2006年10月30日

「父親たちの星条旗」

 クリント・イーストウッド監督の硫黄島2部作の第1弾で、アメリカから見た硫黄島です。

 硫黄島に掲げられた星条旗の写真は、確かに見たことはありましたが、歴史のある瞬間を切り取ったという程度の認識で、アメリカにとって大きな意味があったということを知りませんでした。当時、アメリカも戦費の調達が厳しく、このまま戦争を続けていくかどうかの岐路に立っているところでのこの写真なんだと。この写真が勝利のシンボリックなイメージになるので、これを利用して国債を買ってもらうことによって資金調達をする、という政治的な話が描かれます。とにかく、これが背景にあります。

 そして、この星条旗を掲げる兵士たちは英雄視されるのですが、実はその写真から受けるイメージは事実と違うんだということが、冒頭から少しずつ匂わされます。そして、その英雄視される兵士らは、自分たちが決して英雄なんかではないと、戦死した兵士に対しての申し訳なさと恥ずかしさを感じていたりするのです。で、明らかになる事実は、なんとも間の抜けた話なんですね。それだけに、英雄視されることを拒絶したがる兵士に対して共感もできるんでしょう。

 まあ、戦争に限らず、人がわかりやすい物語を欲してしまうということがあるかと思いますが、戦争のような状況では、とりわけこういう物語を切実に欲していて、それに抗することはかなり困難なんだということ、それがたとえ事実と違おうとも、一個人などは大きな流れに飲み込まれてしまうんだということが描かれていると思います。そして、物語に切実さが失われると手の平返しをされたり、すっかり忘れられてしまうという現実が待っているのは、やはり今でもたびたび見かける光景です。

 そういう話がメインのストーリーではありますが、硫黄島に上陸するシーンが「プライベート・ライアン」を連想させるとはいえ、やはり迫力が凄まじく、最大のインパクトになってます。

 ただ、私には、星条旗を立てた後の硫黄島の状況が、なんかわかりにくかったような気がします。
posted by 行き先不詳 at 23:52| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画・DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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