2015年01月04日

宮部みゆき『ソロモンの偽証』

 単行本で出ていたときには、あの分厚さにひるんで手が出なかったのですが、文庫本なら全6冊とはいえイケるだろうと思ったところです。そしたら、期待通りの面白さで、先が気になってページをめくる手が止まらないタイプの小説でありました。

 中学校の屋上から生徒が転落死して、警察には自殺と断定されるのですが、匿名の告発状が学校などに届き、登場人物の思惑を超えた騒動が起こってしまいます。マスコミにも取り上げられ、学校側の対応の不手際が事態を悪化させますが、それでも警察は事件性がないという判断に変わりがないので、終わったものという扱い。そこで、生徒たちがこの事件を総括するため、学校内裁判を起こすことになるという展開です。

 第V部(文庫では5巻と6巻)で学校内裁判が開かれ、当然ここの読み応えが最高なのですが、事の発端から、事態が収拾できなくなっていく展開にも惹き付けられますし、著者ならではのリアルさを積み上げる書き込みぶりには圧倒されます。

 面白さについては文句ありませんが、些細なところですけど気になったところを重箱的に。
 担任教師の隣人が精神的に病んでいて、事態を大きくするのに不可欠なパーツとなるのですが、心理描写が段取りくさく思えたところがありました。
 主人公の生徒は、検事役となるのですが、そもそも被告人の有罪を信じていないので、途中、引っかかりを覚えながら読むことになってしまいました。
 それから、これは最も根本的な部分になるので、意図的なんだとは思いますが、高校生ではなく中学生としたところです。というのも、中学生にしてはあまりに立派に運営していますし、子どもでは理解できないんじゃないかっていう言葉を使ったりします。学校内裁判では、大人びた振る舞いに滑稽さが出るくらい。一方で、大人でもこんな展開にもってけないのではないかというところに小気味良さがあって、中学生だからこそという効果もあるんだとは思いますが、微妙なバランスの上に成り立っているように思えました。
posted by 行き先不詳 at 15:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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