北川大輔 甘粕阿紗子 金沢啓太 遠藤友香理 小島明之
3月6日昼の部
小劇場楽園にて

