『写楽考』は、謎の浮世絵師・東洲斎写楽を描いた作品で、劇作家・矢代静一(1998年に亡くなっています。次女が毬谷友子だということをパンフレットを読んではじめて知りました)の代表作ともいえるそうです。チラシには、作品のスピード感を増すために、一部の役・セリフをカットした、との断りがありましたが、私はオリジナルの戯曲での上演も見たことはないので、比較できません。今回が2時間10分程度の上演時間ですから、元のは結構長いんでしょうね。
登場するのは、写楽(堤真一)、喜多川歌麿(長塚圭史)、版元の蔦屋重三郎(西岡徳馬)、写楽の不倫相手である大店の女将(キムラ緑子)、その女中(七瀬なつみ)、十返舎一九(高橋克実)の6人。
後に写楽として作品を残す伊之(イノと読みます)は、兄弟弟子で後に歌麿となる勇助といっしょに暮らしている。勇助は、自分と考え方の違う伊之を疎ましさや反発など複雑な感情をもっている。伊之は、大店の女将と不倫しているが、彼女が身ごもってしまい、伊之の子どもだと言っている。しばらくして隠れて子どもを産んだ女将が現れるが、ここから全員の運命が大きく変わってしまう。
写楽は、自分のすべてをぶつけて表現しようとするひとりの芸術家として、また、大言を吐くものの人間的に弱い男として、描かれています。写楽の謎を埋める物語ということ以上に、そんなふうに生きた人間の業だとか悲しみだとかを描いているようなかんじです。
随所に入る、太鼓と笛がとても印象的なのと、役者陣がそれぞれ強力だなという感想をもちました。
シアターコクーンにて、4月29日まで。


私には、1981年の新藤兼人監督の「北斎漫画」(フランキー・堺は脇役)も、江戸時代の画師を描いた秀作でしたが、
フランキー・堺主演の1995年の篠田正浩監督作品『写楽』が、印象に残っています。
<自分のすべてをぶつけて表現しようとするひとりの芸術家>は、いつの時代にもおりますが、江戸時代の画師は、そのパワーはすごかったと感じます。
そのエネルギー(パワー)は、時代・国を超え、フランスに伝わり、ゴッホや他の「印象主義」の画家に影響を与えています。
そういえば、「写楽」見てません。近いうち見てみたいと思います。