2009年12月28日

「マレーヒルの幻影」

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 岩松了が作・演出、主演がそれぞれ初舞台となる麻生久美子とARATAの本作を先週火曜の夜に観てきました。

 
 スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』に想を得た作品だとのこと。1920年代のニューヨークで成功していた日本人実業家とその周辺の人物を中心に描かれてます。その男と不倫関係にあった女との再会だとか、その夫をめぐる愛憎の物語ではありますが、途中まで、どんな話をめざしているのかがさっぱりわからず、これはもしかして全然面白くないんじゃないかという気もしたほどでした。全体的に抽象的というか、なんとなく現実感があまりないように感じられました。盛り上がって来たのは、第1幕の終わり近くになってからで、私には、長過ぎるのではないかという印象です。

 外国人のキャストが英語を使ったりもするのですが、必ずしも全部の内容を観客に伝える必要がないというところがちょっと新鮮でした。それと、麻生久美子は舞台でも魅力的に映って今後も楽しみなところです。

 出演 麻生久美子 ARATA 三宅弘城 荒川良々 市川美和子 松重豊
 本多劇場にて
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2009年12月27日

「ANJIN イングリッシュサムライ」

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 ウィリアム・アダムズ=三浦按針といえば、日本史に一瞬登場した名前として遠い記憶にありましたが、そういう人物の波乱の人生を見せられて、こんな人がいたんだという新鮮な驚きをもちました。先週の日曜に天王洲銀河劇場で観てきました。

 この企画は、一昨年上演された「ヴェニスの商人」から発展したところがあるようで、出演者の市村正親と藤原竜也、演出のグレゴリー・ドーランが共通しています。市村正親は徳川家康、藤原竜也は日本人宣教師・ドメニコという役柄。

 オーウェン・スティール演じるウィリアム・アダムズが漂着したときに、スペイン人宣教師たちが、イギリス人であるアダムズを悪意ある通訳によって貶め、処刑されかねない危機に陥るシーンから、カトリックとプロテスタントの対立だとか、言語の壁によって生じる悲喜劇がうまくドラマに取り入れられて、すっかり惹き込まれます。その後、アダムズは家康に取り入れられ、妻子のいる祖国へ帰ることも許されず、旗本に召し抱えられるようにもなり出世を遂げ、さらには日本的な精神を纏うようになるのです。全体を通して家康の占めるウェイトも結構大きく、大河ドラマ的な歴史ドラマが味わえる作品でした。
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2009年12月24日

ヨーロッパ企画「曲がれ!スプーン」

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 舞台のほうです。アフタートークのある土曜の夜公演を観ました。
 映画化と同時に上演するという本作ですが、「冬のユリゲラー」の改題といったところで、内容そのものは大幅な変更はなさそうです。ですから、映画とはかなり違ったものになってるはず。そちらは上映もほぼ終わったようで、DVD化を待つことになりました。

 超能力者たちが喫茶店に集って、ふだんは人には隠している能力を披露し合うのですが、その能力もあまり派手さがなくて、あんまり役に立たなかったりします。そんな超能力者たちのやり取りがヨーロッパ企画ならではのゆるい空気をかもしだしてとてもおかしいのです。

 私は今回観てて、前半までの超能力者たちの紹介と能力の披露あたりまでが最高に楽しかったのですが、途中からの展開にムリヤリ感を覚えるところもあって、前半ほどは乗り切れなかったです。


 作・演出 上田誠
 出演 石田剛太 酒井善史 角田貴志 諏訪雅 土佐和成 中川晴樹 永野宗典 西村直子 本多力 山脇唯
 紀伊國屋ホールにて
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親族代表「渋々」

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 10周年記念公演と銘打たれている本作、土曜の昼公演を観てきました。

 全部で8本のコントでした。脚本・演出の福原充則のほか、脚本提供として、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、ブルースカイ、池田鉄洋、川尻恵太となっていて、豪華な顔ぶれです。私は、誰が誰の作品なのかを気にせず観てましたが、終演後に配られたリストで確認すると、川尻恵太の作品が一番好みのようでした。ただ、リストのタイトルだけ見ても内容と結びつきにくく、たとえば「息子」なら混浴同好会というワードが使われたほうが記憶が甦りやすいような気がします。あと、一番インパクトがあったのは、“前説”のナウシカでした。

 それから、私の観た回では「kusakari」でセリフが飛んでしまうハプニングがありました。

 出演 嶋村太一 竹井亮介 野間口徹
 新宿シアターモリエールにて
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2009年12月23日

ひょっとこ乱舞「モンキー・チョップ・ブルックナー!!」

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 ひょっとこ乱舞は今回がはじめて。柿喰う客のときに観た俳優が3人出てるつながりが一番大きなきっかけでといったところ。出演者のひとりがケガをしたということで(車椅子での演技となってました)、15分遅れて開演となった先週金曜の夜公演を観ました。

 ルームシェアをしていた男2人、女1人の中に、監禁されていたらしい女を助けたものの警察にも届けず家にしばらく住まわせることにしたことで、その女に恋をした男の精神のバランスが狂ってきて、元々あった人間関係のバランスが壊れてしまう、という話。

 男(チョウソンハ)の変貌ぶりと、そのことで対立してしまう、激しいやり取りが強烈で、たいへん惹き込まれました。観てるこちらに感情が感染するくらい。あと、この3人を中心にして、夫婦やカップルとかバイト先なんかの人間関係で展開されるドラマも見応えがあったりとか。

 いくつか印象的というか引っかかりとなったところ。
 監禁されてた女が3人1役みたいにして、同じ役を時間によって、違う俳優が演じたり、同時に3人が舞台上に並んでいたりしていました。この女は謎がほとんど謎のまま進展していって、本当に監禁されていたかも必ずしも明らかではないのですが、どちらにしても、精神疾患を抱えていることが窺われます。私は、3人1役状態は、この女が不確かな存在としての表れとして解釈してました。

 黒電話のほか、電話機が小道具として登場して、時代設定を表現しているのではなく、携帯電話の見立てとなってました。

 それから、身体的な表現の取り入れ方が特徴的なんでしょうけど、観ていて気持ちよかったです。


 作・演出 広田淳一
 キャスト チョウソンハ 中村早香 橋本仁 笠井里美 松下仁 根岸絵美 齋藤陽介 コロ 佐藤みゆき 小菅紘史 永島敬三
 シアタートラムにて
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ブラジル「FUTURE」

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 ブラジルは今回がはじめて。何個か前の公演から迷ってましたが、ようやく重い腰を上げたかんじです。先週水曜の夜公演を観てきました。

 舞台装置としては、アパートのふたつの部屋が左右にあって、それぞれ別個に同時進行するようにして物語は進行します。

 右側には司法試験をめざして勉強している30代の男。離婚して、妻と子がいるらしい。酔って帰る道すがら知らないうちにバッグを持ち帰ってしまって、その中には1億円が入っていました。

 左側にはきれいな女が住んでいて、付き合ってる男のために振り込め詐欺をしています。

 このふたりの部屋には、それぞれいや〜な招かれざる客ばかりがやって来て、好ましくない事態に巻き込まれていきます。観ていて、苛立たしいくらいですが、そういうところも含めて、とても面白いです。

 はじめから、このふたつの部屋が同じ共同住宅なのかとか、ふたりの関係はもしかしたら、男の別れた妻なのかとか、兄妹の関係かもとか、あるいは時間が全く違っていて、親子関係ということも、とかいろんなパターンを想定しながら観てましたが、その中のひとつでした。でも、私の中では解明されてない謎も残ったままなんですけど。

 あれだけ、ダメで不快な人が目白押しなのに、後味が悪くないのが不思議です。

 
 作・演出 ブラジリィー・アン・山田
 キャスト 高山奈央子 櫻井智也 諫山幸治 辰巳智秋 西山聡 林修司 信國輝彦 堀川炎 平間美貴
 駅前劇場にて
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2009年12月16日

グリング「jam」

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 グリングの活動休止公演だということで、全く残念なことです。気になって、やっと観はじめるようになったところですから、それならもっと早くから観とけばと激しく後悔します。日曜の昼公演を観てきました。

 今回の作品は2003年に上演していて、その再演。
 山奥の温泉地にあるペンションを舞台にした人間模様が繊細に温かく描かれます。しかも、笑いどころもあって、たいへん素晴らしい。

 登場人物を挙げていくと、まずはペンションの主人(中野英樹)。妻を亡くし、子どもを育てながらペンションを経営していますが、自分だけでは手が回らなくて、亡くなった妻の妹(萩原利映)が手伝ってくれています。ただ、この妹が今後もペンションを手伝うか、新しい道を歩むのかといったところで、なかなか決断できず揺れています。その妹にはほかに姉(佐藤直子)がいますが、そっちは手伝うまでには至らず。ただ、実際には主人は婿入りした恰好のようで、本来は姉妹の家側がオーナーだったようです。

 このペンションで、地元のコーラスサークルに第九を教えに来ていた指揮者の先生の送別会が行われます。この指揮者(永滝元太郎)が小沢征爾風のヘアスタイルで個性的キャラが楽しいのですが、この人が口説こうと狙ってる女性(松本紀保)がいて、よからぬ企みをするのです。その指揮者が口説こうとしているのを牽制するために、マッサージをしにくる男(小松和重)を含めて、片思いが錯綜してます。

 このペンションに、客として来た歳の差が離れた婚約中のカップル(廣川三憲・澁谷佳世)は、ぎくしゃくしてケンカをはじめ、あと、部外者的に一定の距離を置いて登場する男客(遠藤隆太)の行動が意外なおかしみを生みます。 


 主人の妻が亡くなった事故はどうやらブルーベリーを採りにいったときに起こったようで、そのことからジャムに対して強い忌避感があることが窺われますが、これが最後には希望を感じさせる小道具にもなってくるのです。ただ、それほどジャムが全面に出てくるわけでもないほか、いろいろとこれ見よがしでないところが、私には一層好ましく感じられました。


 作・演出 青木豪
 東京芸術劇場小ホール1にて
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2009年12月13日

庭劇団ペニノ「太陽と下着の見える町」

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 庭劇団ペニノは今回がはじめて。水曜の夜公演に行きました。

 印象としては、シュールでよくわかんないところが多かったものの、退屈さは感じなかったということと、パンチラをかなり意図的に出してるわりに、私にはあまりエロさは感じなかったといったところです。

 誤解したまま観終わってる可能性大なんですけども、精神病棟のようでもある施設の何部屋かと2階部分の一部屋が真正面に見えて、テレビのチャンネルをザッピングしてる感覚でいくつかのシーンを断続的に見せるような作りになってました。個人的には、パンチラをマニアックかつまじめな態度で学術的に語るパートがタモリ倶楽部的で好きでしたが、それならそれでもっと本格的でアカデミックなほうが面白かったとも思います。で、私が本作から受けとった(誤解したままの)印象からすると、総じて映像のほうが作りやすいのではないかとも思ったのでした。


 作・演出 タニノクロウ
 出演 久保井研 山田伊久磨 佐野陽一 間瀬英正 大久保宏章 森準人 マメ山田 高橋ちづ 内田慈 五十嵐操 寺田ゆい 笹野鈴々音
 にしすがも創造舎にて
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2009年12月07日

イキウメ「見えざる者の生き残り」

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 私の中では、イキウメと前川知大の快進撃は続いてるなぁ、という印象です。今回は、現代版座敷童子の物語。座敷童子の視点から描かれますが、基本は人間ドラマです。土曜の昼公演を観てきました。

 座敷童子といっても子どもじゃないので、自分たちを家守(やもり)と呼んでます。その家に居着くのにも、先に家の人に説明をしたりします。もちろんヘンな人だと思われたりすることが多いので、そのへんの苦労があったりとか。

 この物語の発端は、死に切れずに新人の座敷童子となった男が、座敷童子の研修を受けるようにして、その世界での約束事などを説明されるのですが、実例としてある家に居着いたところの再現がされることで、そこに住む人たちのドラマが描かれる構成になってます。

 座敷童子が居着くことで幸福になるということが語られますが、別段幸福になってるとも見えず、幸福とは何なのか、という問いが浮上します。ただ、そこは徹底して強調されてるようにも感じず、それ以上にドラマ性の強さが見所かなと思います。ちゃんとラストもキマッてて素晴らしかったです。

 俳優陣はそれぞれよかったですが、とりわけ有川マコトが温かくて柔らかいところが印象的でした。


 作・演出 前川知大
 出演 窪田道聡 板垣雄亮 森下創 有川マコト 盛隆二 岩本幸子 浜田信也 伊勢佳世
 紀伊國屋ホールにて
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2009年12月06日

「十二人の怒れる男」

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 シアターコクーンで、今日まで上演されていた舞台版を火曜に観てきました。演出は蜷川幸雄、主演は中井貴一。

 パンフレットの蜷川幸雄の言葉にこうあります。
一般的には、これは陪審員制度のもと、明らかな有罪として扱われていた少年による父親殺しが覆るスリルと、人が人を裁くことの意味、正義や真実の追求がメインテーマの作品と考えられています。けれど読めば読むほど、実は「裁きの話」などではなく、「人間とはどういう存在なのか」を人が言葉を感情をぶつけ合いながら問い直す、そこにこそ力点があると思えてきたのです。 

 私は、観る前は、そこまで言えるような話じゃないと思うけどなぁ、と感じてましたが、これがなかなか納得させられるようなところがあって、驚かされました。陪審員たちが互いに意見をぶつけ合いますが、自分の正しさを確信している者が相手を説得していく困難さがあり、その確信の背景には偏見や誤解があったりもするわけです。個人への罵倒になったりもして、何度か、あなたにそんなことを言う権利はない、といったセリフが出てきます。人間と人間が向き合って、そのぶつかり合いのエネルギーの大きさが、自らの存在を証す言葉につながっているように感じられました。

 感情的に意見をぶつけあっていく内容ですから、舞台だと生身の人間の存在感とかぶつかり合いの迫力があって、映像よりも強く訴えかけてくるものがあると感じました。出演者らの熱演は素晴らしいです。しかも、笑いが起こるところが結構あったのが意外でした。

 ただ、西岡徳馬なんかは、たいへんな熱演だという反面、仰々しいというか芝居がかったキメがあって、ちょっとやり過ぎな気も。それと、斎藤洋介は私が観た回では、セリフ回しに不安を覚える箇所がありました。

 キャストの中では、重厚で安定感のある辻萬長と軽くて粗雑なキャラクターの大石継太がとくに好きでした。ほかに、田中要次はとぼけたキャラでいい味出してたとか。

 それから、映画でいうヘンリー・フォンダの役を中井貴一が演じていて、とても弁舌さわやかで説得力があり、惹き込まれるのですが、果たしてそれでいいのか、という気もします。この人は有罪だと確信できないところから出発していて、あくまで無実かどうかはわからない立場です。孤立を恐れず、周りからプレッシャーを受けながら議論を続けていく、強さがあるという点はあるとしても、まるで無実と最初から確信しているように見えてしまうくらいの説得力です。


 客席に三谷幸喜がいて、「12人の優しい日本人」が好きな私としては、この作品をいっしょに観ることがちょっとうれしかったりもしました。



 作 レジナルド・ローズ
 演出 蜷川幸雄
 キャスト(陪審員長から12号までの順で)
 石井愃一 柳憂怜 西岡徳馬 辻萬長 筒井道隆 岡田正 大石継太 中井貴一 品川徹 大門伍朗 斎藤洋介 田中要次 
 新川將人(守衛) 飯田邦博(声のみ)
 シアターコクーンにて
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2009年11月28日

「フロスト/ニクソン」

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 アカデミー賞のノミネートで映画の方を先に知って、そっちを観たいというのがまずあったもので、日本人が演じる舞台を観るのもどうかと迷ったところです。でも、考えてみれば映画だって舞台を映画化したものなんだから舞台向きの作品かもしれないし、キャスティングも魅力的だよなぁ、ということで。その上で、どっちを先に観ようかなとか言ってるうちに、公演当日がやってきました。今日の昼公演です。

 ニクソン元大統領(北大路欣也)がウォーターゲート事件で辞任した後、ふたたび表舞台に復帰する足掛かりを考えていたときに、フロスト(仲村トオル)のインタビューを受けることになるのですが、その模様を舞台化した作品です。このフロストはジャーナリストではなくてTVショーの司会者。ニクソンははじめはナメてかかってるし、実際横綱相撲のごとくあしらっていたのですが、フロストが起死回生となる突破口を見つけることができるのかという展開です。

 前半は、インタビューに向けて動きながら、ニクソンとフロスト、それに彼らのブレーンたちの背景や思惑がわかるように進められ、後半はいよいよインタビューの本番へ、という流れ。


 いわゆる丁々発止といったところをイメージしてたのですが、言葉の応酬から相手を追いつめるといったものではないのがちょっと期待と違ったところ。最終的には、ある材料を発見することがカギとなるわけで、しかも、それがあっさりとした描き方なのが、拍子抜けでした。

 ニクソンとフロストが敵対する関係から、ニクソンの告白を通過することで、人間と人間の結びつきだとか、互いを理解するところに到達したように感じられました。


 作 ピーター・モーガン
 上演台本・演出 鈴木勝秀
 出演 北大路欣也 仲村トオル 佐藤アツヒロ 中村まこと 中山祐一朗 谷田歩 安原義人
 天王洲銀河劇場にて
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2009年11月27日

シス・カンパニー公演「バンデラスと憂鬱な珈琲」

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 交渉人のバンデラスという男が戦争を回避するという使命を帯びてダズラー元帥に会いに行く、というのが物語の軸ですが、作が福田雄一とマギーということで、シリアスでないのはわかってましたが、完全にコメディ全開でありました。昨日の夜公演を観てきました。

 バンデラスが目的地へ向かう途中、じゃまが入ってなかなか辿り着かないのですが、その場面場面がコント的なシーンとしてつながって構成されています。7人のキャストがそれぞれひとり何役も演じていて、パンフレットによれば「14のシーンを約50に及ぶキャラクター」とあります。それが、1時間40分ほどの上演時間で詰め込まれているわけです。

 面白かったですし、最後もキマッてて、笑わせてもらいましたが、ここまでコントにしてしまうと、逆に物足りなさを覚えてしまう面もありました。何しろ、豪華なキャストですから。


 演出 マギー
 出演 堤真一 段田安則 高橋克実 小池栄子 高橋由美子 村杉蝉之介 中村倫也
 世田谷パブリックシアターにて
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2009年11月24日

加藤健一事務所「高き彼物」

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 加藤健一事務所は今回がはじめてで、今までなんとなく観るのを避けてきたところがありました。今回は、30周年記念って掲げてあったことと、マキノノゾミの傑作戯曲らしいということ、小泉今日子の出演といったあたりで観ることに決めました。月曜の昼公演です。

 昭和53年の静岡県川根町が舞台。15年前に40歳で辞めた教師・猪原は今は雑貨店をやってて、父親と娘の3人で暮らしています。物語は、バイク事故を起こして自分は生き残ったものの友人を亡くしてしまった高校生・藤井が、猪原の元へ訪れているところからはじまります。猪原は、バイク事故を引きずり受験勉強に身が入らない藤井に、しばらく泊まっていくよう勧め、過去に起こったことと向き合うことも悪いことではないし、勉強ならここでもできると言います。

 といった話がありながら、彼を尊敬していまだに交流がある女性教師・野村と猪原との関係がどうなるか、猪原が教師を辞めた理由とは何だったのか、猪原の健康状態はどうなのか、猪原の娘の恋人はどんな人物なのか、といったところがポイントになって物語は展開していきます。私は、猪原の告白がもっとぬるいもので留まるかと思ったら、そうでなかったのが驚きでしたし、納得させられるのですが、それにしては最後があっさりとし過ぎてるようにも感じられました。

 それにしても、人間と人間の交流を繊細に描いていて、感動しました。とても素晴らしかったです。泣ける舞台とかではないと思いますが、私は第1幕から涙が出ちゃいました。なんかツボだったようです。あと、猪原の父親役の滝田裕介が絶妙なとぼけた味わいで最高でした。


 作 マキノノゾミ
 演出 高瀬久男
 出演 加藤健一 小泉今日子 占部房子 石坂史朗 海宝直人 鈴木幸二 滝田裕介
 本多劇場にて
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「海をゆく者」

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 コナー・マクファーソンというアイルランドの劇作家の戯曲を栗山民也の演出、パルコ劇場で上演しています。土曜の昼公演を観てきました。

 出演が小日向文世、吉田鋼太郎、浅野和之、大谷亮介、平田満という顔ぶれ。ある種、ドリームチーム的な豪華さとさえ言え(一般的にはドリームというには若干地味目かもしれませんが)、もう面白さが約束されてるという期待を持っちゃいます。


 ダメな空気の漂う、それでいて憎めない人たちのクリスマス。酒を飲み、ポーカーに興じる仲間たち、そこに場違いにぱりっとした男が加わり、予想外の展開が待ってます。とにかく、個性的でよくしゃべる面々の演技合戦が魅力でした。できれば、もう一回観たいです。
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2009年11月22日

毛皮族「社会派すけべい」

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 毛皮族は2年前に「おこめ」を観た1回きりで、その時の感想もビミョーなんですけど、「劇団、江本純子」が面白かったということもあって足を運びました。金曜の夜公演を観ました。

 リゾートホテルに押されてる温泉旅館を舞台にした愛憎劇といったところですが、どうしても私には演技のチープさが惹き付ける方向にも笑う方向にも向かわず、なんとなく醒めたままで観てしまうのでした。もちろん、ところどころでおかしいところ多数ですが、とくに今回は町田マリーには終始のれませんでした。もしかしたら、毛皮族は相性が悪いのかなと思いました。

 
 作・演出 江本純子
 出演 羽鳥名美子 町田マリー 江本純子 柿丸美智恵 延増静美 高野ゆらこ 高田郁恵 武田裕子 金子清文
 下北沢駅前劇場にて
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2009年11月15日

パラドックス定数「東京裁判」

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 パラドックス定数は今回がはじめて。また、pit北/区域という王子駅前の劇場にもはじめて足を運びました。地下に入っていくんですけど空調のせいか、久しぶりにつけたエアコンみたいな臭さが漂っていて、これはキツいなと思うほどでした。においが気にならなくなった頃に開演となりましたが。今日の昼公演を観てきました。

 タイトル通り、東京裁判そのものを扱っていて、日本の弁護団が法廷闘争をしているところが演じられます。5人の弁護人だけが舞台上にいて、法廷劇といっても判事も検察も被告も登場しません。弁護団には通訳を兼ねてる人もいて、それによってかろうじて判事や検察が英語で話したことが知れる程度です。

 それでも、5人それぞれの個性があって、背負うものも違ったりして、そんな中で不当な裁判に対してどうやって闘うかを、感情的になったり、論理的に攻めたり、諦めそうになったりしながら、裁判が進行していきます。その過程が東京裁判に対しての解説にもなってたりします。面白かったです。


 作・演出 野木萌葱
 出演 西原誠吾 井内勇希 植村宏司 十枝大介 小野ゆたか
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ホチキス「いらない里」

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 月曜の夜公演を観てきました。ホチキスは今回がはじめて。

 コストカットの仕事をしていた主人公の女性が失職して久しぶりの里帰りをすると、田舎はすっかり疲弊しています。彼女が赤字で閉鎖の危機にある天文台を盛り上げる作戦を練っていくという話。地域格差とか勝ち組負け組という話を超えて、地球全体が負けてるじゃんという大きな視点も入れ込んだ上で、希望が見えてくるかんじです。ナンセンスで壮大なところが楽しいです。俳優の大げさな表現も気持ちよかったです。


 作・演出 米山和仁
 出演 村上直子 小玉久仁子 川村紗也 齊藤美和子 猪股和磨 加藤敦 橋本哲臣 江本和弘 山崎雅志 武田真由美 玉置玲央 松本理史 山本洋輔 涌井友子 さいとう篤史 山田隆史
 吉祥寺シアターにて
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2009年11月14日

サンプル「あの人の世界」

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 江戸東京博物館を後にして、こちらを観ました。先週日曜の夜公演です。

 サンプルはこれが2度目。今年5月の「通過」がすごく面白かったので観たわけですが、今回は正直困りました。これを素直に評価できる理解力や感性がないようで、いったいどうしたものかというかんじ。

 2層構造のようになっていて、舞台装置では地上と2階という組み方になっています。2階部分では倦怠期の夫婦が過ごしていて、その下で、シュールな世界が表されるので、私は地上世界と地下世界という印象をもって観てました。集合無意識のようなものが地下世界として表現されているのかなと。

 すっかり理解するようなものでもないのかもしれませんが、行われる動きやセリフの意味の文脈がわからなくて、しかもシュールさとか自由さに面白さを感じるところもなくて、どういうスタンスで観るべきなんだろうと思うばかりでした。少なくとも、面白いという感想は出てこなかったということです。

 アフタートークのゲストが岩井秀人で、いつもよりスゴくわかりやすかった、っていうところからして、一瞬のけぞりそうになりました。


 作・演出 松井周
 出演 古舘寛治 石橋志保 田中佑弥 深谷由梨香 芝博文 辻美奈子 古屋隆太 奥田洋平 渡辺香奈 善積元 山崎ルキノ 羽場睦子
 東京芸術劇場小ホール1にて
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2009年11月11日

KAKUTA「甘い丘」

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 KAKUTAを観るのは今回がはじめて。本作は2008年の岸田戯曲賞の最終候補作品で、その再演だということです。先週金曜の夜公演を観てきました。

 行き場のない人たちが勤めるサンダル工場を舞台にして、そこを居場所にしている人たちの姿が痛さを伴いながらもパワフルに演じられます。

 この工場が街からは蔑まれているらしく、職場環境もよくありません。この工場に面接を受けるために女性ふたりがやって来るところから物語ははじまります。ひとりは刑務所を出所したばかりの若い女性で、もうひとりは夫に逃げられた主婦で場違いとしか見えません。とても続かないのではと思われるも、寮母として住み込みで働きはじめるのです。季節の移り変わる中、しだいに活き活きとしていき、さらにここに来た理由もわかってくるのです。

 濃いめのキャラクターたちを演じる俳優たちのパワフルさが生きる力強さにも通じていて、楽しくもあり痛々しくもあり、とても惹き付けられました。面白かったです。

 作・演出 桑原裕子
 出演 椿真由美 大枝佳織 成清正紀 村上航 桑原裕子 高山奈央子 三谷智子 原扶貴子 横山真二 佐藤滋 若狭勝也 馬場恒行 野澤爽子 高島雅羅
 シアタートラムにて
 
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2009年11月08日

青山円劇カウンシル♯3 ピチチ5プロデュース「サボテンとバントライン」

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 筋肉少女帯の同名の曲をベースに舞台化された作品とのこと。福原充則が脚本・演出で、主演は要潤。
 先週の日曜の昼公演を観てきました。

 冴えない高校3年生時代と、映画研究部の彼らが作る映画としての劇中劇、その18年後のさらに冴えない現在、の3つを軸に構成されてます。高校生のときは、バカっぽい青春コメディで笑えますが、そこに攪乱する存在が登場します。ネガティブなことがあっても暗いトラウマが才能を約束するんだとか言ってるような独自の世界をもってるいじめられっこで、主人公に共通したものを見出し、彼のルサンチマンを刺激するようになります。

 18年後に思わぬ形で再会する彼らや、劇中劇としての映画のもつ意味などが、終盤に交錯します。ただ、私は、主人公の極端な行動を理解させるような切迫したものが感じられず、共感しなかったところです。


 出演 要潤 今野浩喜(キングオブコメディ) 田中理恵 富岡晃一郎 小野健太郎 植田裕一 高松泰治 碓井清喜 三浦竜一 三土幸敏 吉見匡雄
 青山円形劇場にて 
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