2015年01月04日

「苦役列車」

 2012年公開の山下敦弘監督作。原作は芥川賞受賞作の西村賢太の同名小説

 難儀な性格だなぁと思わせる主人公。自らの言動が災いして、友情も恋も仕事も失って、それでも続く日々という着地かと思いきや、希望の見えるラストになってて、後味がよくなってました。

 マキタスポーツ演じる高橋が、主人公の北町貫多にとって、自分の未来を映していて近親憎悪的に反発を覚える存在になっていると思うんですけど、それが終盤にはポジティブな方向になってるのが後味のよさにつながっています。

 北町貫多役にしては、森山未來はどんなもんかなと危惧しましたが、嫌悪感を催す人物造形に合わせてきていてハマってました。
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宮部みゆき『ソロモンの偽証』

 単行本で出ていたときには、あの分厚さにひるんで手が出なかったのですが、文庫本なら全6冊とはいえイケるだろうと思ったところです。そしたら、期待通りの面白さで、先が気になってページをめくる手が止まらないタイプの小説でありました。

 中学校の屋上から生徒が転落死して、警察には自殺と断定されるのですが、匿名の告発状が学校などに届き、登場人物の思惑を超えた騒動が起こってしまいます。マスコミにも取り上げられ、学校側の対応の不手際が事態を悪化させますが、それでも警察は事件性がないという判断に変わりがないので、終わったものという扱い。そこで、生徒たちがこの事件を総括するため、学校内裁判を起こすことになるという展開です。

 第V部(文庫では5巻と6巻)で学校内裁判が開かれ、当然ここの読み応えが最高なのですが、事の発端から、事態が収拾できなくなっていく展開にも惹き付けられますし、著者ならではのリアルさを積み上げる書き込みぶりには圧倒されます。

 面白さについては文句ありませんが、些細なところですけど気になったところを重箱的に。
 担任教師の隣人が精神的に病んでいて、事態を大きくするのに不可欠なパーツとなるのですが、心理描写が段取りくさく思えたところがありました。
 主人公の生徒は、検事役となるのですが、そもそも被告人の有罪を信じていないので、途中、引っかかりを覚えながら読むことになってしまいました。
 それから、これは最も根本的な部分になるので、意図的なんだとは思いますが、高校生ではなく中学生としたところです。というのも、中学生にしてはあまりに立派に運営していますし、子どもでは理解できないんじゃないかっていう言葉を使ったりします。学校内裁判では、大人びた振る舞いに滑稽さが出るくらい。一方で、大人でもこんな展開にもってけないのではないかというところに小気味良さがあって、中学生だからこそという効果もあるんだとは思いますが、微妙なバランスの上に成り立っているように思えました。
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2014年11月03日

山内マリコ『ここは退屈迎えに来て』

 一昨年にかなり話題になってたので読みたいとは思ってましたが、文庫化を機に手に取った次第。連作短編で、共通する登場人物がいるので、それを手掛かりに短編同士の関係が分かるようになってます。
 地方都市であったり郊外の閉塞感ということで括られそうですが、これって全然どこにもある現実世界だなと感じさせました。面白く読みましたが、とてもやるせないものがあります。
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2014年09月14日

「日本SF展 SFの国」世田谷文学館

 ふだん文学館に行くなんてことなくて、世田谷文学館も今回がはじめて。ただ、充実した内容だとの評判に惹かれて足を運びました。

 日本のSF草創期といったところからの歴史やら、小松左京、星新一、筒井康隆らの解説や自筆原稿の展示、手塚治虫や日本アニメ、特撮ものとかも一角を占めていました。

 危惧していたとおり、私自身は自筆原稿だとか昔の雑誌とかを観てもあんまりグッとこないもんで、当時の熱気を間接的に味わったといったところでした。

 自分がSF弱者だなと痛感した次第です。
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2014年08月30日

原田マハ『楽園のカンヴァス』

 山本周五郎賞受賞作とありますが、直木賞候補になったことの記憶が強くて、受賞してないんだっけ?って一瞬思ったくらいです(辻村深月『鍵のない夢を見る』が受賞した回)。それと本屋大賞は百田尚樹『海賊とよばれた男』、横山秀夫『64』に次いで第3位になってて、こちらも何となく本屋大賞向きなのかなとか勝手に思ってたところがありました。とにかく、よく話題になってたよなってイメージをもってましたが、期待に違わぬ面白さでした。

 アンリ・ルソーをめぐる美術ミステリです。東京の美術館で監視員をしている女性が、MoMAからアンリ・ルソーの名作を貸出する際の交渉相手として指名されたことを聞かされるところから物語ははじまります。その指名していたティム・ブラウンというキュレーターとは、以前、アンリ・ルソーの名作に似た作品の真贋鑑定を競わせる申し出を受けていて、その様子がティム・ブラウンの視点から語られていきます。いろいろと謎めいた状況の中、ティムは美術館のチーフ・キュレーターのトム・ブラウンに来たはずの招待状かもしれないにも関わらず、そのことを隠して参加していますし、この真贋鑑定の勝者には作品をどう取り扱うか決める権利が与えられるという約束となっている中、そのことをなぜか知って接触してくる者がいたりとかして、状況に動きが出てきます。

 真贋を見極めるために、手掛かりとして与えられたアンリ・ルソーについて書かれた物語が、作中作としても面白くて、美術を題材にしているといっても、敷居も高くなく、予備知識がほぼなくても楽しめる作品になっています。
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2014年08月23日

今野敏『転迷 隠蔽捜査4』

 このシリーズは3.5からは文庫落ちしてから読むパターンになってしまってますが、好きなことに変わってないです。また、ドラマ化されたほうも観ていたのですが、その後にはじめて読んだことになります。ということで、今回読んでみて、あぁ、あの事件かってかんじの印象で読み進めたところです。

 署長の竜崎は、いくつもの事件が発生する中、他の機関や部署、立場との軋轢や衝突、駆け引きなどの矢面に立つ形になってしまって、それでも役割や目的に照らして原理原則に従って交通整理しながら、捌いていくという展開。事件そのものを除くと、エリートに限らず管理職の振る舞い方みたいな視点もあるかもしれません。自分ができるのはここまでで、あとは誰々が判断すればいいとかっていう割り切り方なんか、参考になりそうな気がするくらいです。ただ、しがらみとの関わり方として、こういう対処の仕方はできっこないけど、っていう前提だからこそスカッとできるところもありますが。

 キャラクター小説的な面白さがある反面、シリーズ化されてることもあって、主人公にこれだけ負荷がかかっても緊張感はそれほど強くないということはあるかと思います。安心して読めちゃう、みたいな。ないものねだりかもしれませんが。
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2014年08月21日

村上春樹『女のいない男たち』

 発売当日に購入したものの小説自体を読めてなくて、3ヶ月以上してからようやく手に取った次第です。
 個人的な印象では、売れてはいるものの話題性という点ではあまり大きくなっていないように感じられたことと、その分ということなのか、賛否両論で騒がしいというよりは、総じて評価は悪くないのかなといったところです。そういう期待値に違わず、すごく好きということもなければ、気に入らなかったということもないというのが正直な感想です。

 本作はタイトルの通り、女性に去られてしまった男たち、あるいは去られようとしている男たちを描いた短篇集ということですが、かといって、失恋に焦点を当てたといったものとも違っていますので、果たしてそこに注目するべきかという気もするところでした。

 6篇のうちでは「シェエラザード」がちょっとヘンで一番面白かったです。主人公の置かれた状況がよく分からないのですが、そこで語られる、好きな男子生徒の家に空き巣に入ることが止められなくなってしまって、という体験談がスリルがあって、もっと読みたかったくらいでした。
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2014年08月10日

施川ユウキ『バーナード嬢曰く。』

 学校の図書室を舞台に、読書家ぶりたい自意識あるあるを描いたギャグマンガ。デフォルメしたエッセイマンガのノリで読んで楽しみました。かなり気に入りました。
 これは昨年5月に出てますが、存在を知ったのは今年になってから。著者のマンガを読むのははじめてですが、たぶん違ったタイプであろう他の作品も読んでみたく思います。でも、バーナード嬢の続きも要望したい。
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2014年07月26日

1月〜6月に読んだ本

渋谷直角『カフェでよくかかっているJ−POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』
伊坂幸太郎『死神の浮力』
小田嶋隆『ポエムに万歳!』
小山田浩子『工場』
岸由二『「流域地図」の作り方 川から地球を考える』
長沢樹『消失グラデーション』
清水潔『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』
夏井睦『炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学』
赤羽雄二『ゼロ思考』

 ここ数年、読書量が減る一方で、それでも年のはじめにはもっと本を読もうとか決意していたのも、やっぱり今回も続かなかったという上半期でした。仕事がらみの本を読んでたのもありますけども。
 概ね、昨年、話題になってた小説とかノンフィクションを選んでます。そのほか、積ん読は相変わらずです。
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2014年01月04日

2013年に読んだ本(3月以降)

 2013年は、小説を読む集中力を保てない傾向がさらに強まってしまったという状況などもあって、途中で読むのを止めたり、読み飛ばし同然になってしまったものも少なくありませんでした。そんな中で、読み終えたものをいくつか一応挙げておきます。

平田オリザ『わかりあえないことから』
 講談社現代新書。コミュニケーション能力について、人格の問題と切り離して、合理的に展開しています。いろいろと眼からウロコでした。

松田青子『スタッキング可能』
 表題作が突出して面白くて、職場にこんな人っているよね、では終わらない小説でした。共感度は高いですが、痛快とは違うと思います。読者の立ち位置によって、受け取り方が変わってくるでしょう。
 そのほか、「ウォータープルーフ嘘ばっかり!」なんかも楽しくて好きです。

今野敏『初陣 隠蔽捜査3.5』
 隠蔽捜査シリーズのスピンオフ短篇集。『疑心 隠蔽捜査3』の後は読めてなくて、文庫化を機に読みました。キャラの面白さは発揮されてて面白く読みましたが、伊丹が竜崎に相談するパターンがほとんどコントで、軽さを前面に出し過ぎているように感じました。

伊坂幸太郎『残り全部バケーション』
 第2章のタキオン作戦が特に楽しくて好きです。ラストも、そこで終わるんだぁとニヤリな感じでした。

村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
 出た当時の話題性がかなり高かったですし、村上春樹好きなのもあって、即座に購入して雑音が聞こえてくる前にと読みました。以前より、ハルキストという呼び方がかなり一般に浸透しているように感じました(私自身は使わないですけど)。

北上次郎、大森望『読むのが怖い!Z 日本一わがままなブックガイド』
 このシリーズは読んでなかったのですが、最新のをたまたま手に取ったら面白かったです。なんといっても、北上次郎が文芸評論家でこんなことを言えちゃうのかというところにかえって敬意を表したくなるくらいです。

水道橋博士『藝人春秋』
 芸人を中心にした生き様のルポルタージュ。ラストの稲川淳二の章が白眉かなと。

宮藤官九郎『え、なんでまた?』
 週刊文春のエッセイをまとめたもの。以前のも読んだことがないし、連載中もほとんど読んでなかったのですが、私自身が著者の作品に触れることが多いところも、興味深く読めました。
 あまちゃんについても触れられていて、オーディションの選考で、選ばなかった女優がその後ブレイクすることも多いらしく、「運悪く選ばれてしまった能年玲奈さんには、そんな俺の忌まわしいジンクスを払拭して欲しい」なんてあります。

伊坂幸太郎『ガソリン生活』
 読む前は、車の視点で書かれているというところで期待値が若干低かったのですが、ほのぼのさがいい感じでした。面白いです。生意気めな賢い子どもの描き方はうまいです。

津村記久子『ウエストウイング』
 日常を描く中で、顔を合わさないままに、それぞれがその存在を知っていく過程がまず面白かったです。途中までは長いと感じるところもなくはなく、ただ、後半の展開からすると必要性があるのかなとも思います。

内田樹、平川克美、町山智浩、小田嶋隆『9条どうでしょう』
 文庫化を機に読みました。単行本のときにも話題になってましたが、当時よりも著者らの知名度が高まっているタイミングとなってます。ユニークな切り口による憲法9条論ですが、すっごく参考になるかは微妙な印象です。4人のうちでは平川克美の章が一番よかったと思います。

鈴木翔『教室内(スクール)カースト』
 光文社新書。出発点としては、いじめにだけ注目するのではなく、教室内の人間関係のあり方に目を向けようとする問題意識があります。学生への聞き取りを読んでいると、やり切れなさを感じるところがありました。

松尾スズキ『人生に座右の銘はいらない』
 人生相談の本はたくさんある中で、著者とタイトルに引かれて読みました。予想より面白おかしいものではなく、松尾スズキの生き様が滲み出てます。

北大路公子『苦手図鑑』
 読んでて何度か笑いがもれました。日常を題材にしたエッセイですが、言い回しが面白いことと着眼点が素晴らしいです。

北大路公子『生きていてもいいのかしら日記』
 『苦手図鑑』でハマったので、文庫化されてる本作を手に取りました。こちらも面白く読みました。

池井戸潤『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』
 ドラマ「半沢直樹」の原作小説で、ドラマ終了後に読みました。また、続きはまだ読んでません。
 一気に読み通しましたが、そんなことも久しくなかったので、気持ちよかったです。筋の見通しがついていたこと、読みやすいこともありますが、やっぱり面白いということに尽きます。ドラマと小説でどっちにもいいところがあるので、どっちが先でも両方とも楽しめるかと思います。
 ドラマで近藤が黒い液体がぽたぽたするのが、原作では精神のコールタールってあるのに、あれってまんまなんだと思った次第。
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2013年11月10日

東野圭吾『プラチナデータ』

 近未来SFということでもあるんでしょうが、遺伝子情報を国が管理し、犯罪捜査に役立てるというシステムを題材にしたミステリです。そのシステムが導入されていく状況という設定で、それでもまだ不完全だったり、国民が拒否反応を起こしていたりするというところが、現代と地続きでリアリティを感じさせるところです。

 このシステムの関係者に殺人事件が起きて、研究者がこのシステムを利用して調べると、身に覚えがないにも関わらず自分自身を指し示したため、逃亡することになるのです。

 この逃亡がはじまってから、本当であれば面白くなるべきでしょうけど、私にはわくわくさせるものがあまりなく、ミステリ的興味もそれほどそそられませんでした。意外な犯人ではありましたが、事件の背景となる真相は絵空事感を感じたくらいです。

 本作は今年映画化されて、私は観る前提で、公開直前に読んだのですが、結局、劇場には足を運ばずじまいになりました。
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坂木司『和菓子のアン』

 デパ地下の和菓子屋を舞台にしたほのぼのミステリにして、お仕事小説となってます。ミステリといっても、日常の謎系というか、それ以上にいかにもな謎解きということでもないので、ミステリとは意識しないかもしれません。日々の仕事を通じて主人公が成長し、和菓子の世界の奥深さが紹介されるといった展開でした。
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大森望・豊崎由美『文学賞メッタ斬り!ファイナル』

 2012年8月に出て、単行本化は一応のラストということになってます。ラジオでの放送はその後も続いていますので、絶対的なファイナルということでもないんでしょうけど。

 2008年7月の第139回(芥川賞=楊逸「時が滲む朝」、直木賞=井上荒野『切羽へ』)から2012年1月の第146回(芥川賞=円城塔「道化師の蝶」・田中慎弥「共喰い」、直木賞=葉室鱗『蜩ノ記』)まで。

 それから、帯にも“さらば、石原慎太郎”なんてあるように、選考委員を退いたことは単行本化を進める大きな要素になったようで、特集までされてます。
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2013年03月03日

朝井リョウ『何者』

 素晴らしいです。直木賞を獲っても獲らなくてもオススメです。まあ、獲ったわけですけども。

 就職活動が題材になってはいますが、それ以上にその渦中にいる主人公らの自意識に焦点が当てられていて、生き方や他人との関わり方の問題にあがく姿を生々しく描いています。そこに就活だったりTwitterだったりが使われているのかなと思います。とても面白いですが、シビアで楽しい読み心地ではないです。
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2013年02月09日

津村記久子『とにかくうちに帰ります』

 表題作と連作短篇からなる作品集といった構成になっています。表題作が、これぞ著者ならではの持ち味で好みです。暴風雨で公共交通機関が運休になったりで、職場を出遅れてとぼとぼと歩く帰り道の、苛酷というには大げさにしても、現実に起こるとかなりイラつく状況をユーモアを交えて描いています。

 それから「職場の作法」と「バリローチェのフアン・カルロス・モリーナ」は登場人物が重なる短篇。後者のフアン・カルロス・モリーナとは、主人公が応援しているマイナーなフィギュアスケーターの名前ですが、詳細に語られて戸惑うくらい。実在するのかってくらいに書かれてますが、架空の選手のようでした。 
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2013年01月26日

横山秀夫『64』

 著者7年ぶりになる長篇小説だということで、これは出るって聞いたときにかなりアガりましたし、もう書いていないのでは、と心配してたくらいのブランクです。

 広報官を主人公にした警察小説で、事件の捜査ではなく、記者との駆け引き、組織内の軋轢、家族に起こっている問題、などが主人公にプレッシャーを与えていきます。この圧力の高さが主人公の感情の昂りにエネルギーを注入して、揺さぶられるものがあります。かなり面白かったです。

 そんな中で、娘が父親似の顔に絶望している設定に違和感を覚えたことと、最後に明らかになる真相のカギが現実味を越えてるようにも感じられて、ちょっとだけ引っかかるところでした。ちょっとだけですけど。
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2013年01月03日

7月〜12月に読んだ本

長嶋有『泣かない女はいない』
長嶋有『パラレル』
天沢退二郎『光車よ、まわれ!』
オスカー・ワイルド『サロメ』平野啓一郎/訳
冲方丁『OUT OF CONTROL』
伊坂幸太郎『夜の国のクーパー』
柳広司『パラダイス・ロスト』
筒井康隆『家族八景』
長嶋有『ぼくは落ち着きがない』
阿刀田高『ギリシア神話を知ってますか』
今野敏『同期』
三好十郎『浮標』
月村了衛『機龍警察』
月村了衛『機龍警察 自爆条項 上・下』
小沢征爾×村上春樹『小沢征爾さんと、音楽について話をする』
津村記久子『やりたいことは二度寝だけ』
朝井リョウ『学生時代にやらなくてもいい20のこと』
大島真寿美『ピエタ』
三浦しをん『まほろ駅前番外地』
窪美澄『ふがいない僕は空を見た』
津村記久子『君は永遠にそいつらより若い』

 以上は、なんとか読了したもので、ほかにも挫折したものがいくつかあるものの、かなり読書量が減りました。こまめに読むという習慣が減った上に、家でじっくり本を読むといった時間をもつことがほとんどなかったことによります。

 読書傾向として、ほとんどすべて文芸書で、映画や舞台を観る前後にその原作を読んだものが多いです。ということと、購入したものがほとんど文庫本になってます。
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2012年07月18日

朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』

 著者のデビュー作で、小説すばる新人賞受賞作。この受賞時の選評がたしか井上ひさしの最後の選考だったんですよね。それで、その選評がまたよくて、この作品の私の中での印象をかさ上げしているところがあります。

 章立てごとに視点を変えて、高校生の学校生活なんかが描かれますが、バレー部のキャプテンである桐島がなぜか部活をやめたという出来事があって、それに何らかの影響を受けている人たち、ということで、桐島自身は登場しないという作りです。

 そんなキャラクターの中で、運動部か文化部かなど、ランク付けが空気としてあるということの描かれ方が、強調されているというように思います。そこが中心の話でもないのですが、それぞれのお互いへの微妙なまなざしが繊細にすくい取られていて、たいへん好ましく読みました。面白かったです。

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2012年07月11日

小池龍之介『考えない練習』

 文庫の帯によると、30万部突破のベストセラーだとのことです。一時期、CMもよく観ました。“僧侶による休脳のススメ”です。

 考え過ぎるということに思い当たるところと、脳研究の池谷裕二との対談があるのが購入の後押しになりました。

 基本的なところでは、「考える」より「感じる」を重視するということと、自分を客観視するということが繰り返し述べられているという印象です。正直、もっと実践的なものを期待したので、個人的には不満です。

 ただ、脳というのは自分自身にとっては暴れ馬のようなもので、野放しにしないほうがよい、という視点には納得させられます。

 本筋ではありませんが、気になるところが2ヶ所ありました。いくらモノへの執着がないからといって「私が庭に置いている自転車は鍵をかけませんので、ときどき盗まれます」というところ(いくらモノへの執着がないからといってもなあ…)と、蚊に刺されてても緊張していないと蚊もリラックスして毒を注入しないというところ。両方とも驚かされました。というか、ほとんどトンデモ本に認定されかねない部分です。 
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2012年06月24日

角田光代/穂村弘『異性』

 “恋愛考察エッセイ”ということですが、往復書簡的に引き継いでいくスタイルで書かれてます。当然、男女それぞれの恋愛観などがそこには反映されています。それぞれが異性のことについて新たな発見を得て、驚きや納得していくのが面白いところです。

 このふたりの組み合わせが絶妙で素晴らしいことを前提としてですが、それぞれの見解や考察を男の代表、女の代表としてまとめることには違和感があります。というのも、私自身がどちらにも共感したり、しなかったりするところがあったので。やっぱり違う組み合わせであれば、違った結論にもなるんだろうなぁと。
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