2009年07月11日

「奇ッ怪 〜小泉八雲から聞いた話 」

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 小泉八雲の「怪談」から、五つの話を取り上げて、前川知大が舞台作品として創ってます。三軒茶屋のシアタートラムで、水曜の夜公演を観ました。

 主演が仲村トオルだったので、個人的には前川知大を知るきっかけだった「抜け穴の会議室」を思い出します。今回は、ほかに池田成志、小松和重、歌川椎子とイキウメから伊勢佳世、浜田信也、盛隆二、岩本幸子というキャストです。

 昔は寺だったという旅館にやってくるふたりの男(池田成志と小松和重)。そこには、作家(仲村トオル)が滞在しています。話をしているうちに、地元の言い伝えを、順番に語っていくというスタイルで、小泉八雲の「怪談」から「常識」「破られた約束」「茶碗の中」「お貞の話」「宿世の恋」が再現されるようにして演じられます。そして、個々の奇怪な物語を再話するだけでなく、ふたりの男と作家の出会いが偶然ではないということがわかってくる、という構成です。

 それぞれの話によって、テイストが違っていて、背筋がゾッとするような怖さのものもあれば幻想的なものや、おかしみが感じられるものもあって、個別の作品のセレクションとレイアウトが素晴らしいです。

 見所としては「破られた約束」の亡くなった妻の亡霊登場シーンとか「宿世の恋」の浪人が引き裂かれる思いに揺れるところなんかが、盛り上がりますし、怖かったりもするのですが、全体的に、池田成志が過剰なくらいに、面白さが突っ走ってるもんですから、そこが強烈なアクセントになってます。そんな私は「茶碗の中」のような軽さが好きです。
 
 私は、原作のほうの小泉八雲『怪談』にほとんど興味をもったことがなかったのですが、今回、読んでみたくなりました。
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2009年07月01日

地球ゴージャスプロデュース公演Vol.10「星の大地に降る涙」

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 「地球ゴージャス」の第10回公演にして、15周年記念となるとのことで、足を運んでみました。三浦春馬はこれが初舞台となるんだとか。

 はじめのうち、時代や場所の設定が明らかでなく、だんだんとわかってきてから、そんな話になるんだとちょっと驚かされました。そこだけですが、なんとなく映画「アポカリプト」を連想しちゃいました。

 島に暮らすある民族の話で、津軽だとか倭人だとかいう単語が出てくるので、アイヌをモデルにして、日本から蹂躙された民族の歴史といった物語となるのかなと予想しましたが、それに近いかんじではあります。

 物語としては、その島に男(三浦春馬)が流されたところからはじまります。その男は本土の人間なのですが、記憶を失くしていたこともあって、そこで暮らすようになるうち、その島の人々の生き方に影響を受けるようになるのです。これが、日本の近代の歴史の暗部を反転させたような理想を体現している民族だという切り口です。共存の困難さというものがそこにはあります。

 たいへんスケールの大きい話で、重くて悲劇的な物語でもあるのですが、エンターテインメント色が強く、歌とダンスと殺陣と笑いで埋めこまれています。

 ミュージカルがあまり好みでない私からすると、前半はあまり乗り切れなかったりもしたんですけど、もちろん十分楽しませていただきました。


 作・演出 岸谷五朗
 主なキャスト 岸谷五朗 寺脇康文 木村佳乃 三浦春馬 音尾琢真
 赤坂ACTシアターにて
 
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2009年06月28日

劇団、江本純子「セクシードライバー」

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 今日は何かしら舞台の当日券を買って観ようと思って、シアターコクーンの「桜姫」にしようか、さいたまゴールドシアターの「アンドゥ家の一夜」にしようか、とか考えた末に、これになりました。

 「劇団、江本純子」とは、毛皮族の江本純子が立ち上げたシリーズ企画だそうで、キャスティングも固定されていない、江本純子の作・演出のオリジナル作品を上演するとのこと。

 今回は、第0回公演に続く、第1回公演だということで、出演が前田司郎と安藤玉恵。ちょろっと江本純子も登場します。

 タクシーに携帯電話を忘れた客と、それを届けにきた運転手の饒舌なしゃべくり合いによって構成されてます。客がクレーマー気質な粘着質で執念深い女性、運転手は運転手でダメでヘタレキャラだったりで、両者のやり取りが、おかしくて笑えます。膨大なセリフからにじみ出る人間性と、ふたりの関係性の変化が面白いです。

 来月の第2回公演も観たくなりました。


 ギャラリー LE DECOにて
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2009年06月24日

「桜姫」は体調不良により…。

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 チケットを買っといて、行けなかったりとか、うっかり忘れちゃったというパターンはありましたが、体調がすぐれずスルーしたのは、おそらく今回がはじめて。非常にもったいないことをしました。日曜のことでした。

 私は歌舞伎にはまだ手を出したことがなく、コクーン歌舞伎にも行ったことはないのですが、今回長塚圭史が現代劇にアレンジしたということでしたから、まずはそっちを観て、その上で続けて上演されるコクーン歌舞伎のほうもセットで観ちゃうこともあるかなと思っておりました。

 果たして、改めて当日券を買う気力がわくかどうか。ちなみに、コクーン歌舞伎のほうは前売が買えてません。どっちにしても、現代劇版を後にしてもらったほうが、私のような予備知識のない者にはよかったんですけどね…。
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2009年06月23日

「ゼブラ」

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 土曜の昼公演を観ました。

 向田邦子の「阿修羅のごとく」へのオマージュだとのこと。四姉妹が家で顔を揃えますが、母親が危篤状態らしく、父親は妻子を捨てて家を出ていったようで、父親に連絡をすることなどを巡って意見が衝突したり、動揺する様子があります。

 また、四姉妹のそれぞれのドラマがあって、長女(斉藤由貴)は結婚しているものの夫が不倫をしていて不倫相手との対面が起こりそうな気配。未婚の次女(星野真里)は、潔癖なところがあって、父親のことを最も許せずにいる。三女(山崎静代)は婚約中ながら、マリッジブルー。妊娠中の四女(大沢あかね)は、夫に秘密を抱えていることがわかります。

 ドロドロな濃さがありますが、それでいて、戯画化されたキャラクターもいたりして、重苦しさ一辺倒でもなく、非常にうまくできてるなあと思います。とても面白かったです。

 ゼブラっていうタイトルの意味は終盤になって判明しますが、あまりこの作品にはそぐわないような気がしました。


 作・演出 田村孝裕
 出演 斉藤由貴 星野真里 山崎静代(南海キャンディーズ) 大沢あかね 入江雅人 今井ゆうぞう 是近敦之 矢部太郎 村杉蝉之介 野本光一郎 和田ひろこ 江口のりこ
 シアタークリエにて
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2009年06月22日

ヨーロッパ企画「ボス・イン・ザ・スカイ」

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 金曜の夜公演を観てきました。
 青山円形劇場の客席に囲まれた中央の舞台上にやぐらのようなものが組んであります。そこにドラゴンがいて、それを退治するドラゴン戦士という人たちがいるという設定です。その戦士たちの仕事ぶりを、ヨーロッパ企画ならではのゆるゆるな空気感全開で描いてます。

 序盤のうちに、これでどんなふうに話を展開させていくんだろうと心配になりましたが、これが予想以上にほとんどストーリーらしいストーリーがないところがすごいです。それで、ここまで保たせるんですから。私はいつもほどには、アンサンブルが決まってないような印象を覚えましたが、思わずにやけるようなおかしみに満ちておりました。


 作・演出 
 出演 石田剛太 酒井善史 諏訪雅 角田貴志 土佐和成 中川晴樹 永野宗典 西村直子 本多力 山脇唯
 
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乞局「シャックリ」

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 先週水曜の夜公演でした。
 乞局は今回がはじめてで、何回か前の公演から気になっていたので足を運びましたが、よさがわからず…。終盤で、多少納得するものはありましたが、俳優の演技などに戸惑いを感じるところが多くて。最後に拍手はしたものの、するかどうかちょっと迷ったくらいでした。

 チラシには、“二度とないテイスト”とあるので、果たして今回の公演をはじめて観たのがよくなかったのかどうか。


 脚本・演出 下西啓正
 出演 岩本えり 下西啓正 墨井鯨子 西尾佳織 三橋良平 池田ヒロユキ 石田潤一郎 伊藤俊輔 佐野陽一 笹野鈴々音 佐藤みゆき 島田桃依 立蔵葉子 中島佳子 
 駅前劇場にて
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2009年06月14日

拙者ムニエル「リッチマン」

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 拙者ムニエル15周年記念公演ということです。私は2年前にはじめて観た口で、そのときの「ヤバ口さんちのツトム君!」や昨年の「悪い冗談のよし子」は面白いながらもハマったわけでもなかったのですが、今回観て完全に好きになりました。バカバカしくて下らない笑いのセンスと、ストーリーの頃合いが心地いいです。

 3話の連作といった形で進みます。絶望的にダメなかんじの劇団のメンバーを中心にドラマが描かれ、いちおう大金をめぐる話ではあったりします。最初の「リッチマン」で、神社で登場する札束の山がツカミとしてたまらなかったですが、そういうバカなシチュエーションがいろいろと出てきて面白かったです。

 割引価格で販売されてた昔のパンフレットをいただいて帰りました。


 作・演出 村上大樹
 出演 加藤啓 千代田信一 伊藤修子 成田さほ子 山岸拓生 寺部智英 石川ユリコ 林屋聖子 溜口佑太朗 村上大樹 町田カナ 建みさと
 吉祥寺シアターにて
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2009年06月07日

ハイバイ「リサイクルショップ『KOBITO』」

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 ハイバイは今回がはじめて。果たしてこれが最初でよかったのかどうか。
 昨日の昼公演を観てきました。

 なぜかごつさが際立つおっさん然とした女装の男優たちがぞろぞろと舞台に登場する異様さも目を引きましたが、片隅に積み上げられた古着の山に陣取る奇妙な立ち位置が不思議でした。そんなおばさんらが仕事をするリサイクルショップで、手塚治虫「火の鳥」だったりそれぞれの来し方を再現したりするのです。

 終演後に前日のアフタートークで前田司郎が前半か後半どっちかを切った方がいい的なコメントを残したとの話が出てましたが、それを聞いて笑えたというか、ちょっと安心しました。私は、前半が完全に好みでしたので。

 終演後の「アフターなんとか」がアフターアクトで、「火の鳥」完全版(?)だったのですが、横で演出っぽい指示が出たりするのを観られたのが新鮮でした。


 作・演出 岩井秀人
 キャスト 金子岳憲 永井若菜 坂口辰平 岩井秀人 有川マコト 岩瀬亮 斉藤じゅん子 小熊ヒデジ
 こまばアゴラ劇場にて
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2009年06月04日

「江戸の青空 Keep on Shacin'」

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 落語シリーズの第3弾だとのことで、過去2作となる「地獄八景亡者戯」と「地獄八景・・浮世百景」は上方落語を元にして創り上げた舞台で、今回は江戸落語の世界です。月曜の夜公演を観てきました。

 「芝浜」や「文七元結」を中心に、いろんな落語を取り入れたりしてますが、知らない噺もあれば、知ってるのに気づかなかったのもあったりしました。

 「芝浜」のダメ亭主が50両という大金を拾いますがそれは「文七元結」の文七が落としたお金なわけでして、その50両の行き先が転々として、いろんなところでつながっていくというのが物語の軸にあります。そのいろんなところでもドラマがあって、それらがうまく構築され、落語的世界の軽さをもって演じられてます。アドリブが多そうでした。吉田鋼太郎のはじけたオチャメぶりがハマってます。


 脚本 千葉雅子
 演出 G2
 キャスト 西岡徳馬 須藤理彩 中村まこと 松永玲子 戸次重幸 有門正太郎 中井出健 蘭香レア 小西遼生 いとうあいこ 松尾貴史 柳家花緑 植本潤 吉田鋼太郎
 世田谷パブリックシアターにて
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2009年05月31日

「楽屋 〜流れ去るものはやがてなつかしき〜」

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 清水邦夫の傑作戯曲(とかいって、私は観たことがなかったんですけども)を小泉今日子・蒼井優・村岡希美・渡辺えりという豪華キャスト、生瀬勝久の演出でという企画です。しかも劇場がシアタートラムという小ささですから、ぜいたくさを感じます。

 楽屋で交錯する女優たちの情念や業を描いてるかと思いますが、その中で、チェーホフ「かもめ」などの戯曲を読み上げていくことによって、作り上げられていく部分が大きくて、私はちょっと聞く上で集中を欠いたところがありました。ついつい、軽さを出した、オモシロなところに目が行きがちでした。
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劇団競泳水着「NOT BAD HOLIDAY」

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 先週の日曜の公演を観に行ったので、1週間経っちゃいました。なかなか書く時間が取れず…。

 第十一回公演にして、正式劇団化第一弾となるそうですが、私は存在を今回はじめて知って足を運んだ口です。そして、次回も観に行こうと思ったのでした。

 観終わって思い直すに、意外とこういうストレートなドラマって舞台で観ないなぁ、と思いました。演出も映像作品を連想させるようなところもあったりして、キャラクターも人物相関図が自然と頭に浮かぶようなところもあったり、なんかドラマっぽいなとは思いました。恋愛が中心ではあっても、群像劇としての性格が強くて、甘いラブストーリーではなかったです。

 奇をてらわず、過激さもありませんが、もちろん全然悪くなくて、面白かったです。いいものを観たなあと思いながら帰りました。

 
 脚本・演出 上野友之
 キャスト 川村紗也 大川翔子 細野今日子 
      玉置玲央 堀越涼 高見靖二 梅舟惟永 佐伯佳奈杷 橋本恵一郎 百花亜希 さいとう篤史 高橋克己
 シアターグリーンBASEシアターにて
 
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2009年05月24日

イキウメ「関数ドミノ」

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 昨日の昼公演を観ました。物語の推移にこれほど食い入るようにして惹き込まれたのは久しぶりのことで、本当にこれはすごいです。

 ドミノという存在が設定の中心にあります。それは、自分の願望を実現させる力をもっていて、ただし、そのことを自らは自覚していないため、いわば運のいい人でしかないように見える、しかもそれは期間限定、というものです。自分の願望が実現されるなら、何でもかなうようでいて、どうせかなうはずはない的なネガティブさが邪魔をして実現しないのだということになってます。あと、思いの強さによって、実現へのスピードも異なってきたりとか。

 で、ドミノという存在を信じている男・真壁(古河耕史)が交通事故を目撃します。車が人にぶつかろうという瞬間、まるでそこに強固で透明な壁があったがごとく、車がはね返されて大破する一方で、人のほうは無事だったというのです。目撃者は、被害者となるところだった男といっしょにいた先輩こそがドミノだと確信し、その存在を証明しようと、保険調査員らを巻き込んでいくのです。

 物語は、ドミノと疑われていて、当然そんな自覚のない左門森魚(浜田信也)という駆け出しの作家を中心に動いていて、その裏でドミノを証明しようとする人らが動くのですが、たいへんスリリングなだけではなくて、真壁のルサンチマン丸出しぶりも含めて、運命とか人生の不公平感とか、誰かを信じるということとか、生きることへの姿勢だとかが、いろんなことがあぶり出されて、たいへん刺激的です。

 左門に近づいて友人となった男が自らの秘密を告白するシーンが私には一番感動的で心が震えました。
 ただ、交通事故に遭わずに済んだ男が、命拾いをしたことに対してまるで無自覚なのが、引っかかったところではありますが。


 こんな話を考える前川知大がすごいというだけでなくて、この作品を成立させているのが確実に俳優の力でもあって、それを実感させる芝居でした。


 作・演出 前川知大
 キャスト 浜田信也 緒方健児 大久保綾乃 盛隆二 森下創 古河耕史 ともさと衣 窪田道聡 安井順平 岩本幸子
 赤坂RED/THEATERにて
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2009年05月23日

サンプル「通過」

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 サンプルは今回がはじめて。ここ何回か迷って保留にしてたのを、今回が作・演出の松井周の処女作だとのことだったので、これはいい機会かなと。そしたら、よくあることですが、もっと早く観ときゃよかったと後悔するパターンでして、とっても面白かったです。アフタートークのある中から木曜の夜公演を選びました。


 母の介護に追われる妻とその夫が住む家に妻の兄が転がり込んできます。「軒を貸して母屋を取られる」の感じで、傍若無人というか破天荒な人柄で、すっかりペースを握られていく展開。

 妻は不倫をしているとか、夫はケガかなんかで尿道にカテーテルを入れて排尿をするようになっていて男性機能が不能になってるとか、家が崖とマンションに挟まれた窪地みたいになっていて産廃が庭に不法投棄されてたり、そんな設定もありながら、兄が男女2人組を連れ込んで、母親の介護ボランティアをさせながら、家の周りにあるゴミを利用してリサイクル事業を立ち上げるとか言い出したり、メチャクチャぶりにひっかきまわされるのです。

 と、まとめながら、そういう話でもないんだよなぁとも思います。


 非常に濃さを感じました。性的なこととか暴力が描かれても、リアルさや過激さとは違ってます。不自然さや異常な行動でもねじふせるくらいの密度の濃さがあります。裏側にいろいろと出来事や設定が隠されてるようでセリフでチラッと顔を出しますが、放置されたままだったりするのに、それも気にならなくなってたりして。そして、おかしみが生まれていて、私は声をあげて笑うというよりは、ニヤニヤ笑いをしっぱなしでありました。

 まず、会場に足を踏み入れる前に、一瞬足を止めましたが、空間の創り上げ方に圧倒されました。


 キャスト 辻美奈子 古舘寛治 古谷隆太 羽場睦子 吉田亮 野津あおい 坂口辰平 奥田洋平 山村崇子
 三鷹市芸術文化センター 星のホールにて
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2009年05月17日

バンダラコンチャ ソロアルバム公演「相思双愛」

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 近藤芳正のソロユニット「バンダラコンチャ」の第1弾となる公演、昨日の夜観てきました。

 横光利一と重松清の小説を交互に演じるという変わった取り合わせです。個人的に「父帰る/屋上の狂人」とか「犬は鎖につなぐべからず」なんかを連想しましたが、それらともまた違う取り組みです。

 「春は馬車に乗って」は横光利一の小説を倉持裕が脚本化していて、病気で寝込んでいる妻(坂井真紀)と看病する夫(近藤芳正)の話。夫は作家で原稿を書こうとするが、そばにいてほしい妻と言い争いになったりしながら絆を確かめる展開で、妻の命が長くなさそうなことで、失われそうな予兆を感じさせます。

 「四十回のまばたき」は、重松清の小説を前川知大が脚本化。翻訳家(近藤芳正)のケイジは妻が亡くなったばかりで、その妻の妹・ヨウコ(辺見えみり)が一冬を泊めてもらうために家にやって来るのですが、SADという病気で、冬になると冬眠状態になってしまうため、世話をする人が必要だからというわけですが、今年は姉がいないわけで…。と思ったら、さらに妊娠をしていて冬眠中に子どもを産みたいと考えている。その父親候補が6人ほどいて、そのうちのひとりが、ケイジだったりするのです。
 ケイジが翻訳をしてヒットした原作者がらみの人を榎木孝明が演じていて、この家に押しかけて来るんですが、異質な人物でかなり個性的で、強く記憶に残りますが、榎木孝明はそれとは全然違う雰囲気で「春は馬車に乗って」で坂井真紀の兄役として登場します。


 この2作品を交互に2回ずつに分けたような構成となってますが、この構成が活かされるのがラストで、両作品のテーマが融合して新しい生活への希望を感じさせます。


 構成・演出 近藤芳正 桑原裕子
 紀伊國屋ホールにて
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2009年05月06日

「大パルコ人 メカロックオペラ R2C2」

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 前売券が入手できず、キャンセル待ちで観ることに。ありがたいことに、かなり前の座席でありました。

 パルコがびっくりドンキーになっている2044年の渋谷。ある父と息子の物語が中心になっていて、父親は30ぶりに冷凍睡眠から目覚めた往年のロックスター、パルコム田村(阿部サダヲ)。その息子のクアトロ田村(森山未來)はびっくりドンキーのオーナーにして音楽プロデューサー。クアトロは子どもの頃、父からロックの英才教育を受け、反抗したら、熱々のハンバーグを顔に当てられ大やけどを負って、表舞台で活躍できなくなってしまっています。

 とかって書いてるだけでも、バカバカしいなあと改めて実感されますが、このクアトロが造ったサイボーグ・R2C2を演じてるのが松田龍平。まさか松田龍平のサイボーグ姿を観ようとは。音痴でミック・ジャガーの形態模写をするサイボーグで、暴走しちゃいます。

 ロックが禁止されてる近未来世界での話ですが、思いのほかスケール感がないところがさすがです。苦笑も含めて、笑いどころも多いですが、クドカン流のロック・オペラとしてグループ魂っぽくもあるザ☆パルコムズを楽しませていただきました。


 作・演出 宮藤官九郎
 キャスト 阿部サダヲ 森山未來 三宅弘城 皆川猿時 近藤公園 平岩紙 宮藤官九郎 片桐はいり 松田龍平
 パルコ劇場にて
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2009年04月29日

NYLOM100℃「神様とその他の変種」

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 日曜の昼公演を観ました。
 今回は“異色作”らしいんですけど、私はそんなに「いつにも増して異色作」といった印象は受けませんでした。やっぱりケラ作品だなと思いましたし、かなり好みな世界でした。

 子どもをもつ夫妻を中心に、ナンセンスなやり取りを交えてサスペンスが進行します。子どもの新しい家庭教師、近くの動物園の飼育係、近所の主婦、子どもをいじめた相手の両親、担任の教師、自称神様などが登場します。子どもの母親が抱く殺意がどのような意味をもって、どう決着するのかということが物語で大きな位置を占めるポイントになっています。

 冒頭から神様と自称するホームレス然とした男が登場しますが、この人をどういう風に最後に使うのかというのはちょっと期待してて、それに結構近い形で出たと思ったら、完全にそこからもハズしにかかって、とてもバカバカしかったのが、半分は大笑いし半分はビミョーなところでありました。


 作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 出演 峯村リエ 山内圭哉 犬山イヌコ 山崎一 水野美紀 みのすけ 大倉孝二 長田奈麻 植木夏十 藤田秀世 廣川三憲 猪岐英人 白石遥
 本多劇場にて
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2009年04月25日

「赤い城 黒い砂」

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 片岡愛之助、中村獅童、黒木メイサ主演の舞台に本日行ってきました。日生劇場にて。

 主演の3人もそうですが、シェイクスピアの作品を蓬莱竜太がアレンジ、演出が栗山民也ということで、観るかどうか迷いましたがチケットは買ってませんでした。そしたら、同僚が急に行けなくなったので、買い取らせてもらった次第。ずいぶんいい席で、申し訳ないくらいでした。

 シェイクスピアの「二人の貴公子」を元にしているとのことですが、全く知りませんので、どの程度原作と違うのかわかりません。赤い国と黒い国の争いがあって、黒い国の二人の英雄(片岡愛之助・中村獅童)と赤い国の王女(黒木メイサ)らの間で繰り広げられる壮大なドラマです。野心や裏切り、愛憎などドロドロしたところ満載な物語です。

 人は争い続けるものだという諦めを描くことで、暴力に対するアンチテーゼを語っているように見えました。

 私が引っかかったのは中村獅童の演技で、前半と後半とで対照的なのはいいとしても、前半のオチャメなアドリブ風な芝居ぶりが世界観に合致してないと感じられました。あれはあれでハマることもありますが、今回はそうではないと思います。
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2009年04月19日

「ムサシ」は観に行けず。

 今日が「ムサシ」の楽日でしたが、結局行けずじまいでした。どういうわけか今月残業続きになってしまったのが誤算でした。

 前売りは買えなかったので、当日券をねらいたかったのですが、抽選ということになっていたようで、果たして行ったらどのくらいの確率で取れたのか。でも、彩の国さいたま芸術劇場まで行っての抽選って、ちょっと気合いがいります。

 ということで、私の作戦では、2回公演のある日に賭けるというものでしたが、平日は休めず、土曜は起きられなかった、という結果に終わりました。

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2009年04月05日

「淫乱斎英泉」

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 1975年の矢代静一の浮世絵三部作のひとつなんだそうで、「写楽考」はおととし観た記憶があります。本作は天保の改革頃から開国へ向かう時代を背景に渓斎英泉と高野長英のふたりを中心に描いています。

 淫乱斎英泉というのは、渓斎英泉が春画を描くときの雅号ですが、奔放でいい加減で、取り澄ましたところのない、冗談で生きてるような人物です。そんな人となりが前面に出ている第一幕が最高で、英泉役の力の抜けた山路和弘が素晴らしいです。一方、浅野和之が演じる高野長英はそれとは対照的な堅物ぶりで、時代の先を見据えてもいるのです。そこから時が流れる第二部ではそれまでとは印象が変わって、軽さから凄みのあるドラマへと動いていきます。
 
 個人的には、第一幕の山路和弘が最大の収穫でありました。

 演出 鈴木裕美
 出演 山路和弘 浅野和之 田中美里 木下政治 高橋由美子
 あうるすぽっとにて
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