2011年05月01日

劇団チャリT企画「ネズミ狩り」

 この公演を観たのは、3月6日の夜の部でして、ほとんど書き終わってはいたんですが、震災が来てそのまま中断してました。

 劇団チャリT企画を観るのはこれがはじめて。社会派で結構チャレンジングな題材をもちこんでいて、それでいて不謹慎なくらいな笑いも入ってて、いろいろと考えさせる要素が盛り込まれていて、とにかく面白かったです。

 そば屋を舞台にしていて、平日の忙しいお昼時が一段落した時間帯からスタートし、段々と背景となる事情などがわかるにつれてシリアスな状況が見えてきます。実は、そこの主人が殺人事件の被害者で、まだ裁判中。主人公となるその娘が店を継いでいるのですが、どうやら遺族という立場ながら死刑反対を表明しているらしいのです。また、この店が雇用協力主とかで、刑務所を出所して更生しようとしている若者を雇い入れているようです(しかもパートの同僚は知らなかったりも)。

 そのほかの登場人物として、秘密を嗅ぎ回る週刊誌記者、近所の噂好きな中年女性、主人公の態度に反発して対立する妹、同じ事件の被害者遺族で死刑を求め署名活動をしている女性、フォークバンドをしているフリーターの主人公の弟とバンド仲間、この店で更生すべく熱心に働く若者ふたり。とりわけ、そば屋で働く若者のひとりの設定には驚かされます。

 
 ちょっとした違いによって死刑になるかどうかの分かれ道になってしまうということの問題提起の面はあるかと思いましたが、ここで扱われた事例が死刑制度についての恰好の題材とは思えなかったというのが正直なところです。それより私が一番強く反応してしまったのは、口さがない人たちのことで、安全地帯から人を指差すような卑俗な態度に対して、とても世間的な嫌らしさが実感されますが、同時に自分にもあるなと思い当たったりもします。ですから、どうすればああいうふうになるのを回避できるんだろうなと考えていました。


 その上でいくつか気になった部分について。
 主人公が理性的でもう一方の被害者遺族が感情的になっているように見えると、対立図式を描くのに効果的ではないのではないかと思ったこと。その点では、もう一方の遺族の泣きの演技などが過剰に感じられました。もっと抑えた演技で、張りつめた空気だったり、いたたまれなさを感じられれば、より惹き付けられたかなと思います。

 事件の真相について、グレーである可能性が提示され、死刑の基準の立脚する事実認定もあいまいだということを示しているのは理解しますが、主人公の主張は弁護士の陳述を元にしているだけなので、根拠不足に過ぎるように思われました。

 パートの女性が、息子の暴行騒ぎをきっかけに見方を変えることになるのですが、たいへん安直に感じられます。学校からの電話で知る場面で、すでにがっかり感が出ました。


 作・演出 楢原拓 
 出演 ザンヨウコ 内山奈々 羽鳥名美子 吉村公佑 滝寛式 松本寛子 高見靖二 熊野善啓 植田祥平 堤千穂 下中裕子 小杉美香 松本大卒 吉岡亜沙美
 こまばアゴラ劇場にて
posted by 行き先不詳 at 21:25| Comment(0) | TrackBack(1) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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