2012年02月06日

ハイバイ「ある女」

 不倫から売春へと転落する女性の話と言えますが、そこまで悲惨なふうには見えませんでした。主人公の女性を男性が女装しているというハイバイらしい演出ですが、そこにはどうしてもおかしみが生じます。定食屋の親子が終盤になって、そう来たかとハッとしたら、そこも外されました。

 劇団員によるアフタートークがありましたが、ふだんの人柄とか関係性とかも見えてくるようで、面白かったです。

 作・演出 岩井秀人
 出演 菅原永二 上田遥 坂口辰平 永井若葉 平原テツ 吉田亮 小河原康二 猪股俊明
 1月25日昼
 こまばアゴラ劇場
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バジリコFバジオ「愛と平和。」

 バジリコFバジオは今回がはじめて。
 人形による前説がずいぶん面白くて、期待値の上昇が過ぎたようです。途中、もっとシンプルにすればいいのにとか思ってましたが、着地点としては、なるほどと納得するところではありました。
 「キック・アス」とか「スーパー!」に触発された、という言葉が妙な先入観をもってしまったかなとも思います。

 作・演出 佐々木充郭
 1月22日夜
 駅前劇場
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五反田団「びんぼう君」

 初期の作品の再演だとのことですが、かなり笑いました。しーんと張り詰めたといって差し支えないような間があって、そのあとに来るズレてたり間の抜けたセリフがおかしいです。貧しい生活ぶりの父子家庭ですが、父親の突っ走りぶりが子どもと同程度で、何かの書き仕事をしてるのみ。あの父親じゃあ養育能力ないだろって普通に思うところです。おそらく、母親のほうに引き取られるけれど、息子としては父親も好きなんだろうなあとは、直接的な表現はないですが感じます。

 作・演出 前田司郎
 出演 大山雄史 黒田大輔 端田新菜
 1月22日昼
 アトリエヘリコプター
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ブラジル「イエスタデイ」

 “苦笑系ホームコメディ”というよりは、もっとふつうに笑えました。
 ある日、偶然にも同じ日に実家に戻ってきた三姉妹。仕事がうまくいかなかった長女、離婚した次女、ワケありな三女。母親は亡くなっていて、父親が一人暮らしをしているはずでしたが、そこには家政婦とその兄が住み込みで共同生活をしていました。さらに、この家に関わるいろんな、いろんな人たち。後半、ドタバタな大立ち回りが繰り広げられる意外な展開も待っています。

 とくに冒頭なんかは、奇妙な行動や設定が出てくるのですが、それらがうまく収まったり、伏線となっていたりすることに感心してしまいます。とくに自転車の件とか。これだけの出演者を登場させて、基本的にはホームコメディとして成立させているのもスゴいです。カーテンコールでこんなにいたんだよなぁと改めて思ったところです。

 それから、やはり舞台装置は印象に残るところで、岡田家の居間の手前に町の道路と見立てた通路をかなり低い段差をつけて配置していて、この2ヶ所を交互に使いながら進行するのですが…、といったところでした。


 脚本・演出 ブラジリィー・アン・山田
 出演 桑原裕子 柿丸美智恵 肘井美佳 原金太郎 近藤美月 櫻井智也 西山聡 三科喜代 中澤功 中川智明 橋本三雪 諫山幸治 宮島朋宏 友松栄
 1月18日夜
 座・高円寺1 
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ぬいぐるみハンター「軽快にポンポコと君は」

 ぬいぐるみハンターは今回がほぼはじめて。「15Minutes Made」で短篇を観たのですが、そちらはもうあんまり印象すら覚えてないです。

 ポンポコという狸とも人ともつかない生き物の一家の話です。なんか入り込めないかという不安もありましたが、全然楽しかったです。

 大枠としては、他者との共生を人間社会の外側から見てて、そのダメさを直接描かずに戯画化している、といった内容でしょうか。しかも、ポンポコ内でも、やっぱり仲間割れという宿命です。また、身分違いの恋や一族の秘密などもあったりで。

 作・演出 池亀三太
 出演 神戸アキコ 浅利ねこ 石黒淳士 浅見臣樹 本山歩 森崎健吾 山口航太 本井博之 なすび
 1月15日昼
 OFF OFFシアター
posted by 行き先不詳 at 19:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月26日

TOKYO PLAYERS COLLECTION「全 員 彼 女」

 トープレは前回の「IN HER TWENTIES」のアイデアが面白くて、今回もその変奏のようなスタイルかなと勝手に思い込んでいました。まあ、違うと言えば違うし、重なると言えば重なる印象があります。

 チラシに“次の朝、目覚めると僕の彼女が増えていた”とあるように、ひとりの人間として5人に分かれているというか、もうそこに全く違う女優5人がいて、全員が“僕”の彼女として存在しているわけです。彼女の料理好きな面とか、オタクな面とかの構成要素が一人ひとりになったみたいな。

 その設定だけで押し通すわけではなくて、本来のひとりの時の彼女との関係を描く上での仕掛けとしてあるんだと思います。それよりは、中盤で最初に戻って同じシーンが繰り返される中で(木更津キャッツアイの1回裏みたいなのを連想しました)、その時々の本当の気持ちだとかが語られるようになっていて、私にとってはそこからが面白かったです。


 ひとつ残念だったのは、私が観た回の観客に、妙に大きな笑い声を発する人がいて、それがそこまで笑うようなところか、というところまで大声で笑うもんですから鼻白むものがありました。作品に責めはないんですけど。

 
 終演後のアフターイベントとして「全 員 元 カレ(仮)」(出演:中村梨那、須貝英、野田裕貴)という短篇作品の上演がありましたが、こちらが本篇の記憶を吹き飛ばしかねないくらいの瞬発力のある面白さでした。


 脚本・構成・演出 上野友之
 出演 加藤岳史 黒木絵美花 小鶴瑠奈 近藤瑞季 冬月ちき 三谷有紀 安川まり 安田友加 李そじん
 1月8日夜
 王子小劇場
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2012年01月11日

時間堂「星の結び目」

 年明けまで公演をやっていたので、最終公演となる1月2日を選んでみました。

 開演時間が遅れたのですが、ほかの日はどうだったんだろうと思ったほどに、開演後に来た観客を入れにくい美術のように見えました。出入口を俳優が花道のように通れるようにしてあって、これがこまばアゴラ劇場でなければ、ありそうなものですが、ちょっとチャレンジングな演出に思えました。

 戦前戦中戦後の商家の時代の移り変わりの中での変転が時間を行き来しながら描かれます。ソウル市民を連想したところもありましたが(開演前に俳優が出てきたところもあったし)、時制の変化があって、一作の構成からもっと劇的な効果を狙っているように感じました。とても凛とした佇まいの作品だなという感想です。

 ちょっと気になったのは、議員役の俳優のあご髭でして、中盤で感情的な衝突を起こす場面で、涙目を見せるいいシーンなのに、その相手方となる登場人物として似つかわしくない印象を受けました。


 作 黒澤世莉
 演出 吉田小夏
 出演 鈴木浩司 斉藤まりえ 木下祐子 荒井志郎 直江里美 酒巻誉洋 ヒザイミズキ 窪田優 猿田モンキー 菅野貴夫 山田宏平
 こまばアゴラ劇場
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2012年01月07日

演劇 12月

 ようやく、12月中に観た舞台というところまできました。

 渡辺源四郎商店「エクソシストたち」
 小学生の女の子が悪魔憑きの状態になって、母親と内縁の夫が心配してエクソシストたちを呼び、治せるかを見積もってもらうという設定です。エクソシストといっても日本が舞台ですから、宗教家とか霊能者みたいな人が来て、さらにヒーリングミュージシャンなんかも登場して、ちょっと間の抜けたところがおかしな味わいです。悪魔に憑かれた娘は二階で拘束されてるという体で登場しません。ただ、これと並行して、娘が父親との生活風景が回想のようにして挿し込まれていきます。家族関係の謎とか、母性やもっと奥底の暗部に注目させる展開で、エクソシストならではなホラーやオカルトな話ばかりではないのです。
 エクソシストたちや精神科医に対して中立的に書かれてる印象をもちました。エクソシストたちでは手に負えなそうな状態から力を合わせる感じが意外でよかったです。それにヒーリングミュージシャンのバカバカしさが楽しかった。
 作・演出 畑澤聖悟
 こまばアゴラ劇場


 ままごと「あゆみ」
 これまでバージョン違いの「あゆみ」がいくつかあるようで、今回は長篇バージョンということになるということでした。
 人生のきらめきみたいな時間なりエピソードを、8人の女優が配役を固定せずに縦横無尽に入れ替わって演じていく中で、人生の深淵や普遍的なものを感じさせるすごさも持ち合わせてるなあと思います。何といっても俳優に求められて、達成されていることのレベルの高さが驚きです。セリフがクリアで聞き取りやすかったですし。
 ある種の通過儀礼とあり得たかもしれない自分のあゆみを、取り立てて際立ったものでないと受け取る人がいてもおかしくない、という気もして感受性が試されてる気もしました。それから、エピソードが若い頃に集中してるのは若干バランスを欠いてないのかなぁとか。もっと、言い掛かりを言うと、普遍性に逃げてるというと言い過ぎにしても、もう一越えできるポテンシャルをもった作品だと感じています
 作・演出 柴幸男
 森下スタジオ


 M&Oplaysプロデュース「アイドル、かくの如し」
 宮藤官九郎と夏川結衣が夫婦役。芸能事務所での騒動とか人間模様を描いた作品です。最近観た岩松作品に比べれば分かりにくいといったかんじはなかったです。ただ、前半のうちは役名と相関関係が分からない中、名前だけが飛び交っていたので、混乱半分で観てました。
 作・演出 岩松了
 本多劇場


 PARCO Presents「RICHAD O’BRIEN’S ロッキー・ホラー・ショー」
 ロッキー・ホラー・ショーは全くの門外漢で、軽い予備知識のみで臨みました。劇場内の雰囲気もふだんとは違ってて、楽しんだと言えば楽しんだのですが、コスプレして来てたり、小道具的なものを用意している人とかに比べると、全く入り込めてなかったと言えるでしょう。
 フランク・フルター役の古田新太がそれでもやっぱり恰好いいと思いました。


 さいたまゴールド・シアター「ルート99」
 公演期間中に見る評判のよさに押されて足を運びました。沖縄の基地問題が取り上げられているのですが、ついつい原発問題にも置き換えながら観てしまいます。当て書きっていうのは、俳優と役との関係で言うでしょうが、さいたまゴールド・シアターでは劇団そのものに対しての当て書きというふうにも思えます。テーマが多層的に盛り込まれていて、戯曲に当たっても面白そうです。
 作 岩松了
 演出 蜷川幸雄
 彩の国さいたま芸術劇場 小ホール


 シス・カンパニー公演「その妹」
 コンセプト的には「父帰る/屋上の狂人」に近いようで、本作は武者小路実篤の戯曲、キャストが市川亀治郎、蒼井優、秋山菜津子、鈴木浩介、段田安則ら。
 時代がかった作品でしたが、おかしみもあって楽しみました。男たちのダメっぷりに対して妹がある決断をするのですが、私にはそれを必ずしも肯定的に受け取れない気がしました。
 演出 河原雅彦
 シアタートラム


 パルコ・プロデュース公演「90ミニッツ」
 作・演出が三谷幸喜で西村雅彦と近藤芳正の二人芝居。生誕50周年三谷幸喜大感謝祭だったかの演劇作品の締めとなる一作で、「笑いの大学」と同じ組み合わせでの新作。おかしい場面はもちろんあるのですが、我が子の輸血拒否を言い出す父親を説得する医師、という会話劇となっており、緊迫感がありました。追加公演もあるので、また当日券を狙っちゃおうかなぁと思っております。
 パルコ劇場


 犬と串「ウズキちゃん」
 会場が早稲田大学の大隈講堂裏側劇研アトリエだということで、私は行くこと自体、今回がはじめて。王子小劇場での夏の公演を観たので、せっかくだから大学内での公演にも行ってみようという気になりました。下ネタかつブラックまたはナンセンスなところが好きです。
 作・演出 モラル
 

 こゆび侍「うつくしい世界」
 こゆび侍はこれがはじめて。こういう世界観の物語を意外と観ないよなぁと思って新鮮でした。新鮮な空気が貴重な世界で、極端に階層化が進んだ社会に生きる少年と少女を中心に描いています。キャストの好演も印象的でした。戯曲を買って帰るか迷って、結果、値段で躊躇しちゃいました。
 作・演出 成島秀和
 サンモールスタジオ


 クロムモリブデン「節電 ボーダー トルネード」
 巨大な竜巻被害という状況があって、そこで起こっているいくつかの物語が並行して描かれます。私にとっては、分かりきってない感が強くて、もう一回観れれば、とも思ったのですが、最終公演を観たのでどうにもならず。
 作・演出 青木秀樹
 赤坂RED/THEATER


 第三舞台「深呼吸する惑星」
 “封印解除&解散公演”となった本作、チケットがなかなか取れませんでした。正直、そこまで殺到することはなかろうと甘く見てましたので。焦って、追加公演なども含めて抽選も一般発売も狙ったのですが、ハズしまくって最終的にKAAT神奈川芸術劇場の大晦日の公演に滑り込みセーフとなったのでした。この日は、ゲストというのか勝村政信も登場するなど、より同窓会的雰囲気で盛り上がってました。
 そして、今回の解散公演、SF設定の新作をもってきていますが、そこまで惹かれなかったのが正直なところです。何となく、伝説のロックバンドの再結成に寄せられる賛否のファンの声のアンビヴァレントな感情に近いものがあると思いました。そういう意味では十分に楽しみました。
 作・演出 鴻上尚史
posted by 行き先不詳 at 20:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

演劇 10月末〜11月末

 演劇篇は溜まりに溜まってしまってます。もう本当にそれぞれ短めで。


 イデビアン・クルー「出合頭」
 イデビアン・クルーははじめてでした。ゴルトベルク変奏曲に載せての8人の振付で、ひとりだと何てことない動作でも数人になってくると全然違った効果が生まれてて、共鳴とか相互作用を感じさせます。どうかするとマネしたくなります。
 振付・演出 井手茂太

 
 バナナ学園純情乙女組「バナ学バトル★☆熱血スポ魂秋の大運動会!!!!!」
 「20年安泰。」での最大のインパクトが忘れられず、一度は公演を観に行こうと思いました。思ったほど、濡れも汚れもしなかったのですが、もっと汚れるくらいに入り込めたら、より楽しめるだろうなという気もします。これは現地で体験しないと意味ないと思いますが、俯瞰して全体としてどうなってるのかを観たくもなります。
 構成・演出 二階堂瞳子
 シアターグリーンBIG TREE THEATER


 KAKUTA「ひとよ」
 苦労させられた家族の話でもあり、犯罪加害者の身内の話でもあるし、親と子のつながりをめぐる話でもあります。また、強い母親を中心として物語を見ることもできるなと。重過ぎないのに、ずっしりと残るものがありました。
 作・演出 桑原裕子
 シアタートラム


 ロロ「常夏」
 途中までは今までで一番分かりやすいと思って(勘違いして)観てたら、後半になって見失いかけたという記憶があります。私の場合、ロロでは、だいたい何だコレみたいに思うことが多く、のめり込むみたいな感覚はないんですよね。意図通りなのかもしれませんが。
 脚本・演出 三浦直之
 シアターグリーン BOX in BOX THEATER


 劇団競泳水着「いと愛し」
 劇団の本公演としては1年ぶりだということです。そんな久しぶりだということを感じさせない力みのなさがいいです。十分面白かったのですが、もっと向田邦子ばりにという期待まではないものの、笑いを狙いすぎてる箇所は浮いてる印象を受けました。
 脚本・演出 上野友之
 SPACE雑遊


 青年団「ソウル市民五部作」
 青年団自体の公演はまだほとんど観てなくて、ソウル市民もはじめて。今回は新作2本を含めて、一挙に同時上演をするという企画で、私はアフタートークのある回を中心に全作品に足を運びました。やっぱりアフタートークが充実していると得した気分になりますし、実際、理解が深まります。
 「サンパウロ市民」のように朗らかなくらいに楽しいのも悪くないですが、「ソウル市民1919」のように緊張感を意識させるような構図のほうが好みです。
 これは、長い公演期間だったので、本当ならどれかまた行こうかなくらいに思ってたんですが、結局1回ずつに終わりました。今後、再演があれば、必ず行くと思います。
 作・演出 平田オリザ


 「劇作解体新書」
 全5回で、劇作家本人に1本の戯曲について、徹底的に聞いてみる、といった企画で、面白そうだったので、すべての回に行きました。
 初回から、土田英生「なるべく派手な服を着る」、小林賢太郎「TEXT」、倉持裕「鎌塚氏、放り投げる」、長塚圭史「LAST SHOW」、ケラリーノ・サンドロヴィッチ「すべてに犬は天国へ行く」で、初回以外は聞き手が土田英生(初回は横山拓也)。申込んだら戯曲が送られてきて、読んでから臨む受講スタイル。それでいてとても面白かったです。
 CBGKシブゲキ!!


 「往転」
 バス横転事故を起点にして、4つの物語が時間軸をシャッフルされて描かれます。震災を受けて書かれたと思えるような内容でしたが、震災前に台本はできてたということでした。全体的にはかなり苦味を感じて、大人な舞台ってかんじがしました。
 脚本 桑原裕子
 演出 青木豪
 シアタートラム
 


 「炎の人」
 初演は迷ったあげく行かずに終わったのですが、「浮標」で三好十郎をようやく認識した時に、「炎の人」もこの人の作なんだと、後悔したということがありました。
 今回観て、ゴッホ(市村正親)が狂気へと向かっていく姿は、凄みがあって、うわぁ、この人とはやっぱ同居ムリ、となるのも納得でした。観る前に、ゴーギャンっぽくないのでは?と思った益岡徹でしたが、全くの杞憂でした。
 作 三好十郎
 演出 栗山民也
 天王洲 銀河劇場


 イキウメ「太陽」
 前川知大ならではのSF設定で、ウィルス感染によって人類が二分されていて、現在の人類が少数派になってしまっている未来の日本が舞台。新しい人類は、ドラキュラみたいに、老化から解放される代わりに太陽の光を浴びることができないという弱点をもっています。
 そんな世界の背景や、人間たちの交流や衝突などが、人間の排他性や差別意識などが問題として浮上しながら、描かれていきます。いや、もっといろんな問題が入れ込んであるのは間違いないのですが、咀嚼しきれない懐の深さがあるように思えました。
 ただ、これは必ずしも欠点ではないのですが、いつもより、物語の設定や謎への訴求力が弱いような気がしました。それよりか、もっとスケールの大きい世界が描かれているのです。
 作・演出 前川知大
 青山円形劇場


 箱庭円舞曲「いつも誰かのせいにする」
 前回の「珍しい凡人」は、やっぱりエポックとなる作品だったのかなと思いました。前作には破綻したとしても突き進むパワーがあったので、あれはあれでよかったという上で、今回の作品でも、いろんなテーマが、時事ネタやクリエーションにまつわる思いなども含めて、たくさん盛り込まれているのですが、本作は作品として昇華されていると感じました。おそらく、それでもメッセージ性とか、ストーリー性からはみ出す部分に違和感を覚える人がいてもおかしくないでしょう。ということで、次回作がさらに楽しみになった、ということでいきたいと思います。
 脚本・演出 古川貴義
 駅前劇場


 柿喰う客 日韓演劇交流プロジェクト「検察官」
 日韓の俳優が出演しているわけですが、双方ともに二カ国語を駆使して、外国人とのディスコミュニケーションが戯曲と二重に表れる効果が出ているようでした。
 原作 ニコライ・ゴーゴリ
 構成・演出 中屋敷法仁
 こまばアゴラ劇場

 ナイロン100℃「ノーアート・ノーライフ」
 10年ぶりの再演ということですが、その頃エアポケット的に舞台を観てない時期に当たっているような記憶があって、おそらく今回がはじめて。で、それを心底、後悔するほどに面白かったです。笑いました。もう1回観たかった。
 作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
 本多劇場

 
 パラドックス定数「戦場晩餐」
 会場がガレージみたいな所だというのがなんかスゴかった。温かい日でよかったのは、天気によってかなり観劇環境が違ってきたようなので。
 設定は内戦状態っぽい未来の日本が舞台で、そこに残る中華料理屋を巡る物語でした。
 作・演出 野木萌葱
 渋谷 SPACE EDGE


 「ヴィラ・グランデ 青山 〜返り討ちの日曜日〜」
 竹中直人と生瀬勝久の新ユニットの第1弾となる公演で、倉持裕の作・演出。小難しいところのないコメディで、劇場内には笑いがあふれました。また、ほかのキャストに山田優、谷村美月、田口浩正、松下洸平でした。
 マンションの中庭と室内が舞台で、父親(竹中直人)と娘(谷村美月)の元カレとの間のトラブルが起こった後の騒動という設定でした。倉持裕ならではな会話のセンス、言葉の選択がおかしく、それが竹中直人と生瀬勝久のやり取りにハマってて、かなり面白かったです。
 シアタークリエ


 「日本の問題」
 小劇場の劇団を募って、政治や経済的なテーマを演劇がもっと扱っていこうという企画で、“日本の問題”がお題となっています。チームA、Bで4劇団ずつの公演でした。これの後、学生劇団版もありましたが、そちらはスルーしちゃいました。
 参加劇団は「経済とH」「Mrs.fictions」「DULL-COLORED POP」「風琴工房」「ミナモザ」「アロッタファジャイナ」「ろりえ」「JACROW」の8団体で、個人的には「DULL-COLORED POP」と「Mrs.fictions」がとくに好きでした。正直、企画意図自体は達成されてないんじゃないかとも思います。
 中野 ザ・ポケット
posted by 行き先不詳 at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月04日

FUKAIPRODUCE羽衣「甘え子ちゃん太郎」

 FUKAIPRODUCE羽衣は昨年の「愛死に」以来2回目ですが、前回も戸惑いながらの観劇だったと記憶しています。

 どうも波長が合わないということか、今回も入り込めずに引いて観てたまま終了してしまった感じです。舞台装置が2階建てになっていて、1階部分では、カエル然とした人間たちの歌なんかがあって、2階部分ではラブホテルに入った男女の風景が出てきます。妙ジカル(?)とか言うくらいで、歌の内容も歌い方も本式のミュージカルとはまるで違っているのですが、それで笑えるということもないので、どういうスタンスで聞けばいいのかなぁと思いました。

 作・演出 糸井幸之介
 出演 深井順子 鯉和鮎美 高橋義和 寺門敦子 澤田慎司 伊藤昌子 キムユス 加藤律 岡本陽介 岩田浩 宮川和巳 高野ゆらこ 夏目慎也
 10月25日夜
 アトリエフォンテーヌ
posted by 行き先不詳 at 22:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「イロアセル」

 10月23日の昼に観ましたが、このときは痛恨のミスをしてて、開演時間ギリギリに劇場に到着したら、時間ちょうどにちゃんと開演して、数分の間、入場制限に掛かっちゃったという失態がありました。これは本当に失敗でした。

 本作は新国立劇場の「【美×劇】滅びゆくものに託した美意識」というシリーズのひとつで、唯一の現代作家による新作ということでした。結果的にこれしか観てないんですが、本作だけは観たのも倉持裕だからというのが決め手でした。


 考えてることが色でバレちゃう島の人々という設定で、外部から送られてきた囚人によってその島が揺さぶられていく過程を描く寓話的な物語でした。

 冒頭をちゃんと観られなかったことがどの程度影響したか不明ですが、物語の問題なのか演出の問題なのか、あんまり面白味を感じなかったのが正直なところです。


 作 倉持裕
 演出 鵜山仁
 出演 藤井隆 木下浩之 小嶋尚樹 松角洋平 花王おさむ ベンガル 島田歌穂 加藤貴子 高尾祥子 剣幸 
 新国立劇場 小劇場
posted by 行き先不詳 at 22:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月03日

ナカゴー「ダッチプロセス」

 10月22日の昼に観ました。
 ナカゴーはこれがはじめてでしたので、これがいつものテイストなのかは分かりませんが、ちょっとリスキーな内容だなと思いました。

 舞台上にある巨大ハンバーガーのぬいぐるみが店長の変身したものだという出オチ的な勘違い場面でスタートし、異次元から悪いハンバーガーが襲撃してくるというバカな展開。テンションが高くて、バカバカしさが笑える箇所が随所にありますが、本物のハンバーガーをぐちゃぐちゃにするのはさすがに嫌悪感が出てきました。舞台上に散乱するハンバーガーの残骸が踏まれるのもノイズになりましたし。それから、後半の展開がくどく感じたかなと。

 作・演出 鎌田順也
 出演 日野早希子 高畑遊 鈴木潤子 篠原正明 加瀬澤拓未 中澤功 今村圭佑 林生弥 川上友里 墨井鯨子 飯田こうこ
 王子小劇場
posted by 行き先不詳 at 12:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

風琴工房「Archives of Leviathan」

 10月20日の夜に観ました。
 これはかなり面白くて、公演期間がもっと長かったら、もう1回観に行ってたと思います。

 明示はされなくても、はじまってすぐに青色発光ダイオードの研究開発について語られていることがわかる作りです。これを開発する男が天才型の才能と振る舞いをするので、会社では扱いきれないところがあり、会社内の衝突や軋轢、同僚との不和などが引き起こされます。

 圧倒的な存在としての訴求力があるのと、社内の人物のキャラクターがよく、なおかつ俳優陣の好演もあって、とても惹き付けられました。ただ、訴訟に至る経緯が見えないので、多少の煮え切らなさのような引っかかりを残しました。それから、演出と美術が思い切っていて、ちょっとやり過ぎに思う部分がなくもなかったのですが、素晴らしかったです。


 作・演出 詩森ろば
 出演 東谷英人 岡本篤 金成均 酒巻誉洋 佐野功 園田裕樹 多根周作 寺井義貴 根津茂尚
 ザ・スズナリ
posted by 行き先不詳 at 12:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

遊園地再生事業団「トータルリビング1986ー2011」

 2回観に行きました(10月16日昼と22日夜)。抽象的に感じる部分もあって小難しく感じたところもあったので。でも、全く退屈させないということもあって。

 1986年を空疎で幸福な時代として選び、岡田有希子の自殺とチェルノブイリの原発事故が起こったことが並行して語られ、2011年に起きていることの意識を促しています。震災を受けて、いかに語るか、いかに対象と向き合うかということを考えた結実としての作品だという印象でした。あと、ビンゴの場面は面白くて好みです。


 作・演出 宮沢章夫
 出演 上村聡 牛尾千聖 大場みなみ 上村梓 今野裕一郎 時田光洋 野々山貴之 橋本和加子 矢沢誠 永井秀樹
 にしすがも創造舎
posted by 行き先不詳 at 12:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マームとジプシー「Kと真夜中のほとりで」

 更新の遅れが甚だしいのですが、観に行ったのは10月15日夜の公演でした。

 「28年安泰。」がお初で、前回の公演はチケットが購入できずに終わり、今回は早めに入手しておきました。

 ちゃんと分かってないという部分も多少はあるんですけど、とにかく面白かったですし、気持ちよくなって観てました。とくに前半は、右脳を使って楽しんだかんじ。だんだんと背景が徐々に小出しに明らかにされていきますが、後半になって見えてくるもののサイズからするともう少し上演時間が短いほうがよりふさわしく思えました。

 それから、音楽でセリフが聞き取りにくいところがありましたが、リフレインが多いので、多少聞き逃しても大丈夫だったりもした反面、集中が途切れそうになることでもあったかなと。

 作・演出 藤田貴大
 出演 伊野香織 大石将弘 大島怜也 荻原綾 尾野島慎太朗 川崎ゆり子 斎藤章子 坂口真由美 高橋ゆうこ 高山玲子 成田亜佑美 波佐谷聡 萬洲通擴 召田実子 吉田聡子
 こまばアゴラ劇場
posted by 行き先不詳 at 11:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月15日

ホチキス「砂利塚アンリミテッド」

 はじまって早々に除霊を営む一家みたいな設定だとわかって、かなりハジケたものになるんだろうと予想したら、思いのほかオーソドックスな展開で、ふつうに面白かったです。そういう意味では、もっとハジケても全然受け止める用意はできてました。

 現実的でない設定を持ち込みながらも家族の絆が描かれ、過去の清算を済まして前へ進む物語になってました。
 
 私が聞き落としていたかもしれませんが、市役所の人はラストから逆算すると、悪霊に憑かれる前とのキャラの一貫性に疑いが出て、そこは理解できなかったところです。

 作・演出 米山和仁 
 出演 加藤敦 小玉久仁子 津留崎夏子 村上直子 村上誠基 齋藤陽介 山本洋輔 なしお成 小野哲史 森牟田大吾 星野祐介 齊藤美和子
 10月9日昼
 王子小劇場
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2011年11月14日

ろりえ「三鷹の化け物」

 MITAKA"Next"Selectionの1本でした。随所にツッコミをいれたくなるようなところがあって、それも含めて楽しんで観てました。スケールが大きいというか、なんじゃこりゃとあきれるというか。出演者の数といい、美術に金がかかってることといい、これで2,800円とは安いなと思った次第。

 脚本・演出 奥山雄太
 出演 梅舟惟永 斎藤加奈子 志水衿子 徳橋みのり 安藤理樹 大山雄史 岡野康弘 尾倉ケント 久保貫太郎 後藤剛範 櫻井竜 佐藤航太 高木健 田島慶太 中村梨那 長瀬みなみ 松原一郎 松下伸二 本山歩 横山翔一
 10月8日昼
 三鷹市芸術文化センター 星のホール
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ゴジゲン「極めてやわらかい道」

 10月6日夜に観ました。駅前劇場にて。正直なところ、異様な設定と展開になじめずに終わってしまった感があります。病んでるし、変態的でもあって、引いた人は最初っからダメだったのでは。そのヘンさは相当だったので、それはそれで興味深いものはあったんですけど。

 作・演出 松居大悟
 出演 辻修 村上航 目次立樹 東迎昂史郎 川島潤哉 吉田亮 野中隆光 松居大悟
posted by 行き先不詳 at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月05日

演劇集団円「ウェアハウス circle」

 鈴木勝秀がエドワード・オールビー「動物園物語」をベースにライフワーク的に作ってきたシリーズのストレートプレイ版ということらしいんですが、ほぼ予備知識なく観ました。

 暗唱サークルに来ている男(金田明夫)と闖入者の謎の男(橋爪功)のやり取りが見所になっているのですが、はじめはとぼけた味わいで、時折不穏な気配を見せ、しだいにボルテージがあがっていく展開に惹き込まれます。

 金田明夫の役はこれまで暗唱をせずにいたのを、はじめてサークルのメンバーに披露する場面があるのですが、私にはアレン・ギンズバーグの詩そのもののよさは分かってないのですが、朗読そのものは迫力があって、素晴らしかったです。そして、何より橋爪功の自在さに打たれました。

 構成・演出 鈴木勝秀
 出演 橋爪功 金田明夫 高間智子 伊藤昌一 小久保丈二 佐藤銀平 近松孝丞 坂田真裕子
 10月6日昼
 シアタートラム
posted by 行き先不詳 at 23:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月24日

四つ子「四つ子の宇宙」

 ハイバイの岩井秀人、毛皮族の江本純子、五反田団の前田司郎、サンプルの松井周が作・演出・出演の新ユニット(ただし、継続するかは不明のようですが)の公演ということで、何はなくともまずは観ておきたくて、足を運びました。

 22世紀の地球から宇宙を旅してある物質を持ち帰ってくる4人の出発前の地球でのエピソードだったり、宇宙船での体験だったりが、時制的に行ったり来たりしながら進んでいきます。冷凍睡眠の技術が進んでいて、宇宙船内で4人は40年掛けて地球に戻るのですが、そのうち30年近くは凍ってます。代わる代わる冷凍睡眠に入って、ひとりが当番として起きているというふうに。

 そんな彼らのやり取りがユルくて、ハイバイと五反田団っぽさを感じましたが、アフタートークでの話によると、4人がそれぞれ話を作ってきて、再構成されたもののようでした。場面転換が無造作というか、正直、こんなんでもいいんだなとか思うくらいの移行の仕方でそこもユルかったです。

 かなり面白かったのと、それぞれの持ち味が微妙に分かるか分からないかくらいで溶かし込まれてて、アドリブ感あふれる舞台でした。実際エチュードで作り込んでいったようですし、少しずつ毎日違ったものが上演されていくようでした。


 10月2日夜
 アトリエヘリコプター
posted by 行き先不詳 at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする